犬はどんな時に飛びついてくる?
犬がピョンピョンと人間に飛びつく姿を目にする時、その背景には様々な理由があります。
愛犬がどんなタイミングで飛びつく行為に及ぶのかを、まずは思い返してみましょう。飼い主さんの帰宅時やオヤツを見せた時、知らない人や犬に対してなど、犬によって飛びつくシーンやタイミングには違いがあると思います。
犬の飛びつく行為に隠されている理由を紹介していきますので、愛犬に当てはまる項目があるかどうかチェックしてみてください。
犬が飼い主に飛びついてくる理由は?
◆飛びついてくる理由①愛情表現によるもの
犬は、飼い主さんに会えた喜びや、大好きだよという愛情表現の一環で飛びつく場合があります。
帰宅時でしたら「やっと会えた!」という喜びが抑えきれずに飛びつくことが多いでしょう。また抱っこが好きな子でしたら、「抱っこして欲しい!」という甘えや、抱っこされて安心感を得たいという気持ちを表現しているケースがあります。
嬉しい気持ちによる興奮から、飛びつく行為に至ってしまうというわけです。
飛びつき癖のある子に最も多い理由が、この愛情表現によるものではないでしょうか。
◆飛びついてくる理由②要求によるもの
オヤツを見せた時や散歩に行く準備を始めた時などに愛犬が飛びつく場合は、それらの要求を表すために飛びつく行為に至っています。他にも、「一緒に遊びたい」「構って欲しい」という気持ちから飛びつく子もいるでしょう。
いずれも、自身の要求を満たしたいという興奮の現れです。
甘えられているようで可愛いと感じるかもしれませんが、この場合、上下関係が崩壊している可能性も考えられます。飼い主さんを見下していることが考えられますので、改めて上限関係の確立を図りましょう。
◆飛びついてくる理由③本能によるもの
散歩中に知らない犬に飛びつく場合、「どちらが強いか勝負だ!」という気持ちの表れである可能性があります。
犬には、前足で相手の身体を押さえつけることで、自分が優位であることを示す習性があるのです。
また、自転車などの動く物に対して飛びつく場合には、狩猟本能が働いていることが考えられます。動きのある物を捕まえようとする本能から、飛びつく行為に至っているケースもあるということです。
◆飛びついてくる理由④威嚇や警戒心によるもの
自宅に来客があった時や、見知らぬ人へ飛びつく場合は、愛犬の負の感情が理由となっています。自分のテリトリーに知らない人が来たことで、恐怖や怒りを感じることから「出ていけ!」という気持ちを表している可能性があります。
この行為はとても危険で、他人に怪我を負わせてしまうリスクがあります。すぐに対策を取らなくてはいけません。
これらのように飛びつく理由は様々ですが、共通しているのは犬が興奮状態にある場合に飛びつくということです。愛情表現が理由だとしても、そこに危険が伴うケースが潜んでいるのが実態です。
飼い主さんとしても甘えられるのは嬉しいことですが、飛びつきによるデメリットがあるということをしっかり認識しておきましょう。
犬の飛びつき行為のデメリットは?
犬が飛びつく行為は、人間と犬の両者にとってリスクとなる可能性があります。日常的に飛びつき癖のある犬には、特に注意が必要です。
どのようなデメリットがあるのか、覚えておきましょう。
◆健康被害を招く恐れ
犬の飛びつきは、後ろ足に負担のかかる行為です。その頻度が高ければ、足への負担はどんどん大きくなります。
特に、小型犬などの骨の細い犬種であったり、元々足腰や関節の弱い犬にとっては、怪我に直結するリスクが高くなるということを忘れてはいけません。
飛びつきが習慣化されている場合は、飛びつき対策を行うこと、しつけなどで直すことを考えましょう。
◆相手に怪我をさせる恐れ
犬に悪気はなくとも、飛びつくことでその相手に怪我を負わせてしまう危険性があります。
特に相手が子供や老人であれば、犬が飛びついた拍子に容易に倒れてしまうでしょう。愛犬が大型犬の場合、その危険性は更に高まります。また、動物が苦手な人が相手であれば、犬が飛びつく行為で必要以上に恐怖を感じさせることとなるでしょう。
犬からすれば喜びを表現しただけなのに、叱られる破目に合い悲しい思いをしてしまいます。
◆訴訟問題になることも
愛犬の飛びつきの理由が恐怖や不安、怒りなどの負の感情からくるものだと分かっている場合は、特に注意しましょう。飛びつき行動が、相手への攻撃に直結する可能性が高いです。
愛犬が飛びつく対象は、飼い主さんだけが相手とは限りません。飛びつき癖が原因で、他人に怪我を負わせてしまっては大変です。実際、訴訟問題に発展するケースも増えているそうです。
普段から、愛犬の飛びつく行動には注意をしなければいけません。
犬の飛びつき癖の改善方法は?
