狂犬病とは?
狂犬病と呼ばれる病気のことを聞いたことはあると思います。狂犬病は、狂犬病ウイルスによって感染する感染症の事なのですが、厚生労働省のHPにも記載されているほど危険な病気です。
狂犬病は、犬、猫を含む全ての哺乳類が感染するリスクを持っています。と言うことは、私たち人間にも感染するのです!
◆狂犬病の感染経路は?
なぜ狂犬病が感染拡大していってしまうのか、感染経路をご紹介いたします。
狂犬病の感染経路は、狂犬病にかかっている動物に咬まれることにより感染します。つまり、狂犬病にかかっている犬に咬まれると、自分も狂犬病ウイルスに感染してしまうということです。
アジアなどでは、狂犬病に感染してしまう動物は主に犬ですが、世界ではコウモリに咬まれて感染してしまった事例もあるそうです。
狂犬病の症状は?
では、狂犬病に感染してしまうと、どのような症状が出てしまうのでしょうか。人間と犬に分けてご紹介します。
犬が狂犬病ウイルスに感染してしまうと、通常2週間~2か月の潜伏期間を経て発症し始めます。狂犬病の症状は段階的に進行していきます。
①前駆期
異常行動が見られ、性格が変貌してしまいます。
②狂躁期
意味もなく徘徊したり、目に付くものを頻繁に咬み付いたりするなどの興奮状態が見られるようになります。また、光や音などに過剰に反応するようにもなります。
世間などで知られている一般的な狂犬病のイメージは、この狂躁期のものではないでしょうか。
③麻痺期
全身が麻痺してしまいます。そのため、歩行不能になり、咀嚼筋が麻痺することで下顎下垂・嚥下困難になります。舌をしまう力もなくなってしまうため、舌を口外に垂らして流涎してしまいます。
その後、昏睡状態になり、死亡してしまいます。
狂躁期がなく前駆期から麻痺期に移行する子もいますので、狂躁期と麻痺期は明確に判別することは難しいようです。
犬が狂犬病にかかってしまった場合、隔離や殺処分の可能性があります。
人間が狂犬病にかかってしまった場合、通常1~3カ月ほどの潜伏期間を経て発症します。
①前駆期
食欲不振、発熱、咬まれた部分の痛みや掻痒感が出ます。
②急性神経症状期
恐水及び恐風症状が出て、不安感や興奮性、麻痺、幻覚、精神錯乱など、神経症状が出ます。
③昏睡期
昏睡します。呼吸器の障害によりほぼ100%が死亡します。
発症後の有効な治療法はありません。しかし、狂犬病にかかっている動物に咬まれた場合には、狂犬病ワクチンで予防接種するなどの対策がとられるようです。
日本で狂犬病の予防接種を受ける必要はある?
◆狂犬病の予防接種と登録は義務
結論から言いますと、日本では狂犬病の予防接種を必ず受ける必要があります。犬を飼うにあたり、日本で定められている義務だからです。
現在の日本では、長年狂犬病の発症事案は報告されていません。
しかし、1950年以前には、日本でも狂犬病の発症報告が多くありました。その頃の日本では犬だけでなく、人間にも感染し、人々を脅かしていたのです。これはとても恐ろしいことです。
日本で狂犬病予防法が制定されると、犬の予防接種の義務化、登録の義務化、野犬の抑留が徹底されたため、日本国内での感染報告は現在0件となりました。すごいですよね!
それほど狂犬病の予防接種というものは、大切なものなのです。
◆狂犬病ウイルスが日本に持ち込まれる危険性について
「日本で狂犬病がないなら、狂犬病の予防接種なんてする必要ないんじゃないの?」と思うかもしれませんが、それは絶対に間違いです。
なぜかと言うと、狂犬病の予防接種が義務付けられているからだけでなく、狂犬病が日本にないからと言って安心はできないからです。
世界各国では、狂犬病の蔓延している国が多々あり、日本、英国、スカンジナビア半島の国々など一部の地域を除いて、全世界に分布しています。
「他の国で狂犬病があっても、日本は島国で海に囲まれているから入ってこれないでしょ」と思いましたか?世界のいたるところに簡単に旅行に行けるようになった今の時代、いつどこで狂犬病が日本国内に入り込んでくるか分かりませんよ。
飛行機は1日にとてもたくさんの数が日本上空を飛び、各国を行き来しています。フェリーも1日に何便も外国の荷物を載せて、日本と各国を行き来していますよね。
狂犬病に感染している犬、猫、コウモリなどの動物が1匹でも紛れ込んでいたら?その動物が日本の動物を咬んでしまったら?
