【獣医師監修】犬がハチに刺された!アナフィラキシーショックとは?対処法は?

2018.03.13

【獣医師監修】犬がハチに刺された!アナフィラキシーショックとは?対処法は?

人間にとっても恐ろしい外敵であるハチ。国内でも人間への様々な被害が確認されています。 しかし、ハチに注意が必要なのは人間だけでなく犬も同じです。 犬だって、刺されたらアナフィラキシーショックに陥る可能性があるのです! そして、犬がハチに刺されるケースは意外と多いのです…。 今回はそんなシチュエーションや、アナフィラキシーショックについて、そして愛犬がハチに刺された場合の応急処置を紹介します。

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意外と多い ハチに刺されるシチュエーション

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愛犬との外出時や散歩中、一緒に出掛けてアウトドアを楽しんでいる時など、愛犬と共にハチに遭遇したことのある飼い主さんは沢山いるでしょう。
居住地域によっても偏りはありますが、自宅周辺に蜂の巣が作られてしまうといったケースも年々増加しています。
人間社会では、登山やハイキングの人気が高まったことで、ハチによる被害の件数も増えているのです。
犬にとっても、ハチによる被害は人間同様に危険なものです。
犬には「ハチに刺されたら危険だ」という認識はなく、防御手段もありませんので、人間よりも刺される可能性は高いといえるでしょう。
むしろ飛んでいるハチを見て好奇心や狩猟本能が刺激され、追いかけてしまう場合も考えられます。

通常、犬が虫に刺されやすい体の箇所は足だといわれています。それは犬が地面をを歩いている際に、気付かずに虫を踏んでしまうことが多いからです。
しかし、口の中を刺されたために、顔面や口内が腫れてしまうケースも多々あります。犬は足よりも先に口が出てしまうことが多いので、ハチを追いかけて口の中に入れてしまうことも少なくありません。
また公園やドッグランなど草むらの多い場所であれば、犬は茂みに鼻を入れてしまいます。そこにハチがいたとしたら、鼻を刺されてしまうこともあるのです。

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ハチにも様々な種類がありますが、キイロスズメバチやオオスズメバチなど、攻撃性・毒性の強いハチもいます。
それらの種類に刺された場合、犬も強い炎症を引き起こしてしまいます。
通常であれば、その毒による炎症が死に直結することはありませんが、即日型アレルギー反応を起こしてしまうとその危険が高まります。
これをアナフィラキシーショックといいます。アナフィラキシーショックはハチの毒に関わらず、様々な物質により起こる可能性のあるアレルギー反応ですが、人間社会でも知名度の高い症状なので聞いたことのある方がほとんどだと思います。
人間にとっても犬にとっても危険な、アナフィラキシーショック。
それがどのようなものなのか、またそれによってどんな症状がもたらされるかなどを紹介していきます。


アナフィラキシーショックに注意

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アナフィラキシーショックとは、アレルゲン(アレルギーの元)を摂取・接触・吸入などの形で体内に摂り入れた際に、体が急激なアレルギー反応によるショック症状を起こすことをいいます。
本来、体を異物から守るための免疫系が、アレルゲンに対して過剰に反応することで、全身の機能悪化を招いてしまうのです。
虫刺されや、食物、ワクチンなどの様々な物質がアレルゲンとなる可能性があります。

アナフィラキシーショックというとハチに刺されて起こすことで有名ですが、強いアレルギー反応であるため、1度目ではなく、2度目に刺された際に起こることが多いといわれています。
そのため「1度刺されたけど、腫れただけで済んだ!」という場合であっても、油断は禁物です。
アナフィラキシーショックは生死に関わる問題であり、一刻も早い治療が必要となります。
アナフィラキシーショックを起こすと以下のような症状が出ますので、しっかり覚えておきましょう。

◎アナフィラキシーショックによる症状例

・気道閉塞
・呼吸困難
・血圧低下、不整脈による心停止
・痙攣
・意識喪失
・全身の浮腫み
・喘息
・腹痛、下痢や嘔吐
・多尿
・流涙
・蕁麻疹
・痒みによる掻きむしり
・脳炎

これらがアナフィラキシーショックによって起こる症状例ですが、最悪の場合短い時間で犬が急死することもあるそうです。
特に外出時やハチを見かけるような場所においてこれらの症状が見受けられた場合は、すぐに応急処置をして動物病院を受診しましょう。ハチに刺された可能性が十分考えられます。


犬がハチに刺された時の対処法

愛犬がハチに刺された場合、まずはその場から離れて安全な場所まで移動してください。
そして、慌てずに応急処置を施しましょう。アナフィラキシーショックが起きている場合は、迅速な対応が必要となります。
応急処置の方法を頭に入れておき、処置後、すぐに動物病院を受診してくださいね。

①針を確認して抜く

まずは愛犬の体に針が残っていないか確認しましょう。針を確認できたら抜きます。
この時、ピンセットや毛抜きがあると慎重に針を取り除くことができますが、ヘラ状の物やカードなどを使用して弾き飛ばすのも一つの手です。
指でつまんで抜くのは、あまりお勧めできません。抜く際に毒嚢をつぶしてしまい、毒液が体内に入る可能性があります。
愛犬が暴れたり嫌がって抜くのが難しい場合は、動物病院で抜いてもらいましょう。
毒嚢というのは、毒の入った袋のことでミツバチの針についているものです。刺された時に皮膚に残ってしまい、これを放置すると毒液が体内に入ってしまうので、できるだけ早めに抜かなくてはいけません。
ちなみにスズメバチに刺された場合は、このような針は残らないそうです。

