犬の分離不安症はどうして起こる?原因や対処方法

2020.03.24

犬の分離不安症はどうして起こる?原因や対処方法

飼い主さんと少しでも一緒にいたい!という甘えん坊の愛犬は多いですが、飼い主さんを困らせるぐらい度が過ぎてしまうと「分離不安症」という病名が付いていることを知っていますか?この分離不安症、じつは愛犬の心の病なのです。心の病が進行すると、自傷行為を起こしてしまう場合もあります。その病を作っているのは飼い主さんの行動が原因かもしれません。分離不安症の原因や対処方法を知って、愛犬との幸せな毎日を過ごしましょう!

【目次】
1.犬の分離不安って?

2.分離不安の犬の行動をチェック
 2-1.【部屋の中で】
 2-2.【留守番中に】 
 2-3.【犬の様子】

3.犬が分離不安になる原因、なりやすい犬は?
 3-1.社会化期の不適応
 3-2.飼い主からの過剰な愛情
 3-3.お留守番中のトラウマ
 3-4.犬の生い立ち
 3-5.犬種、犬の性格
 3-6.過剰なしつけ
 
4.犬の分離不安の対処法は?
 4-1.愛犬が分離不安症になってしまった際の対処法は全部で6つ
 4-2.適度な犬との距離感を作り上げる
 4-3.お留守番を特別扱いしない
 4-4.十分な運動をさせる
 4-5.安心して留守番できる環境を整える
 4-6.基本的なしつけのやり直し
 4-7.獣医師に相談

5.犬の分離不安症に関するまとめ

【掲載:2017.09.24  更新:2020.3.24】

犬の分離不安って?

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犬の分離不安という状態を知っていますか?
大好きな飼い主さんと離れる(=分離)と、悲しくて寂しくて不安になってしまい、様々な問題行動を起こす症状です。

飼い主さんの後をちょこちょことついて回る愛犬の仕草はとてもかわいらしく、飼い主さん側も自分の事を慕ってくれていると思うと嬉しくなる行動ですよね。
しかし、この行動が行き過ぎてしまうと、飼い主さんが部屋からいなくなっただけでワンワンと吠え続けたり、一人でお留守番をさせると部屋中がいたずらされてぐちゃぐちゃになっていたり、トイレを失敗してしまったり、時には愛犬自身の体をなめ続けて毛が抜けて炎症を起こしてしまうような自傷行為に至る事もあります。

飼い主さんがいない時にこのような症状が現れ、飼い主さんのみならず愛犬も同様に深刻な状態になる症状を「分離不安症」と呼びます。

飼い主さんにとっても愛犬の無駄吠えやいたずらは困るものですが、犬にとっても不安で不安でどうしようもない状態が続くのは精神的にストレスがかかってしまい、健康上もよくありません。
犬の分離不安の原因や対処方法を知っておけば、早期治療が可能になりますよ。


分離不安の犬の行動をチェック

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どの犬も飼い主さんが大好きで、飼い主さんの後を追いかけたりするものですが、それが度を行き過ぎると分離不安症に繋がってしまいます。
自分の愛犬が分離不安症に陥っているのか、分離不安症予備軍なのか、愛犬が甘えん坊の性格なのか見極めるため、以下に分離不安症のチェック項目を作りました。
当てはまる数が多ければ多いほど、あなたの愛犬が分離不安症になっている可能性が高くなります。

【部屋の中で】

◇飼い主がトイレやお風呂に行くのについてくる
◇飼い主がトイレやお風呂のドアを閉めると入れて欲しそうにキュンキュン吠える,戸を引っかく
◇出かける準備をしただけで、行かないでと言うように吠える
◇飼い主が常に愛犬を抱っこしたり、体をくっつけて触れていたり、一緒のベッドで寝ている

【留守番中に】

◇留守番中にずっと吠え続けている
◇いつもはトイレトレーニングができているのに、留守番中だけトイレを失敗する
◇留守番中に下痢や嘔吐をするが、飼い主が帰宅するとケロッとしている
◇留守番中に部屋を異常に荒らす、家具をかじる
◇留守番させる前は、愛犬に別れの儀式,帰宅後は愛犬に再会の儀式をする
◇留守番中にずっとウロウロと歩き回って飼い主を探している

