1.狼と犬の違いは?
1-1.犬の祖先と言われる「ハイイロオオカミ」
1-2.狼と犬の違い①体格の大きさ
1-3.狼と犬の違い②歯の大きさや強さ
1-4.狼と犬の違い③足や肉球
1-5.狼と犬の違い④その他
2.狼に近い原始的な犬種は?
2-1.原始的な犬・スピッツ(尖ったの意)系
2-2.狼に最も近い犬種は「柴犬」!?
3.狼は飼えるの?
3-1.そもそも狼の入手が困難
3-2.狼を飼うには様々な制約がある
4.狼と犬のハーフ!?「ウルフドッグ」とは?
4-1.狼の血が流れる「ウルフドッグ」
4-2.飼い主初心者さんには向かない犬種
4-3.十分に運動できる環境が必要
5.ウルフドッグにはどんな種類がいる?
5-1.JKCに認められたウルフドッグ①サールロース・ウルフドッグ
5-2.JKCに認められたウルフドッグ②チェコスロバキアン・ウルフドッグ
狼と犬の違いは?
犬の祖先が狼だという説は、現在でも世界中で研究されています。
様々な説がある中でも、研究結果から「犬の祖先は狼だろう」という考えは多くの研究者から指示されているのです。
◆犬の祖先と言われる「ハイイロオオカミ」
ある研究者が犬のDNAを調査したところ、その祖先は「ハイイロオオカミ(タイリクオオカミとも呼ばれます)」であることが判明しています。
ハイイロオオカミは、亜種を含めると世界中に生息している動物です。
ある生息地域で狼が人間に懐き、犬化したことで世界中に広まったといわれています。考古学的には14,000~15,000年前頃に、犬として人間と共生し始めたと考えられているそうです。
そんな関係深いこの2種類の動物にはどんな違いがあるのか、部分的にみていきましょう。
◆狼と犬の違い①体格の大きさ
犬は、超小型から大型と犬種によってサイズに違いがありますよね。もちろん、狼も生息地域や種類によっては、体格に差がでます。
一般的には狼の方が犬よりも体が大きいとされており、平均的な体高でみると、狼は60~90cm、犬は50~60cm程です。
研究者の中には、「ハイイロオオカミが人間と共生することで、犬の大きさになった」という内容の考えを唱えている方もいます。
◆狼と犬の違い②歯の大きさや強さ
狼と犬の生活環境の違いによって、歯にも相違点があります。
狼は野生動物であり、群れで協力して獲物を捕らえます。捕獲した獲物を噛み砕くため、大きく硬い歯が必要不可欠なのです。
対して犬は、基本的に食べやすい餌を与えられるので、そこまで硬い食べ物を口にするケースは少ないでしょう。
このため、狼の歯の方が大きく、それに伴って頭も大きいのです。それぞれ、生活環境に合った大きさの歯や頭をもっているということですね。
ちなみに、顎の力も狼の方が格段に強いようです。顎の筋肉が多いことから頬骨が高いので、眼が吊り上がって見えます。
◆狼と犬の違い③足や肉球
狼の足は犬よりも大きく、前足は犬と比べて後方に位置しています。これは、俊敏に動き回ること、素早く走り出すことを可能とするためだそうです。
そして肉球は形状に違いがあり、狼が細長い形であるのに対し、犬は非常に丸い形をしています。
狼は生活する上で狩りをするので、長い距離を速い速度で走る必要があります。このため、肉球は自然と細長い形となっているのです。
対して犬は、野山などを素早く走ることを生活上必要としないために、自然と丸い形になったといわれています。
◆狼と犬の違い④その他
これらの他にも、多数の違いがあります。
・尻尾…犬の方が小さく、種類によっては巻き尾がある。狼に巻き尾はみられない。
・成熟期間…犬は生後6~9カ月でほぼ成犬となるのに対し、狼は生後2年程で成熟する。
・出産…種類による違いはあるものの、犬は1回の出産で6~10頭程産むが、狼は犬の約半数で4~6頭程しか産まない。
・消化作用…犬の方が、人間の食べ物の消化能力が高い。能力的に簡潔にいえば、狼が肉食で犬は雑食だということ。
狼は犬の祖先だという説が有力ではありますが、長い年月をかけて生活環境に適応したことで、お互いに違う点が多数みられましたね。
しかし、元は人間に慣れた狼から枝分かれしたのが犬だ、という考えがあるのも事実です。
狼に近い原始的な犬種は?