②患部を水で洗い流す

傷口を流水で洗い流して、毒液を絞り出します。この時、口で毒液を吸い出すという行為はしないでください。ハチの毒は水溶性のため、唾液と一緒に体内に取り込んでしまい、飼い主さんの体に危険が及ぶ恐れがありますので、口で毒液を吸い出すのは危険です。
毒液を絞り出すには、針を抜く時にも使用可能な、ヘラ状の物かカードなどを使うとよいでしょう。
愛犬が患部を触るのを嫌がる場合、抵抗が激しければ無理はしないでください。
口輪やカラーを使えば対処可能な状態であれば、それらを利用して安全確保をした上で対応しましょう。
ちなみにスズメバチの毒素は水溶性なので、水に溶けやすいといわれています。

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③患部を冷やす

タオルなどを濡らして、傷口を冷やしましょう。患部を冷やすことが、痛み・腫れの軽減につながります。
更に「抗ヒスタミン軟膏」が手元にあれば、傷口に塗ってあげると刺された痛みを和らげることができるでしょう。

これらの対処法を可能な限り愛犬に施したら、すぐに動物病院を受診してください。
紹介した応急処置の方法は、あくまでも悪化させないためのものです。病院で適切な処置を受ける必要があります。
病院を受診する際は、その時の状況と応急処置について事前に連絡をしておくとスムーズに対処してもらえるでしょう。
また、刺された後は安静を保つことが重要です。暴れると、体内に毒が回ってしまうので注意してください。

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犬がハチに刺されないための対策法

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ハチは種類にもよりますが、主に5~6月頃に大量に羽化して、9~10月頃になると繁殖期を迎えるそうです。
繁殖期は特に縄張り意識が強くなるので、通常より攻撃的になります。被害が増加するのは、この時期なのです。
山や公園など、ハチをよく見かける場所へ出掛ける際には注意が必要です。

ハチに刺されないようにするためにはまず、ハチが多い場所やハチが潜んでいる可能性がある場所に近づかないことです。
散歩時に草むらに入らせないことや、人気のない茂みに近寄らないなど飼い主さんの心掛けが重要となります。

野山へ行く際や、アウトドアを楽しむ際には犬用の服を着せるのが効果的ですが、夏の時期は熱中症の危険が高まるので、着用する素材には注意してください。
誤った対策をとらなければ、衣服の着用が熱中症の予防にも繋がりますし、害虫対策ともなります。
通気性の良い生地やメッシュ素材のものを着せ体を覆うだけでも、虫に刺される確率が低くなりますので、是非利用を検討してみてください。
また、犬用の虫よけスプレーなどの使用や持ち歩きも忘れないようにしましょう。ハチに限らず、ダニなどの他の害虫からも愛犬を守ることができます。

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そしてもう1点覚えておきたいのは、ハチに攻撃されやすい色があるということです。
ミツバチに限り、6色もの色を認識できるといわれていますが、主にハチが認識できる色は白色と黒色なのです。
その中で攻撃対象となるのが「黒色」であり、元々「黒色=敵」と認識して、攻撃する習性が備わっているのだそうです。
黒以外にも黒に近い色には同様の危険性があります。青・茶・赤色などの明るい色も、ハチにとっては黒に見えるそうで攻撃されやすいといわれています。
反対に危険性の低い色が「白色」になります。白はハチにとっての攻撃色ではないので、刺される可能性が軽減されるそうです。メディアなどで駆除業者を見たことがあるでしょうか?大体白の作業服を着ているのですが、それは白色を着ることで刺されるリスクを減らすためなのです。
ちなみに白の他にも、ピンク色・水色・黄色などが刺されにくい色だといわれています。
飼い主さん自身もそうですが、愛犬に衣服を着用させる場合にも、これらの色を選択すると安心ですね。


まとめ

愛犬との楽しい外出も、トラブルが起きてしまえば悲しい思い出になってしまいます。
ハチに刺されたとあっては、愛犬に痛いを思いをさせることとなりますし、飼い主さん自身も辛く感じたり、心配な思いをするでしょう。
外出時は害虫対策を忘れずに、また、アナフィラキシーショックに対する知識を身に付け、愛犬をハチ被害から守ってあげてくださいね。
実際に私も、子供の頃に愛犬がハチに刺された様を目の当たりにしたことがあります。
飛んでいるハチを追い払おうとしていたようで、その際に口を刺されてしまいました。
幸いアナフィラキシーショックは起きませんでしたが、マズルの片方だけが腫れあがった姿は、かなりショッキングな映像として記憶に焼き付いています。
愛犬家の皆さんも、自分自身は勿論、愛犬をハチ被害に合わせない為に注意してくださいね。
刺された場合は、適切な処置とすぐに動物病院を受診することを忘れないでください。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!

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