1.ファラオ・ハウンドにはどんな特徴がある?
1-1.スタイル抜群・ほっそり体型の大きな犬
1-2.運動神経ばっちり
1-3.ツヤのある短毛ですっきりした見た目
1-4.アヌビスのモデルとなった犬とも言われている
1-5.長い歴史を辿った犬
1-6.とても寒がりやさん
1-7.かなりの希少犬種
1-8.社交性はばっちり!陽気なワンちゃん
1-9.愛する家族には甘えたがる
1-10.ときには頑固な一面も
1-11.比較的健康的な体質
2.ファラオ・ハウンドの飼い方でおさえておくポイント
2-1.冬場の温度管理は徹底しよう
2-2.運動量が足りない生活はNG
2-3.体のお手入れはしっかりと
2-4.栄養のある食事で体力をつけてあげる
2.本能をコントロールするための「しつけ」
ファラオ・ハウンドにはどんな特徴がある?
まずは、「見た目」「歴史」「性格」など、たくさんの観点からファラオ・ハウンドの特徴を挙げていきます。
ファラオ・ハウンドとは、どんな犬種なのでしょうか。
◆スタイル抜群・ほっそり体型の大きな犬
ファラオ・ハウンドは、全体的にほっそりした体型をしています。
逆三角形の輪郭、真っ直ぐ上を向いたろうそくの炎のような形の耳、ちょっとつぶらで琥珀色の美しい瞳が特徴的です。
小顔で足も細くスタイル抜群、力強さも感じられます。
ファラオ・ハウンドの体高は、オスが56~63センチ、メスが53~61センチほど。
体重は、オスもメスも18~27キロ前後が平均的です。
スリムですが、体は大きい犬種です。
体重25キロを超えると大型犬と言われることが多いため、ファラオ・ハウンドは「中型犬」もしくは「大型犬」のどちらにも当てはまる犬種と言えそうですね。
◆運動神経ばっちり
ファラオ・ハウンドは、原産国の「マルタ」ではウサギ狩りで活躍していました。
そのため、とても機敏で走ることはもちろん、ジャンプ力にも長けています。
ドッグスポーツなどに挑戦すれば、素晴らしい俊敏な動きを見せてくれるでしょう。
また、広い場所でのびのびと動くことが大好きなので、狭い環境では窮屈に感じるかもしれません。
ファラオ・ハウンドは、広い住宅環境を持ち、アクティブに動けるアウトドア派の飼い主さんにぴったりです。
◆ツヤのある短毛ですっきりした見た目
ファラオ・ハウンドは光沢のある短い被毛に包まれています。
短毛なので、スリムな体型が際立って見えますね。
また、毛色として認められているのは、「タン」もしくは「リッチタン」です。
やや濃い茶色をしていて、足の先や胸周りには「スター」と呼ばれる星に似ている模様が出ることもあります。
◆アヌビスのモデルとなった犬とも言われている
ファラオ・ハウンドは、アヌビスのモデルになった犬とも言われています。
「アヌビス」とは、エジプト神話に登場する多数の神々のうちのひとつで、頭が犬で体が人間だそうです。
ファラオ・ハウンドは、そのモデルではないかという説もあります。
また、「ファラオ」とは、古代エジプトの国王を指す言葉。
エジプトの遺跡に残っていた古い絵画や像のなかに、ファラオ・ハウンドにそっくりな犬が描かれていたとも言われています。
実際に、ファラオ・ハウンドがアヌビスのモデルとなったかどうかは定かではありません。
でも、“ファラオ”と呼ぶにふさわしい神秘的な見た目がファラオ・ハウンドの大きな魅力と言えるでしょう。
◆長い歴史を辿った犬
「古代エジプトと関連あり」という話を聞くと、エジプト生まれの犬種のようなイメージを持つかもしれません。
ファラオ・ハウンドの祖先となった「チズム」という犬は、起源前3000年ごろにはすでにエジプトで生きていたと言われています。
「紀元前のエジプトでガゼルを狩る猟犬として活躍していた犬」を商人がマルタ島などに持ち込んだことがファラオ・ハウンド誕生のきっかけという説があります。
ファラオ・ハウンドの祖先となったチズムは、そのほかのグレイハウンドやイビザン・ハウンド、バセンジーなどのもとにもなっていると言われています。
現在、ファラオ・ハウンドはマルタ共和国を代表する国犬ですが、エジプトにいた犬をマルタに持ち込んだ後に発展しました。