◆原始的な犬・スピッツ(尖ったの意)系
犬種には、それぞれ分けられる10種のグループがあり、その内の5Gは「原始的な犬・スピッツ(尖ったの意)系」とされています。
秋田犬・柴犬を始めとする日本犬や、寒い地域出身のシベリアン・ハスキー、アラスカン・マラミュートがこのグループに属する犬種で、どことなく見た目も狼に近いように感じます。
◆狼に最も近い犬種は「柴犬」!?
実は、遺伝子的に狼に最も近いといわれる原始的な犬は「柴犬」です。
飼っている方も多く目にする柴犬が、狼に近い遺伝子を持っているという事実はかなり驚きですよね。
これはアメリカの大学が発表した研究結果によるものです。
犬の遺伝子は大きく4つに分類することができ、その内の一つに「狼に限りなく近いDNAを持っており、古くから存在していた」という「WOLFLIKE(ウルフライク)」と呼ばれるカテゴリがあります。
このウルフライクを柴犬が一番多く持ち合わせており、他の三つの遺伝子がかなり少なかったそうです。
ちなみに、次に近いとされているのが「チャウチャウ」、その次が「秋田犬」だという結果が出ています。
狼と似ているといえば、ハスキーやマラミュートなどが浮かびそうですが、遺伝子の近い犬種が日本犬であるというのは、本当に興味深い話です。
狼は飼えるの?
外見は犬と似ている狼。愛犬家の皆さんの中にも、「好きな動物が狼だ!」という方は少なくないのではないでしょうか。中には、飼えるものなら飼いたい!と望んでいる方もいると思います。
人間の家族として一緒に暮らすことができる犬のように、狼を飼うことは可能なのでしょうか?
◆そもそも狼の入手が困難
残念ながら、日本で個人が狼を飼うということは、現実的に不可能に近いでしょう。
理由の一つに、まず個体をペットショップで購入することができないという点があります。狼は、商業目的での輸入が禁止されている動物なのです。
更に日本では、明治時代に狼が絶滅しています。現代の日本では、野生の姿をみることも叶わないのです。
これらの点から現実的に、個人が狼の個体を手に入れること自体が難しいといえます。
◆狼を飼うには様々な制約がある
ただ、狼の飼育が100%無理だとは言い切れません。
狼は、「危害を加える恐れのある危険な動物」を対象とする「特定動物」として指定されています。特定動物の飼養には、都道府県知事や政令市の長の許可が必要ですが、許可さえおりれば飼うことが可能だということになります。
しかし、特定動物を飼うには、様々な厳守すべき基準があります。
例えば、頑丈な飼育場所、檻のようなものを用意する必要があります。危険な動物に指定されているということで、逃げ出すことのないように、厳重な体制や注意が重要となるのです。
更に、怪我・トラブルを防止するために、第三者との接触を可能な限り避ける必要があります。飼うことができたとしても、公園などを散歩することは難しいでしょう。
個体識別措置として、マイクロチップなどの装着も義務付けられています。
このように、狼を飼うには多数の制約があるので、犬と同様な感覚での飼育は不可能といえるでしょう。
狼と犬のハーフ!?「ウルフドッグ」とは?
