1.犬から見える風景・色・範囲とは?
2.犬の視力はどのくらい?
1-1.犬の平均視力は0.2~0.3
1-2.犬の視力の測り方
3.視力以外の感覚が優れている犬
4.愛犬の視力が衰えたと思った時にできる対処法
4-1.家具や床の状態を確認
4-2.段差や階段のまわりに柵を設置
4-3.声をかけてから触る
4-4.安心できる状況を作る
5.まとめ
【掲載:2019.04.27 更新:2023.04.27/2024.01.19/2024.09.30】
犬から見える風景・色・範囲とは?
犬たちが見る世界は私達の見ている世界とは異なっています。
コンタクトやメガネをしている方は、外してみてください。それが、犬たちが見ている世界にもっとも近い世界です。
10mくらい離れてしまったら飼い主の顔を識別するのは難しいかもしれませんね。
では、視力は悪いのにフリスビーとかおやつをキャッチなどなんで取れるの?と思いませんか?
実は、ワンちゃんは動体視力は抜群に高いのです!
動きのあるものを見る動体視力に優れていて、動くものには敏感に反応します。
遠くのわずかな動きを見分けることができ、牧羊犬などは1kmも先にいる、羊飼いの手の合図もわかるといわれているそうです
シェパードを使ったある実験結果では、動かないモノなら550m、動くモノなら825m離れた標的を見分けることが出来たそうです。
また、視力のいいサイトハウンド犬や牧羊犬では、1500m先の広範囲でも人が手を振っているのに気づくことができるという報告もあります。
では、色についてはどうでしょうか。
犬たちは色の認識が出来ないわけではありません。しかし、人間に比べると犬たちが見ている世界の色はとても少ないのです。
これは、犬の網膜が色を認識する力をほとんど持っていないので、限られた色しか認識できないためです。
犬たちが認識できるのは、青と黄色そしてその2色の中間色だけです。人間が認識できるのは、赤、緑、青の3色と中間色なので、認識できる色の多さがわかるかと思います。
また、彩度も人間より低いため、全体的にグレーがかって見えています。
私達は、信号の赤、黄色、青を区別して道路を横断したり車を運転したりしていますが、赤が認識出来ない犬たちの世界に人間界の信号があったら、大変なことになってしまいます。
さらには、色の組み合わせの中でも緑と黄緑、黄色、オレンジ、赤の色合いを区別することができないといいます。
花を見比べてみるとこんな感じです。
生肉でも比較してみましょう。
私達が綺麗と感動する鮮やかな花畑を見ても犬たちは、残念ながら全体的にグレーがかったくすんだ色に見えてしまっています。
逆に、青や黄色は認識出来るので、空や海、ひまわり畑などではカラフルな世界を共有することが出来ているのかもしれませんね。
愛犬にと買ったカラフルなおもちゃも犬たちからは、ぼんやりとしたグレーがかった色に見えてしまっています。
特に赤は認識出来ないので、芝生の上に赤いボールを投げた場合探し出すのが難しいと思っているかもしれません。
犬たちからすると、青や黄色の色のボールであれば認識できるので、興味を引きたい場合はそれらの色を選んでみてくださいね。もしかすると、今までより反応がよくなるかもしれません。
人間の視野は約180度に対して、犬の視野は250~290度もあり、かなりの広い範囲を見渡していますね~
肉食ハンターであるワンちゃんは、目が頭の左右についているので、目で獲物をキャッチするとき側面の視野が大変重要だったためと考えられているそうです。
人よりもかなり視野(視界)が広く、遠くのものまで見ることがでできる事がわかります。
犬の視力はどのくらい?
