【獣医師監修】その嘔吐大丈夫?犬の嘔吐の原因と対策を徹底解説!

2018.11.26

【獣医師監修】その嘔吐大丈夫?犬の嘔吐の原因と対策を徹底解説!

嘔吐と聞くと、体調不良や病気の前兆を連想し、不安になる人が多いと思います。人間は体調不良や病気の時に嘔吐をします。日常生活で病気でない健康な人が嘔吐することは少ないですね。しかし、犬と人間の嘔吐の原因は全く異なります。 今回は、犬の嘔吐の原因と対策についてご紹介します。犬の嘔吐を理解して、もしもの時の為に、しっかり知識をつけましょう。

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犬も嘔吐する動物?

犬を飼っている方であれば、一度は愛犬の嘔吐に遭遇したことがあるかと思います。人間にとって嘔吐は体調不良や病気に直結する可能性が高い為、とても心配になりますね。
しかし、人間の嘔吐と犬の嘔吐は原因や症状も全く違うものです。

犬の嘔吐が心配しなければならないものか、心配いらないものかは「犬の様子」と「嘔吐物の様子」の2つの様子であらかたの判断ができます。

どのような嘔吐に気をつけなければならないのか、犬が嘔吐した際の対処や、嘔吐から予想できる病気などの知識を身につけましょう。


犬の嘔吐の3つの種類とは?

基本的に犬に限らず、どの動物も大きく分けて3種類があります。それぞれ、嘔吐物を確認することで、判別ができます。

嘔吐の種類を見極めることは、その嘔吐が問題あるものかどうか判断する大切なポイントになる為、必ず確認しましょう。

◆吐出(吐き出し)

食べ物を口に入れてから、胃に達するまでに吐き出すことを指します。

胃に達していないうちに出してしまう為、食べ物は消化されていません。吐出の場合は、胃に到達していない為、多くは食道や食べた物の形状に問題がある場合が多いと言われます。

また、吐出の場合は吐く前の吐き気・胸のむかつきなどの症状は見られず、突然はくことがほとんどです。

◆嘔吐

これはみなさんが想像する嘔吐と同様のものになります。食べ物が胃や腸に入った後、何らかの原因で吐き戻される物を指します。

嘔吐の場合は、食べ物を食べてある程度時間が経過してからの嘔吐となる為、消化が行われたものが吐き出されます。また、嘔吐する前に、吐き気・胸のむかつきなどの前兆があります。

一度消化器官に入ってから症状が出ている為、胃や腸などの消化器官に問題がある場合が多いとされています。

◆下燕嘔吐

嘔吐や吐き出しと区別が難しいですが、下燕嘔吐は、下燕(物を飲み込む)の際に、何らかの原因で下燕ができずに吐き出してしまうことを指します。
飲み込むことが出来ずに吐き出している為、吐き出しと同様に食べ物は消化されていません。

下燕をする器官に問題があると推測され、喉や食道の問題を疑うことが多いです。


犬の嘔吐の原因は?

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犬は人間と異なり、病気や体調不良以外にも日常的に嘔吐をします。しかし、もちろんそれだけではありません。病気の兆候の嘔吐も存在します。

では、なぜ嘔吐をするのか、その主な原因は大きく分けて2つあります。

◆一時的な原因による嘔吐

一時的な嘔吐とは、内臓器官や体調不良に起因する嘔吐では無く、食べたものや、食べ方などに起因する嘔吐を指します。

人間の子供も、体調に問題はないのに、急にミルクを吐き出すことがありますね。それと同様に、犬も体調と関係なく嘔吐をすることがあります。

特に、胃腸の機能が整っていない子犬や老犬の場合は、ご飯の食べ過ぎや、いつも食べているご飯と違うご飯を食べた際に嘔吐することもあります。

また、食べ物に異物が入っていたり、食べた後にすぐ激しい運動をしたりすることで嘔吐を引き起こすことがあります。人間でも激しい運動をしたり、食べ合わせが悪いと嘔吐に繋がりますね。

一時的な原因による嘔吐の特徴は、嘔吐以外には体調不良や病気の可能性の症状は見られず、普段通りの元気があることです。食欲も正常にあり、吐いたことが嘘のように食事をする子も多いです。

◆体調不良や病気による嘔吐

体調不良の嘔吐の場合は、風邪や食中毒などのウィルスによる感染症が原因の場合と、内臓の器官が病気に侵されている場合があります。

体調不良の嘔吐の場合は、嘔吐以外にも不調の症状が顕著に現れることが多いです。
例えば、風邪の場合はくしゃみや鼻水が止まらない・下痢・発熱などの症状が見られ、明らかに元気のない様子が確認できます。

一方で内臓や消化器官が病気に侵されている場合は、ほかの不調の症状が顕著に出る場合と、全く現れない場合があります。人間の病気ですら胃癌などは、胃に少し違和感を覚えた段階でかなり癌が進行している場合も多くあります。

そのように、病気によっては体調不良の症状は犬自身もあまり自覚がないほど症状がないこともあります。その為、病気の場合は一概にどのような症状とは言えないのです。

嘔吐から推測できる著名な病気は後ほどご紹介します。


注意した方が良い犬の嘔吐とは?