島に入ってからは、ほかの犬種を混ぜることなく純血が守られ、現在の「ファラオ・ハウンド」という犬種ができていったと考えるべきでしょう。
マルタに連れ込まれた犬は、ウサギ狩りをするときの狩猟犬として活躍しました。
とても優秀な仕事をする犬で、1930年過ぎにイギリスへと渡った後には、世界へと名をはせていいきます。
ファラオ・ハウンドという犬種名で公認されていますが、「ケルブ・タル・フェネック」という別名もあります。
これは「ウサギを狩る犬」というマルタ語で、ファラオ・ハウンドが狩猟犬として優れた能力の持ち主だということを表しています。
◆とても寒がりやさん
温暖な気候のもとで生まれたファラオ・ハウンド。
すっきりとした短毛で、暑さには強いです。
しかし、逆に寒さには弱いので注意しなければなりません。
◆かなりの希少犬種
ファラオ・ハウンドは、日本では希少な犬種です。
ジャパンケネルクラブによる「犬種別犬籍登録頭数」では、2016年には9頭、2018年には8頭、2019年にはわずか1頭という記載が見られます。
変動があるかもしれませんが、年間登録数は10頭に満たないほどかなり珍しいワンちゃんだということが分かりますね。
世界的にも、希少な犬種です。
◆社交性はばっちり!陽気なワンちゃん
細身ながらにもたくましさが感じられるファラオ・ハウンド。
一見、近づきがたい神秘的な印象を受けるかもしれません。
でも、そんな見た目とは違い、実際には人との交流が大好きな性格をしています。
基本的には、穏やかです。
争いは好まないタイプで、ほかの犬がいても持ち前の社交性で仲良く過ごそうとするでしょう。
多頭飼いもこなしてくれる犬種です。
◆愛する家族には甘えたがる
クールな雰囲気の表情をしているファラオ・ハウンドですが、家族になると愛情たっぷりに接してくれます。
運動神経が良く活発に過ごすこともありますが、飼い主さんとまったり過ごすのも大好きです。
遊んで欲しくて近くに寄り添ったり、構って欲しくてジャンプでアピールしたりなど、甘えん坊なところもあります。
◆ときには頑固な一面も
フレンドリーで明るいファラオ・ハウンドも、ときには神経質な一面を見せることもあります。
猟犬だったときにハンター気質があるためか、自立心が高めです。
基本的に反抗することは少ないですが、ナーバスになると頑なに嫌がるときもあります。
狩猟で培った賢い頭脳で判断能力がある犬種です。
自己主張を見せたときには根気よく向き合いましょう。
◆比較的健康的な体質
マルタに持ち込まれてからは純血を守って発展していったファラオ・ハウンド。
いろいろな犬種が混ざっていることもないため、体は丈夫な傾向にあります。
一般的に体の大きな犬は短命傾向ですが、ファラオ・ハウンドは遺伝的な疾患が少ないおかげで、寿命は11~14年ほどとやや長生きと言えるかもしれませんね。
ファラオ・ハウンドの飼い方でおさえておくポイント
ファラオ・ハウンドを飼うときに、おさえておきたいポイントをいくつかお伝えします。
◆冬場の温度管理は徹底しよう
マルタで育ったファラオ・ハウンドは、日本の寒い冬は苦手です。
室内飼いは基本中の基本ですが、屋内だからといって「玄関や廊下」などは暖房環境がなく寒いでしょう。
ファラオ・ハウンドは、薄い皮膚の大きな耳をしています。
寒さが原因の血行不良により、耳にしもやけが起こることがあります。
暖房環境が整った室内で、暖かく生活させてあげましょう。
また、短毛なので、お腹の皮膚も薄めのファラオ・ハウンド。
冷たい感覚を受けやすいので、「寝床にふわふわの毛布を入れる」「場合によっては洋服を着せる」などの寒さ対策も考えてもいいかもしれませんね。
低温やけどの心配もあります。
温風が直接あたるところに長く座っている、電気カーペットの上に寝てばかり…などでは、いつの間にか皮膚が傷むことがあるので気をつけましょう。
◆運動量が足りない生活はNG
前述したように、ファラオ・ハウンドはアクティブな性格をしています。
散歩をするときは、「家の近場で単調に歩くだけ」「たった数分散歩に行く」などでは物足りなく感じるワンちゃんです。
