1.犬は骨が好きって本当?
1-1.犬の祖先と人間との関わり
1-2.犬が骨を好きな理由は?
2.骨に含まれる栄養素は?
2-1.カルシウム
2-2.タンパク質
2-3.脂肪
2-4.リン
3.犬に骨を与えてもいいの?効果は?
3-1.「犬に骨を与えてはいけない」話のもとは?
3-2.犬に骨を与える効果は?
4.犬に骨を与えるときの注意点
4-1.加熱せずに生のまま与える
4-2.骨のサイズは小さ過ぎず、大き過ぎず
4-3.鳥の骨には十分注意を!
4-4.牛の骨はなるべくペット用を!
【掲載:2018.09.18 更新:2023.11.24】
犬は骨が好きって本当?
アニメや漫画などでも犬が骨を好んでいるシーンをよく見かけますが、実際に犬は骨を好きな傾向にあります。
◆犬の祖先と人間との関わり
犬の祖先と考えられているオオカミは肉食性であり、狩りをして肉を食べていました。
現在でもアフリカを中心に生息しているハイエナは「骨までしゃぶりつくす」と言われているなど、肉だけでなく骨までも綺麗に食べてしまいますが、オオカミは約1万2000年前から人間に家畜化されたことで、犬として人間と共に暮らすようになったといいます。
◆犬が骨を好きな理由は?
犬は、狩りをした獲物の肉を人間が食べ、残った肉や骨を食べるようになったことから肉食寄りの雑食性になったと考えられていますが、犬が骨を好む理由として様々な説があります。
人間が食べた後の肉の骨を与えるとずっとしゃぶっていることがありますが、これは骨に付いている少量の肉の味がしていることも考えられます。嗅覚が非常に鋭い犬にとって、微量の肉のにおいや味も魅力的なものであり、肉の味が骨に染み込んでいるとずっと食べることもあります。
骨には骨の内部の組織である骨髄が含まれています。人間でも料理として食べられることもあり、豚骨や鶏がらとして馴染み深い部分です。
この骨髄のにおいが犬の食欲を刺激しているのではないかと考えられています。
古来より骨を食べていたことから、犬の本能として骨を求めているのではないかという説もあります。
骨に含まれる栄養素は?
骨にはカルシウムが豊富に含まれており、犬が健康で長生きするためには大切な栄養素とも言えます。また、カルシウムだけでなく、様々な栄養素が含まれています。
◆カルシウム
カルシウムは骨の形成に必要な栄養素ですが、骨の成長や筋肉の形成、生理機能にも重要な役割があります。
カルシウムの不足によって、骨関節疾患を引き起こしたり、生活をする上で障害が残る可能性があります。カルシウムは不足、過剰のどちらも身体に障害を与えるため、バランス良く摂取する必要があります。
◆タンパク質
タンパク質は身体をつくるための大切な栄養素です。骨だけでなく、筋肉や内臓など健康に生きるための重要な栄養素であり、タンパク質が不足すると成長期の子犬は成長の遅れがみられる可能性が高くなります。
また、成犬や高齢犬であっても免疫力が低下し、抜け毛や体調不良なども引き起こされやすくなります。
タンパク質の過剰摂取は肥満の原因となりますので、カルシウムのようにバランス良く摂取する必要があります。
◆脂肪
脂肪は犬が元気に動くための大切なエネルギー源です。身体の調子を整え、成長期の子犬には重要な栄養素になります。
また、美しい被毛や健康な皮膚を維持するためにも重要な栄養素でもあります。
タンパク質と同じく過剰摂取は肥満の原因となるため注意が必要です。
◆リン
リンはカルシウムとの割合が正しくある必要があり、骨の強度の維持や身体が正常に機能するための重要な栄養素です。リンは骨や歯に80%以上含まれており、不足すると骨が脆くなり骨の変形などがみられます。
骨にはカルシウムが含まれていると思われがちですが、カルシウム以外にも犬にとって大切な栄養素が様々含まれています。
しかし、健康に良いからと与え過ぎは消化不良だけでなく、便秘や下痢を引き起こす可能性もあります。骨を与え過ぎると白い便が出ることもあり、消化器官に影響を与える場合もあります。
犬に骨を与えてもいいの?効果は?
◆「犬に骨を与えてはいけない」話のもとは?
「犬に骨を与えてはいけない」と聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。
これにはアメリカのドッグフードメーカーが関係しており、ドッグフードが誕生した約60年前に「犬に骨を与えると骨が刺さって危険です」と噂を流したことがきっかけです。
当時は現在とは違い、ドッグフードは犬の主食として一般的なものではありませんでした。そのため、「犬に骨を与えてはいけない」という説がドッグフードを広げるための噂となりました。
ペット先進国であるイギリスなどではただの噂だと信じられませんでしたが、ペット後進国の日本ではすぐにその噂は広がり、犬に骨を与えるのは危険だと思われてしまいました。
◆犬に骨を与える効果は?
