1.犬も夏バテするの?
1-1.熱中症と夏バテの違い
2.家の中の気温は何度に設定すればいい?適温は?
2-1.18度~22度に調節しよう
2-2.適温と湿度の関係
2-3.犬の快適な湿度と注意点
2-4.湿度が高い時のパンティングに注意
2-5.エアコンなどによる低体温症にも注意
3.犬の快適なサインを知ろう
3-1.犬が暑がっている時のサイン
3-2.犬が寒がっている時のサイン
4.犬の食欲不振かどうかのチェックポイント
4-1.体に何らかの問題があるかもしれないとき
4-2.いつもと同じ食事なのに食べないとき
4-3.食べたいそぶりを見せるのに、食べないとき
5.夏バテでご飯を食べなくなった時の対処法は?
5-1.涼しい環境を作る
5-2.食事は食べやすく
5-3.食事は涼しい時間に
5-4.食事は気長に
5-5.お散歩のときは水分を多めに
【掲載:2019.04.08 更新:2021.04.20】
犬も夏バテするの?
愛犬が食欲をなくし、しんどそうに座り込んでいると、飼い主さんは心配になると思います。中でも、子犬や老犬、そして病気療養中の場合は気を使いますよね。
夏の暑い時期に体調を崩すと、まず夏バテを疑う飼い主さんはとても多いのではないでしょうか?
◆熱中症と夏バテの違い
夏バテによく似ている症状に熱中症がありますが、熱中症と夏バテの違いはあるのでしょうか?
熱中症
熱中症は、急激に症状が見られ、さっきまで元気に走り回っていた犬が、急にしゃがみこんだり寝転んだりし、手遅れになると死亡してしまう怖い病気です。
熱中症の主な初期症状は、
・元気がない
・歩き方がフラフラ
・荒い呼吸
・大量のよだれ
・体温が高くなる
・食欲不振
・歯茎や目が充血する
などです。
下痢や嘔吐、痙攣などの症状がある場合は、緊急状態のため、ぬれタオルをかけて水をかけ、冷やすなどの対応をしつつ、即動物病院に連絡を取り、獣医さんに診てもらうようにしてください。
夏バテ
一方、夏バテは徐々に体力が低下し、食欲不振や倦怠感などが起こります。
原因としては、夏の暑さはもちろんのこと、湿度が高い場合や、反対に冷房での冷気にあたりすぎることで体力を消耗し、気づいたら重症なんていうこともよくあります。
では、犬を夏バテなどの病気から守るためには、どのような対策を常日頃からとるべきなのでしょう?
家の中の気温は何度に設定すればいい?適温は?
◆18度~22度に調節しよう
犬にとっての適温は何度か知っていますか?一般的には、18度~22度に調節してあげるようにすると、犬にとって一番過ごしやすい温度と言われています。
しかし、犬にも好みがあるため、様子を見ながらその犬にとっての適温を探してあげてください。
人が快適だと思っている温度でも、実は犬にとっては暑かったり、寒かったりすることもあります。
特に注意しないといけないことは、犬が生活している場所が、同じ部屋で同じ空間であったとしても、人より低い位置に常に犬はいるということです。ということは、人が感じる以上に冷気が溜まりやすく、しかも室内で飼育している場合は、冷えやすい床の上に足を置いていることも多いでしょう。
その点をよく考慮し、設定温度を決めるようにしてください。
◆適温と湿度の関係
犬が快適だと感じる温度は、先ほどもご紹介したように、18~22度の間です。
人の設定温度は、冷房が約28度、暖房が約20度という目安がありますが、これは犬にとっても少し微妙な温度です。
犬が暑いと感じている時は、決まって「パンティング」という行為をし、自分で体温調節を行います。
もしパンティングなどをしているようでしたら、冷房の温度を少し低くしたり、サーキュレーターを用いて風が循環するように調整したりなどの工夫が必要です。
また、犬用のクールマットやジェルマット、アルミプレートなど、様々な種類がペットショップで販売されているので、上手に組み合わせて使うと、エアコンの温度の下げすぎを防ぐことができます。
犬が暑がっていると、急激に涼しくするために、冷房の温度を低くしすぎると、犬が体調を崩してしまうことにもつながるので、注意が必要です。
◆犬の快適な湿度と注意点
犬にとって夏バテを防ぐには、温度ばかりではなく、湿度もとても重要な要素の一つです。
快適な湿度は40~60%と言われていますが、もし湿度が不快なものだとどのような現象が起こるのでしょう?
