王侯貴族に愛された犬!ボロニーズの魅力や特徴、かかりやすい病気

2021.03.09

王侯貴族に愛された犬!ボロニーズの魅力や特徴、かかりやすい病気

ボロニーズという犬種をご存知ですか?ビション・フリーゼやマルチーズと似た、真っ白な被毛を持つ超小型犬です。ボロニーズという名前は、イタリアのボローニャ生まれであることに由来しています。歴史が古く、ヨーロッパの王侯貴族に愛されたボロニーズは、日本では希少犬種であり、出会う機会は多くありません。そんなボロニーズについて、歴史から特徴、性格、気をつけたい病気まで、詳細に解説します。

ボロニーズの歴史

ボロニーズの歴史は古く、11世紀ごろには存在していたようです。
よく似た真っ白な被毛を持つマルチーズやビション・フリーゼなどと同じ祖先をもつと考えられていますが、正確には明らかになっていません。
ルーツは、紀元前3世紀から紀元後4世紀のローマ時代にまでさかのぼるという説もあります。
イタリアのボローニャ地方原産であることからボロニーズと名づけられ、ヨーロッパの王侯貴族に愛されてきました。
高貴な人々への贈り物となることも多く、貴族から2頭のボロニーズを献上されたスペイン国王フェリペ2世は、礼状に「これらの2頭の小さな犬は皇帝に贈ることのできる最高の贈り物だ」と書いたとか。
ロシアの女帝エカテリーナ2世やオーストリアの女帝マリア・テレジア、フランスのポンパドゥール夫人といった著名な貴婦人たちの愛犬としても知られています。
また、イタリアのメディチ家が、ブリーダーとして繁殖したボロニーズを貴族たちへの贈り物にしていたという逸話も残っています。
ゴヤ、ブリューゲル、ティツィアーノといった画家たちが描いた絵画にも、王侯貴族とともにボロニーズの姿を見ることができます。
世界的に市民革命が起きて王侯貴族の地位が下がると、愛玩犬の人気も衰え、ボロニーズも少しずつ減少していきました。
しかし、残った貴族階級の人々に愛され続けたため、20世紀初頭の戦乱の時代にも極端に数を減らすことなく、絶滅の危機に見舞われることはありませんでした。
第二次世界大戦後、イタリアの繁殖家の手により数を増やしたボロニーズは、一般の人にも手の届く犬種となり、1980年代以降、アメリカやイギリスへの輸出も始まりました。
現在まで流行犬種になることはなく、イタリア以外ではあまり飼育数は多くありませんが、ジャパンケンネルクラブ(JKC)の犬種登録数では、常に70位前後に入っています。
正式名称は、「ビション・ボロネーゼ」で、「ボローニャの巻き毛の犬」という意味です。


ボロニーズの特徴

◆外見

ボロニーズは、体長と体高がほぼ等しく、正方形のようなスクエアな体型をしています。
体高はオスで27~30cm、メスで25~28cm、体重は2.5~4kgが理想サイズで、毛のボリュームがあるため一回り大きく見えますが、華奢な超小型犬です。
脚はまっすぐで、体の大きさとバランスの良いサイズの頭部はわずかに卵形をしています。
ダークなカラーの目はくりくりと丸く、耳は垂れ耳です。
ふさふさのしっぽは、ゆるく巻いていて、背中に乗っています。

◆被毛(毛色など)

ボロニーズの特徴でもある真っ白な被毛は、巻き毛の長毛です。
柔らかな被毛は絹のような手触りで、毛質はシャギーコートと呼ばれるむく毛です。
毛色はピュア・ホワイトのみが認められ、ドッグショーに出展する場合には、わずかなシェードや斑も失格となります。
もちろん、家庭犬としてはシェードや斑があっても全く問題ありません。
子犬期には、シャンパンカラーの模様がある子もいます。
シングルコートで、抜け毛は多くありません。


ボロニーズの性格

ボロニーズは、明るく素直で、落ち着いた性格をしています。
小型犬にありがちなヤンチャなところは少なく、見た目通りのとても上品で大人しい犬種です。
一方、陽気で遊び好きな一面も兼ね備えています。
忠実で人懐っこいので、初心者や年配の方でも、比較的飼いやすい犬種と言えます。
見知らぬ人に対しても多くの場合フレンドリーですが、誰にでも寄って行くような社交性はありません。
攻撃性は低いですが、初対面ではしばらく観察して、安心できると判断しないと心を開くことはないと言われ、犬らしい気質も垣間見えます。
愛玩犬として愛されてきた犬種だけに、飼い主さんに構ってもらうことが大好きなので、コミュニケーションのためにもボール投げや引っ張りっこをしてあげると喜びます。
一度心を開いた相手にはとことん甘えん坊になったり、いつもそばにいたがる寂しがり屋になったりする一面もあります。
臆病なところがあり、自分より体の大きな犬を苦手とする個体が多く、多頭飼育にはあまり向いていないかもしれません。


