【獣医師監修】犬の涙やけになりやすい犬種と原因。涙やけの予防法、ケアの方法は?

2021.02.01

【獣医師監修】犬の涙やけになりやすい犬種と原因。涙やけの予防法、ケアの方法は?

犬の涙やけは、涙が溢れてしまう「流涙症」のことで、目の周辺の皮膚が炎症を起こしたり、被毛が変色したりします。涙やけの原因は鼻涙管の閉塞や異物の混入、アレルギー反応、目の病気や栄養の偏りなど様々です。治療法は異物を取り除く、原因病を治療する、食事を変えるなどの方法があり、手術が必要なこともあります。 今回は、犬の涙やけについて詳しくご紹介します。

【目次】
1.犬の涙やけって何?

2.犬の涙やけの原因は?
 2-1.鼻涙管の閉塞
 2-2.異物
 2-3.アレルギー反応
 2-4.結膜炎や角膜炎などの目の病気
 2-5.栄養の偏り

3.涙やけになりやすい犬種は?

4.犬の涙やけの治療法は?
 4-1.異物を取り除く
 4-2.原因となる眼病の治療をする
 4-3.鼻涙管閉塞の治療をする
 4-4.アレルギー治療をする

5.犬の涙やけの予防法は?
 5-1.こまめに涙を拭く
 5-2.目の周りの被毛をこまめにトリミングする
 5-3.品質の良いフードを与える

6.市販の涙やけ予防グッズを使う
 6-1.リバイバルウォーター 涙やけ対策の目元クリーナー 100ml
 6-3.らくらく涙やけケアシート プレミアム 30枚

7.涙やけに効果有りのホウ酸水の作り方は?
 7-1.ホウ酸とは?
 7-2.ホウ酸水の作り方

8.犬の涙やけを予防・ケアして、綺麗なお顔を維持しましょう! 

【掲載:2019.11.22  更新:2021.02.01】

犬の涙やけって何?

犬の涙やけ

犬の涙やけとは、目から溢れた涙が目の周辺の被毛を濡らしてしまうことから、被毛の変色や皮膚の炎症などを起こしてしまうことを指します。別名を「流涙症」とも言います。

流涙病は人間にも起こる病気で、多くの犬が抱える持病の一つでもあります。


犬の涙やけの原因は?

犬の涙やけの原因について、詳しくご紹介します。

◆鼻涙管の閉塞

「涙道」と呼ばれる、涙の出る涙点から鼻までの管の閉塞が原因の場合があります。
「鼻涙管閉塞」と呼ばれ、人間の赤ちゃんにも多く見られる症状です。

鼻先から鼻の付け根(マズル)が極端に短い短頭種のパグやシーズー、ブルドッグのほか、プードル、ゴールデンレトリバーなど、鼻涙管の閉塞をしやすい犬種も多いです。

◆異物

目にゴミなどが入った事で、涙が溢れ、涙やけを起こしてしまうこともあります。

ゴミや毛、まつ毛、砂、埃など様々な原因があります。また、砂浜へ犬を連れて出掛けた際に、目に砂が入り、涙が止まらなくなるということも多いです。

◆アレルギー反応

花粉や接触アレルギーなど、何かしらの物質に対するアレルギー反応が原因であることも多いです。

この場合は、涙が溢れて涙やけになるだけではなく、皮膚の痒みや赤みなど他のアレルギー症状を起こすこともあります。

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◆結膜炎や角膜炎などの目の病気

結膜炎や角膜炎などの目の病気により、目が刺激に弱い状態となり、涙が溢れてしまうこともあります。

特にマズルの短い短頭種は、散歩中に草むらに顔をうずめるだけで目に草や枝が刺さることがあるため、目のトラブルからの涙やけが多いです。

◆栄養の偏り

栄養の偏りによる涙やけも多いです。特定のフードばかりを食べてしまい、それがアレルゲンになったアレルギー反応のパターン以外でも、低価格で低品質のフードを長期間与えることによる栄養の偏りなどがあります。


涙やけになりやすい犬種は?

涙やけになりやすい犬種は、目頭から鼻先までの距離が極端に短い短頭種が多いです。

・パグ
・シーズー
・フレンチブルドッグ
・狆

顔の構造上、目が大きく瞳がウルウルと可愛いチワワも涙が常に溜まっている状態のことが多いため、涙やけをしやすい犬種の一つです。

また、涙やけは黒い犬や短毛種の場合あまり目立たないため、気付きにくいことが多いです。涙やけが目立ってしまう犬は、マルチーズやプードルなどの白や淡い被毛色の犬種です。


犬の涙やけの治療法は?