「犬は狩りをしていた動物だし、人間のパートナーとして今も一緒に狩りをしている犬もいるから目はいいのでは?」と思っている方がいるかもしれませんね。
ここで、愛犬の顔を観察してみてください。特に目の辺りを重点的に観察してみてください。私達人間との違いがある事に気づいたでしょうか。
犬たちの目は、私達より外側にあります。これにより、焦点を合わせにくいと言われているのです。
また、視力についてもあまりよくないと言われており、犬の平均視力は0.2~0.3という数字があります。
犬たちから見た世界は、常にぼんやりとしておりはっきりとは見えていないようです。
ちなみに、運転免許取得に必要な視力が0.7以上なので、犬たちは運転免許の視力検査をパス出来ないということになりますね。
それでは、犬たちの視力はどのように測られているのでしょうか。
犬たちは、人間の視力検査の時のように「左右上下」など答えてくれるわけではないので、正確な値は取れないと言われています。
そのため、大まかに見えているかの検査をします。
自宅でも出来る犬の視力検査を2つ紹介します。愛犬と一緒にやってみてください。
丸めたティッシュや脱脂綿などを用意します。そのティッシュを愛犬の真上から落としてみてください。
正常なら、動くものに合わせて顔や目を動かします。
部屋を暗くして、犬の目が暗闇に慣れるまで数分待ちます。部屋を明るくして、犬の瞳孔の変化を見ます。正常であれば、瞳孔は小さく収縮します。
この他にも、椅子の脚やテーブルなどにぶつかるようになった、散歩中に電柱にぶつかるなど、おかしいなと思ったり不安があるようならすぐに獣医師に相談してくださいね。
視力以外の感覚が優れている犬
犬たちの視力が低いという事がわかっていただけと思います。
しかし、犬たちは飼い主や好きな人が帰ってきた時なども即座に判断していますよね。問題なく散歩も行っているし…。
これには、犬が持つ視力以外の感覚が関係しています。
犬たちは、私達人間よりもすぐれた能力をたくさんもっています。嗅覚や聴覚、脚力も人間より優れています。
このうち、特に嗅覚や聴覚などを使って、視力の低さをカバーしているのです。
例えば、よく見知った人でも、声をかけずにゆっくり近づいた場合、犬たちは少し不安な表情で後ろに下がっていくかもしれません。逆に視力が低くても、聴覚がすぐれているので、犬たちは、遠くから呼ぶ飼い主の声を聞きつけ、飼い主のもとに走って行くことが出来るのです。
愛犬の視力が衰えたと思った時にできる対処法
歳を取ると視力も低下していきます。それは、犬も人間も同じように年齢とともに視力は低下していきます。
では、もし愛犬の視力の低下が見られる場合、どうしたらいいのでしょうか。
まず、愛犬の視力が衰えたな、と思ったら怪我をしないように家具や床などを確認しましょう。
視力の衰えにより、老犬は物にぶつかりやすくなります。愛犬の通り道、家の中などから障害物をなくしバリアフリーにすることで、思わぬ怪我を防ぐことが出来ます。
ただし、家具の配置自体を変えてしまうと、犬たちは混乱してしまいます。家具の配置自体は変えずに、家具や壁の角をクッション材などで保護し、ぶつかっても怪我をしないようにしておきましょう。
2階や段差のある場所が生活スペースになっている愛犬には、段差や階段から落ちないように柵を設置すると安全です。
また、自宅内だけではなく、散歩コースにも危険はたくさんあります。電柱や溝など、元気な頃はなんともなかったものも、歳をとった犬たちには、思わぬ危険に繋がります。
溝などは飼い主が溝に寄り愛犬を近づけないようにする、電柱に向かって行きぶつかるようなら向かわせないようにするなどしてくださいね。
視力が衰えることで周りの状況が掴みづらくなっています。急に触るなどすると、驚いて噛み付いてしまう場合があります。なるべく声をかけてからもしくは犬の方からよってきたら触るようにしましょう。
視力の低下している犬たちは急に触られると、びくっとして見てる方も申し訳ない気持ちになってしまいます。
声をかけて犬が安心したのを確認してからゆっくり手を伸ばしてあげてくださいね。
視力が衰えることで周りの状況がつかみにくくなってるので、どうしても不安になりがちです。それにより、何度も吠えたりします。
それを抑えるために、飼い主が感じられる場所にいるか、飼い主の匂いのついた服やタオルなどを側に置くことで安心し吠えることが少なくなります。
犬たちは目だけではなく、嗅覚や聴力などを使い視覚を補っています。そのため、飼い主が気をつければ散歩などをいつもどおりに楽しむことが出来ます。
もし、愛犬の視力が低下してきたなと思ったら、見えていた時以上に周りに注意してあげてください。愛犬の目となっていつもどおり日々を楽しんでくださいね。
まとめ
犬の視力は0.2~0.3程度しか見えておらず、聴覚や嗅覚などで補っています。
また、色覚は、赤や緑は認識できず、青~黄色を認識できる。全体的にグレーががっておりくすんでいて、カラフルな世界ではありません。
視力の低下には、怪我に注意。室内ではクッション材や滑らない床材を使い、散歩中は溝や電柱にぶつからないように気をつけましょう。
愛犬と目を合わせてみてください。犬たちがどう見えてるか知ったことで、最初と見方が少し変わったのではないでしょうか。
犬の視力や色覚の特徴を活かして、おもちゃやお出かけ先などを選んでみてくださいね。
メガネやコンタクトが無い分、視力の低下が感じられたら怪我をしないように注意を払って楽しくお散歩、楽しく怪我なく過ごしてください。