1.犬はなぜしゃっくりをするのか
1-1.犬のしゃっくりとは
1-2.犬がしゃっくりをする理由
1-3.子犬がしゃっくりをする理由
3.病気の可能性があるしゃっくりとは
3-1.胃腸の病気の場合
3-2.脳の病気の場合
3-3.肺や心臓の病気の場合
4.犬のしゃっくりを止める対処法
4-1.お腹や喉を撫でてあげる
4-2.しゃっくりを忘れさせる
4-3.呼吸を数秒止める
4-4.飼い主さんの指を舐めさせる
4-5.お水を飲ませる
4-6.軽い散歩に行く
4-7.驚かすのはNG
5.犬のしゃっくりを予防する方法
5-1.早食いをさせない
5-2.フードの大きさや形を工夫する
5-3.ストレスや不安をなるべく与えない
5-4.興奮させない
犬はなぜしゃっくりをするのか
◆犬のしゃっくりとは
犬のしゃっくりは、あまり頻繁に起きるものではありません。
犬がしゃっくりを起こすと、お腹や胸の辺りから上半身が、ヒクッと動くのが分かります。
人間と同様、犬も、横隔膜(胸部と腹部を仕切る薄い筋肉の膜)が痙攣すると、しゃっくりが出ます。
横隔膜の痙攣が起きる原因そのものは、医学的にも明らかになってはいませんが、呼吸中枢や横隔神経が刺激されるとしゃっくりが起きるとされています。
しゃっくり自体は生理現象なので、通常、心配する必要はありません。
ただし、何度も繰り返したり、長く続いたりする場合には、病気のサインの可能性があるので注意が必要です。
病気の可能性については、後述します。
◆犬がしゃっくりをする理由
犬のしゃっくりのきっかけとして多いのは、早食いや、不安、ストレス、興奮などに起因する呼吸の乱れです。
早食い
早食いをする犬は、フードを噛まずに丸呑みしています。
このため、急に胃が大きくなったり、フードと一緒に飲み込んだ空気で胃が膨張したりして、横隔膜が刺激され、しゃっくりが出ることがあります。
食事中や食後に出ることが多いようなら、早食いが原因かもしれません。
フードが合っていない
ドッグフードが愛犬の体質に合っていない場合、消化の際に必要以上のガスが生じてしまい、そのガスを抜くためにしゃっくりが起きることがあります。
ドッグフードは、ドライからウェットまで硬さも様々で、犬種や年齢、ライフステージなどに合わせて必要な栄養を計算して作られています。
食後のしゃっくりの原因として、ドッグフードの成分自体が合っていない、硬さが合っていないなども考えられます。
特に、柔らかいフードから硬いフードへ移行していく際に、起こしやすくなるようです。
不安やストレス
犬も、不安やストレスを感じていると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて、自律神経の乱れを生じます。
その影響で、呼吸が乱れて浅くなり、しゃっくりも出やすくなるようです。
引っ越しをした、留守番が増えたなど、生活環境が変わることでストレスを感じる子は多いです。
不安そうにしている、今まではしなかったいたずらをするようになったなど、気になることはないでしょうか?
思い当たることがあれば、原因はストレスや不安かもしれません。
◆子犬がしゃっくりをする理由
子犬のしゃっくりの原因は、ほとんどが食事と言われています。
食欲旺盛な成長期の子犬は、ごはんを待ちきれず、一気に食べてしまってしゃっくりを起こすことが多いです。
早食いをしなくても起こす場合は、フードが合っていない可能性があります。
また、家庭に迎えられたばかりの子犬は、親から離れ、目まぐるしい環境の変化を体験しています。
その中で不安やストレス、緊張を感じていることも少なくありません。
逆くしゃみとしゃっくりの違い
しゃっくりと似たような症状として、「逆くしゃみ」があります。
逆くしゃみとは、犬が突然、息を何度も吸い込みながら、鼻をズーズーと鳴らす動作のことです。
「クシュン」と鼻から外へ息を出すくしゃみとは逆に、息を吸い込みながら鼻を鳴らします。
小型犬や、パグやシーズーなどの短頭種で起きやすい症状です。
息が苦しそうに見えるので、驚いたり心配したりする飼い主さんも多いですが、ほとんどの場合、命にかかわるものではなく、数分で治まります。
あまりに頻繁に逆くしゃみを起こす場合や中高齢になってから発症した場合には、異物や腫瘍、ひどい炎症などが原因の場合もあるので、動物病院で診察を受けましょう。
その際、動画を撮影していくと診察がスムーズになります。
病気の可能性があるしゃっくりとは
基本的には生理現象であり、しばらくすれば治まるしゃっくりですが、頻繁に起きる、長く止まらないなどの場合には、病気の症状の一つかもしれません。
では、しゃっくりの原因となる病気には、どんなものがあるのでしょうか?
