うんちは健康のバロメーター!うんちの状態をチェックしよう
愛犬のうんちは人間と同じように体調によって毎日状態が変わります。人間でも少し体調が悪い時はうんちが柔らかかったり、風邪をひき、感染性胃腸炎になると下痢気味になったりしますよね。犬も同じように、体調が悪いとうんちの状態が変わります。
犬は人間と違って体調が悪くても飼い主に話しかけて訴える事はありません。野生で暮らしていた名残として、体調が悪くても直ぐには態度に出さないのが犬の本能です。弱々しい態度を見せてしまうと、野生の時はすぐに獲物に狙われてしまうからです。
体の外に出るうんちの状態を把握する事は、話す事が出来ない愛犬の健康を管理するのにとても役立つ健康のバロメーターなのです。
◆うんちの状態チェックポイント
うんちで健康チェックをするときは次の4つのポイントに注目しましょう。
②色
③臭い
④異物混入
犬によって個体差がありますので、お友達の犬は違う色や形をしていてもあまり比べずに、自分の愛犬の健康な時のうんちの状態をよく覚えておくと良いでしょう。
◆うんちの形状
うんちの硬さは見た目でも判断しやすいので、毎日の状態を把握しておく事がとても重要です。
・柔らかい
ちょっとしたストレスがかかっても犬のうんちは柔らかくなります。また、脂肪分の多いドッグフードを食べたり、水分を取り過ぎたり、腐ったものを食べたり、今まで食べたことがないドッグフードを食べた時などにもうんちが緩くなります。
その他、細菌性下痢やウイルス性下痢などもあり、うんちが柔らかい原因は無数にあります。
うんちが柔らかくてちょっと元気がない時は、注意して愛犬の様子を見てあげて下さいね。
・硬い
体に取り入れる水分量が少なくなると、いつもより硬いうんちになります。また、いつもと違うドッグフードを食べて消化吸収がうまくいかないと、便秘気味になり硬いうんちになる事もあります。
・膜が張る
うんちの周りに透明な膜が張っている場合、腸炎が起こっている可能性があります。柔らかいうんちが続くと、普段よりも腸が活発に動いてしまっているので、腸の粘膜が剥がれ落ちてうんちに付着して外へ出てきます。
腸の動きが過敏になってしまっているのは栄養が十分に吸収できない証拠です。早めに原因を突き止めてあげましょう。
◆うんちの色
通常のうんちの色は茶色ですが、いつもと違う色のうんちが出た場合は要注意です。
・黒い
うんちの色が黒いのは上部消化管内で出血をして、その血が黒く変色した事を表しています。
うんちの出口から遠いほど、血液も食物と一緒に消化・吸収の過程を通るので黒いうんちになります。消化管で出血を起こしている場合は、早く止血をしないと貧血になる場合もあり、犬の健康状態が悪化します。
どす黒いタール状のうんち(タール便)が出ている時は、早めに動物病院に行って下さいね
・黄色,緑
うんちは小腸で栄養分を吸収され、大腸で水分を吸収された後のカスの状態が健康な物なのですが、急速に腸を通過した場合に十分な消化・吸収が行われずに外へ出てきてしまう場合があります。
その際のうんちの色は黄色や緑がかったものになります。緑色の便は胆汁酸が混ざっていることを表しており、小腸や大腸で何か異常が起きている証拠です。
・うすい色
うんちが茶色をしているのは、肝臓が働く時に出る「胆汁」という、脂肪の消化吸収に役立つ消化液のお陰です。この肝臓がうまく働かなくなると脂肪の吸収がしづらくなるので、うんちが柔らかめになるとともに、うんちの色がうすくなります。
消化管以外の臓器の異常も、うんちの色や状態で見つける事が出来ますよ。
・赤色
うんちに血が混じっている場合に赤色が付きます。赤色の血であれば、うんちが外へ排出される寸前で血液が付いたと考えらえます。
大腸の出口付近に腫瘍があったり、うんちが硬すぎて切れ痔になっていたりと原因は様々ですが、一刻も早く動物病院に行って原因を突き止める事が重要です。
◆うんちの臭い
いつもより臭いにおいのうんちは、消化吸収がうまくいっていない事を表します。普段食べ慣れていない物を食べた時は、消化不良になってうんちが酸っぱい臭いになります。
うんちの中の水分が多ければ多いほど臭いにおいがしやすくなるので、水分を吸収する役目を果たす大腸の異常を教えてくれる指標でもあります。
◆うんちの異物混入
消化吸収が出来ないような異物を口から入れた場合、うんちに混ざって体の外へと出てきます。
タオルの切れ端やボタンなど、飼い主さんが気づかないうちに口の中に入れてしまい、うんちで出てきて初めてわかる場合もあります。磁石やボタン電池などは、いったん口の中に入れてしまってからうんちとなって無事出てくれば良いのですが、最悪の場合は開腹手術をしないと体内に残って悪さをする原因となってしまいます。愛犬の誤飲には十分に気を付けて下さいね。
また、お腹の中に寄生虫がいる場合、卵や寄生虫の破片(節)がうんちと一緒に出てくることがあります。うんちをよく観察して、表面にうごめいている白いものがいる時は寄生虫かもしれません。
気軽に飲むことができる内部寄生虫を駆除するお薬もありますので、そのうんちを持参して動物病院に相談してみて下さいね。
犬のうんちの回数が多い場合に考えられる病気は?