それは、湿度が高すぎる場合と、低すぎる場合とで違う症状になるので、少しまとめてみましょう。
湿度が高い場合
・カビや雑菌、害虫が発生する
・熱中症になる
・耳や皮膚の病気にかかりやすい
湿度が低い場合
・フケが大量にでる
・呼吸器が弱くなる
・脱水症状がでる
など、大切な犬の体調に重大な支障をきたします。
◆湿度が高い時のパンティングに注意
気温はそれほど高くないのに、ムシムシと暑い時期は、犬にとってとても危険です。
気温が高ければ、犬の体温も上昇し、自分で体温を下げるためにパンティングを行い、適温に調節しようとしますが、湿度が高い場合は、いくら必死でパンティングを行っても、体温を下げることにはつながりません。
犬のパンティングは、唾液を蒸発させることにより、体温を下げています。ところが、湿度が高い場合は、いくらハァハァしても唾液は蒸発しません。
そのため、パンティングは無意味になってしまい、体力だけを使い果たすことにつながってしまいます。
通常の犬の体温は、約38度ですが、41度を超えてしまうと命に関わってしまいます。
そして、飼い主さんが知らないうちに体温が41度以上になると、先ほどもご紹介した怖い熱中症に陥ってしまいます。
◆エアコンなどによる低体温症にも注意
一方、暑いからといってとっても涼しくした中で犬を飼育していると、低体温症という病気になることがあります。
低体温症とは、熱中症とは反対の症状で、温度が低い部屋などに長時間いるとなり得る病気です。
冬に症状が現れることが多いですが、子犬や老犬、病気療養中の犬は特に気を付ける必要があります。
低体温症の症状には、
・体温が35度より下がっている
・震えが止まらない
・筋肉の硬直が見られる
・血圧の低下
・意識もうろう
・意識がない
などの症状が見られます。
犬の快適なサインを知ろう
犬は様々な態度や表情で、私たちに訴えかけてくれます。私たち飼い主は、その細かな表情を知り、何を言いたいのかを分かってあげる必要があります。
それでは、犬の暑いときと寒い時のサインを少しご紹介します!
◆犬が暑がっている時のサイン
・パンティングをする
・寝ころんでばかりになる
・食欲がなくなる
・水をガブガブ飲む
・冷たいところを探して寝そべる
など、私たち人間と全く同じ行動をします。
◆犬が寒がっている時のサイン
・寒くてブルブル震える
・体を小さく丸めて、寝ている
・水を飲まなくなる
など、こちらも私たち人間と同じ態度になります。このようなサインを犬がしていたら、快適に過ごせるように、少し気を使ってあげてくださいね。
これらの犬のサインの中で、飼い主さんが一番困るものに、「食欲不振」が挙げられると思います。次は、その「食べてくれない」に絞って、原因や対処法について考えていきたいと思います。
犬の食欲不振かどうかのチェックポイント
犬は、私たちと同じで、食欲があまりない時や気まぐれで食べたくないときなどがあるので、1食食べなかったからといって、そんなに心配する必要はありません。ただ、場合によっては気にしないといけない場面も多々あります。
では、その気にしなければいけない場面についてご紹介していきたいと思います。
・体に何らかの問題があるかもしれないとき
・いつもと同じ食事なのに食べないとき
・食べたいそぶりを見せるのに、食べないとき
それでは、各項目について順に説明していきましょう!
