1.犬のマーキングとは
2.マーキング行動には様々な理由がある!
2-1.テリトリーの意識や存在を表すマーキング
2-2.生活に訪れた変化によるマーキング
2-3.分離不安が原因のマーキング
2-4.恐怖感からくるマーキング
2-5.カーミングシグナルの一つ
3.犬が室内でマーキングをしてしまう理由
3-1.室内でのマーキング!理由はやはり縄張りの主張
4.室内でのマーキングをやめさせる方法・対策
4-1.愛犬の活動範囲を狭くする
4-2.前触れ行動を見逃さない
4-3.ストレス・寂しさを和らげてあげる
4-4.臭いを残さない
【掲載:2017.06.20 更新:2020.05.01】
犬のマーキングとは
マーキングときくと、電柱などに足をあげておしっこをする犬が連想されますよね。
その名前からも分かる通り、犬のマーキングとは、犬の持つ本能的な行動であり、おしっこをかけてにおいをつけることで、自分の存在をアピールする行動を指します。基本的には縄張りを守るための行為だといわれていますが、実は様々な理由が存在するのです。
人間にとってはただの排泄行為ですが、犬にとってのおしっこには愛情表現や挨拶などの意図も含まれています。
このマーキング行為に隠された犬の心理を、まずはしっかり理解しておきましょう。
マーキング行動には様々な理由がある!
◆テリトリーの意識や存在を表すマーキング
マーキングの主な理由として挙げられるのが、まずはテリトリーの意識からくるものです。おしっこで自分のにおいをつけて存在をアピールすることとテリトリーの意識を相手に伝えています。マーキングをするときに、大半の犬は足を高く上げて、電柱などの高い位置におしっこをかけようとするでしょう。これは、他の犬に「自分は大きい、強い犬だぞ」という主張をするためだといわれています。
小型犬などの小さいサイズのワンちゃんの中には、逆立ちをしてまでマーキングをする子も実際にいるそうです。自己アピールをするために、少しでも高い位置を狙ってマーキングをしようと頑張っているのでしょう。
室内でされると困ってしまいますが、マーキングには犬なりの可愛らしい意地が隠されているというわけですね。
◆生活に訪れた変化によるマーキング
生活環境や家族構成などに変化が起こったことで、マーキング行為が見られる場合があります。
この原因は、その変化によるストレスです。
引っ越しなどで生活環境が変わると、嗅覚の鋭い犬にとってその場所は落ち着かない環境となります。その不安が原因で、マーキングをするケースがあるのです。
この場合は、愛犬が早く新しい環境に馴染めるように工夫することが重要です。愛犬自身の匂いがついたアイテムや、飼い主さんの匂いがついたタオルなどを、ケージやハウスなどに入れて安心させてあげましょう。
また、人生を一緒に過ごす愛犬との生活の中では、家族構成に変化が起こることも珍しくありません。例えば赤ちゃんが生まれたり、新しい子犬などを迎えたり、といった転機が訪れる場合もありますよね。
このような家族構成の変化が起きると、愛犬が寂しさからマーキングをする可能性が考えられます。
こういった場合には、意識して愛犬とスキンシップを図るよう心掛けましょう。
赤ちゃんが家族に加われば目を離せなくなりますし、愛犬にかける時間も減ってしまいがちです。子犬がくれば、家族の注目はどうしても子犬に注がれてしまうでしょう。
中々難しいかもしれませんが、愛犬へ愛情を伝えることをないがしろにしないでください。沢山声をかけたり、少しでも遊ぶ時間を作ってあげたりなどして、「大切なのだよ、大好きなのだよ」という気持ちをしっかりと伝えてあげましょう。
◆分離不安が原因のマーキング
分離不安という言葉を聞いたことがあるでしょうか。飼い主さんと離れて過ごすことに不安を感じて、精神的・肉体的に不調を起こし、ストレスを感じることから問題行動を起こしてしまう状態のことを分離不安症、または分離不安障害といいます。
