ケアーンテリアってどんな犬?テリア種最古の狩猟犬をご紹介!

2024.01.30

ケアーンテリアってどんな犬?テリア種最古の狩猟犬をご紹介!

みなさんはケアーンテリアと呼ばれる犬種を知っていますか? 日本では珍しい犬種ですので、名前だけを聞いて姿が思い浮かぶ方は意外と少ないかと思います。 映画「オズの魔法使い(1939)」のトト役をしていた犬がケアーンテリアだったことから、一躍有名になった犬種ですが、 ケアーンテリアは一体どのような犬種なのでしょうか。

【掲載:2020.12.06  更新:2024.01.30】


ケアーンテリアってどんな犬?

ハンモックに乗るケアーンテリア

ケアーンテリアは「テリア」と呼ばれる犬種の中で最も古い犬種と言われていますが、実際にはケアーンテリアが最古の犬種なわけではありません。
現在のテリア種たちの元となった『テリア』に最も似ている犬種がケアーンテリアとされています。

日本では珍しい犬種ですので「見たことがない!」と思われている方が多いかと思いますが、映画「オズの魔法使い(1939)」を見たことがある方は実は見たことがあるんです!
作中で主人公のドロシーと一緒に旅をする犬「トト」こそが、ケアーンテリアなのです。

オズの魔法使いで一躍有名になったケアーンテリアはどのような犬なのか、見た目や性格、特徴などをご紹介していきます。

◆大きさ

ケアーンテリアは小型犬に分類されます。
一般的な小型犬のサイズ感に近く、体高28~31cm、体重6~7.5kgが大きさの目安とされています。

◆見た目

ケアーンテリアの見た目は、長い歴史を持つテリア種の中でもほとんど改良されていないため、先祖の元々の見た目を受け継いでいます。

多くのテリア種に共通している短い脚は、テリア種が穴を掘って穴の中の動物を捕える際に適しています。
ケアーンテリアも同じように短い脚を持っていますが、家庭犬として飼われる以前は、岩場や積石の中に入り込んで害虫駆除や猟犬としての役割を持っており、コンパクトな体型を活かして活躍していました。

ケアーンテリアの耳は立ち耳が一般的で、小さめで先端が少し尖った形をしています。
マズルは短めで、あどけない可愛らしい顔立ちをしています。

そんなケアーンテリアの体型は、猟犬という過去もあり、しっかりとしている筋肉質体型です。
狩猟対象となるキツネやウサギたちが持つ鋭い歯にも負けないような体へと進化したのでしょう。

◆毛色

ケアーンテリアの毛色はさまざまで、クリーム、ウィートン、レッド、サンド、グレー、ブリンドルがあります。
次に紹介するケアーンテリアの歴史にも大きく関わりますが、ホワイトやブラックなどの毛色はケアーンテリアとしては認められず、他の犬種(ウエストハイランドホワイトテリアなど)として登録されます。

ブラックのケアーンテリアはブリンドルから毛色の変化によってブラックに見えるというもので、正確にはブラックとして生まれたテリアはケアーンテリアではありません。

ケアーンテリアの特徴としては、個体差はありますが、成長するにつれて毛色が変化していきます。
特にブリンドルと呼ばれる、基本の地色に黒や茶色、タン、ゴールドなどの毛色がストライプが入ったパターン柄の子は、七変化と言われるくらい毛色が変化します。

◆歴史

ケアーンテリアの起源は、同じくスコットランドに生息していた「スコティッシュテリア」だとされています。
昔、スコットランドに生息していたテリア種はまとめて「スコティッシュテリア」と呼ばれていました。

そのスコティッシュテリアから改良されて様々なテリア種が生み出されたのですが、毛色や地域によって種類・名称が分類されました。
スコティッシュテリアに最も外見などの特徴が似ている種類がケアーンテリアといわれており、そこからテリア種で最古の狩猟犬として知られるようになったのです。

