1.ボストンテリアの歴史
2.ボストンテリアの外見の特徴
2-1.耳
2-2.マズル
2-3.顔の形
2-4.体型
3.ボストンテリアの性格
4.ボストンテリアのケア方法
4-1.①被毛
4-2.②耳
4-3.③顔
4-4.④爪
5.ボストンテリアのかかりやすい病気
5-1.目の病気:白内障
5-2.目の病気:チェリーアイ
5-3.呼吸器の病気:鼻腔狭窄
5-4.関節の病気:膝蓋骨脱臼
【掲載:2019.10.25 更新:2021.03.12】
ボストンテリアの歴史
ボストンテリアは最近日本でもよく見かける、とても特徴的な顔をした可愛い犬ですね。
このボストンテリアは名前からわかるように、アメリカ合衆国の「ボストン市」が発祥の犬です。
ボストンテリアはアメリカが原産国の犬種として、チェサピーク・ベイ・レトリバーとアメリカン・フォックス・ハウンドに次いで三番目に古い犬種に当たります。
ボストンテリアの歴史は、1870年代にアメリカ合衆国のボストン市とその周辺に住む裕福な人々に雇われていた馬車使いが、雇い主たちが飼っている優秀な犬同士を交配させることから始まります。
その中でブルドッグとブル・テリアから作出された犬種の1つで、その当初は今の大きさよりもはるかに大きく23㎏ほどもあり、ボストン・ブルと呼ばれていました。
そこから小型の雌犬と掛け合わせ続けた結果、今の大きさのボストンテリアが産まれました。
1893年にボストンテリアの第1号がアメリカン・ケネル・クラブに登録されていますので、20年以上の月日を費やして作られた犬種となっています。
このアメリカン・ケネル・クラブに認定されたことによって急速にアメリカ内で人気の犬種へと成長します。
現在でもアメリカでの人気は衰えることなく、日本でも人気の犬種になっています。
ボストンテリアの外見の特徴
ボストンテリアの外見の特徴をいくつか紹介します。
毛の長さはスムース・コートと呼ばれる短い毛で覆われています。
ボストンテリアの毛色も特徴があり、タキシードを着ているような胸元が白色の毛、目の間とマズルが白色の構成になっています。
一般的にはこの黒地に白色の2色で構成された「ボストンカラー」と呼ばれる毛色になっています。
黒地はブリンドルと呼ばれる細かい茶と黒のまだら模様も好ましいとされているほかに、シールといった日光や明るい光の下で見た場合は赤みがかって見える毛の色で、その他の状況では黒色に見えるという特殊な毛色も存在します。
よくボストンテリアとフレンチ・ブルドッグは外見が似ているために、間違われる方が多い犬種とされています。
外見で見分けるポイントとして、耳とマズル,顔の形,体型に注目してください。
◆耳
ボストンテリアは耳の形が尖っていてやや小さめですが、フレンチ・ブルドッグの耳はこうもりの羽のように大きく広がって丸みを帯びています。
◆マズル
マズルと呼ばれる鼻先から口にかけた部分の長さが、ボストンテリアがやや長めであるのに対し、フレンチ・ブルドッグは名前にブルドッグと入っているように、鼻がつぶれています。
◆顔の形
ボストンテリアの顔の形は丸顔であるのに対し、フレンチ・ブルドッグの顔の形はブルドッグと同様に四角の形になっています。
◆体型
ボストンテリアとフレンチ・ブルドッグは顔が似ている犬種ですが、実は並んでみると体格が違うのがよくわかります。
ボストンテリアはフレンチ・ブルドッグよりもやや小さく、肩幅が狭いので2頭並んでみるとボストンテリアの方がスリムに見えます。
ボストンテリアの体の大きさを紹介します。
体重は5kg~11kg、体高(地面から犬の肩甲骨の最も高い部分(き甲)までの高さ)は38㎝~43㎝とされています。
ボストンテリアの性格
ボストンテリアの性格は、「アメリカ犬界の紳士」と呼ばれるほど、とても賢く、フレンドリーな性格をしています。
正義感が強く愛情深い性格です。また、テリアの気質も持ち合わせているため、はつらつとした面もあります。
寛容な性格で、小さな子供とも仲良く遊ぶ事ができます。
遊ぶことが好き、運動が好き、活発に動くという、小型犬には珍しいぐらいの運動量が必要です。
散歩も朝・晩と2回ほど30分~1時間かけて行ってあげられる方が、ボストンテリアの性格にぴったりです。
運動量が多く活発な性格の一方で繊細な部分も持ち合わせていて、家族のちょっとした声の変化や仕草に反応する事もあるほどです。
一人でいるのが苦手な寂しがり屋な部分もある犬ですので、お留守番をさせる際は十分に注意し、時間がある時はたっぷりと遊んであげて下さいね。