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犬の涙やけを治療する方法には、どんなものがあるのでしょうか。確認してみましょう。

◆異物を取り除く

ゴミやまつ毛、埃などの異物によって涙が溢れてしまっている場合は、原因になっている異物を取り除きます。

特別な薬剤などを使用するのではなく、一般的には「人工涙液」と呼ばれる涙に近い液体を使用し、洗い流す様にして除去します。
特に麻酔なども必要が無いため、数分で処置は完了します。

瞼の上の被毛が長く、常に目の中に入ってしまうといった場合には、ハサミを使用しカットするなどの処置が必要です。
ただし、その場合は動物病院よりもトリミングショップの方が見栄え良く仕上げてくれるためおすすめです。

◆原因となる眼病の治療をする

結膜炎や角膜炎、ドライアイなど目の病気が原因の場合には、その原因の眼病の治療をして根本解決を目指します。

眼病治療は、多くの場合が点眼薬や眼軟膏を使用しますが、中には手術が必要な場合もあります。

◆鼻涙管閉塞の治療をする

鼻から涙の出る涙点の間の管の閉塞や詰まりによって涙があふれる場合は、詰まりを解消する治療を行います。

まず閉塞の疑いがある場合には、眼科疾患に使用される染色剤であるフルオレセインなどの点眼を用いて確認します。
また、閉塞がある場合には、洗浄などの一般処置を用いた後に手術に至る事もあります。

◆アレルギー治療をする

何かしらの物質に反応しているアレルギー反応により、涙が溢れてしまっている場合にはアレルギー治療を行います。

まず血液検査を行い、アレルゲンの特定をします。特定物質が判明したら、物質の除去を行います。
食べ物の場合には、フードを別の食材を利用しているものに変えることが一般的です。

皮膚や器官などのアレルギー症状が強い場合には、内服薬や外用薬を用います。


犬の涙やけの予防法は?

犬の涙やけの予防方法にはどんなことがあるでしょうか。確認してみましょう。

◆こまめに涙を拭く

涙やけで飼い主さんが気になることは、被毛の色が赤茶色に変色してしまうことです。これは、涙で濡れている時間が長いことで、細菌感染を起こし、変色をしてしまっている状態です。

そのため、こまめに拭く癖を付けると良いでしょう。乾いた布やコットンでやさしくひと撫でするだけで構いません。ゴシゴシと擦ると、涙で塗れた被毛の下の皮膚が炎症を起こしてしまいます。

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◆目の周りの被毛をこまめにトリミングする

目の周りが被毛で覆われる事なく、清潔に保つことで、涙やけを予防することができます。
そのため、こまめにトリミングをすることは大切なケアの一つといえます。

トイプードルの鼻先のバリカンなど、涙やけが起きている場合には負担が大きいカットスタイルもありますので、トリミングの際には施術者であるトリマーとしっかり希望スタイルについて話すことをおすすめします。

◆品質の良いフードを与える

品質が良いフードを与えることも、栄養を偏ること無く育てることができるため、涙やけの予防になります。

アレルギー体質の犬の場合は、一つの品目を長期間食べるのではなく、チキン、ビーフ、ラムなど、様々な素材のものを定期的に交換しながら与えると良いでしょう。


市販の涙やけ予防グッズを使う

市販されている涙やけ予防グッズを使うことも、手軽でおすすめの予防方法です。

◆リバイバルウォーター 涙やけ対策の目元クリーナー 100ml

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30枚入りなので、1日1回ケアすると一ヶ月使用することが出来ます。
涙やけ予防の拭きとりケア専門商品なので、「何で涙を拭こうかな」と考える必要も無いため、気軽に使用することができ、おすすめの商品です。


涙やけに効果有りのホウ酸水の作り方は?

専用の市販涙やけグッズを使うことも効果がありますが、犬種として涙やけになりやすい犬など、長期に渡り涙やけケアをしたい場合には手作りのホウ酸水がおすすめです。

◆ホウ酸とは?

ホウ酸は、温泉などにも含まれる成分の一つで、眼科で殺菌剤として使用されることが多いです。

ホウ酸と聞くと、ゴキブリ団子などの殺虫剤を思い浮かべることが多いことから、毒性が気になる方も少なくないでしょう。
しかし、医療用として配合されたホウ酸は、ホウ酸団子の1/10の濃度のホウ酸です。

医療用ホウ酸は、用法容量を守れば危険なものではありませんので、安心して使ってください。

◆ホウ酸水の作り方

材料は、ホウ酸、精製水のみです。どちらもドラッグストアで購入することができます。

使用の際には、出来上がったホウ酸水を保管するボトル(100円均一のものを煮沸消毒すればOK)と拭きとり用コットンが必要です。

1.精製水150ミリを、電子レンジで60度に温める。
2.用意したボトルに1を入れ、ホウ酸を3グラム溶かす。
3.溶液が冷めたら出来上がり。

ホウ酸水は冷蔵庫で保管し、2週間ほどで使いきるようにしましょう。

使用の際には、コットンにホウ酸水を浸し、指に巻き付けて使用します。

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犬の涙やけを予防・ケアして、綺麗なお顔を維持しましょう!

この記事では、犬の涙やけについてご紹介しました。

犬の涙やけは、体質や身体の構造などが関係していることもあるため、涙やけになりやすい犬種もいます。そのため、毎日の拭きとりケアや質の良い食事を与えることなどが大切になります。

涙やけの予防や、ケアを欠かさないようにして、綺麗なお顔を維持するようにしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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St.Elmos

St.Elmos

動物看護士、トリマー、愛玩飼養管理士などの資格を持っています。 家族の一員としてのワンちゃんネコちゃんにまつわる情報をお伝えできればと思います。

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