ちなみにウエストハイランドホワイトテリアは、ケアーンテリアから生まれた犬種と言われています。
以前は、白い毛色のワンちゃんが虚弱体質を持っていると考えられていたため、ケアーンテリアから白い毛色のワンちゃんが産まれた時は変種として扱われ、遺伝性疾患を防ぐために除去されてきました。

後に白いケアーンテリアに興味を持ったブリーダーによって、白いケアーンテリア同士の交配が行われ、遺伝による体質の異常がないことが認められました。
この変種と考えられてきた白いケアーンテリアは数を増やし、正式に1つの犬種「ウエストハイランドホワイトテリア」として登録されることとなったのです。

そんなケアーンテリアは、イギリスの王「ジェームズ一世」にも愛されていました。国王から愛され、国民には国の宝として大切に扱われました。さらにはフランス王室に贈り物として献上されたこともあるほど多くの人々から愛され、親しまれたワンちゃんなのです。

◆名前の由来

ケアーンテリアは英語で『Cairn Terrier』と書きますが、Cairnとはスコットランドの昔の言葉で「石組み」や「積まれた石」という意味があります。

他のテリア種は基本的に地名を関連させて名付けられているのですが、ケアーンテリアは当時仕事をしていた石塚や岩場に関連して名付けられています。

これは、当時犬種名というものがなく、ただ「テリア」と呼ばれていたこの犬種は、ドッグショーが始まり犬種を整理し始めた時代に、すでにスコットランドを代表する地名を取り入れた名前が他の犬に対して付けられていた為、当時活躍していた「ケアーン」を付けることとなったと言われています。


ケアーンテリアの性格

◆活発

テリア種によく見られがちな性格で、ケアーンテリアも同じように活発な性格です。
とても勇敢で行動力があり、特に物怖じせずに振る舞うことが多いです。しかし、ケアーンテリアは物怖じしないあまり、何に対しても吠えてしまう傾向があるため、吠え癖がついてしまう前にしっかりとしつけておく必要があります。

また、元々が猟犬だった関係からか、動くものを追いかけてしまう性質もあります。飼い主様と遊ぶ分にはいいですが、虫や鳥、他の散歩中のワンちゃんまで追いかけようとするので、吠えることと同様に幼い頃からのしつけが必要です。

◆警戒心が強い

ケアーンテリアは縄張り意識が特に高いため、警戒心がとても強く、不審者を見つけるとすぐに吠えてくれるでしょう。視覚や嗅覚にも優れ、番犬としてはかなり優秀とも言えます。

初めて会う人や他の動物にはなかなか心を開こうとしないので、急に知らない人がたくさんいる場所に連れて行ってしまうと落ちつかなくなってしまいます。

その反面、懐いた飼い主様にはとても忠実なので、しっかりとしつけを行えば優秀なパートナーとして活躍してくれるでしょう!

◆頑固

ケアーンテリアは自己主張が強く、飼い主様の指示に納得しないと無視してしまう頑固な性格も持っています。最初のうちはなかなか従ってくれないと思いますが、へこたれずにしつけを続けることが重要です。信頼関係を築くことができればきっと素直に指示に従ってくれますよ。

◆寂しがり屋

縄張り意識が高い分、飼い主様と離れ離れになるとすぐに寂しくなってしまいます。飼い主様が外出して長時間帰ってこないと孤独を感じて無駄吠えをすることもあるので、悪い癖をつけないためにも家を長時間あけることは控えるようにしましょう。

また、その性格上、あまり多頭飼いには向かないワンちゃんともいえます。飼い主様が他のワンちゃんと仲良くしていれば嫉妬してしまい、ケアーンテリアにとってストレスになります。同居しているワンちゃんを追いかけまわす活発な性格を考えても、ワンちゃん同士がストレスを抱えることになるため、ケアーンテリアは1匹での飼育が望ましいでしょう。


