犬は教えなくても泳げるもの?
「犬かき」という言葉があるように、犬には教えなくても泳げそうな印象があります。
そのため、レジャーに行ったとき、ついつい愛犬を水場で遊ばせようとする飼い主さんもいるかもしれません。
そこで気になるのが「犬は泳げるもの?」という点。
どんな犬でも泳ぎは得意なのでしょうか。
◆そもそも「犬かき」はどんな泳ぎ方か
犬かきは、「犬掻き」と書きます。
水から顔だけを出し、水面下で4本足をパタパタと水を掻くようにして泳ぐ、泳ぎ方の方法のことです。
水面下で動いている様子を見ると、地面で歩くときの歩行のよう…。
一生懸命足を動かしている姿はとても可愛らしく見えます。
◆本能的に泳げる犬たち
犬をはじめ、4本足を使って歩行をする動物は多いですよね。
4本の足を交互に前に踏み出すような動きが地上での歩き方ですが、それがそのまま水中に変わると「犬かき」スタイルになります。
水のなかに入っても、「なんとか前に進もう」と一生懸命足をパタパタとさせます。
ほとんどの犬は、本能的に「泳ごう」とするのだそうです。
◆できない子だっている
ただ、犬種によっては「泳ぎが苦手」「泳ぐのに適していない体つき」です。
今でこそ、「愛玩犬」と言われるタイプの犬たちが増えましたが、古い時代は犬と言えば人間のお手伝いをする使役犬目的に飼われる動物でした。
狩猟犬、牧羊犬、使役犬、番犬など、たくさんの働く犬たちがいたなかで、「狩りの場所が水中だった」という犬たちは、本能的に泳ぎが上手なようです。
しかし、歴史を見ても可愛がられるために存在していたような愛玩犬は、泳ぐことは生活に必要ないことなので、泳ぎは苦手でしょう。
泳ぎが得意な犬種を紹介
それでは、まずは泳ぎが得意と言われている犬種たちを見ていきましょう。
◆「ラブラドールレトリーバー」「ゴールデンレトリーバー」
ハンターが撃ち落とした獲物を泳いで回収するのが仕事をメインにしていたラブラドールレトリーバーは、泳ぎが得意です。
被毛には、「短く密集している」「表面は撥水タイプ」「水分が染みにくい被」という特徴があり、水中は苦手と感じにくいでしょう。
また、足の指と指の間に「水かき」と言われる膜のようなものがあり、水を掻くのに適している体の特徴が見られます。
一方のゴールデンレトリーバーも「レトリーバー」繋がりで、水中での漁が大得意でした。
そもそも、「水で泳いで狩りを手伝わせる」という目的で改良を重ねられているので、泳ぐことは本能的に備わっているようです。
◆「ニューファンドランド」
ニューファンドランドは、漁師のサポートをする漁業犬でした。
たくましく力強い大型の体、そして分厚い被毛で、水の中での動きもスムーズで得意です。
漁師の仕事のサポートはもちろん、海で溺れた人を助けることもできる有能なワンちゃんで、海上の“救助犬”として今でも活躍しているニューファンドランドもいます。
◆「スタンダードプードル」
プードルと聞くと、小型サイズの「トイプードル」が愛玩犬として人気が高いですよね。
そのほか、体のサイズに応じて、いくつかのプードルがいますが、すべての元祖となっているのが大きなスタンダードプードルです。
スタンダードプードルは、水辺の狩猟犬が先祖であることから、泳ぎが得意な犬種と言われています。
◆「イングリッシュ・セター(セッター)」
基本的に穏やかな犬種ですが、現在も世界各国で猟犬として活躍中のアクティブ派のイングリッシュ・セター。
水のなかで動くのも苦手としないようです。
泳ぎが不得意な犬種は…?
一方、泳ぐのが不得意な犬種は、どんなワンちゃんでしょうか。
◆「ダックスフント」
胴長短足が大きな特徴のダックスフントは、地上での狩りを得意とする犬種です。
足が短いことから、水のなかでの動きはかなり苦手な傾向にあると考えられています。
◆「ビーグル」
スヌーピーのモデルになるほどチャーミングな見た目のビーグルですが、実は猟犬としての歴史があります。
発達した臭覚で敵の気配を察知し、発見した後には鳴き声で相手を追いつめる…と、実はウサギ狩りの名手でした。
得意の臭覚を武器に、検疫探知犬として活躍しているビーグルもいます。
そもそも、地上での使役犬で水中に入る必要がなかったため、泳ぎは苦手です。
◆「チワワ」「ポメラニアン」「マルチーズ」
「とにかく小さい!」という小型サイズが印象的なチワワは、古い時代から愛玩犬的な存在をキープしていました。
狩猟犬のように、人間の仕事を手伝うようなパワフルな活躍はできませんが、小さい割に勇敢な精神で番犬の働きをすることもあります。
ポメラニアンやマルチーズも分類的には愛玩犬で、チワワ同様に「人間に可愛がられることを目的」としているので、水の中で泳いでいた過去を持っておらず、泳ぎは不得意と言われています。
◆「フレンチブルドッグ」「ブルドッグ」
「ブサカワ」を代表するようなブルドッグは、短い鼻で愛嬌たっぷりのワンちゃん。
見た目は可愛らしく癒し系ですが、鼻が短い特徴から呼吸器の病気に注意しなければならない犬種です。
特に、水中に入ると「体温調整できない」「呼吸しづらくなる」などのリスクがあるので、「泳ぎが苦手」というよりも避けたほうがいいでしょう。
得意or不得意はあくまでも一般的な傾向
身体的特徴や歴史の違いで、泳ぎの得意・不得意があることが分かりました。
ただ、泳ぎが不得意だからといって水を一切楽しめないわけではありません。
反対に、「泳ぎなら任せて!」と考えられている犬種でも、泳げない犬もいます。
