犬が気を付けなくてはいけない虫とは?
犬が気を付けなくてはいけないものにはどんなものがいるでしょうか。確認してみましょう。
◆蚊
犬の生活に一番身近で、一番怖い虫がフィラリア症を媒介する蚊です。
日本に生息する蚊で、フィラリアを媒介する蚊はアカイエカ、ヒトスジシマカ、コガタアカイエカなど16種類以上にも及びます。
犬がフィラリア症を媒介する蚊に刺される(吸血される)と、血液中に蚊の体内にいたミクロフィラリア(フィラリアの赤ちゃん)が犬の体内に入ってきます。ミクロフィラリアは犬の体内で成虫に成長し、またミクロフィラリアを産みだします。
成長したフィラリアは、心臓や肺動脈に寄生し、重篤な症状を起こす事が多く見られます。
犬がフィラリア症になると、呼吸困難、咳などの気管支疾患や、リンパ管の炎症からの皮膚の硬化(象皮症)、肝臓、腎臓、心臓の重篤な病気などを引き起こします。
◆ノミ
ノミは犬、猫、人間などに寄生する外部寄生虫です。ノミは吸血の際や、噛みついた時に強い痒みをもたらすことが多く、アレルギー性皮膚炎の原因にもなります。
ノミの赤ちゃんは、成長したノミのフン、フケなどを食べて育ちます。成虫になると、動物の血液を吸血し、卵を産み、命のサイクルを続けていきます。
ノミの一生は1~2ヶ月ほどと短いですが、吸血、産卵を繰り返すため、一度寄生されると完全除去には時間がかかります。
◆ダニ
ダニは節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目に属しており、クモやサソリと近い生物です。種類は2万種類以上にもなるほど、沢山のダニが存在しています。
犬に寄生するダニの代表的なものは以下のとおりです。
– ニキビダニ –
人間のニキビの様な膿疱(のうほう)や脱毛が現れる皮膚病を引き起こすダニです。特に目や口の周り、前足の足先に寄生します。
– ヒゼンダニ –
皮膚にトンネルを開け、潜り込んでしまうヒゼンダニは、疥癬症の原因のダニです。疥癬症は強い痒みが特徴で、カサブタの様な皮膚沈着や硬化などが見られます。
ヒゼンダニの中には、犬の耳垢を食べて成長する耳ダニと呼ばれるものもいます。
耳ダニは、強い痒みを伴い、前足や後ろ足で掻き壊してしまう犬や、慢性の外耳炎に進行してしまう犬も少なくありません。
耳を床にこすりつける、頭をよく振る、耳を掻く、など耳を痒がっている素振りが見えた際には、直ぐに動物病院を受診する様にしましょう。
◆マダニ
マダニは、ダニ目のマダニ亜目マダニ科に属するダニのことを指します。欧米ではマダニ(英:tick)と、それ以外のダニ(英:mite)を区別して呼ぶほど、通常のダニとは異なる性質を持ちます。
マダニは犬に寄生し、マダニ自体の体が膨れ上がるほどの血液量を吸血します。そのため、犬は貧血や黄疸などを起こす事があります。
また、マダニが吸血時に注入する唾液はアレルギー性皮膚炎の原因物質になることもあります。
マダニが媒介する疾患は他にもあり、バベシア病やライム病、痙攣、歩行異常など命にかかわるものも少なくありません。
◆腸内寄生虫
犬の腸内に寄生する代表的なものは、鉤虫、回虫、条虫、鞭虫です。いずれも散歩や公園など、日常の中で感染することが多く、珍しいものではありません。
これらが犬に寄生した場合は、下痢、腹痛、嘔吐から腸閉塞や貧血などを引き起こすことが多いです。
また、多くが人間にも寄生する「人獣共通感染症(ズーノーシス)」のため、飼い主も注意が必要です。
◆ハエ
犬にハエが寄生する病気は、ハエ蛆症です。老犬や寝返りが出来ない犬の床ずれ箇所や、皮膚の傷にハエが卵を産み付け、蛆を発生させてしまう病気です。
ハエ蛆症は、被毛で隠れてしまっているため気付くのが遅れることが多いです。
ハエがもたらす病気には、他に東洋眼虫が有名です。この東洋眼虫はショウジョウバエの一種であるマダラメマトイが、感染動物のメヤニや涙を食べ、他の動物に感染させて媒介します。
メヤニ、結膜炎や涙が止まらないなどの症状が一般的です。
虫は気温何度で活発になる?
人間にとって煩わしい害虫は、犬にも害を及ぼすことが多々あります。それらは、種類によって活発に活動する外気温が異なります。
ゴキブリやノミ、ダニ、老犬などの床ずれに卵を産み付けるハエは、気温20度以上になると活発に活動します。
また、夏の定番である蚊が活発に活動するのは、およそ気温22度から27度ほどの間です。
しかし、蚊の種類によって活発に活動する気温が異なり、散歩中によく見かけるヒトスジシマカは気温30度前後が最も活発です。熱気のある30度を越えた屋外でも、活発に活動していることがあるため注意が必要です。
犬の虫除け方法は?