【犬の様子】

◇足先やしっぽの先が舐めたり噛んだりして赤くなり、毛が抜けている
◇部屋の中で常に飼い主を目で追っている

あなたの愛犬はどのくらい当てはまりましたか?
部屋の中の出来事なら飼い主さんも把握しやすいですが、留守番中の行動はわかりませんよね。
留守番中に吠え続けていないかどうかは、お隣の方に聞いてみても良いですし、飼い主さんが留守中にペットカメラを設置して観察してみても良いかもしれません。

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留守番中のペットの様子など、スマホやタブレットから専用の無料アプリを使ってカメラ映像で確認できます。
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また、留守中はほとんどの犬は寝てしまう事が多いのですが、分離不安症になると常に飼い主さんを探すために部屋をウロウロと歩き回ります。

そうなっていないかどうかは、犬に万歩計を付けてみればわかります。
万歩計で愛犬の日ごろの運動量と、愛犬に留守番をさせた時の運動量を比較してみましょう。
留守番をさせた時に明らかに運動量が多い場合は、愛犬がずっと飼い主を探してウロウロしていると考えてみた方が良いかもしれません。


犬が分離不安になる原因、なりやすい犬は?

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犬の祖先であるオオカミの時代から、犬はずっと群れを作って生活してきました。
飼い犬になった今も、その群れである生活が本能的に残っていて、飼い主と離れたくないという心理が働くのは普通の事です。
しかし、普段の生活の中で飼い主が何処かへ出かけて犬がお留守番をする場合、飼い主が困るくらいに問題行動を起こしてしまうのは考え物です。

また、分離不安症は生い立ちや育てられ方が多く関係する心の病です。
原因をよく理解し、その原因にあった対処をしてきましょう。
犬が分離不安症になる原因は主に6つあるとされています。

◆社会化期の不適応

犬は、生後3か月ぐらいまでを「社会化期」と呼び、周りの環境のどんな事でも従順に受け入れる能力を発揮します。
自分の周りには人間がいて、犬がいて、外に出れば車が通っていたり、電車の音がしたり…と、飼い主と犬が普段暮らす生活の中に溶け込ませてあげると、物事の受け入れがスムーズに行われます。

しかし、この社会化期に外界に出る事なく家の中に閉じこもっていたり、犬の家族以外の人間やお友達の犬に会う機会が極端に少なかったりする場合に、飼い主さんへの依存度が高くなってしまう傾向があります。

経験不足が分離不安へ導いてしまいますので、子犬を飼われたばかりの方は、ワクチンプログラムが終わってないからと言ってお家の中に引きこもるのはやめましょう。
ワクチンプログラムが終わっていなくても、抱っこしながらの散歩を取り入れる対処を行うと、外界とのふれあいの時間を作ることが可能です。

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◆飼い主からの過剰な愛情

愛犬をかわいがる事は、何も問題には当たりません。
しかし、飼い主からの「過剰な愛情」は、時に愛犬を分離不安症へと導いてしまいます。

・お家の中では、飼い主さんの膝に常に乗っている
・寝る時は一緒のベッドで寝る
・常に離れず、気づけば体のどこかが飼い主さんに触れている
・少しでも犬が怖い様子を見せると、大げさに「怖かったね~」などと言って体を撫でる
・お留守番前には「いい子にしててね、離れるのが寂しい」などと過剰に付きまとう
・帰宅後には「お留守番よく頑張ったね、寂しかった~」などと過剰に付きまとう

犬は群れで暮らすものですが、仲間にべったりとくっつく習性はありません。
ところが、飼い主が必要以上に愛犬に接する事で、愛犬がその状態が「当たり前」となってしまい、飼い主にべったりとくっついていないと不安な状態になってしまいます。

お留守番前や帰宅後など、寂しさのあまり愛犬に話しかけたい気持ちもわからなくはないですが、そこで過剰に寂しがったりお留守番が出来たことに異常なまでに褒めたたえる事によって、お留守番が「特別な事」として認識されてしまいます。