日本では関係のない話のように感じるかもしれませんが、このように考えると日本にも狂犬病は関係していますよね。
いつ入り混んでくるかわからない狂犬病と戦い、万が一狂犬病が日本国内に侵入してきた場合に蔓延させないためにも、年に1度の狂犬病の予防接種をきちんと受ける必要があるということです。
◆狂犬病の予防接種の副作用について
ちなみに、狂犬病の予防接種の副作用についてご存知ですか?
軽度の副作用の場合、食欲の低下、発熱、嘔吐、下痢、元気がなくなる、かゆみ、腫れ、赤み、目や口の周りが腫れるなどの症状が出ます。
重度の副作用の場合、虚脱、嘔吐、呼吸困難、血圧の低下、脱糞、昏睡、痙攣、粘膜が青白くなるなどの症状が出てしまいます。
副作用が出てしまった場合には早急な治療が必要なので、狂犬病の予防接種後には様子を見ていてあげて下さいね。
狂犬病の予防接種を受ける時期はいつ?
成犬では、年1回4月~6月に狂犬病の予防接種を受けることが義務づけられています。
お住いの区市町村に犬の所在を登録している場合、毎年春頃自治体から狂犬病の予防接種に関するお知らせが届きますので必ず確認しましょう。
子犬の場合、3回目の混合ワクチンが終わったら、その1ヶ月後に狂犬病ワクチンを接種し、射済票の交付を受ける必要があります。
動物病院で受けるのと自治体で受けるのに差はある?
狂犬病の予防接種を受けようと思った時に、自治体で開かれる接種会で接種するか、動物病院で接種する2つのパターンがありますよね。どちらのパターンが良いのか悩んでしまった事はありませんか?
自治体の接種会で狂犬病の予防接種を受ける場合と、動物病院で個人的に狂犬病の予防接種を受ける場合のメリットとデメリットをそれぞれご紹介したいと思います。
◆自治体で狂犬病の予防接種をする場合
– <メリット> –
・自治体の接種会は、基本的に犬の登録をすると必ず毎年1度春に接種会のお知らせのハガキが来ます。そのため、毎年の接種を忘れることがありません。
・市町村により多少の差があるようですが、自治体で接種する場合には3000円程度の金額で接種することが出来るようです。
・たくさんの犬が接種しに来るので流れ作業になっており、獣医師さんも複数人来ているため、接種にかかる時間などが早いです。
・自治体と言うだけあって、近場で受けられます。その場で接種済みの証明書をもらえるため、手間がかかりません。
– <デメリット> –
・とにかくたくさん犬がいるため、愛犬が興奮してしまいやすいです。
・接種日が決まってしまっているので、予定が合わなければ受けに行けない事になります。
◆動物病院で狂犬病の予防接種をする場合
– <メリット> –
・動物病院だといつでも狂犬病予防ワクチンを接種してもらうことが出来るので、忙しい方でも都合が付きやすいです。
・接種にあたり不安な事を聞けたり、他に気になっていることも診察してもらえます。
・いつものかかりつけの獣医さんなので、愛犬の事を良く分かってもらえている安心感があります。
– <デメリット> –
・動物病院で狂犬病の予防接種をする場合には、自由診療になりますので、動物病院によって金額に差が出てきてしまいます。基本的には自治体で接種する場合より、割高になる場合の方が多いようです。
・接種済みの証明書がその場でもらえない場合があります(病院の都合により、証明書が後日受け取りになってしまう病院さんも多々あるようです)。
他の犬を見ると興奮してしまう犬や、飼い主さんが忙しくなかなか接種会の日に都合が付かない方、接種会をすっかり忘れていた方などの場合には、動物病院にて接種をお願いすると良いですね。
まとめ
・狂犬病は致死率100%の哺乳類共通の恐ろしい病気。
・狂犬病の予防接種は日本でも必ず受ける必要がある。
・接種場所は自治体でも動物病院でもメリット、デメリットがある。
狂犬病は有効な治療法がなく、発症すると致死率が100%とも言われているとても恐ろしい病気です。
日本では現在発症報告が0件で、あまり現実味がありませんが、世界の中では当たり前のように狂犬病が蔓延し、人間も感染、死亡している事を忘れてはいけません。
日本での狂犬病の予防接種をしっかりと行うだけでなく、海外に旅行した際にも不用意に現地の野犬に近づかないなどの対策をしっかりと行いましょう。
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