◆胃腸の病気の場合
しゃっくりを引き起こす胃腸の病気には、胃拡張、胃捻転、食道炎、胃潰瘍、寄生虫などがあります。
吐きたそうな仕草や嘔吐を伴う場合、胃腸の病気の可能性があります。
特に、胃が拡張してねじれて、ゲップが出ない状態となる胃捻転では、ショック症状に伴ってしゃっくりが出ることがあります。
命にかかわることもある重篤な症状なので、早急に動物病院に連れていきましょう。
◆脳の病気の場合
しゃっくりとともに呼吸困難や痙攣などがある場合には、脳の病気の可能性があります。
脳からの神経伝達に異常が起こり、正常な伝達が行われないために起きる症状で、てんかんや脳梗塞、脳卒中が疑われます。
できるだけ早く、獣医師さんに相談してください。
◆肺や心臓の病気の場合
喘息や肺炎、胸膜炎などの呼吸器系の病気が原因のしゃっくりもあります。
喘息の場合、咳が特徴でゼーゼーと音がすることがあり、肺炎や胸膜炎の場合には、呼吸困難につながることもあります。
また、心臓肥大や心膜炎で心臓に何らかの不具合が生じると、咳や呼吸が荒くなる症状が現れることがあります。
犬のしゃっくりを止める対処法
生理現象であり特に心配のないしゃっくりでも、飼い主さんも犬自身も驚いてしまいます。
しゃっくりが出るのは苦しいものですし、早く止めてあげたいですが、まず飼い主さんが落ち着くことが先決です。
そのうえで、愛犬が落ち着くように対処していきます。
◆お腹や喉を撫でてあげる
犬自身が落ち着くと、しゃっくりが治まることも少なくありません。
まず、優しく抱き留めるなどして愛犬の動きを止め、落ち着くような雰囲気を作ります。
飼い主さん自身も落ち着いて呼吸を整えて、愛犬の喉やお腹を優しくゆっくりと撫でてあげましょう。
胃と肋骨の間のみぞおちを、手のひらでやさしく撫でたり押したりすると、横隔膜の痙攣を抑えられるとされています。
◆しゃっくりを忘れさせる
犬もしゃっくりが気になっていると、落ち着きません。
ベランダなどに出て、屋外の匂いを嗅いだり外の風を感じたりすると、しゃっくりをしていることを忘れる可能性があります。
または、室内で「フセ」などのコマンドを出して、しゃっくりから犬自身の意識を逸らせましょう。
◆呼吸を数秒止める
マズルをそっと握り、逆の手の指で犬の鼻の穴を塞いで、ほんの数秒間、呼吸を止めさせます。
これを繰り返していると、治まる場合があります。
ただし、嫌がる子には無理にしないようにしましょう。
愛犬と飼い主さんの間に信頼関係が築かれていて、飼い主さんにどこを触られても大丈夫な子にだけ使える方法です。
日ごろから歯磨きに慣れているような子には、試してみるといいかもしれません。
◆飼い主さんの指を舐めさせる
少量のバターやペースト状のおやつをつけた飼い主さんの指を舐めさせてみるのも、おすすめです。
舐めるという動作を続けているうちに呼吸のリズムが変わって、治まることがあります。
◆お水を飲ませる
人と同様に、水を飲むことで落ち着く場合もありますが、
ガブ飲みをして空気がまた胃に入って再びしゃっくりが起きたり、誤嚥(誤って気管に入ってしまうこと)を起こして肺炎の原因になったりすることもあります。
少量を食器に入れたものや濡らした飼い主さんの指先を舐めさせたりするのが、おすすめです。
◆軽い散歩に行く
軽い運動で呼吸のリズムが整って、治まる場合もあります。