実際には骨を与えることで様々なメリットもあり、犬は人間よりも消化器官が短く胃酸が強いため、約5時間で骨は完全に消化されてしまいます。
骨を噛むことによって歯や歯茎が刺激され、歯磨き効果があります。
現在はデンタルケアも広がり、歯磨きをする犬も多くいますが、昔の犬が歯磨きをしなくても歯が綺麗なのは、骨を噛んでいたことも関係しているのではないかと考えられます。
硬い骨を噛み続けることで顎や歯が鍛えられ、丈夫になります。犬にとっては顎や歯は食べるための大切な部位ですので、丈夫になることで高齢犬になってもエサやオヤツを美味しく食べることができます。
硬い骨を噛むとストレス発散にもなります。また、噛むことで歯や歯茎が刺激され脳の活性化や血行が促進されます。
成長期の子犬や高齢犬には脳の活性化は大切であり、認知症予防としても期待できます。
普段ドッグフードしか食べていない犬にとって、骨の硬い食感や味は新鮮です。ふやかしたドッグフードやパウチタイプのエサは柔らかく、オヤツもボーロやジャーキーなどはすぐに飲み込めてしまうため、硬く、長く味を楽しめる骨を与えると犬は喜びます。
犬に骨を与えるときの注意点
犬に骨を与えても問題はありませんが、様々な注意があります。犬によっては噛み砕かず、そのまま丸飲みしてしまう場合や消化不良を起こす犬などもいるため様子を見ることが大切です。
◆加熱せずに生のまま与える
加熱したことによって骨が砕けやすくなり、破片が口の中や内臓を傷付ける可能性も考えられます。
成犬の消化器官は発達していますが、子犬や高齢犬は噛み砕く力が弱く、 十分に噛み砕くことができない場合があります。
また、砕けた骨が口の中で刺さると口内炎になり、エサが食べられなくなることもあります。
◆骨のサイズは小さ過ぎず、大き過ぎず
犬に対して小さ過ぎる骨は、与えると丸飲みしてしまうこともあります。また、大き過ぎる骨は噛み砕くことができれば安全ですが、そのまま飲み込んでしまうと喉や食道に引っかかってしまう可能性もあります。
喉に詰まると窒息してしまい危険ですので、犬に合ったサイズの骨を与えましょう。
◆鳥の骨には十分注意を!
鳥の骨は加熱すると縦に割れてしまいます。豚などの骨も加熱すると砕けやすくなりますが、鳥の骨は割れた部分が鋭く尖り、食道や胃を傷付ける可能性があります。最悪の場合、腸閉塞や腹膜炎になることもあるため、鳥の骨を与える場合は特に注意が必要です。
◆牛の骨はなるべくペット用を!
日本でも話題となったことがある「狂牛病」というのはご存知でしょうか。外国で狂牛病の疑いのある牛が発見され、牛肉の輸入に制限されたことで日本にも打撃を与えました。
狂牛病は「プリオン」と呼ばれる異常蛋白質によって起こる病気で人畜共通感染症です。現在は厳しく取り締まっていますが、牛の骨を与える際はなるべくペット用のものを与えると安心です。
ペット用の骨は豚や牛の他に鹿の骨もあります。ペットショップやネットでも購入することができ、愛犬の好みの骨を探してみるのもおすすめです。
骨はオヤツコーナーに売られていることが多く、大きさや形も様々あります。オヤツとして、デンタルケアとして用途に合わせた骨を選ぶことも大切です。
犬の骨好きについてのまとめ
犬の骨好きは古来からのものであり、骨を与えることによってストレス発散や歯磨き効果など様々なメリットもあります。与え方や与え過ぎには注意が必要ですが、犬にとって骨は与えても問題はありません。
しかし、子犬や高齢犬は顎の力も弱く、消化器官も未熟なため、様子を見ながら与えましょう。
また、喉や食道に詰まってしまった場合は早急な処置が必要になる可能性が高いため、すぐに動物病院に連絡をして指示に従いながら向かいましょう。
骨を与える場合は子犬や高齢犬でなくても飼い主さんの目が届く場所で与えることが大切です。持病がある犬は、骨に含まれる栄養素を過剰に摂取することで身体に影響を及ぼし更に悪化させてしまう可能性も考えられるため、骨を与える前に獣医師と相談しておくと安心です。
また、人間用のフライドチキンの骨や手羽先は調味料が付いている可能性もあり、加熱によって骨が砕けやすくなっているためペット用の骨を与えましょう。骨を噛んで健康で長生きするためには正しい与え方が重要です。
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