犬の歯の仕組みを知ろう!
犬の歯は、私たち人間のように乳歯から永久歯へ生え変わります。犬の乳歯は、生後だいたい3週目頃から生え始め、約2ヶ月で生え揃います。その本数は、上下ともに14本ずつの合計28本です。その後、生後4ヶ月頃から歯の生え変わりが始まり、だいたい生後8ヶ月頃までには永久歯へ生え変わります。ちなみに、歯の生え変わりの時期は、歯がムズムズしていろいろなものを噛みたがる時期でもあります。我が家の愛犬たちがまだ子犬だった頃、この時期に硬いおもちゃなどを与えると、止めさせるまでずっと噛んで遊んでいました。変な噛み癖をつけないためにも、この時期に【噛んでも良いおもちゃを与える】ということは、犬のしつけを行う上でも役に立ちます。
永久歯に関してですが、永久歯は乳歯より本数が多く、前歯12本+犬歯4本+前臼歯16本+後臼歯10本の合計42本となっています。もちろん、永久歯になると生え変わることはなく、歯磨きを行わなければ歯垢が歯石になり、更にそれが悪化すると歯周病や歯槽膿漏になってしまいます。口臭の原因になるのはもちろん、放っておくと歯もなくなってしまうといった状況になる可能性もあるため、歯磨きは毎日行い乳歯の頃から歯磨きに慣れさせましょう。
ちなみに、チワワのような超小型犬によく見られるのが、乳歯遺残という永久歯が出ているにも関わらず、乳歯が抜けていない状態があることです。食事をする上で不便になることはありませんが、愛犬の歯を見た時に乳歯が残っていたら、念のため動物病院に相談してみると良いでしょう。
犬の歯の役割とは
現在は雑食動物である犬ですが、かつては肉食動物として群れをなして狩りをしながら生活をしていました。そのため歯の形状は、今も昔と変わらず肉を切り裂いたり噛み砕いたりするのに適していると言われています。
犬の歯は、大きく分けて4種類の歯から成り立ち、歯によって役割も異なってきます。
●門歯(切歯)
人間に例えるなら、前歯の部分のことを言います。門歯は、食べ物を噛み切る役割をしており、その本数は上下6本ずつの合計12本です。
●犬歯
犬歯は、よく言う牙の部分で、上下2本ずつの合計4本です。犬歯は、歯の中でも最も長く鋭い形状をしているため、捕らえた獲物や食べ物を動かさないように固定する役割をしています。また、犬歯は犬にとってシンボル的な存在でもあります。
●前臼歯
門歯6本の横に生えている前臼歯は、犬歯で固定した獲物や食べ物を切ったり引き裂く役割をしています。ちなみに、前臼歯の本数は、上下8本ずつの合計16本です。
●後臼歯
犬の後臼歯は、前臼歯の後ろにあり、私たち人間でいうと奥歯の部分になります。また、私たち人間と同じで上面がすりこぎ状になっているため、獲物や食べ物をすりつぶす役割をしています。前臼歯の本数は、上4本+下6本の合計10本です。
犬の噛み合わせには種類がある
犬の咬合は、私たち人間と同じで上の歯が前に出ます。嚙み合わせとしては、これが正常な嚙み合わせで、これを鋏状咬合(はさみじょうこうごう)と言います。鋏状咬合は、別名シザーズバイトと呼ばれ、上の門歯の裏に下の門歯の表面が付いている噛み合わせで、ほとんどの犬種ではこのシザーズバイト(鋏状咬合)が正しいとされます。しかし、中には嚙み合わせが良くない不正咬合と呼ばれる犬がいます。
●レベルバイト(切端咬合)
歯を噛み合わせた時に、上下の門歯の先端がぴったりと噛みあう状態のことをいいます。水平咬合、切端咬合とも呼びます。
●アンダーショット(下顎突出咬合)
もしかすると、アンダーショットが一番聞き覚えがある人が多いかもしれません。実際に、私がペットショップに犬を見に行った時も、何度か説明文のところにアンダーと記載されていたのを見たことがあります。アンダーとは、口を閉じた時に下の門歯が上の門歯よりも前に出てしまう状態のことを言います。ブルドッグの血が入っている犬種によく見られます。アンダーショットがスタンダード(標準)とされている犬種もあります。
●オーバーショット(上顎前出咬合)
オーバーとは、上下の門歯の間に隙間ができる状態のことをいいます。オーバーには、上顎前出咬合の他にも被蓋咬合と呼ばれることもあります。いわゆる「出っ歯」です。
不正咬合の原因は?