室内での飼育時や、屋外での散歩やおでかけなどでは、どうやって犬の虫除け対策をすれば良いのでしょうか。確認してみましょう。
◆予防薬を使って虫除け対策する
予防薬を使って、虫除け対策する方法があります。
予防薬があるものは、フィラリア、ノミ・ダニが代表的です。フィラリア予防薬に、ノミ・ダニ予防の薬剤が含まれているものもあります。
ノミ・ダニの卵の孵化を阻害し、成虫にさせない効果のあるノミ駆除薬のフロントラインシリーズも手軽に滴下投与できるため予防として人気です。
◆駆虫薬を使って虫除け対策する
犬の駆虫薬は、体内に寄生する回虫、鉤虫、鞭虫、条虫を駆除する薬です。フィラリア予防薬はフィラリアの赤ちゃんであるミクロフィラリアが成長し、心臓や肺動脈に移動することを阻害する役割があるため、実は駆虫薬の一種に含まれます。
予防薬はフィラリア成虫には効果が無いため、フィラリア成虫の駆除薬にはヒ素系の薬剤を用います。駆除成分が入ったフィラリア予防薬も多いため、毎月知らず知らずに駆除できている、という家庭も多いです。
また、ノミ・ダニなど体外につくものの駆除薬にはフロントラインシリーズの使用が一般的です。滴下で簡単に使用することが出来て、24時間以内にほぼ100%の成長したノミを駆除することが出来ます。
◆天然成分のアロマやハーブを使い虫除け対策をする
安全性が高い植物由来のアロマ精油やハーブを使った虫除け対策も人気です。
人気のアロマ精油、ハーブは、レモングラス、ユーカリ、ゼラニウム、ラベンダー、アンチモスキートなどです。虫の嫌いな匂いや成分を使い、虫除けをする効果があります。
ただし、犬は人間よりも嗅覚に優れているため匂いには敏感です。嫌がる匂いの場合には、即座に使用を取りやめるなどするようにしましょう。
また、アロマやハーブを使用したものは薬剤使用のものよりも効果が低いことが多いです。どちらが良いのかは家庭で判断し、対策するようにしましょう。
◆虫除け首輪を使う
主にノミ、ダニ、マダニに効果がある虫除け対策が、虫除け首輪です。
犬の虫除け薬やグッズが少なかった頃に人気があった商品で、虫除け首輪は、首輪付近にしか効果が無いため、首輪から逃げれば意味がありません。
また、首輪に含まれる薬剤で皮膚が荒れてしまったり、ただれてしまうケースもあるため、愛犬に合うかどうか確認しながら使用するようにしましょう。
◆ノミ取りシャンプーを使う
主にノミに効果がある、ノミ取りシャンプーで予防する方法です。
ノミ取りシャンプーは、ノミを駆除する効果はなく、仮死状態にするものです。そのため、単純にノミ取りシャンプーで洗っただけでは効果はなく、仮死状態にしたノミを丁寧にノミ取りブラシで除去する、という地道な作業が必要になります。
駆虫薬や予防薬が愛犬の体に合わない場合などは、シャンプーを利用するのもいいでしょう。
◆ぶら下げタイプの虫除け対策
玄関や軒先にぶらさげるタイプの虫除け薬も多く販売されています。主にユスリカなどに効果があります。
犬が虫に刺されたらどうすればいい?
犬が虫に刺されることを、犬の刺咬症といいます。犬のことを刺すものは蚊、ノミ、ダニ、ハチ、アブなど多種存在し、刺したものが何なのかによって対策は変わります。
ただし、多くの場合が炎症止めや抗生剤などの内服治療を行います。
患部が炎症をおこしている、出血している、など外的トラブルがある場合には、外用薬を用いることも多いです。
刺咬症の中でも、特に犬に多いのが蚊です。
蚊はフィラリア症の原因にもなるため、犬にとっては怖いものですが定期的に予防薬を投与することで防ぐことが出来ます。
人間も同様ですが、生活している以上、どんなに予防しても蚊に刺されない、ということは不可能です。そのため、予防薬は決められた期間必ず投与するようにしてください。
犬に虫除け対策をして、夏を乗り切りましょう
犬に害を及ぼすものは、蚊、ダニ、ノミ、マダニ、腸内寄生虫、ハエなど多数存在します。それぞれによって、寄生や刺された際に犬に痒みを起こす、下痢や嘔吐を起こす、など症状は異なります。
特に蚊は、フィラリア症に感染する恐れがあり死に至る危険も持ち合わせています。
この記事を読んで予防や駆除を適切に行えば、安全に生活することができます。虫除け対策を万全にして、夏を乗り切りましょう。
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