玄関先での来客に対して危険が及ぶようであれば、柵などを利用して玄関へ行かせないようにするなどの対策がとれますが、散歩中や日常的に犬の飛びつきを100%抑えることは難しいでしょう。
どのように愛犬の飛びつき癖を直せばよいのでしょうか?改善方法として、しつけの一例を紹介しますのでチェックしてみてください。
◆飛びつきがあっても反応しない
愛犬の飛びつき癖を改善するためには、まず「飛びつくことがいけないことだ」と認識させなくてはいけません。飼い主さんには、しつける上での根気と、「飛びつきに対して一貫した態度をとる」という心構えが必要です。
飛びつきは様々なシーンで見られますが、どのような場面においても飛びつかれたら「無視」をするのが基本です。飛びつくことで犬自身の要求が叶ってしまうと、「飛びついたら良いことがあった」と学習してしまいます。
どのようなしつけにもいえることですが、これをしたら良いことがあった、これをしたら悪いことがあった、という風に犬に覚えさせるのです。これを繰り返すことで、飼い主さんが愛犬にしてほしいこと(しつけたいこと)がきちんとできるようになります。
◆まずは基本のしつけ「おすわり」「待て」を習得しよう
訓練で飛びつく行為を改善したい場合は、短い時間で日々取り組むこと、上手くいかなくても根気よく続けることが大切です。
そして、飛びつき癖を直すためには、「おすわり」「待て」のコマンドが使えることが前提となります。まだうちの子はできない…という家庭は、まずこれらのコマンドを教えることから始めてくださいね。
◆「無視」をして飛びつけをしつける方法
飛びつく行為の原因は、ほとんどの場合「興奮」にあります。犬を落ち着かせるには、おすわりや待てをさせるのが一番効果的です。
しつけを始める前に、まずご褒美となるオヤツを用意しましょう。普段食べているドライフードでも構いません。
愛犬が肥満傾向にあり、体重が気になる場合はカロリーの低いオヤツを用意してくださいね。また、ご褒美といっても与えすぎには注意しましょう。
まず愛犬の前に立ち、オヤツを見せます。そこで飛びついてきたら、「ダメ」などの禁止のコマンドを言って落ち着くまで待つか、おすわりや待てのコマンドを出しましょう。
飛びつきを止めるまで「無視」です。少しの反応も見せないことが大切です。
飛びつきが止まったり、おすわりや待てができたら、沢山褒めてオヤツを与えてください。
この流れを繰り返し行うことで、「飛びついても良いことがない」と認識できるようになります。
これを基本として、様々なシーンで活用しましょう。
例えば、玄関先に出迎えにきて飛びついた場合にも、すぐに愛情を返すのではなく、飛びつきを止めるまで一切の反応をみせないのです。玄関先にあらかじめオヤツを用意しておくことが可能であれば、すぐにごほうびを与えることができます。おすわりや待てで落ち着くことができたら、沢山褒めてあげてください。
その他の場面でも、飛びつきが見られたら同様に無視すること、落ち着いたら褒めること、家族全員が同じ態度をとることをしっかりと守りましょう。
◆飛びつきが悪いことと認識させる方法
飛びつく行為に対して「無視」をするというしつけ方法でも、中々上手くいかない場合や、即座に飛びつきを止めさせたい状況の時には、いわゆる“罰”を与えるというのも効果的な方法です。
◆体罰を与えるのは絶対にNG!
ここで絶対に間違えないでほしいのは、“罰”といっても体罰などを与えることではないということです。
体罰や怒鳴り散らすという方法は、犬にとって効果的ではありませんし、暴力は絶対に振るってはいけません。
この方法を実践する場合は、以下の様な例にならって行ってください。
大きめの布(タオルや毛布など)を用意しておきます。これを飛びついた拍子に顔にかけて視界を奪うのです。驚いて飛びつきをやめたら、すぐに取ってあげてください。
興奮状態から一瞬気を逸らすことができますので、布を取って落ち着いていたら沢山褒めてあげてくださいね。これを繰り返せば「飛びついたら見えなくなる」と認識します。
大きな音の出るアイテムを用意します。瞬時に音が出せる楽器などがあればよいですが、無ければペットボトルに小石やビー玉などを入れたものでも代用できます。飛びついた時に激しい音を聞かせることで、「飛びついたら怖い音がする」と認識します。
スプレーボトル(霧吹き)にお酢やレモン汁などの柑橘系の液体と水を混ぜたものを入れておきます。そして飛びついた時に、鼻にスプレーして刺激しましょう。犬は鋭い嗅覚を持っているので、これは効果的な方法ではあります。
ただし、目に入る恐れがあるのであまりお勧めできません。可能であれば根気強くしつけを繰り返すか、①や②の方法で代用した方が個人的には良いと思います。
まとめ
飛びつきは愛情故の行為である場合も多いですが、危険行動となり得るということを忘れてはいけません。しつけで改善することが、何より愛犬のためとなるのです。
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