このような分離不安を抱える犬には、その不安感からいたる場所で粗相をしてしまうケースがみられがちです。これは、おしっこで自分のにおいを付けて落ち着こうという心理の現れで、決していたずらをしているわけではありません。
一見ただのマーキングだと思ってしまうかもしれませんが、日頃の愛犬の様子をチェックしてみましょう。
分離不安症となる原因も様々ですし、元々の性格が起因する場合もありますが、連続しての長時間に及ぶ留守番などが原因でストレスや不安感を抱えている可能性も考えられます。
信頼関係がきちんと築けているか愛犬との関係性を見直してみて、一緒に遊ぶ、散歩に出かけるなど、共に過ごす時間をしっかり作ってあげましょう。
◆恐怖感からくるマーキング
強い恐怖を感じたことで、思わず排尿してしまうケースもあります。人間の子供が驚いたり怖くておしっこを漏らす、という状態と似ていますね。
このような状態で粗相をした時は、強く叱りつけたり、叩くなどの行為は絶対にしないでください。更に強い恐怖を感じることで、人間不信に陥ったり、マーキングなどの問題行為が悪化する可能性も考えられます。
愛犬が恐怖を感じているのであれば、優しく撫でて落ち着けせてあげてください。
しつけを行うことと、強く叱りつけることは全く違います。日頃から十分気を付けましょう。
◆カーミングシグナルの一つ
カーミングシグナルとして、マーキング行為をするケースがあります。
この場合、自分をさらけ出して相手に敵意がないことや、仲良くしたい、という親愛の情を伝えるための方法として、おしっこをしているのです。
犬は嗅覚の鋭い動物ですよね。この嗅覚で、おしっこから重要な情報を把握することができるのです。他の犬の前でおしっこをしたときは、自分の情報源をさらけ出している、敵意がない、信頼している、といった気持ちを込めた挨拶をしているといえるでしょう。
また、飼い主さんを見つめながら愛犬がおしっこをすることもありますよね。この行為には、強い信頼が表されています。飼い主さんに対して、「全てをさらけ出しています」という想いが込められているそうですよ。
犬が室内でマーキングをしてしまう理由
マーキングにはそれぞれ意味があり、犬なりの目的や気持ちを表したり、落ち着かせるための行為であると紹介してきました。
それでは、ストレスやカーミングシグナルが原因として考えられない場合に、室内でマーキングされるのはどうしてなのでしょうか。
◆室内でのマーキング!理由はやはり縄張りの主張
愛犬が行うマーキングの理由は精神的に落ち着かない環境で生活している事が多いです。特に室内でのマーキングは、飼い主さんとの関係性がしっかりと築けていない場合や愛犬を放置している事が多いため不安や恐怖そして時間を持て余している犬に、多くみられています。一度、愛犬との関係性や落着ける環境があるかを見直してみるとよいでしょう。
室内でのマーキングに対して、恐怖で押さえつけたり、単にダメ!と怒鳴りつけるなどしても、関係悪化を助長するだけです。
愛犬との関係性を見直し、叱ることではなく、信頼関係の上に成り立った主従関係を築くことが最も大切なのです。
室内でのマーキングをやめさせる方法・対策
犬にとってマーキングが意味のある行動でも、やはり室内でされては困ってしまいます。愛犬の室内でのマーキング対策はとっておきたいですよね。
マーキング対策としてどのような方法があるのか、紹介していきましょう。
◆愛犬の活動範囲を狭くする
マーキングの主な原因は愛犬が動き回れるエリアが広ければ広いほど、自分のテリトリー広くなり不安になるため複数の場所ににおいをつけようとするでしょう。この範囲が広ければその分、飼い主さんが後始末に追われることとなりますよね。
そこですぐにできる対処法の一つとして、愛犬が動き回れるエリアを狭くする方法が挙げられます。
愛犬が入っても良い場所と、入ってはいけない場所を明確に区切るのです。
まずは愛犬の居場所を一つの部屋に決めて、他の部屋の入るのを阻止します。ゲートなどを用意すると便利ですよ。