◆体に何らかの問題があるかもしれないとき
一言で言えば、いつもの様子と同じかどうか。つまり、バイタルサインは正常かどうかを判断し、異常があれば何らかの問題が体で起きていることがわかります。
分かりやすいチェック方法として、
・呼吸の状態
・体温の変化
・排泄物の様子
などの項目が挙げられます。
◆いつもと同じ食事なのに食べないとき
普段通りの生活リズムで同じ食事を犬に与えているにもかかわらず、食べないときは、犬の身体に何らかの変化があることが多く、重大な病気が隠れていることもあるので、注意が必要です。
◆食べたいそぶりを見せるのに、食べないとき
普段と同じように、犬が食事に顔を近づけるのに、口にしないときは、首の部分に痛みを感じていたり、体のどこかに異常がある場合などが考えられます。
また、歯の痛みがある場合も食べにくくしたり、食べなかったりします。
夏バテでご飯を食べなくなった時の対処法は?
多くの犬は、寒さより暑さが大の苦手です。特に、鼻が短い犬やもともと寒い地域出身の犬、中型犬以上の筋肉質の犬、肥満犬やシニア犬は暑さに弱く、夏バテや熱中症をおこしやすくなります。
しかし、暑いからといって人間のように汗をかくことが出来ません。
そんな時、飼い主さんとしては、熱中症や夏バテの症状を少しでも緩和させてあげ、少しずつでも良いから食事をしてもらいたいと思うのが親心というものです。
では、そんな時どのような対処方法を試みるべきなのでしょう?
・涼しい環境を作る
・食事は食べやすく
・食事は涼しい時間に
・食事は気長に
・お散歩のときは水分を多めに
それでは、各項目について簡単に説明していきます。
◆涼しい環境を作る
犬が夏バテや熱中症になる原因の多くは、熱さによるものです。しかも、散歩や屋外飼育の場合、人間より犬の方がアスファルトの地面に近いところにいます。
アスファルトに近いということは、人間が感じる以上に照り返しの熱に影響されているということです。
お散歩などで外出するときは、一度手でアスファルトの温度を確認してから愛犬を連れだすように心がけてください。
では、屋外飼育と屋内飼育の場合、どのような注意をすべきなのでしょう?
屋外飼育の場合
現在では、屋外飼育をしているお宅も少なくなってきたと思いますが、飼育の場合は特に注意が必要です。
昔ながらの飼育方法で、犬を犬小屋にくくりつけている場合などは特に気にする必要があります。
・犬小屋は日陰の涼しい場所に設置する
・遮熱や断熱スクリーン、すだれなどをうまく利用する
・地面に直接足が触れないように、すのこなどを敷き、地面との空間を作る
・犬用の暑さ対策グッズをうまく利用する
など、様々な工夫をし、涼しく過ごせる環境づくりをしてあげてください。
屋内飼育の場合
先ほどもご紹介したように、犬は私たち人間と違い、汗をかくことがありません。ですから、扇風機の風を当てても涼しいとは感じていません。
必ずクーラーで室温を下げ、犬の快適な温度や湿度になるように調節する必要があります。
犬の快適な温度は18~22度で、快適な湿度は40~60%です。
ここで注意しなければならないことは、冷気は床の方に溜まりやすいため、人間より犬の方が寒さを感じやすいということです。
ベストな方法は、室温をエアコンで下げ、扇風機やサーキュレーターを使って、空気を巡回させ、床に溜まる冷気を分散させてしまう方法です。
また、昔と違い今はアルミ板や冷却マットなど、犬専用の暑さ対策グッズがたくさん販売されています。それらのグッズを上手に利用することで、暑い夏も快適に過ごせる環境づくりを楽しんでみてください。
これらの方法は、すでに夏バテになってしまった犬にも効果的です。
少しでも体温が下がりやすい環境づくりをして、ゆっくり休ませてあげるのが、夏バテ緩和にはとても大切なことです。
◆食事は食べやすく
人間も暑い夏は食欲がなくなり、のどごしの良いものばかりを好んで食べたくなる人も多いのではないでしょうか?
