ブラジル、カカパバ・ド・スルに暮らす秋田犬の「ソー」と10年以上共に過ごした飼い主のクラウディオ・カンタレリさん。
毎朝の散歩も欠かさず、クラウディオさんはソーをとても愛していたのだそうです。彼の深い愛情の中で、ソーは幸せな日々を過ごしていました。
けれども、2015年、ソーを残し、クラウディオさんが病で急死してしまいました。
最愛のクラウディオさんを亡くしたソーは、深い悲しみに見舞われ、ひどく落ち込み、ぐったりとご飯も食べず、何日も庭の隅に横たわったままでした。
このままではクラウディオさんの後を追うことになりかねないソーの姿に、近所の人たちは心を傷め、「何とかソーを元気づけたい」「もう一度元気な姿を取り戻してやりたい」と思い始めました。そして、近所の人たちはあることを始めます。
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それは、「10年以上もの間、毎日毎朝繰り返されたお散歩をすること」でした。コースはかつて、毎日クラウディオさんとソーが歩いた道のりです。
近所の人たちの気持ちが通じたのか、散歩を再開してからのソーは、少しずつ元気を取り戻していきました。それがクラウディオさんの死を受け入れてのことなのかは、分かりません。でも、同じ道を歩き、少しずつ自分のペースを取り戻し、少しずつ元気になっていくソーの姿に近所の人たちも一安心です。
そして、近所の人たちは、ソーが散歩の途中で必ず立ち寄る場所があることに気づきました。
ペットショップに宝くじ売り場…ソーがいつも歩く所は、生前クラウディオさんとの思い出がつまった場所ばかり。
おそらくクラウディオさんがソーに「ちょっと待っていなさい」と言って待たせ、用事を済ませていた場所で、ソーは同じようにクラウディオさんを待ち、その姿を探すのだそうです。
ソーのように、亡くなった飼い主を待ったり探したりするペットたちは、案外少なくないようです。
日本の「ハチ公」も、亡くなった元飼い主である上野教授を「迎えに」渋谷駅に通い続けたことで有名です。偶然にも、ハチ公もソーと同じ秋田犬でした。もちろん秋田犬に限った特性ではありませんが、やはりハチ公も、上野教授が亡くなった後はしばらく何も食べなかったのだそうです。
彼らが死というものをどう受け止めているのかは分かりません。けれども、その悲しみや嘆きは、人間のそれと全く変わりのないもののように思えてなりません。
クラウディオさんとの思い出の道を、毎日辿るソー。愛する人がもう二度と戻らないということを繰り返し確かめることで、彼は今、少しずつ、その深い悲しみを癒している途中なのかも知れません。
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