1.タンパク質の働き
3.犬のタンパク質を摂取することによるメリット
3-1.筋力の維持→基礎代謝の維持
3-2.皮膚病の予防
3-3.被毛の健康維持
4.犬のタンパク質を摂取することによるデメリット
4-1.過剰摂取による問題
4-2.不足による問題
タンパク質の働き
冒頭で人間にとってタンパク質の働きは、身体を作る機能やエネルギー源になるとご説明しました。
では、犬にとっても働きは同じなのでしょうか。
実は、犬もタンパク質の働きは人間と基本的に同じです。
骨や筋肉、皮膚、被毛、臓器など身体を作るのに必要な成分になります。
他にもタンパク質には、2つ機能があります。
1つ目は抗体などの身体の機能を調節する働きです。
抗体を調節することで、免疫機能を維持する効果があります。
病気になりにくい身体を作ることにもタンパク質は役立っています。
2つ目は体内のヘモグロビンなどを運搬する働きです。
体内にある鉄分のほとんどはタンパク質と結合しており、酸素の運搬や酸素の貯蓄、鉄分の貯蓄を行っています。
犬にとってのタンパク質も人間同様の働きをしていることをお伝えしましたが、人間と異なる点ももちろんありますよ。
異なる点として、身体の構成割合が挙げられます。
人間の身体の約20%タンパク質が占めているのに対して、犬は約50%も占めています。
そのため、人間より多くのタンパク質が必要になることを覚えておきましょう。
タンパク質の種類
そもそもタンパク質はアミノ酸が結合して構成されています。
動物の体内で生成可能なアミノ酸と生成できないアミノ酸があり、生成できないアミノ酸は「必須アミノ酸」と呼ばれています。必須アミノ酸は食事で摂取する必要があります。
必須アミノ酸を食事で効率よく摂取するために、タンパク質の種類について理解する必要があります。
タンパク質には2種類あり、動物性タンパク質と植物性タンパク質があります。
動物性タンパク質には必須アミノ酸がバランスよく配合されています。
肉や魚、卵が食材例として挙げられ、犬にとって消化が得意な食材と言われています。
一方の植物性タンパク質は野菜や大豆、小麦が食材例として挙げられ、脂肪が少ないことが特徴です。ダイエットをする必要がある犬には向いていますが、必須アミノ酸の量が少ないので植物性タンパク質だけ与えることはやめましょう。
犬のタンパク質を摂取することによるメリット
◆筋力の維持→基礎代謝の維持
タンパク質には筋肉を作る働きがあるので、健康的な身体を維持することが可能です。
また、筋力を維持することで基礎代謝が上がることにも繋がります。
◆皮膚病の予防
タンパク質には骨や筋肉だけでなく、皮膚を作る働きがあるので皮膚の健康維持が可能です。犬は被毛に覆われ、一見皮膚が強そうに感じられるかもしれませんが、実は皮膚層が薄いです。そのためタンパク質をきちんと摂取することで皮膚病を予防することが可能になります。
◆被毛の健康維持
筋肉のハリ、皮膚のハリ、毛並みの艶を保つことが出来ます。
被毛がしっかりとしていれば、身体の健康だけでなく見た目の美しさにも影響しますよね。
愛犬の毛並みを整えるためにもタンパク質の摂取を意識しましょう。
上記でタンパク質摂取のメリットについてお伝えしましたが、タンパク質は年齢によって摂取目的が変わってきます。
成長途中の子犬は骨や筋肉など身体を作るためのタンパク質が特に重要になります。
同じく老犬も成犬より筋力維持するためにタンパク質摂取量が多くなるので注意してくださいね。
犬のタンパク質を摂取することによるデメリット
今回は過剰摂取による問題とタンパク質の不足による問題の2点からご説明します。
◆過剰摂取による問題
肝臓や腎臓への負担
タンパク質を消化する際に肝臓や腎臓を使用するので、タンパク質を過剰に摂取すると処理する容量を超え負担になります。負担が続くと腎不全などの病気になる可能性が高いので要注意です。
すでに腎臓に病気を抱えた犬は獣医師からタンパク質の摂取制限を求められることが多くあります。獣医師から注意を受けている場合は、その制限量を必ず守ってくださいね。
肥満問題
タンパク質にはカロリーがあるため、過剰摂取はカロリーオーバーになり肥満に繋がります。また、タンパク質は筋肉を作るために必要なものですが、摂取したものがすべて筋肉にはなりません。容量を超えたタンパク質は脂肪になるので、肥満に繋がります。
1日の摂取カロリーも意識してタンパク質の摂取量を調整してくださいね。
病気の原因
過剰摂取は、機能を乱し病気を引き起こす可能性があります。
前述した腎不全や尿路結石、アレルギーなどが挙げられます。
尿路結石はドックフードにも含まれる動物性タンパク質が尿をアルカリ性にすることで引き起こします。
また、植物性タンパク質である小麦の過剰摂取は小麦アレルギーを引き起こす可能性があるので与えすぎには注意しましょう。
◆不足による問題
体力の低下
タンパク質の役割である筋力の維持が保てなくなり、体力の低下に繋がります。
成長不全
丈夫な骨や身体全体を作る働きがあるタンパク質。
その機能が果たせなくなり、成長がストップしてしまいます。
子犬は成長するためにタンパク質が必要な時期なので、子犬を飼っている飼い主さんはタンパク質不足には要注意です。
体調不良のトラブル
タンパク質不足は、抗体などの身体の機能を調節する働きが機能しなくなり、免疫力が低下します。そのため病気や体調不良などを引き起こしやすくなります。
タンパク質の摂取基準量