愛犬の様子を見て、ひどいしゃっくりではなく、犬自身も散歩に行きたがる素振りがあれば、軽く散歩をしてみましょう。
しっかりと運動させると呼吸が整わないので、あくまで軽い散歩にとどめておきます。
◆驚かすのはNG
人間は、驚かすことで止まるということもあります。
しかし、驚かすという方法は、犬が怖がってしまい、逆に呼吸が乱れる可能性が高いので、おすすめできません。
犬のしゃっくりを予防する方法
◆早食いをさせない
早食いの癖がある子には、早食いができないような工夫をしてみましょう。
1回のフード量を減らして食事の回数を増やすと、1回に飲み込む空気の量が減り、しゃっくりを起こしにくくなります。
また、早食い防止用のフードボウルを使うのもおすすめです。
フードボウルの中に複数の突起があったり、迷路状になっていたりして、一気に食べることができないようになっています。
ネット通販でも様々なタイプが販売されているので、検討してみてください。
◆フードの大きさや形を工夫する
ドライフードの粒のサイズや形状が変わることで、しゃっくりを起こさなくなる子もいます。
粒のサイズや形状の異なるフードを試して、しゃっくりを起こさないものに切り替えるのも予防法の一つです。
ドライフードを替えてみても起こすようなら、フードの硬さを変えてみましょう。
ドライフードをふやかす、セミモイストタイプに替える、ウェットフードと混ぜるなど工夫をしてみてください。
◆ストレスや不安をなるべく与えない
原因がストレスや不安の場合、しゃっくりを起こす状況や精神状態を日ごろからよく観察しましょう。
ストレスや不安の原因を取り除き、愛犬をしゃっくりが出やすい状況に置かないように気をつけてあげてください。
◆興奮させない
興奮から呼吸が乱れてしゃっくりをする子の場合、興奮させすぎないように気をつけましょう。
犬は、飼い主さんに釣られやすい面があります。
飼い主さんが落ち着いた態度で接することで、愛犬も落ち着いていることができるでしょう。
高すぎる声や大きな声、オーバーな反応などは、犬を興奮させてしまうので避けてください。
フードを前にすると興奮する子の場合、まず「オスワリ」→「マテ」→「ヨシ」のコマンドのトレーニングをして、落ち着いてから食べさせる習慣をつけましょう。
愛犬が興奮している場合、「フセ」や「マテ」のコマンドで動かずにいられる体勢を取らせます。
興奮させないように、また興奮を鎮められるような、日ごろからの訓練が大切です。
まとめ
犬のしゃっくりも、人間の場合と同様、何らかのきっかけで横隔膜の痙攣が起きることで生じる生理現象です。
通常、そのままでも数分で止まるので、飼い主さんは落ち着いて対処してあげましょう。
犬の場合、早食いや、ストレス、不安による呼吸の乱れが原因となっているケースが多いです。
早食いを防止したり、ストレスや不安の元を取り除いてあげたりすることで、しゃっくりの予防は可能です。
もし、しゃっくりが頻繁に起きたり長く続いたりするなら、病気のサインの場合もあるので注意しましょう。
気になる症状がある場合には、できるだけ早く動物病院を受診してください。
その際には、始まった時期、頻度、どのくらい続くか、直前の様子などを整理して、獣医師さんに伝えましょう。
しゃっくりや他の症状が起きている様子を動画に撮影して、見てもらうのもおすすめです。
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