ボロニーズの気を付けたい病気

ボロニーズは比較的健康な犬種ですが、股関節・肘関節形成不全やレッグ・ペルテス症など小型犬に起きやすい疾患が起きる可能性があります。

◆股関節形成不全

股関節は後ろ脚の付け根にある関節で、骨盤と大腿骨(だいたいこつ)を連結しています。
股関節形成不全は、股関節に異常が生じて、かみ合わせが悪くなる病気です。
遺伝性の場合もありますが、成長期に過度な運動をさせたり、体重の急激な増加によって骨に負担がかかったりすると発症します。
股関節形成不全の症状は、生後4ヶ月~12ヶ月ごろに確認されることが多いですが、2~3歳になってから現れる場合もあります。
症状としては

・横座りをする
・腰を振るように歩く(モンローウォークと言われます)
・四肢を突っ張るように歩く
・うさぎ跳びのように後ろ脚を一緒に動かして走る
・立ち上がるのに時間がかかる
・高いところからの上り下りや、運動を嫌がる
・立っている時、後ろ脚の左右の接地点の間隔が狭い

などがあります。

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犬の病気はいろいろありますが、あまり聞きなれない「股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)」という病気を知っていますか?遺伝的な病気のイメージがありますが、環境によってもかかる可能性があるそうなので、愛犬の健康維持のためにも、病気の特徴や予防法などを抑えておきましょう。

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◆肘関節形成不全

肘関節(ちゅうかんせつ)は、上腕骨(じょうわんこつ)、橈骨(とうこつ)、尺骨(しゃっこつ)の3本の骨で形成されています。
肘関節形成不全は、これらの骨の異常により発症する病気で、関節がうまくかみ合わなくなることにより、二次的に関節炎を起こし痛みが出ます。
遺伝的要因が高いと言われていますが、外傷、栄養、肥満が関与することもあるとされています。
初期症状は、生後4ヶ月~7ヶ月頃に見られる前脚の跛行(はこう;脚を引きずること)です。
はじめの頃は、休息後に立ち上がったときなどに一時的に歩き方の異常が見られます。
進行すると関節炎を起こし、運動時に症状が悪化したり、歩行異常が持続して見られたりするようになります。
その他、

・痛みから前脚を上げて歩く
・肘を曲げるのを嫌がる
・立った時の肘の状態が不自然
・肘関節の腫れ
・筋肉が落ちて前脚が細くなる

などの症状が見られることもあります。

◆レッグ・ペルテス症

レッグ・ペルテス症は、大腿骨頭壊死症とも呼ばれます。
大腿骨頭とは、太ももの骨の上端にある骨盤との連結部です。
レッグ・ぺルテス症は、大腿骨頭への血液の供給量が不足して、骨頭が壊死することで起こる病気です。
多くの場合、片方の足に起こりますが、まれに両方の脚で起こる場合もあります。
小型犬で、1歳以下の成長期に発症しやすいと言われています。
はっきりとした原因は不明ですが、遺伝的要因も影響していると考えられています。
股関節の痛みに伴い、後ろ脚の歩き方に異常が現れ、

・足をかばうように歩く
・体重が乗らないように足先だけをちょこんと地面につけて立つ
・足を上げたまま3本足で歩く

などの症状が見られます。
痛みが強い場合には、痛みがある側の腰付近を触ると、痛がって鳴く、怒るなどの症状が見られることもあります。

◆膝蓋骨脱臼

膝蓋骨とは、後ろ脚の膝にあるお皿のような骨です。
膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨が正常な位置から内側または外側に外れてしまう状態を言います。
小型犬では、内側への脱臼(内方脱臼)が多く見られます。
原因としては、先天的に膝関節やその周囲の形態に異常がある場合や、後天的な外傷や骨に関連する栄養障害などがある場合が挙げられます。
症状は、無症状から歩くことが困難な状態まで幅広いです。

◆外耳炎

外耳炎とは、外耳の皮膚に炎症が起きることを言います。
垂れ耳の犬種に発症しやすいため、ボロニーズも注意が必要です。
原因は、湿気、異物、細菌、ダニなどの寄生虫、アレルギーなど様々です。
症状は、

・耳の赤みや悪臭
・耳垢の増加

などです。
また、耳の痒みや痛みのため、首を振ったり、後ろ足で耳を引っ掻くような仕草を見せたりするようになります。
予防策は耳を清潔に保つことで、定期的な耳掃除や、シャンプーが耳に入らないよう気をつけることなどです。

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犬の外耳炎は耳の穴から鼓膜までの間の管(外耳道)に炎症が起きることを指します。 外耳炎の症状は、痛み、痒み、耳垢の変化から始まり、悪化すると自律神経系の症状も出ます。 外耳炎を繰り返していると、耳血腫という耳の内出血も置きやすく、慢性化すると手術が必要になることもあります。 原因は細菌、真菌(カビ)、耳ダニ、外傷など様々で、治療法も原因に合わせ多種多様です。 感染率の高い外耳炎を避ける為には、毎日の健康チェックで外耳炎を未然に防ぐ事が大切です。 犬の外耳炎について、詳しく確認してみましょう。