ここまでお読みいただいた皆さんには、「タンパク質の重要性や適切な量を摂取しないとどうなるのか」をお分かりいただけましたでしょうか。
タンパク質は過不足なく、適切な量を摂取することが大切です。
ここでは必要な摂取量についてお伝えします。
大切な愛犬の参考にしてみてください。
必要なタンパク質の摂取量は、子犬期の成長期で22.5%以上、成犬期の維持期で18%以上必要だとAAFCO(※読み:アフコ)が発表しています。
AAFCOとは、全米飼料検査官協会の略称で栄養摂取基準を公表している米国団体です。
日本のペットフード安全法などに採用している基準はAAFCOが定めた基準を参考にしているので、信憑性が高い団体になります。
※AAFCO=The Association of American Feed Control Officials
妊娠中の愛犬や身体の大きさ、活動量によっても摂取量は変化しますので、かかりつけの獣医師に相談してみるのも良いですね。
タンパク質の摂取方法
タンパク質を摂取するお手軽な方法が3つあります。
ごはん・おやつ・プロテインです。
◆ごはん
ドックフードは動物性タンパク質と植物性タンパク質がバランスよく配合されているものを選びましょう。
子犬の時期は体重増加が著しく変化するため、タンパク質摂取量も変化します。
定期的に体重測定を行い、適切な量を判断してください。
また、子犬は成長のために多くのタンパク質が必要になるので、タンパク質の含有量が多い子犬用のドックフードを選ぶのもいいですね。
食べやすいように一粒が小さいものもあるみたいですよ。
愛犬が子犬の方は利用してみてくださいね。
手作りフードを作る方は注意点を下の項目で記載しているのでそちらをチェック!
◆おやつ
ごはんだけではタンパク質の量が足りない場合は、必須アミノ酸の配合がバランスの良い動物性タンパク質のおやつを与えると良いですね。
タンパク質を摂取させたいからとついつい与え過ぎてしまいがちなおやつ。
与えすぎることでタンパク質過剰摂取になり、下痢などの症状を引き起こす可能性もあります。
また、タンパク質にはカロリーがあるので、1日の摂取カロリーをオーバーしないように注意してくださいね。
◆プロテイン
プロテインを与えた後、適度な運動を行うことで筋肉がつきやすくなり、皮膚や被毛を維持する働きがあります。
犬用のプロテインは粉状のものや粒状のものが多く、普段ご使用のドックフードと一緒に与えることができます。
気を付けて欲しいこととして、人間用のプロテインは絶対NGです!
NG理由は3つあります。
消化できない可能性があるから
人間用のプロテインは動物性タンパク質で、なかには乳糖が含まれています。
犬は乳糖を分解できる酵素を持っていないことが多いので、胃腸の不調を引き起こす可能性があります。
大豆アレルギーの犬がいるから
プロテインにはソイ(大豆)が含まれているものもあります。
人間にアレルギーがあるように、犬にも食べてはいけないアレルギーを持っている犬がいます。
下痢や嘔吐などの症状が出る可能性があるので注意しましょう。
甘味料が使用されているから
人間用のプロテインには人間が好むように甘味料が使用されています。
甘味料の味に慣れてしまうことがないように気を付けましょう。
上記3つの理由から、プロテインを与える際は人間用を与えないよう要注意です!
ペット用のプロテインが販売されているのでそちらを与えましょう。
手作りフードを作る際の注意点
近年、手作りフードが流行っていますよね。
愛犬のための食事や人間と同じものを食べさせるなど様々な形に変容してきました。
手作りフードを作る際の注意点についてご説明します。
ドックフードを選ぶ際の注意点と同様に、動物性タンパク質と植物性タンパク質がバランスよく配合できているかを意識しましょう。
手作りフードでは肉だけを与えすぎたり、野菜だけになってしまったりと、動物性タンパク質と植物性タンパク質の割合が偏りやすくなります。
犬は元々肉食動物ですが、人間と同じものを食べる習慣が根付き、雑食に移行している傾向が見受けられます。
しかし元々は肉食動物なので動物性タンパク質の消化吸収が早いのに対し、植物性タンパク質は消化吸収が遅いです。
手作りフードを作る際は、頭の隅に置いておきましょう。
消化機能が低下している老犬には、脂肪分の少ない部位の肉や魚で作ってあげるのがおすすめ!逆に成長期の子犬や運動量の多い犬は多くタンパク質が必要になるので、活動量に応じて摂取量を考えてあげましょう。
手作りフードを作る際は、愛犬の年齢や活動に合わせて動物性タンパク質と植物性タンパク質がバランスよく摂取できることを意識してくださいね。
まとめ
今回は犬についてのタンパク質をご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
タンパク質の機能は人間と基本的に同じですが、身体構成の割合が約50%もタンパク質が占めていることに驚きを覚えた方もいるのではないでしょうか。
タンパク質の摂取に過不足が生じるとどうなるのか、与える際の注意点など今回の記事を読んで役立てていただけたら幸いです。
「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」ということわざがあるように、何事も“適度”が大事ですね。これからも大切な愛犬を守るためにも、健康に過ごせるよう是非活用してみてください。
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