飼う際の注意点

運動量が多いので、できれば毎日運動や散歩をさせてあげましょう。小型犬なので、室内でも広めにスペースを取れば散歩に出ずとも遊ばせることができます。ただ、ケアーンテリアは活発な性格なので、開放的なスペースを十分に確保して危険になりうるものを近くに置かないといった工夫が必要になります。
時間がある時はドッグランへ連れていってあげると喜ぶと思います!ボール遊びやアジリティを利用したトレーニングなど、普段と違った遊び方もできるので、ワンちゃんにとっては思い切り楽しめる場所になるでしょう。その際は、他のワンちゃんたちを追いかけまわしたり、吠えたりしないように注意深く見ておきましょうね。

また、元々狩猟犬としての役割があったことから、ソファやクッションを見つけては穴を掘るように引っ掻いたり、棚などの家具の隙間に鼻や脚をつっこんだりと本能的な行動をとることが多いです。

しつけに関しては、甘やかしすぎてしまうとワガママに育ってしまう恐れがあるので、叱るところは叱る、褒めるところはめいっぱい褒めるというようにメリハリを持ってしつけましょう。

◆お手入れの方法

被毛がダブルコートになっているため、寒さに強く暑さには弱い性質です。外での飼育は、被毛の中が蒸れてしまって皮膚トラブルに繋がりやすいというリスクがあるため、なるべく室内で飼うことが望ましいです。

ケアーンテリアは毛質が堅く、抜けることや絡まることが少ないため、週に1~2回のブラッシングで充分でしょう。ブラッシング以外にも、トップコートを綺麗に生え変わらせるためにも、指を使ってワンちゃんの毛をつまんで抜いていくストリッピングという手法でグルーミングをしてあげましょう。ただ、素人がむやみに引っ張ってもワンちゃんの皮膚を傷つけてしまうため、最初のうちはプロであるサロンスタッフに依頼する方がいいと思います。

また、皮膚病の対策としてシャンプーも有効的です。目安としては月に1度程度で良いでしょう。ストリッピングをする予定があれば、ストリッピング前2週間ほどはシャンプーを控えた方がいいでしょう。毛が滑ってしまい、うまくストリッピングできなくなるのを防ぐためです。

◆かかりやすい病気

ケアーンテリアは目の病気にかかりやすいと言われています。目の病気には、白内障、緑内障、網膜萎縮症、水晶体脱臼などがあります。目の病気が進行していくと失明する恐れもあるので、すぐ何かにぶつかるなど、ワンちゃんに少しでも違和感があるなと感じたらすぐに動物病院に行くようにしましょう。

また、遺伝的に皮膚の病気も多く、アトピー性皮膚炎や甲状腺機能低下症が発症しやすいです。アトピー性皮膚炎は幼少期に発症しやすく、激しく体を引っ掻いたり堅いものに体をこすりつけたりして痒みを抑え込もうとします。甲状腺機能低下症は高齢になるにつれて発症しやすい病気で、体のあらゆる機能が低下し、脱毛や神経症状など全身に症状が見られるようになっていきます。

どちらの病気も体質によって症状が異なるため、対策することが難しく、日々のコミュニケーションやブラッシングなどから異常を早期に発見することが重要です。発見が遅れると症状が深刻なまでに進行してしまい、回復できなくなってしまいます。早期に発見できれば治療ができるので、注意深く観察しましょう。


まとめ

いかがだったでしょうか?

なかなか日本では見かけることのない犬種ですが、どのような歴史があって生まれたのか、どのような役割を持って人と暮らしていたのかを知ると、非常に興味深い犬種だったと思います!

ケアーンテリアは頑固な性格なので、飼う際には根気が必要でしょう。初心者向けの犬種とは言い難いですが、モフモフとした可愛らしい見た目をしていて、しっかりとしつければ飼い主様に従順になる性格なのでとても育てがいのあるワンちゃんです!

テリア系の中だけでも種類がたくさんあるので、皆さんもぜひお気に入りのテリアを見つけてくださいね♪



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笹本 雅

笹本 雅

犬が好きです。小型犬でも大型犬でもとにかく犬が大好きです。これから犬種についてや豆知識や健康についてなど、幅広いワンちゃんについての情報をご提供していきます。犬好きの方にぜひとも見ていただいてご意見いただければと思います!

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