愛犬を1人にしてお家を離れる事はよくあるでしょうし、お留守番が特別な事と大げさに認識させてしまっては犬にとって飼い主さんがいなくなってしまう一大事になり、自分ではこの不安な心の対処ができません。
そうすると不安で不安でどうしようもなくなり、問題行動を起こしてしまう原因になってしまうのです。

◆お留守番中のトラウマ

今まではきちんと留守番が出来ていたのに、急に分離不安症の症状がでて、留守番中に部屋が荒れている何てことがある場合、飼い主さんが知らなかったお留守番中のトラウマがあるかもしれません。
飼い主さんがいなくなった際に、どこかで物凄い大きな音が鳴ったとか、雷が鳴り響いたとか、事故の音がしたとか、人間の怒鳴り声がしていたなどなど。
愛犬が恐怖心を抱いているかもしれませんので、トラウマの原因追及をして原因を取り除く対処ができれば問題ありませんが、原因がわからない場合は、気長に分離不安症の対策を取りましょう。

◆犬の生い立ち

分離不安症は、その犬の生い立ちにも影響を起こします。
特に保護犬は分離不安症になる場合が多く、保護されて初めて人から愛情を注いでもらったという体験をするために、犬は飼い主さんよりもさらに深い愛情を飼い主さんに注ぎます。

飼い主依存症のような状態になり、飼い主が少しでもいなくなると「このまま以前のように捨てられてしまうのでは」という恐怖心が先走って問題行動を起こしてしまいます。

◆犬種、犬の性格

なりやすい犬種としては、甘えん坊のトイ・プードルが圧倒的に多いとされています。
人との密接な関係を好むチワワや柴犬も、分離不安症になりやすいとされています。人が大好きな犬や、フレンドリーな犬、寂しがり屋や甘えん坊などといった犬の性格も分離不安症の原因になります。
あなたの愛犬はどのような性格ですか?
性格をよく把握し、分離不安になりやすい子だと思ったら、その子に合った対処をしていきましょう。

◆過剰なしつけ

犬にとってしつけは必要ですが、過剰なしつけは分離不安症を生む原因となります。
愛犬は飼い主さんの指示に従って動きますが、いざ飼い主さんがいなくなると、自分がどうしていいのかわからなくなってしまうというような過剰な服従心が原因です。

愛犬が自分で考えて、自分で行動をする。
飼い主にとって不都合な事が起きた際にだけ、しつけによって行動を修正するというように、愛犬そのものの自由を奪わないような対処をしましょう。


犬の分離不安の対処法は?

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分離不安症に陥った愛犬に叱っても、分離不安症は治りません。
愛犬に必要な対処方法をしっかりと学びましょう。

留守番中に吠え続けていたり、家具をかじってしまっていても、その時に飼い主に叱られるのなら愛犬も理解しますが、飼い主さんが帰宅した後になって叱られても、愛犬はなぜ飼い主さんが怒っているのかが理解できません。
分離不安症になった愛犬に必要なのは、飼い主さんが怒る事ではなく、愛犬の心を治療していくリハビリです。

◆愛犬が分離不安症になってしまった際の対処法は全部で6つ

・適度な犬との距離感を作り上げる
・お留守番を特別扱いしない
・十分な運動をさせる
・安心して留守番できる環境を整える
・基本的なしつけのやり直し
・獣医師に相談
では、1つずつ対処法を見て行きましょう。

◆適度な犬との距離感を作り上げる

今まで過剰なまでに飼い主さんと愛犬とがべったりとくっついている状態が分離不安症を導いてしまっていました。
そこで、まずは愛犬と適度な距離を保ちましょう。

部屋に一緒にいる時も、常に話しかけたり触ったりはしない事。
飼い主以外にも夢中になれるようなおもちゃやオヤツを用意して、飼い主が離れても大丈夫な心に育てていきましょう。
また、安心して眠る事ができる犬用のハウスを与えるのも効果的な対処法です。

◆お留守番を特別扱いしない

犬にお留守番をさせる前は、寂しくさせないようにと様々な声かけをしていたでしょうが、それも一切排除して、トイレに行くようなそぶりで外出しましょう。
また、帰宅時も真っ先に犬の元へ行って大げさに褒めたたえるのではなく、まずは自分の身支度を整えてから愛犬に向かってごく自然に話しかけるようにします。

