【獣医師監修】犬のアトピー性皮膚炎とは?なりやすい犬種や症状、治療法など

2020.08.26

【獣医師監修】犬のアトピー性皮膚炎とは?なりやすい犬種や症状、治療法など

肌・皮膚の病気として知名度も高い、アトピー性皮膚炎。人間にも犬にも起こる疾患です。今回はこの、犬のアトピー性皮膚炎に着目していきましょう。どういう病気なのか、その原因や症状、治療法などを紹介していきます。自宅でできる対処法にも触れますので、現在悩みを抱えている飼い主さんは是非、参考にしてみてくださいね。

犬のアトピー性皮膚炎ってどんな病気?

◆アレルギー症状の一つ!

犬にもアレルギーによる様々な疾患が起こります。犬のアトピー性皮膚炎の原因も、このアレルギー物質によるものです。
アトピー性皮膚炎とは、アレルゲン(抗原)に対する過剰な免疫反応によって、皮膚全体に炎症が起こる病気なのです。アレルギー物質が皮膚・呼吸器から体内に侵入することで、かゆみや皮膚炎が症状として現れます。炎症を起こした皮膚が感染を起こすことで、痒みが増してしまうケースもあるのです。
皮膚の過敏な反応や、保護機能が低下する遺伝子的要因をもった犬に起こりやすく、慢性的に症状がみられます。

◆アトピー性皮膚炎を発症しやすい犬種

アトピー性皮膚炎には遺伝が関係することから比較的若い時期(6ヶ月から3歳頃)に発症することが多く、なりやすい犬種として主に以下の犬種などが挙げられます。

  • 柴犬
  • フレンチブルドッグ
  • シーズー
  • ウエストハイランドホワイトテリア
  • ゴールデン・レトリバー
  • ラブラドール・レトリバー
  • ダックスフンド
  • ビーグル
  • トイ・プードル

ちなみに原因がアレルギーのため、他の犬や人にうつることはありませんが、アトピー性皮膚炎は、複雑な要因が重なることで痒みの出てくる病気なのです。
全体を見据えて管理すること、治療をしていくことが必要となるため、コントロールすることがとても難しく、完治が困難な病気の一つといえるでしょう。


犬のアトピー性皮膚炎の症状

◆主な症状は強い痒み!

アトピー性皮膚炎の一般的な症状は、強い痒み・皮膚の炎症・外耳炎です。このうち外耳炎については、アトピーの犬の8割に認められているそうです。

📌【おすすめ記事】【獣医師監修】犬の外耳炎とは?かかりやすい犬種は?症状・原因を知って予防しよう

アトピー性皮膚炎を発症した犬には、脚で身体をしきり掻く、皮膚を噛んだり舐めたりする、などの様子がみられるようになるでしょう。口周囲に痒みが出ている場合は、床に口を擦りつけるような行動をとることが多いです。
皮膚炎が起こりやすい部位としては、顔(目・口・耳周辺)、先端部(足先・尻尾・陰部周辺・肛門周辺)、皮膚が重なる部分(脇・肘・内股・膝裏・指や肉球間)が挙げられます。

慢性化すると、皮膚が分厚くなる、象の皮膚の様になる、黒ずみが出る、フケ・抜け毛が増加する、二次感染により臭う、などの影響が出てきてしまうでしょう。
一年中強い痒みが出る犬もいますし、季節性(花粉・草)の痒み(特定の時期に限って痒みが出る)が現れる犬もいます。
いずれの場合も基本的には痒み症状から始まり、その後皮膚炎となり、良好・悪化を繰り返すこととなるのです。
前述したように完治が難しいため、正しい治療法やケアを行うことでアトピー体質と上手く付き合いながら、生活するよう頭を切り替えて向き合う必要があります。


犬のアトピー性皮膚炎の原因

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◆複数の要因によって発症する病気

アトピー性皮膚炎は、様々な問題が複雑に絡み合うことで発症する病気です。

  • アレルゲンに反応しやすいアレルギー体質であること
  • 皮膚バリア機能が低下していること
  • アレルゲンが存在していること

これらの要因が重なることで、初めてアトピー性皮膚炎発症となります。つまり、このうちのどれかを防ぐことができれば発症しないというわけなのです。
こう聞けば、発症する可能性が低いように感じられるかもしれませんね。しかし、犬全体の10%(10頭中1頭)はアトピー性皮膚炎を発症しているといわれているのです。
この3つの項目は、どれも解決が難しい問題であり、治療が困難なものなのです。このため、継続して総合的な管理を行う必要があるので、犬の皮膚の病気としても発症例が多いというわけですね。

◆原因となるアレルゲンは?