ファラオ・ハウンドのスタミナを刺激するように、散歩時間は「1回1時間ほど1日2回」とたっぷり確保してあげてくださいね。
また、どきどきはドッグランへと連れ出し、思いっきり走らせてあげる機会を作りましょう。
◆体のお手入れはしっかりと
被毛が短いので、汚れがつきにくいでしょう。
基本的には、ときどきのブラッシング程度でもOKです。
ただ、外で遊ぶ機会も多いワンちゃんなので、皮膚の汚れは適切なタイミングで取り除いてあげることが大事。
散歩の後には、タオルでマッサージを兼ねて体全体を拭いてあげるだけでも皮膚の清潔につながります。
体の汚れの具合を見ながら、適度なタイミングで丁寧にシャンプーをしてあげましょう。
◆栄養のある食事で体力をつけてあげる
体が大きく運動量が多いファラオ・ハウンドですが、それほど食に執着しないタイプです。
そのため、「食が細い」と感じることがあるかもしれません。
しかし、食べないからと言って量を与え過ぎるのはやめましょう。
ファラオ・ハウンドの食事は、「量より質」に配慮したいところ。
栄養バランスが充実した“総合栄養食”と記載されているドッグフードを食べさせましょう。
あまり量を食べないときには、高カロリーのタイプをあげれば栄養を摂取することができます。
ただ、年齢に合わせたステージのものを与えてくださいね。
子犬からシニアまで、さまざまなタイプがあります。
体重に合わせて与え過ぎに注意し、食事管理をしていきましょう。
◆本能をコントロールするための「しつけ」
ウサギ狩りの名手でもあったため、小動物に反応してしまうファラオ・ハウンド。
自分よりも小さい動物を見ると、気持ちが高ぶり、そして追いかけたくなる衝動にかられてしまうでしょう。
ハムスターやウサギといった小動物との同居は難しいかもしれません。
また、ファラオ・ハウンドより小さな動物に会う機会は、散歩に行くとしょっちゅうあります。
猫もファラオ・ハウンドの狩猟欲を掻き立ててしまう動物なので、散歩中に猫を見つけて急にダッシュされると危ないです。
ファラオ・ハウンドの動きをコントロールできるしつけをしなければ、引っ張られた飼い主さんが転倒するリスクもあるでしょう。
ファラオ・ハウンドは、頭が良く飲み込みが早い犬種ですが、「頑固」「臆病」という面があり好き嫌いがハッキリしているところがあります。
飼い主さんのしつけの取り組み方によっては苦労するかもしれません。
基本的に、人間からの指示に対しては従順なタイプです。
ただ、しつけの最中に飼い主さんがイライラしたり、厳しくしたりなどの態度を取ると、信頼関係が崩れてしまいます。
自立心の高いファラオ・ハウンドは、「自分で判断する」と考えるため、トレーニングが続かなくなることもあるでしょう。
飼い主さんに甘えたがりなところがあるので「褒めて伸ばす」をしつけの方向性にしていくと、取り組みやすいかもしれません。
ファラオ・ハウンドのしつけは、根気と愛情が大事です。
ファラオ・ハウンドの神経質な部分を引き出さないように、信頼関係をしっかり保ち、意思を伝えていきましょう。
また、しつけは早ければ早いほど習得してくれます。
飼い主さんだけでなく、いろいろな人や物に接しながら社会性を伸ばしていくことも重要です。
子犬時代から、早めにトレーニングを開始してきましょう。
まとめ
ほっそりした体型で走る姿、遠くを見つめている姿、ジャンプしている姿、寝ている姿…。
スタイル抜群で美しい体型をしているファラオ・ハウンドは、何をしていてもカッコよく見惚れてしまうほどです。
顔立ちも凛々しく、“ファラオ”という神秘的な名前がぴったりなワンちゃんですね。
エネルギッシュな犬なので、ドッグスポーツにチャレンジしてみるのも楽しそうですね。
見た目はクールでワイルドですが、内面は陽気でお茶目なところもあります。
頑固な部分が出てしまうと、しつけが難しいと感じるかもしれません。
でも、飼い主さんへの愛情が深い性格をしているので、根気よくトレーニングを行うことで、ファラオ・ハウンドの素敵な部分を引き出してあげられるでしょう。
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