もちろん犬も同じです。普段、固いドライフードを噛んで食べるのが大好きな若い犬たちも、夏バテ気味になってくるとそうはいきません。
もしドライフードを食べにくそうにしている時は、食事の時間に間に合うように、少しお湯でふやかし、人肌の温度になってから食べさせるようにすると、案外食べてくれます。
こちらの方がドライフードを与えた場合より、消化吸収率も上がるばかりではなく、ふやかすことにより水分も一緒にとれ、風味もでてくるので犬の食欲をそそることにもつながります。
また、少し値は張りますが、普段与えているドライフードに水分の多い缶詰などをトッピングして、混ぜてあげる方法もおすすめです。
食欲がないときは、しっかり栄養と水分が取れる方法を、飼い主さんが考えてあげると犬もその気持ちにこたえてくれますよ!
◆食事は涼しい時間に
人間でも暑い時間帯に食事をするとあまり食欲がわきません。これは犬も同じなので、できるだけ気温の低い早朝や夕方に食事をさせてあげるようにしてください。
同じ食事を与えたとしても、暑い時間帯と涼しい時間帯なら、食べてくれる量がかなり違ってきます。
ぜひ、暑い時期は普段の時間帯ではなく、少しゆったり考えて、食べやすい時間帯を選ぶようにしてください。
◆食事は気長に
あまり長時間フードを放置しておくと、腐ってしまう危険性があるためオススメできませんが、犬が決まった時間で食事が終わらないからと無理に食べることをやめさせるのは好ましくありません。
暑いときはどうしても食べるペースがゆっくりになってしまいます。そのため、時間も普段より長くなりがちです。
ぜひ飼い主さんにはそれぞれの犬の性格や体調を考え、少しでも多くの量の食事をとれるように、なるべくゆったり構えてあげる必要もあります。水分量の多いウェットフードやおやつをトッピングをしてあげることで、喉越しがよくなり、食べやすくなる場合もあります。
◆お散歩のときは水分を多めに
普段はペットボトル1本のお水を持ち歩いていても、暑い夏は必ず2本にするなど、多めに持ち歩くようにする必要があります。
犬はお散歩のときも水分不足になると、知らず知らずのうちに脱水になっていることもあります。ですから、必ずこまめな水分補給と適度な休憩をはさみつつ、お散歩することをオススメします。
犬だけでお留守番の時も、必ず新鮮な水を多めに用意していくべきです。
また、屋外で飼育している場合は特に注意が必要で、いつの間にかお水がお湯になり、さらに蒸発して亡くなっているなんていうことも多々あります。
是非、屋外飼育のお留守番のときは、必ず水入れを直射日光に当たらない場所に置き、多すぎると感じるくらいのお水を置いてあげるようにしてください。
まとめ
犬と夏バテの関係について見てきましたが、いかがでしたか?
犬は私たちと同じで、暑さには弱い生き物です。気温的には暑くないときでも、湿度が高いと体調を崩してしまいます。
少しでも犬の調子がいつもと違うかも…と思ったら、必ず獣医さんに連れていき、診察してもらうようにこころがけてください。
また、暑い夏に、室内を私たちの感覚で程よい温度に調節していても、実は犬にとっては快適とは程遠い空間かもしれません。私たちがちょうどよい温度や湿度でも、それは犬にとっては暑すぎたり寒すぎたりすることも多々あります。
温度の微調整が難しい場合は、ペットショップで販売されている、冷えヒエシリーズなどをうまく利用し、犬が暮らしている部分に少しプラスしてあげるだけで、犬にとってはリラックスできる場所に変わります。
そのことを念頭に置き、愛犬との良好な関係、そしてお互いに気持ちの良い空間づくりを進めていっていただけたらと思います。
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