不正咬合には、大きく分けて3つの原因があると言われています。
●遺伝
実は、不正咬合の一部は遺伝によって影響されています。何故なら、犬種標準の中にブルドッグやボクサーなどはアンダーショットの噛み合わせが正しいとされているからです。
●乳歯遺残
先ほども説明した通り、チワワなどの超小型犬などは、乳歯遺残がありやすい傾向にあります。そのため、乳歯遺残を放置すると、上下の顎の骨は正常でアンダーでもオーバーでのないのに、一部の歯並びが通常とは異なるクロスバイトという状態になります。ちなみに、クロスバイトには、下の門歯が前に突き出る前方クロスバイトと、下の臼歯が後ろ側に入り込んでしまう犬歯クロスバイトという2種類があります。
●ケガ
まだ乳歯が生えている子犬の頃に骨折や脱臼などのケガをすることこにより、血液供給のバランスが悪くなり、左右の歯の成長に影響します。その結果、不正咬合となり噛み合わせが悪くなることがあります。
不正咬合だとどんな影響があるのか
犬の噛み合わせが悪く、オーバーショットやアンダーショット、レベルバイトの場合、愛犬がうまく食事ができなかったり、時に口蓋を傷つけてしまう状態に陥ることもあります。このような場合は、日常生活に支障をきたすため治療が必要となりますが、必ずしも影響が出るわけではないため、オーバーショットやアンダーショット、レベルバイトであっても食生活に支障がなく、口内を傷つけることもないようであれば、そのままでも問題はないでしょう。
犬の不正咬合の治療法とは
犬の不正咬合には、大きく分けて2つの治療法があります。私たち人間と同じで、犬の永久歯も一生付き合っていく大切な歯であることには間違いありません。噛み合わせの悪い不正咬合は、早期に治療をすることにより治ることもあるため、乳歯の時点でオーバーショットやアンダーショットだと感じたら、早めに治療をすることをおススメします。
●抜歯
乳歯が生え揃う生後2ヶ月を目途に、愛犬の歯がオーバーショットやアンダーショットではないかの状態を確認しましょう。特に、オーバーショットかもしれない?と感じたら、自然に生え変わるのを待つのではなく抜歯を行いましょう。早めに抜歯をしないと、同じ方向に永久歯が生えるだけでなく、下顎の歯が口蓋に突き刺さってしまうため、危険な状態と言えます。
また、乳歯遺残の場合も同様で、乳歯が残ることにより永久歯が生えてくるのを邪魔し歯並びも悪くなってしまうため、この場合も抜歯を行うほうが良いとされます。
●歯列矯正
歯列矯正と聞くと、私たち人間は出来るけれど、犬にはできないのでは?と思う人も少なくないでしょう。しかし、犬も歯列矯正ができます。
もちろん、一番良いいのは乳歯の段階で噛み合わせの悪いアンダーショットやオーバーショットを見つけ、抜歯をしてしまうことが良いのですが、永久歯が生えそろった時点で噛み合わせが悪いことに気づくこともあります。このような場合に、歯列矯正は行われます。しかし、歯列矯正が行われるのは、多くの場合、以下に当てはまる原因がある時です。
- オーバーの傾向がある(アンダーは除く)
- 下の犬歯が舌の方に入り込んで口蓋を傷つける可能性がある(傷つけている)
- 乳歯遺残が影響(もしくはそれ以外でも)で歯並びが著しく悪く犬が苦痛を感じている(フードを食べづらそうにしているなど)
上記の場合、歯列矯正が可能な状態と言えます。しかし、通常の動物病院では歯列矯正を行っていないところが多いので、歯を専門にしている動物病院にて歯列矯正の治療を行う必要があります。もちろん、負担も大きくなるため、歯列矯正を行う際は、本当に愛犬にとって必要な治療家どうかを考え、愛犬が日常生活を送る上で問題が生じる場合などに歯列矯正を行方が良いかもしれません。
噛み合わせが悪くても歯磨きは忘れずに!
愛犬の噛み合わせが悪く、オーバーショットやアンダーショット、レベルバイトであったとしても、毎日の歯磨きはしっかりと行うようにしましょう。歯磨きを行っていれば、歯や顎の形状が悪かったとしても、歯の健康を維持することはできます。私たち人間と同様に、犬の永久歯も抜けてしまえばもう生えてくることはありません。また、犬は私たち人間とは違い入れ歯やインプラントをすることのできません。そのため、毎日の歯磨きは愛犬の歯の健康を維持する上でとても大切なことなのです。
また、オーバーショットやアンダーショットであっても、それはその子の個性であり日常生活に問題がなければそんなに気にする必要もありません。大切なのは、その子の個性を理解した上での食事管理やケアをしてあげることです。
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