悪性の骨腫瘍に苦しむ愛犬
骨肉腫は、犬では最も多い原発性の骨腫瘍。なかでも大型犬に多く、大変転移しやすい悪性の腫瘍です。
診断時には9割以上が既に他所に転移していると言われており、ブラックラブラドールのデュークもまた例外ではありませんでした。
デュークは発病後に前脚を切断したものの、転移した腫瘍はどんどん大きくなって彼を苦しめるようになっていました。肋骨を圧迫していたといいますから、呼吸困難もあったことでしょう。
このままでもデュークの余命は僅かです。そして、いかなる治療をもってしても、その僅かな期間、彼を安らかに過ごさせてやることは不可能でした。
悲しい決断を迫られる…
飼い主であるジョーダン・ロバーツ氏は、ある決断を迫られました。
苦しむデュークとともに、すぐそばに迫っている死を待つべきなのか、それとも、安楽死を選ぶのか…。どちらを選んでも、辛いことには変わりのない苦しい決断です。
ロバーツ一家は考えた末、後者を選びました。
ロバーツさんは、デュークとの別れの日を7月7日の月曜日に決めました。
そして、獣医に予約を入れた後は、その1日をこれまでで一番幸せな日にすべく力を尽くすことにしたのです。
デュークが過ごした最高の最期の1日
その日、家族はもちろん、近所の双子たちに大好きなトリマーさん…デュークが愛し、デュークを愛した人々が呼ばれました。
デュークは彼らと共に大好きなハンバーガーを食べ、パーティーをし、大好きな公園で遊びました。
このデュークの最期の1日は、ロバーツさんの友人でもある写真家、ロビン・アルーティ氏によって撮影され、記録されました。
「I died Today(僕は今日死んだ)」と題された彼の1日の記録は、ネットニュースで取り上げられて以降、大きな話題となり、ペットロスに苦しむ人々に希望を与えているそうです。
「I died Today」より、彼の最期の1日をご紹介します。
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「僕は今日死んだ」
ハンバーガーをたくさん食べた。今日はみんなでパーティーをしたんだ。
それに、いっぱい笑った。
そして、ここをどれだけ恋しく思うだろう…と考えていた。
僕たちはジョークも言い合った。
もちろん真剣な話もしたよ。
となりに住む僕の友達も遊びに来てくれたよ。彼らは双子なんだ。誰かがハンバーガーを食べるように勧めたら、彼らはこう言った「ありがとう、でもデューキーのを取りたくないからいいんだ」
クリステンも僕に会いに来てくれた。彼女はとっても面白い人。僕のトリマーであり、友達でもあるんだ。
獣医さんを待つ間、クリステンが「散歩に行きましょう」と言ってくれた。その時、だれかが「この先にあるスプラッシュパークで水遊びをしない?」と言ったんだ。だから、僕たちはみんなで公園に行ったよ!
ねえ、僕は君に会えなくなることが寂しいんだ。
君もきっとそうだよね?
クリステン、僕の家族を見守ってね。
ねえ、きいてる?それが僕のすべての望みなんだよ!
今日、僕たちはびしょぬれになって遊んだ。
今日、僕たちは笑った。
今日、僕たちは感謝の気持ちでいっぱいだった。
今日、僕たちはルールを破った。
僕は遠くで遊ぶ子供たちの声に耳を澄ました。そして、おうちにいる2人の赤ちゃんのことについて考えた。彼らを守ることが僕は大好きだった。
今日、僕はリラックスしていた。
痛みは感じなかった。腫瘍はとっても大きくなっていたんだけどね。
今日、僕は愛を感じた。
僕は美人の友達のキーラにお別れを言った。彼女は、獣医さんが時間ですと告げる前に、僕がみんなのそばに立っているのを見ていたんだ。僕は嬉しくてジャンプして、幸せな気持ちになったよ。
僕は「さよなら」じゃなくて、「また会おうね」って言ったんだ。
神様、僕は幸運だったよ。僕たちが一緒に過ごす時間は短かったかもしれない。でも、あなたは僕にセカンドチャンスをくれたし、僕はそれを一緒に楽しむことができた。
みんなは僕に見つめられるのが大好きなんだよね。僕もこの先もずっとみんなのことを見守っているよ。
ずーっと。 デューキー
最期の1日を最高の1日にするために
実際、骨肉腫を患った犬の飼い主たちは、高い確率で安楽死を選ぶことになるようです。それは決して、手の施しようがないからと犬たちを見捨てたということではなく、それほどまでに犬たちの苦しみが大きいということでしょう。
安楽死を選ばずとも、病のペットを看取ったことのある人ももちろんいるでしょう。ただ、重い病で大切な人を亡くした人ならば、その辛さが想像できるのではないでしょうか。
写真の中の幸せそうなデュークが、これから訪れる死を悟っていたのかどうかを考えるのは、はなから無駄なことでしょう。ただひたすらに今、その瞬間の幸せを全身に受けるその姿からは、「可哀想」などという単語は浮かぶことすらありません。
いつかは必ずくる、最愛の愛犬との別れの日。あなたは、その1日をどう過ごしますか?
<参考サイト>
robynarouty.com
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