これを繰り返すことによって、お留守番が特別なものではなくなり、愛犬も飼い主さんが部屋を出ても必ず帰ってくるのだと理解してくれるようになります。
愛犬が飼い主さんを信頼している関係ですね。

◆十分な運動をさせる

愛犬が問題行動を起こしてしまう原因の1つとして、十分な運動量を得られていないというものがあります。
分離不安症は飼い主が自分から見えなくなって、不安で不安でどうしようもない状態になった時に現れる問題行動ですが、この不安な気持ち=ストレスに打ち勝つ力を与えてくれるのが普段の運動です。
十分に体を動かしている愛犬は、日ごろのストレスから解放され,ストレスへの免疫がつきます。

散歩に行ってハァハァと多少息切れがあるくらい、十分に体を動かしてあげていますか?
ボールを使って取ってこいなどの遊び、ロープを使っての引っ張り合いっこなどをさせていますか?

十分に遊んだ愛犬は、飼い主が部屋から出て行った10分から15分後ぐらいは、疲れた体を休めるために寝る事が多いです。
反対に分離不安症になっている犬は、30分以上たってもそわそわと落ち着きがなく、ずっと部屋を歩き回っています。

留守番中に大人しく待てるという事は、愛犬がその留守中の時間を普段運動で疲れた体を休憩させる時間にうまく利用できる事に繋がりますよ。

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◆安心して留守番できる環境を整える

留守番中に「飼い主を探す」「飼い主が帰ってくるのをひたすら待つ」といった飼い主と会う事を第一目的としている状態が、問題行動を起こしやすくなってしまいます。

愛犬にとって、安心してお留守番が出来る環境を整えましょう。
愛犬が安心して身を隠すことができるサークルやケージを用意する事は、この中にいると安全だという愛犬の理解を得ることができます。
愛犬がサークルやケージの中に入ってくれれば、家具やソファーなど齧る心配がないので、飼い主さんも安心できる対処法ですね。

また、留守番をさせる際に、コングの中におやつを詰めておくのも1つの方法です。
コングの中のおやつを取り出そうと必死にもがいている時間が長ければ長いほど、飼い主さんが出かけているという事実を忘れる事ができますし、おやつを食べた後は十分な運動もしているので疲れて眠ってしまいます。
夏場であれば、コングの中にウェットフードを入れたものを凍らせておき、お留守番最中にウェットフードを溶かしながら食べてもらうという事もできますよ。

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◆基本的なしつけのやり直し

愛犬と飼い主さんとの適切な距離が保てなくなってしまった際に有効なのが、基本的なしつけのやり直しです。
「お座り」「待て」「伏せ」など、ごく基本的なしつけをやり直すことが、飼い主さんと愛犬との絆や信頼関係を修復させると言われています。
長時間行うのではなく、1日に5分から10分程度でOK。
あまりムキになって行うのではなく、リラックスした状態で行って下さいね。
簡単なしつけを行う事が、飼い主さんと適度な距離を保つ対処法となりますよ。

◆獣医師に相談

飼い主だけではどうしようもなくなってしまった重症化した分離不安症もあります。
そんなときは迷わず獣医師に相談してください。

心を落ち着かせるような精神安定剤のようなお薬もありますし、何しろ分離不安症に精通している行動学を学んでいる獣医師なので、行動療法のプログラムも作ってくれます。
お薬が飼い主さんとの絆の再構築を手伝ってくれますし、正しい行動療法で分離不安症の治療や対処ができますよ。


犬の分離不安症に関するまとめ

いかがでしたか?
分離不安症は愛犬の心の病ですので、治療するのはとても時間がかかります。
根気よく、愛犬との適度な距離を保っていきましょうね。

お留守番をしたら、楽しいことが待っている!と愛犬に認識させることができれば、晴れて分離不安症から脱却です!

長い記事を読んでくださってありがとうございました。
あなたとその隣にいる愛犬がもっともっと両想いで幸せになりますよう、願っています!



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根っからの動物好きで、散歩で出会った犬は必ず声をかけて触らせてもらいます! 犬といると幸せ過ぎて顔がにやけてしまいます。皆さんがもっと犬好きになるよう、心に残る記事を書いていきたいと思います。よろしくお願いいたします。


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