うんちの回数が多い場合に考えられる病気は何でしょうか。
犬の正常なうんちの回数は1日1~2回です。個体差がありますが、犬が食べている食事の回数がうんちの回数と同じになると言われています。もし、それ以上のうんちの回数であれば、多いと判断する事が出来ます。
うんちの回数が多いという事は、消化管で十分に消化・吸収が出来なくなり、通常の速度よりも早い速度で口から肛門まで食べたものが出てしまう状態=下痢です。
では、うんちの回数が多い(=下痢)の原因は何でしょうか。主な代表的な病気や原因を5つあげます。
②寄生虫の感染
③ウイルスの感染
④細菌の感染
⑤膵炎
1つずつ順を追って説明します。
◆食事内容
犬は元々肉食の動物です。ですが、現在与えられているドッグフードは、値段を安くしたり保存しやすくしたりするために、トウモロコシや小麦粉などの穀物を大量に使用しているものがほとんどです。
あなたのお家にあるドッグフードの原材料の表示部分をご覧ください。最初に記載があるものがそのドッグフードに一番多く入っている材料です。トウモロコシ、小麦…などが並んでいれば注意が必要かもしれません。
穀物を消化する事に慣れていない犬は、食べたドッグフードの吸収率が悪くなるためにうんちの回数が多くなります。
また、今まで食べ慣れていたドッグフードから突然違うドッグフードに変えてしまうと、消化・吸収がうまくいかずにこちらもうんちの回数が多くなることがあります。
常に同じドッグフードを与えられる訳ではありませんので、もし消化吸収に負担をかけたくないという場合においては、今まで食べていたドッグフードの中に新しいドッグフードを徐々に混ぜて行き、最終的に10日ぐらいかけて完全に切り替えていくのが良い方法です。
◆寄生虫の感染
犬の体内に住み着いてしまう寄生虫がいると、下痢を起こしやすくなります。
うんちの色はあまり変化する事はありませんが、うんちに寄生虫の卵や欠片が付いていたり、場合によっては血液や粘液がうんちについたりする症状もあります。
うんちを観察しなければわからないような症状ですので、寄生が長期間続いてしまうと、犬の栄養状態が悪くなり、うんちの回数が多い下痢が増えてきますので、犬の体力が消耗してしまいます。
寄生虫がいるかどうかは、動物病院の糞便検査ですぐに判明します。気になるうんちが出た場合は、そのうんちを持参して動物病院で検査を受けて下さいね。寄生虫を駆除するお薬も処方してくれますので、それを投与すればすぐに退治する事ができますよ。
◆ウイルスの感染
犬がウイルスに感染すると、うんちの回数が多くなる下痢を起こすことがあります。
ウイルスが胃腸に感染してウイルス性胃腸炎をおこすと、出血を伴った下痢の症状が出ます。下痢以外にも、食欲が無くなったり、嘔吐をしたり、お腹を痛がって背中を丸めたり、熱が出たりなど、人間と同じような症状が現れます。
動物病院では、対処療法と共に、下痢で失った水分を補給するために点滴を行う場合もあります。脱水症状は進行すると命に関わる危険性もありますので、出血を伴った下痢がある場合は、直ぐに動物病院に診察に行って下さいね。
◆細菌の感染
犬が細菌に感染すると、うんちの回数が多くなる下痢をおこすことがあります。
下痢の中に血が混じる下血や、粘膜性の下痢を伴います。その他の症状には、元気・食欲が無くなったり、熱が出たり、嘔吐をしたり、脱水をおこしたり、お腹を痛がって背中を丸めたりなど、ウイルス感染をした場合の症状に非常によく似ています。
細菌感染で下痢を伴っている場合でも動物病院に診察に行って下さいね。
◆膵炎
犬が膵炎にかかると、長期間続く下痢(慢性的下痢)や嘔吐の他に、激しい体重減少がみられます。食欲はあるのですが、毛並みが悪くパサパサになり、軽い貧血症状も見られます。
これは、膵臓から分泌される膵液が出なくなり、食べ物の中の脂肪を消化・吸収できなくなってしまう事による症状で、うんちの量が非常に多くなるのも特徴です。
膵炎の原因は高脂肪食などの食事内容だと言われています。肥満の犬の発症率も高く、糖尿病や甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症(クッシング症)も原因になると考えられています。
また、急性膵炎などでは非常に激しい腹痛を伴いますので、犬がお祈りをするような地面に顔を付けて背中を丸める状態になる場合があります。
急性膵炎では素早い処置をしないと命取りになる事も考えられますので、いち早く動物病院に行って下さいね。
犬のうんちの回数が少ない場合に考えられる病気は?
