『僕がウッドストックに最初に出逢ったのは、ジョージア州アトランタ市を車で走っていた真っ暗な夜のことだった。
「欲望のバージニア」という映画の撮影をしていた頃だ。道路を横切る何か影が見えてね。車から降りて、真っ暗だったから携帯を使って辺りを照らしてみたんだ。
そしたら、ハイウェイ目がけて走る動物の揺れる耳が見えた。「犬だ!」そう思った。
車やタンクローリーが走るハイウェイに入ったら命が無い、そう思った僕は、何て叫んだら良いか一瞬戸惑った。そこで思わず指を口に入れて、口笛を大きく鳴らしたんだ。
僕の口笛は真っ暗な道に響き渡り、その犬はピタリと止まった。そしてこちらを向くと、今度は僕の方めがけて突進してきたんだ。焦ったよ。どんな犬かもわからないし、噛まれるかもしれない。
その犬は荒い息を立てながら僕の足にゴツンと当たり、僕は咄嗟にそいつの首もとをつかんで持ち上げた。キバを向いた大きな犬を想像していたけど、ひょいと軽い事にビックリ。
何と目の前には、大きな茶色い瞳で僕を見つめる子犬が居た。』
『車の中に戻ると、そいつは僕の肩に寄りかかっていびきを立てながら眠りについた。それを見て、「あぁコイツは大変な目に合ってきたんだな」って思ったよ。
同じ車に乗ってた友人が「その子はオス?メス?」って聞くから「オス」って答えたら「何でわかるの?」って返してきた。「え、だって、コイツにはウッドストックが付いてるし…」ジョークで言った”ウッドストック”って言葉が、その場でそいつの名前に決定!
そのままペットショップへ直行した僕らは、泥やウンチまみれだったウッドストックの体を綺麗にしてもらい、ウッドストックにオモチャや首輪等を選ばせてたくさんの買い物をした。
その夜のことは忘れられないよ、本当に素晴らしい夜だった。』
野良犬だった生後11ヶ月のウッドストックを救ったトム。その日から彼らの生活が始まりました。
『映画「ダークナイト」の撮影中は友人の両親にウッドストックの世話をしてもらっていたんだけど、撮影が終わって迎えに行った時にあの口笛を吹くと嬉しそうに突進してきたよ。
ウッドストックは僕の親友であり、心を癒してくれる存在だった。
ロンドンに戻ってからも、僕達は本当に色々な事を一緒に経験してきたよ。奥さんが妊娠した時も、まるで彼女をガードするように守ってくれた。
僕の仕事場でも沢山友達を作り、ウッドストックはTIMEマガジンの「今年最も影響力のある動物100選」にも選ばれたんだ。』
『多発性筋炎を患ってからの6ヶ月はとても辛いものだったけど、もう彼は苦しんでいない。もの凄く悲しいけれど、彼が僕にくれた6年間は宝物だ。
彼は僕にとって親友であり家族であり、これ以上何も望めないよ。本当にありがとう。』
<参考サイト>
boredpanda.com
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