最終的には、ケージの中が自分のテリトリーだと認識させられるのが理想です。この段階までいけば、自由に動き回れる状態でも、他の部屋でのマーキング行為がなくなる可能性があるでしょう。
◆前触れ行動を見逃さない
犬がマーキングをする前には、必ず何らかの前触れ行動を起こしています。床のにおいを嗅ぎだしたり、ソワソワしたり、片足をあげようとしたりなどの行動が一般的でしょう。
愛犬の様子を思い返してみてください。思い当たる行動がいずれかに当てはまるのではないでしょうか。このサインを見逃さないことが大切です。
前触れ行動を見掛けた際には、声をかけたり、音の出るおもちゃなどを利用して、マーキングから愛犬の気を逸らして阻止しましょう。
◆ストレス・寂しさを和らげてあげる
マーキングの原因がストレスだと感じる場合は、そのストレスを軽減してあげることが何よりも大切です。
ストレスの原因を排除したり、寂しさを感じさせている可能性があるのなら、一緒の時間を増やしてあげるなどして愛犬の気持ちに寄り添いましょう。
飼い主さんに構ってほしくて、マーキングをしてしまう子もいます。
特に環境の変化は、犬にストレスを与えやすいので注意してくださいね。
ライフスタイルに何らかの変化が訪れる場合には、愛犬の様子を普段よりもしっかり観察し、スキンシップをとる時間をきちんと作ってあげましょう。
◆臭いを残さない
以前に粗相をした場所などに臭いが残っていると、大半の犬はまた同じ場所におしっこをします。粗相をしないようしつけるのが一番ですが、おしっこをされた場合はすぐに後始末をすることと消臭を徹底しましょう。
カーペットや畳などにマーキングされた場合は、おしっこが沁み込む前に急いで後始末をすることが重要です。様々なペット用消臭グッズやお掃除アイテムも販売されていますので、必須アイテムとして常備しておいてくださいね。
◎アチコチノン
愛犬におしっこをされたくない場所に貼るだけの、手間いらずなマーキング対策アイテムです。犬にとって苦手なにおいを発するので、おしっこをしてはいけない場所を継続的に認識させることができますよ。
一度貼り付けるだけで2週間は手間いらずという利点は、飼い主さんにとって嬉しすぎるポイントですよね。マーキング対策をしたい場所が複数箇所ある家庭には、特におすすめのアイテムです。
◎マナーベルト・おむつ
最近の傾向として、人気の商品と言えば、マナーベルトやおむつが人気です。急なお出かけやまだトレーニング中の場合に使用すると良いでしょう。
マーキングをするのはオスだけじゃない?!
マーキングと聞くとオス犬が連想されるかもしれませんが、メス犬がマーキングをしないわけではありません。
避妊手術をしていないメス犬には半年に一度発情期(ヒート)が起こりますよね。この時期には普段は粗相をしない子にも、あちこちにマーキングをするケースが多くみられるそうです。
オス犬の場合は去勢手術をすればマーキング行動が軽減されるともいわれていますが、これには個体差があるので完全になくなるとは言い切れません。
しかし、いずれの場合も手術によって予防できる病気がありますので、繁殖希望がない場合は、マーキング対策に限らず手術を受けるメリットはあるでしょう。
犬のマーキングに関するまとめ
様々な原因から行われる犬のマーキング。犬にとっては本能的な行動ではありますが、室内でのマーキングに関してはしっかりと対策をとっておくことがすすめられます。
生活・飼育環境の衛生を保つことは、健康的な毎日を送る上でも重要ですよね。
まずはどのような原因からマーキング行為を行っているのか、愛犬の様子をチェックして考えてみましょう。
その原因によって適切な対処法をとることで、マーキング対策に挑んでくださいね。マーキングをされた箇所の後始末は素早く、しっかりと消臭するのがポイントですよ。
愛犬とのより良い関係性を築くためにも、マーキング行為としっかり向き合ってみましょう。
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