アレルギー症状の一つとして起こるアトピー性皮膚炎ですが、その原因であるアレルギーの特定をしなければ、治療や症状を抑えるための対処ができません。
まずは愛犬を苦しめる痒みの原因となる、アレルギー物質を探る必要があります。
ハウスダストやほこり、細菌やカビ、草や花粉、フケ、食べ物、昆虫類など、アレルギー物質となり得る原因は、環境中に、または生物の影響によるなど、日常に様々溢れています。
これらのアレルゲンに対して過剰反応を示すことが発症の一因となるのです。

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犬のアトピー性皮膚炎の治療

◆症状を緩和する治療が行われる

アトピー性皮膚炎に対する治療法には、痒みや炎症を抑える薬物療法とスキンケアを組み合わせる方法があります。

動物病院では主に、免疫機能の抑制・調整によって、炎症・痒みを減らすための治療が施されるでしょう。
具体的には、副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)、抗ヒスタミン薬、カルシニューリン阻害剤、インターフェロンy製剤、必須脂肪酸製剤などが使用されます。
ステロイド剤ときくと、副作用が気になる方も多いでしょう。確かにステロイドの使用によって様々な副作用が起こる可能性はあります。

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しかし、痒み・炎症への効果は非常に高く、かゆみを早く抑えるという特徴があることから、犬のかゆみ治療には古くから最も多く使われてきたのです。
長期使用による副作用は確認されていますので、使用の際は獣医師の指示の元、適切な方法で使用することが原則です。
原因となるアレルゲンがハウスダストなどの場合は、減感作療法で治療を行うでしょう。これは、愛犬の身体を徐々にアレルギー物質に慣らしていく治療法です。

このような病院での治療に加え、食事の工夫やサプリメントを使用することも、大変効果的ですよ。
健康な皮膚を維持するために、オメガ脂肪酸などが豊富に含まれたドッグフードを選択したり、サプリメントを取り入れることで、治療補助効果が期待できる場合もあるのです。
スキンケアとしては、アレルゲンや刺激物を皮膚表面からしっかり洗い流せるシャンプーを選んだり、皮膚バリア機能を保護できる保湿力の高い保湿剤を使用してみましょう。

アトピー性皮膚炎の症状をコントロールすることは中々容易ではありません。
症状の治療から日常生活での注意点、食事内容や使用するサプリメントに関しても、担当の獣医師に相談してみることをおすすめまします。
痒みを抑えるための市販薬も多数販売されています。商品によって税込み1000円前後で購入できるものばかりなので手を伸ばしたくはなりますが、詳細を確認することが重要ですし、まずはアトピー性皮膚炎であるという診断が必要です。
アトピーが疑われる場合は、是非一度動物病院を受診してみてください。

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おうちでできるアトピー性皮膚炎の対処法

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◆スキンケアで対処しよう!

アトピー性皮膚炎に対する、決定的な予防法は残念ながらありません。しかし、症状を抑える・緩和するために飼い主さんが愛犬にしてあげられることはあります。そのうちの一つが、適切なスキンケアを行うことです。
まずペット用シャンプーには、皮膚保護機能の成分をもつもの、保湿効果の高いものを選びましょう。
アトピー性皮膚炎に限ったことではありませんが、過剰なシャンプーは逆効果となるので注意してくださいね。必要な皮脂までもを洗い流してしまうこととなります。
シャンプー剤は直接肌につけずに、洗面器などで泡立てたり、スポンジを利用して優しく洗ってあげるのがポイントです。
シャンプーの他にも、保湿剤を使用して肌の保湿効果を高めたり、食事内容を工夫したり、必須脂肪酸のサプリメントをとるなどして、適切なケアを定期的に継続して行うことが高い効果を得るために必要となるでしょう。

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◆住環境を清潔に!

ダニや花粉、ハウスダストなどのアレルゲンを排除するためにも、室内などの居住スペースは清潔にしておくことが大切です。
特にアレルギー検査において、草・花粉・ほこりなどへの反応が強いという結果が出ている場合には、こまめな掃除や空気清浄機の使用などによって、アレルギー物質に触れる時間が減るように努めましょう。
散歩の際は、皮膚を保護するアレルギースーツや、静電気予防の服を着用することも有効的です。花粉などの付着を軽減できるので、アトピーに限らず花粉症の症状を持つ子の対策法としてもおすすめです。

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◆ストレスを軽減!

ストレスを抱えることも、実は痒みを強くする原因の一つとなるのです。
ただでさえアトピーを持つ子は、身体の痒みからも他の犬とは別のストレスを抱えることとなります。
日頃から愛犬がストレスを抱えないように、適切な運動ができる時間、一緒に過ごせる時間などを作るよう留意しましょう。
また、アトピーに苦しむ愛犬の姿を見守る飼い主さんが、辛い気持ちからストレスを抱えるという悪循環も起こりかねません。
同じ痛みを抱える飼い主さんの話を聞くことで胸のつかえがとれたり、アトピーと戦う愛犬をもつ方のブログや記事を参考にすることで希望がみえることもあります。
担当の獣医さんに相談するのもよいでしょう。一人で抱え込まずに、愛犬と一緒に病気と付き合う方法を探してみてくださいね。

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犬のアトピー性皮膚炎に関するまとめ

アトピー性皮膚炎は根治する病気ではありません。
塗り薬の効果やスキンケア、減感作療法などで、健康だった状態へ近づけるために継続的な治療とケアを必要とする病気です。
治ることはもちろん理想ですが、愛犬が感じる痒みが気にならないように、よく眠れるように、楽しく遊べるように、といったイメージを持ちながら、それを目標として、気長に上手に向き合っていくことが大切なのです。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!

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