「狼を飼いたい…」という気持ちが拭えない方のために、「ウルフドッグ」という犬種を紹介します。
◆狼の血が流れる「ウルフドッグ」
ウルフドッグは、狼と犬との交雑犬で「狼犬」ともいいます。ウルフドッグの中でも、狼の血が75%以上のものは「ハイパーセント」と呼ばれ、狼により近いということで愛好家からは非常に好まれる傾向にあるそうです。
なんとこのウルフドッグ、特定動物ではないので飼うための許可などは必要ありません。
しかし、犬と共に狼の血が流れているのは事実。飼育には充分注意すること、決して軽い気持ちで飼わないことが大切です。
それでもウルフドッグを飼ってみたい!という方は、事前にウルフドッグの特徴を勉強してから、検討してみましょう。
◆飼い主初心者さんには向かない犬種
ウルフドッグには、「知能が高く非常に賢い」「独立性が強い」という大きな特徴があります。更に、高い社会性をもっており、リーダーと認識した人間に対してはとても従順です。
しかし、自身が認めた相手以外に従うことはないといわれ、一度格下だと認識されてしまうと、しつけをするのは困難です。愛玩動物として改良されてきた他の犬種と比べると、飼育するのはとても難しいでしょう。
ブリーダー・トレーナーなどの熟練者でなければ完璧にしつけることは困難なので、飼い主初心者さんや一般家庭で飼うには、残念ながら不向きといえます。
◆十分に運動できる環境が必要
ウルフドッグは、飼育する上でも飼育環境・体制を整えるという点で困難な面がみられます。
ウルフドッグ1頭当たりに必要な飼育面積は30㎡以上、理想的な運動量1日2~3時間以上といわれています。また、非常に高い跳躍力を持っているため、2~3m程度の柵であれば容易に飛び越えてしまう個体も中にはいます。
十分な敷地面積・設備を整えられること、飼い主さん自身がウルフドッグに対して大幅な時間を割けることが、飼育する上での最低条件といえるでしょう。
ウルフドッグにはどんな種類がいる?
ウルフドッグを飼育するために特別な許可は必要ないとはいえ、現実的には飼うことが難しいことから、国内では500頭前後しか飼育されていないようです。
このわずかな飼育頭数の内、日本で一般的に見られるウルフドッグは、アラスカ・カナダなどから輸入された交雑種がほとんどだといわれています。実はこのような種類は、正式に犬種としての認定を受けていません。
JKC(ジャパンケネルクラブ)で純血種と認められているのは、以下の2種類しかいないのです。
◆JKCに認められたウルフドッグ①サールロース・ウルフドッグ
内向的で警戒心が強い面がありますが、愛情深く優しい性格をしています。そして自身の認めた相手に対しては、とても忠実です。
吠えることがほとんどないといわれており、室内飼いに向いています。
運動神経がよく、視覚・嗅覚に優れ、運動量が多いので飼育する上では走り回れる広いスペースが必要不可欠です。
JKC:世界の犬(1G:牧羊犬・牧畜犬) サールロース・ウルフドッグ
◆JKCに認められたウルフドッグ②チェコスロバキアン・ウルフドッグ
サールロース・ウルフドッグと同様で警戒心が強い面はありますが、明るく活発な性格をしています。
こちらも同じように、運動量が多く必要です。十分な飼育スペース、運動スペースの確保が必要ですが、しっかりしつけることで心優しく頼りがいのある家族となるでしょう。
JKC:世界の犬(1G:牧羊犬・牧畜犬) チェコスロバキアン・ウルフドッグ
犬と狼の関係に関するまとめ
いかがでしたでしょうか。
狼好きな人にとっては、とても魅力的なウルフドッグ。いずれにせよ大切なのは、飼い主さんがリーダーとして認められること、十分な飼育環境を整えられることです。
そして、可愛い存在となると忘れてしまいがちですが、狼の血が流れているという点は常に頭に入れておく必要があります。
犬のルーツである狼。愛犬家にとっては、犬と同じくらい魅力的で見逃せない動物の一つかもしれませんね。
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