犬のうんちの回数が少ない場合に考えられる原因や病気として、
②食事内容
③前立腺の病気・会陰ヘルニア
大きく分けてこの3つが考えられます。
◆便秘
ドッグフードをしっかりと食べているのに、うんちが丸1日以上出ていなく、うんちの回数が少ない場合は、犬が便秘になっている可能性があります。
人間にとっては丸1日うんちが出ないぐらい大丈夫だろうと思いがちですが、1年に4歳年をとる犬にとっては4倍のスピードで事態が悪化しています。犬は5日間うんちが出ない状態になると、うんちが腸の中で詰まってしまう「巨大結腸症」という病気を引き起こすこともあるほど。
便秘にならないようにするには、水分をしっかりとる、腸内環境を整えるためにビオフェルミンなどの整腸剤を摂取する、適度に食物繊維がある食べ物を与えるなどの対処をしましょう。うんちの回数が少なくなったら、サツマイモなどの食物繊維をオヤツとしてあげるのもおすすめですよ。
◆食事内容
ドッグフードの中身によってうんちの回数が少ないと感じる場合があります。基本的に消化の良い肉類を多く含むドッグフードはうんちの回数が少なくなる場合が多く、犬にとって消化が得意でない穀物を多く含むドッグフードはうんちの回数も量も多くなる傾向にあります。
特売などで1㎏1,000円を切っているご飯を与えている方は、ドッグフードの原材料表示をご覧ください。一番初めにトウモロコシや小麦などの穀類があって犬のうんちの回数が多い場合は、ドッグフードを見直してみるのも良いでしょう。
消化が良いドッグフードによってうんちの回数が少ないと感じる場合、犬の元気・食欲が問題なければ心配する事はありません。その回数があなたの犬の通常の回数だと判断して大丈夫です。
しかし、ドッグフードを食べる量そのものが減っている場合も犬のうんちの回数が少なくなります。犬が食欲不振になる原因が何なのかを早めに知り、対処する事が重要です。病気の早期発見につながるかもしれません。
◆前立腺の病気・会陰ヘルニア
何度もうんちをするポーズをするのに、なぜかうんちが出ていない場合、犬にとって出したくても出せない原因があります。
うんちが通る場所は消化管ですが、その中でも重要なのが大腸です。大腸の通り道の近くに存在する前立腺と呼ばれる臓器が炎症やガンなどの原因によって腫れていると、大腸でのうんちの通り道を狭くしてしまい、うんちを出したくても出せない状況になります。そのせいでうんちの回数が少ないと感じます。
会陰ヘルニアは、肛門の左右の脇部分が大きく膨らんで、普段はお尻部分のある膜の中に入っている臓器が外へ飛び出してしまった状態の事を言います。この臓器がうんちの通り道である大腸を押して狭くしてしまうため、うんちが出にくく、うんちの回数が少なくなってしまいます。
全くうんちが出なくなると非常事態と判断できますが、通り道が狭いとうんちが少ないと感じたりコロコロした小さなうんちが出たりしますので、見落としがちになってしまいます。
前立腺の病気や会陰ヘルニアだった場合、外見でも判断する事ができますし、動物病院に行けば診断してもらう事が可能です。その場合、外科手術が必要になったり、うんちをかき出す「摘便」という処置が必要になったりします。
いずれにせよ、早期発見をすればひどくならないうちに対処が可能なので、犬にかかる負担を減らすことができます。うんちの回数が少ないと思っただけで病院に行くのはとためらわず、早めに相談に行って下さいね。
まとめ
犬のうんちは健康のバロメーターです。うんちの形状、色、臭い、異物混入を調べる事で、犬の健康を把握できます。また、今までよりもうんちの回数が多くなったり少なくなったりする場合は注意が必要です。何か犬に重大な病気が隠れているかもしれません。
「たかがうんち」と考えるのではなく「されどうんち」という考えで、数少ない犬からの情報を読み取って、毎日のうんちを片付けてあげて下さいね。
– おすすめ記事 –
・【獣医師監修】股関節形成不全とは?原因や症状・予防法は?大型犬に多いって本当? |
・【獣医師監修】愛犬の目がにごるのは病気のサイン!?どんな目の病気があるの? |
・【獣医師監修】犬の尿石症の症状・原因まとめ。赤いおしっこや痛がったら要注意 |
・【獣医師監修】アニマルドックって何をするの?内容や料金など徹底解説♪ |