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◆白内障

白内障とは、通常は透明な水晶体の一部あるいは全部が、何らかの原因で白く濁ってしまう病気です。
加齢に伴う「老年性白内障」と、若いうちに発症する「若年性白内障」などがあります。
老年性の場合、多くは6歳以上で発症し、若年性の場合、遺伝的な素因があるとされ、2歳くらいまでに症状が現れるようです。
進行すると、水晶体の白濁が強くなり、視覚障害が現れます。
視覚障害では、

・柱や壁によくぶつかる
・段差につまずく
・階段の昇り降りや暗いところを嫌がる
・少しの物音でも驚くようになる

など行動異常が見られるようになります。

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犬の白内障は、目の水晶体が白い濁りのある状態になる病気です。見えにくい、視野が欠ける、光がまぶしい、物にぶつかるなどの症状があり、最悪の場合は失明に至ります。犬の白内障の原因は、遺伝や老化、紫外線、外傷、他の病気による合併症など様々です。 犬の白内障とはどんな病気なのか?原因は?白内障になりやすい犬種は?完治はするの?など気になる点を詳しくご紹介します。

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◆涙やけ

真っ白な被毛だけに、涙やけが目立ちます。
涙やけは見た目の悪さだけではなく、放置すると目の周囲で雑菌やバクテリアが繁殖しやすくなるので、注意が必要です。
ひどくなると、重い細菌感染症を引き起こして、他の病気を発症する場合があります。

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犬の涙やけは、涙が溢れてしまう「流涙症」のことで、目の周辺の皮膚が炎症を起こしたり、被毛が変色したりします。涙やけの原因は鼻涙管の閉塞や異物の混入、アレルギー反応、目の病気や栄養の偏りなど様々です。治療法は異物を取り除く、原因病を治療する、食事を変えるなどの方法があり、手術が必要なこともあります。 今回は、犬の涙やけについて詳しくご紹介します。

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ボロニーズの価格

ペットショップでは10~20万円、ブリーダーで12~30万円、ブリーダー直販のペットショップでは20~30万円です。


ボロニーズの飼い方

◆散歩

激しい運動は必要ありませんが、気分転換や社会性を育てるために、子犬の頃から1回20~30分程度の散歩を1日1~2回行いましょう。

◆食事

ボロニーズは、小型犬に起きやすい関節の病気にかかる可能性があります。
また、やや太りやすい体質をしています。
運動量が少ないため、食事やおやつの与えすぎは肥満につながり、関節の負担を増すので、食事管理が大切です。

◆しつけ

犬としての賢さは普通ですが、飼い主さんの言うことをよく理解しようとするため、教えたことをすぐ覚え、しつけやすい犬種です。
ボロニーズは、褒められることが大好きで、褒められたいという気持ちから行動をします。
上手にできた時には、思い切り褒めてあげましょう。
逆に、無視されたり怒られたりするのは苦手で、ストレスから神経質になることもあります。

◆お手入れ

抜け毛は少ないですが、細く柔らかな毛は毛玉ができやすいので、毎日ブラッシングやコーミングをしてあげるとよいでしょう。
トリミングは、月1回程度が目安です。
白い被毛は、涙やけやよだれやけで赤茶色に変色しやすいため、目や口の周りは清潔に保ちましょう。
垂れ耳なので耳のトラブルを起こしやすく、耳のケアも忘れないようにしましょう。

◆室内飼育

人間と過ごすことが大好きな犬種なので、屋外での飼育には向いていません。
フローリングは足腰に負担をかけるので、滑りにくいワックスをかける、マットを敷くなどの配慮が必要です。
暑さには比較的強いと言われますが、日本の高温多湿な夏の環境に適しているとは言い難いです。
夏はエアコンを常時使用して、快適な空間を作ってあげましょう。
逆に、寒さには弱いため、暖かな毛布などを用意したり、必要に応じて服を着せてあげたりするとよいでしょう。
ただし、服を着せたままにすると蒸れの原因になるので、こまめに脱ぎ着させてあげてください。


まとめ

ビション・フリーゼやマルチーズによく似たボロニーズは、王侯貴族に愛されてきた超小型犬です。
小型犬にありがちなヤンチャさは少なく、上品で大人しい性格をしています。
人の傍にいることが好きで甘えん坊なボロニーズは、しつけもしやすく、初心者や年配の方でも飼いやすいでしょう。
原産国であるイタリア以外では飼育数が多くなく、日本でもあまり見かけない犬種ですが、低アレルゲンの犬種として注目を浴びています。
最近では、ブログで人気のボロニーズもいるので、一度、覗いてみてはいかがでしょうか?



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。


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