ボストンテリアは「テリア」の血が入っているので、いったん興奮するととどめが効かなくなり、どんどん興奮する事があります。
「マテ」や「お座り」など、犬にクールダウンを促せるようなしつけをしておかないと、乱暴な犬へと変貌してしまう可能性がありますので注意が必要です。
遊んで興奮している最中でも、マテやお座りなどの指示に従えるようなしつけを行って、きちんと飼い主がコントロールできる性格の犬にして下さいね。
ボストンテリアのケア方法
ボストンテリアの注意して欲しいケアを4つ紹介します。
①被毛
スムースヘアと呼ばれる毛が短い犬種ですが、ブラッシングをしなくてもよいと思うのは大間違いです。
短い毛でも、とてもよく抜けるために定期的なブラッシングが欠かせません。
この短い毛は、飼い主さんの洋服に突き刺ささるように抜けますので、春や秋などの毛が生え変わる換毛期と呼ばれる時期は特に気をつけましょう。
1日1回のブラッシングを習慣化することで、皮膚表面の血行が良くなり、皮膚病や毛の健康にも役立ちますよ。
②耳
ボストンテリアは立耳ですので、垂れ耳の犬種よりも通気性が比較的よく、あまり汚れも溜まりません。
耳も体に比べて大きい方ですので、何か炎症があればすぐに発見できます。
耳掃除はお家でシャンプーなどを行った時に同時に行うと良いでしょう。
イヤーローションを乾綿につけ、優しく耳の中をふき取ってあげて下さい。
この時、乾いた乾綿や綿棒などを使用すると、耳が傷ついて外耳炎などの病気にかかってしまいやすくなりますので注意が必要です。
耳から茶色・黒色の耳垢が大量に出てきた,悪臭が漂う,耳が赤くなっている,耳をひっきりなしにかくなどの症状があれば、耳に炎症が起きている証拠ですので、動物病院に相談に行って下さいね。
③顔
ボストンテリアは、ブルドッグの体型を受け継いでいるので、顔の周りにしわがたくさんあります。
特に目の周りから鼻の周りにかけてのしわが深く、その場所の皮膚が蒸れた状態のままにすると、皮膚病の原因になってしまいます。
体全体のシャンプーは月1回でも良いですが、顔のお手入れは気になった時に蒸しタオルなどでしわを伸ばしながら優しく拭いてあげましょう。
④爪
ボストンテリアは運動好きの性格が伴って、爪が地面と接触する際に削れて、あまり爪切りを必要としません。
しかし、爪が削れるようなアスファルトなどを歩かずに、柔らかい土やお家の中で過ごす時間が長いボストンテリアや老犬になってあまり運動しない子は、爪が伸びてきますので爪切りが必要です。
お家の中で歩く時にカツカツと爪がすれる音がすれば、爪が伸びてきた証拠です。
ボストンテリアの爪の色は、黒色が多く、どこまで爪を切って良いのかがわかりづらい犬種です。
犬は爪の中にも血管が通っていて、あまり深爪をすると、血管が切れて出血をしてしまい、犬に痛い思いをさせてしまいます。
爪が伸びているなと思ったら、プロのトリマーさんなどにお願いしましょう。
自分のお家で爪切りをする場合は、一気に長く切らずに少しずつ切るように心がけましょう。
ボストンテリアのかかりやすい病気
ボストンテリアにはかかりやすい病気がいくつかあります。
どの犬種でも純血種は、病気のリスクを低くするよりも先に人間の都合によって作られてしまう時がありますので、純血種特有の病気を事前にきちんと理解しておきましょう。
◆目の病気:白内障
目の中のレンズ部分にあたる水晶体が白く濁って、視力が落ちてしまう病気です。
目の病気は、いったん悪くなってしまうと元には戻らず、現状を食い止める事しかできません。
白内障の初期症状としては、散歩を嫌がる,物にぶつかる,目が白く濁ってくるなどがあげられます。
このような症状が出たら、いち早く動物病院に連れて行ってあげて下さいね。
◆目の病気:チェリーアイ
瞬膜と呼ばれる、人間での瞼の役割を果たす目頭にある組織が外へと飛び出してしまう病気です。
組織が真っ赤で丸く飛び出す事からチェリー(さくらんぼ)アイ(目)という病名が付いています。
これは遺伝によって引き起こされることが多く、結膜炎や涙の量が異常に増えてしまいます。
外科手術をして取り除いたりもできますが、瞬膜は涙を生産している場所でもあるので、簡単に取り除いてしまうとドライアイの症状が出てしまいます。
手術の際には獣医さんとしっかり相談してくださいね。
◆呼吸器の病気:鼻腔狭窄
ブルドッグの血を受け継いでいるボストンテリアですので、鼻ぺちゃ犬種によくある鼻の穴や気道が狭く、息をする時にブーブーと苦しそうにする病気です。