泳ぎが得意派の犬種でも「生まれてから一度も水に入ったことがない」「水が苦手…」という環境だと、泳げないパターンも多いでしょう。
逆に、「子犬の頃から水が好きだった」というケースなら、レジャーで海や川に行っても楽しそうに動いてくれるかもしれません。
「得意・不得意」はあくまでも一般論として、レジャーで愛犬と水辺を楽しむためには、いろいろな工夫や注意をおさえておきましょう。
レジャーで泳ぎを楽しむためのポイント
愛犬が泳げるようになったら、レジャーの楽しみ方も増えますよね。
泳ぎを楽しむためのポイントをいくつか紹介します。
まずは「水慣れ」してもらおう
レジャーで泳ぎを楽しんでもらうには、まずは「水に慣れる」のが基本。
好奇心旺盛でさまざまなことを吸収していく子犬の頃に、家の庭で子供用のプールで水浴びさせて「水好き」にしましょう。
小型犬であれば、浴槽に低めに水を溜めて遊ばせてもいいですね。
水中にいる愛犬に飼い主さんが優しく話しかけたり、水浴びが終わったらオヤツをあげたりなど、「水に入る=楽しい♪嬉しい♪」と結びつけさせるのもおすすめです。
水量は、低めからスタートし、慣れ具合に従って、少しずつ増量していくといいかもしれませんね。
楽しいレジャーのためには知るべき…!泳がせるときの注意点は
海や川という自然を相手に泳ぐときには、リスクがともないます。
愛犬の安全や体調を守るため、レジャーで泳がせるときの注意点を見ていきましょう。
◆愛犬だけを水中に入れない
水慣れしている犬でも、自然の海や川の「波」に緊張するケースがあります。
「家の浴槽とは違う…!」「ここは入っていいの?」「水の量が多い~!」とビックリするかもしれないので、レジャーに行ったときには飼い主さんも一緒に水中に入って安心させましょう。
◆レジャーでのファーストステップは波打ち際
「家で練習したから大丈夫」と思っていても、深い海や川はハードルが高いものです。
いきなり足のつかない深さまで連れていくと、ビックリしてトラウマになりかねません。
逆に、「泳げるよ~!」とグイグイと水に入ろうとする犬もいるかもしれませんが、途中で怖がって後戻りできなくなると危険です。
まずは、波打ち際で水をパシャパシャする程度から始めましょう。
準備運動的な気持ちで、軽い水遊びからスタートです。
◆水の楽しさと泳ぎを教えるのは飼い主さん
水慣れの練習では、浅めの浴槽やビニールプールを使いますが、海や川では愛犬は足がつきません。
足がつかない場所で泳がせるときは、後ろから抱きかかえるように愛犬をサポートしましょう。
本能的に水を掻こうと犬かきのような動きをするかと思います。
◆ライフジャケットを着用すると安心
水中に入ったら、飼い主さんが近くでサポートしてあげましょう。
そして、万が一のことを考えると、ライフジャケットがあればいいかもしれません。
犬が着用するライフジャケットは、犬の泳ぎをサポートする浮き輪のような役割があり浮力が働くので、溺れるリスクを減らします。
また、泳ぎが得意な犬でも、泳いでいる途中で疲れると溺れそうになることもあります。
「泳げるよ!」と初めは順調だった犬も、途中で力尽きてしまうかもしれません。
もしものときの安全のために、ライフジャケットがあれば、安心です。
◆長時間の水中はやめる
天気の良いポカポカした日には、水のなかは気持ちよさそうに思えますが、水温は結構低いもの。
水中にいる時間が長すぎると、体温を奪われて急に体調が悪化するかもしれません。
また、水遊びをしたくなる暑い時期には、熱中症のリスクもあるので気をつけるようにしましょう。
それに、浮力が働いて足腰に負担がかかりにくい「泳ぎ」ですが、長い時間、四本足をフルに使っていると体力が消耗してきます。
長時間水中で遊ばせるのは、止めるようにしましょう。
◆無理強いしない
犬たちの気持ちを察しながら泳がせましょう。
海や川にレジャーに行くと、「楽しいから遊ぼうよ」と飼い主さんは、愛犬を水辺に誘うかと思います。
そのときの愛犬の反応を大事にしてくださいね。
「怖い」「嫌だ」という様子が見られたら、無理強いすることは止めましょう。
嫌がっているサインを見せているワンちゃんを無理やり水中に誘うと、水そのものを嫌いになってしまいます。
「水=怖い、嫌いなもの」とトラウマになって、家でのシャンプーさえも嫌いになっては大変です。
◆体調が悪いときや病気を持っているなら泳がせない
いつもと違った自然環境での泳ぎは、犬も疲れます。
体調が悪いときには、そもそも水に入らせることは避けましょう。
楽しそうに見えてもワンちゃん達は疲れを感じています。
まずはゆっくり休ませましょう。
まとめ
犬種によって得意不得意があり、「水場での狩りを仕事にしていた犬たちは泳ぎが得意」、「近年ペットとして大人気の愛玩犬は泳ぎが苦手」というのが一般的な傾向です。
ただ、「水が怖い」「水に入る機会がなく成長した」という犬は、いくら得意な犬種でも泳ぎたがらないことも…。
このような場合には、無理に泳がせようとすると「水は怖いもの!」と泳ぎを必死で抵抗するようになります。
また、泳ぎが得意なワンちゃんだからと自由に泳がせると急に溺れるリスクもあるかもしれません。
泳がせるときには、飼い主さんが近くで目を離さないことが基本です。
犬を泳がせるときの注意点や犬の気持ちを知り、楽しいレジャーにしましょう。
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