◆嘔吐物に血が混ざっている

一番注意した方がいい嘔吐は、「血」が嘔吐物に混じっている場合です。特に、消化された食べ物と血が一緒に吐かれている嘔吐には注意が必要です。

消化されているということは、先に説明したように、一度胃や腸などの消化器官に入ってから嘔吐したと考えられます。かつ、血が混じっているとなると、胃や腸などの消化器官に明らかな症状が見られます。

血が混じっている場合は、たとえそれ以外の不調の症状がなくても病院に連れて行きましょう。

◆嘔吐の回数が多い

次に気をつけた方が良いのは、嘔吐の回数です。やはり嘔吐の回数が頻繁または、何回も連続で嘔吐している場合は、身体に何かしらの異変がある場合が多いです。

嘔吐をすること自体、人間と同様に犬の体にとっても大きな負担となります。何回も嘔吐が続くと、嘔吐の原因以外に、連続した嘔吐による病気を引き起こすこともあります。早めに病院に連れて行きましょう。


嘔吐が見られる犬の病気は?

◆急性胃腸炎

急性胃腸炎は、人間でもよく耳にする病気です。症状は犬も人間も同様で、胃腸の炎症や発熱がメインになります。

急性胃腸炎は特効薬がなく、ウイルスが体から出て行くのを待つことが治療となります。しかし人間と違い、犬は言葉では伝わらないことが多いですね。

急性胃腸炎で一番怖いのは「脱水症状」です。急性胃腸炎になった犬に、自宅で水を飲ませることは難しいため、その場合は脱水症状にならないために点滴が必要になります。

自然治癒を待つだけだからと甘くみず、必ず病院で治療しましょう。

◆腸閉塞

これも人間でもよく耳にする病名ですね。腸閉塞の場合は、食べ物が消化途中で出てくることが多いです。
そのため、一度胃や腸などの消化器官に入ったあと吐き出す嘔吐となり、嘔吐物にも胃酸が含まれているため酸っぱい臭いがします。

また、たまに嘔吐物から犬の糞の臭いがする場合は要注意です。糞の臭いがする場合は、腸から逆流して嘔吐している可能性が高く、腸閉塞になっていることが予想されます。

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犬が嘔吐した後の食事は?

◆ご飯はあげても大丈夫?

ご飯に関しては、嘔吐した直後は胃がびっくりしており、食事を受け付けない可能性があるため、少し様子を見ましょう。

他の症状の具合にもよりますが、数時間様子を見て他に問題がないようで、食欲があるようならひとまず食事をあげて問題ありません。
様子を見て嘔吐が続いたり、何回も連続して嘔吐する場合は、食事は与えず直ぐに病院へ連れて行きましょう。

◆水分補給は必須!

嘔吐の際は、人間もそうですが脱水症状に陥りやすいです。犬自身が水を飲みたがるようでしたら、水を与えてあげましょう。

しかし、血が混じっている場合など内臓の病気が疑われる場合は、病状を悪化させる可能性があるため、口からの水や食べ物の摂取は控え、病院へ連れて行きましょう。


犬の嘔吐の予防策は?

体調や健康に問題がないのに、度々嘔吐をしてしまう場合は、食事や食事スタイルが犬にあっていない可能性があります。

食事が好きな犬は、急いで食事をしてしまいがちです。空腹の時、急いで食事をしてしまうと嘔吐に繋がりますので、あえて大きめの粒の餌にしてよく噛むようにしたり、食事を細かく分けてあげることをお勧めします。

また、胃腸の弱い犬の場合は、胃腸に優しい食事に切り替えるなど食事の見直しを行うと、嘔吐の数も減って行きます。

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まとめ

犬の嘔吐は人間の嘔吐と異なり、あまり問題の無いものから、病気の兆候であるものまで様々です。
ある程度の判断や様子を見ることは大切ですが、あくまでも素人の目で決めつけずに、一度は病院で相談してください。

病院に行く際は、可能であれば吐瀉物などを持参すると良いです。獣医さんも、実際の吐瀉物を確認した方が、診断をより正確に早く行うことができます。

犬の健康の為に一番大切なのは、毎日たくさん犬とコミュニケーションと取り、何か異変が現れた時により早く気付くことです。特に犬は体調不良を隠すのが得意なので、尿や糞なども毎日チェックすると些細な体調の変化に気がつくことができます。

犬のことを一番理解しているのは飼い主さんに他なりません。信頼している飼い主さんにしか見せない顔もたくさんあります。大切な家族とより長く一緒に生活する為に、日々の健康管理は欠かせませんね。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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森崎 麻衣子

森崎 麻衣子

犬をはじめ猫やうさぎなど生まれた時から動物と暮らしています。現在は14歳のおじいさんビーグル、3歳のラグドールと生活中。動物の専門店で働いた経験や知識を元に、皆様に情報をお届けします。

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