空気の通り道が狭くなっているので、軽く運動しただけでも酸素不足に陥ってしまいます。
また、口で体温調節する犬にとって、鼻腔狭窄などの病気を患って気道が狭いボストンテリアは熱の放散がうまく行われず、熱中症にかかるリスクが非常に高くなります。
◆関節の病気:膝蓋骨脱臼
膝の関節にあるお皿の部分が、正常な位置からずれてしまう(=脱臼)病気です。
ひどい時には歩く事も出来ず、外科手術が必要になります。
遺伝が関わっていることが多く、いったん発症してしまうと病気とうまく付き合っていくしかありません。
老犬になればなるほど筋力が低下してしまうので、膝蓋骨脱臼を発症しやすくなります。
その際にはリハビリなどで筋力の低下を防ぎます。
子犬のうちからどれだけ膝のお皿が外れやすいか、獣医さんの触診によってわかる場合もありますので、動物病院で相談してみて下さいね。
ボストンテリアの値段
ボストンテリアの可愛い外見や性格などを見て、飼ってみたいなという方も多いはず。
そこで、気になるボストンテリアの値段をお伝えします。
ボストンテリアの値段は、その子の血筋や性格,外見などによって前後しますが、だいたい20~30万円が相場です。
ただし、この価格よりも高くなる場合があります。
それにはいくつか理由があげられます。
◆血筋が良い
父犬や母犬がチャンピオン犬などの受賞歴がある場合、値段は高くなります。
このチャンピオン犬というのは、ドッグショーで4回以上一定の評価を得た犬だけがもらえる称号です。
ドッグショーに1回出るだけでも諸経費合わせて数十万以上かかりますので、その優秀な成績を収めている親から産まれた子犬は、必然的に値段が上がってしまいます。
◆柄の入り方
正式なボストンテリアの柄として、顔の部分が左右対称で黒色(またはブリンドルカラー)が入っていて、マズル(鼻部分)は白色で黒色が侵食していない事があげられます。
また、首回りはフルカラーと言って、白い毛がぐるりと一周している、手足の先が白色という条件があります。
この条件をすべて満たしていると、柄が優秀で値段が高くなります。
柄は、同一のように見えても1頭1頭異なります。
親の柄が優秀であっても、子供に同じように100%遺伝するわけではありません。
◆体型がしっかりしている
骨格構成は、ボストンテリアの犬種で重要です。
運動量が多いボストンテリアは、骨太でがっちりとしていて、バランスが良い体型です。
この体型から外れれば外れるほど、値段が安くなります。
◆健康面で安心
病気のリスクが低ければ低いほど、値段が高くなります。
ドッグショーに出演するブリーダーによって育てられたボストンテリアは、容姿もさることながら健康には人一倍気を使っています。
逆に、病気がちだったり、体型異常がある子の値段は安くなります。
相場とかなりかけ離れている安い値段が付いているボストンテリアの子犬には、何か問題があると考えられるのが一般的です。
生き物に値段の差なんてと思われる方もいらっしゃいますが、生き物を育て上げる上でのきちんとした必要経費や将来性の値段が付けられています。
もし、どうしてこのボストンテリアは値段が高い(安い)のかと疑問に思ったら、販売しているブリーダーさんやペットショップの方に納得がいくまで聞いてみて下さいね。
良心的な販売店ならきちんと説明してくれます。
反対に値段に対する質問に適当にあしらわれてしまったようなら、その販売店での購入は見送った方が良いと思いますよ。
まとめ
いかがでしたか?
ボストンテリアの可愛い外見や性格,値段がわかって頂けましたでしょうか。
ボストンテリアは、ブルドッグとテリアの気質が合わさった、とても活発な面もありながら飼い主に忠実な繊細な部分も持ち合わせています。
お手入れは長毛犬よりは比較的簡単ですが、毛が短い分抜けやすく、日ごろのブラッシングが欠かせません。
また、純血種特有の病気もいくつか持ち合わせていますので、きちんと理解してあげたいですね。
あなたの性格や住んでいる環境にボストンテリアがピッタリだと思われた方は、ボストンテリアと運命の出会いが出来ることを願っています!
– おすすめ記事 –
・「短頭種は飛行機に乗れない」といわれるのはなぜ? |
・【獣医師監修】愛犬の目がにごるのは病気のサイン!?どんな目の病気があるの? |
・犬のフゴフゴ・ブヒブヒは逆くしゃみ!?愛犬に症状が出たときの対処法 |
・子犬の歯の生え変わりで注意することとは? |