1.犬が扇風機で涼しさを感じにくい理由
1-1.汗をかかないため
1-2.人間との体温調整が違うため
2.扇風機の効果的な使用方法
2-1.霧吹きと扇風機を併用
2-2.クーラーと扇風機の併用
2-3.凍らせたペットボトルと扇風機の併用
2-4.熱中症になった時の応急処置に
3.犬に扇風機を使用する際に注意すること
3-1.コードをかじらないようにする
3-2.倒して壊さないようにする
3-3.羽のない扇風機がおすすめ
3-4.風を当てっぱなしにしない
3-5.飼い主さんがいるときだけ使うとベター
4.犬が扇風機に吠えてしまう場合
4-1.犬が扇風機に吠える理由
4-2.吠える場合の対策
犬が扇風機で涼しさを感じにくい理由
人は扇風機の風を浴びると涼しく感じますが、犬にはほぼ効果がないと言われています。
これは、人と犬の体に大きな違いがあるためです。
◆汗をかかないため
人間が扇風機の風を浴びて涼しさを感じるのは、全身にかいた汗が蒸発して水蒸気になるときに、体温が奪われるからです。いわゆる「気化熱」の効果です。
一方、全身に汗腺がある人間と異なり、犬は肉球などごく一部にしか汗腺がありません。つまり、暑いからと体中から汗が噴き出すということがないのです。汗をかかない以上、気化熱によって体温が下がることはありません。
このため、犬は扇風機の風を浴びても、涼しさを感じにくいのです。
◆人間との体温調整が違うため
では、犬はどうやって体温調節をしているのでしょうか?
犬が運動の後などに、大きく口を開けて舌を出し、「ハッハッ」と荒い呼吸をしているのをご覧になったことがあるでしょう。これを「パンティング」と言いますが、この時、唾液をたくさん出して、その気化熱で体温を下げているのです。冷たい空気を肺に取り込むことで、体温を下げる意味もあります。
また、遊んだ後の犬は、よく水をがぶ飲みしています。これも、熱くなった体を冷やすための行動です。
扇風機の効果的な使用方法
犬は扇風機では涼しさを感じないことをお伝えしましたが、犬の暑さ対策に全く使えないというわけではありません。
ここでは、扇風機を愛犬の暑さ対策に効果的に使う方法について、ご紹介します。
◆霧吹きと扇風機を併用
人間は汗が気化するときに熱を奪われることで、涼しさを感じます。
霧吹きで犬の体に水をかけると、体表面に付いた水が扇風機の風で気化して、これと同じ効果を得ることができます。
ただし、これを冷房の利いた部屋で行うと、体が冷えすぎてしまいます。乾ききる直前くらいまでを目安としましょう。
また、お散歩後や、庭、ドッグランなどの屋外で、暑さを感じているときに活用するのもおすすめです。
ただし、水に濡れることが嫌いな子には、無理に水を吹きかけることはやめておきましょう。
◆クーラーと扇風機の併用
扇風機だけでは犬の暑さ対策には効果がないので、基本的な暑さ対策にはクーラーを利用します。
この時、冷えた空気は下の方に溜まるため、人間より低い位置で暮らす犬にとっては、寒く感じることもあります。扇風機を併用すると、冷えた空気と暖かい空気を循環させることができ、部屋全体を満遍なく適温に保つことができます。扇風機を首振りで使うと、さらに効果的です。
効率よく室温を下げることができるので、節電にもつながります。サーキュレーターを利用してもよいでしょう。
また、クーラーの利いた部屋で扇風機の風を当ててあげると、冷たい空気を直接浴びることができるため、犬も涼しいと感じることができます。
クーラーを使用する際のポイント
犬にとっての適温は22℃、湿度が60%ほどです。これ以上になると、熱中症になるリスクが高まります。
クーラーの設定温度は、27~28℃程度が最適とされています。
また、最近のエアコンには、人感センサーが搭載されていて人の動きがないと停止するものがあります。特に小型犬の場合、センサーに認識されない可能性が高くなるので、人感センサーは解除しておきましょう。
◆凍らせたペットボトルと扇風機の併用
氷水など、冷たいものを扇風機と犬の間に置けば、風が冷えて犬も涼しく感じることができます。
おすすめは、2Lのペットボトルに水を入れて凍らせたものです。万が一、停電でクーラーも扇風機も止まってしまった時にも、傍に寄ったり触れたりすることで体を冷やすことができるので、昼間留守にする時には「保険」も兼ねて、何本か用意しておくといいかもしれません。
結露対策に、タオルなどでくるんでおくか、水を受けるお皿やトレーを下に置くようにするとよいでしょう。
◆熱中症になった時の応急処置に
愛犬が熱中症になった場合、体温を下げることが重要です。
犬の体に水をかけて扇風機の風を当てると、効率的に体温を下げることができます。体温を下げる方法としては他に、水をたくさん飲ませる、水で濡らしたタオルを体に掛けるといった方法もあります。
体温を下げることはあくまで応急処置なので、体を冷やしてあげながら、早急に動物病院を受診してください。
熱中症の症状
愛犬が熱中症になっている場合、
・呼吸がいつもより荒い
・心拍数が多い
・よだれが多い
などの症状が現れます。さらに進行すると、
・ぐったりとして起き上がろうとしない
・ふらつく
・舌や口の中の色が赤い
などの症状が見られ、重症化すれば、
・呼吸困難
・チアノーゼ(舌や歯茎が青っぽくなる)
・吐血
・血便
・意識障害
・痙攣
などが起き、死に至ることもあります。
犬に扇風機を使用する際に注意すること
そのままでは犬の暑さ対策には効果のない扇風機も、クーラーなどとの併用で効果が期待できることをご紹介しました。
ぜひ上手に活用したいところですが、使用する際には注意も必要です。
◆コードをかじらないようにする
犬は、気になるものを口に入れて確かめる習性があります。特に好奇心旺盛な子犬のころは、歯の生え変わりで痒い時期であることもあり、なんでもかじってしまいがちです。
コードをかじることは、犬自身が感電する危険性があるとともに、漏電による火事の原因になる恐れがあります。
扇風機に限らず、コード類はかじれないようにカバーなどをつけて保護しましょう。
◆倒して壊さないようにする
部屋の中を走り回ったときに、コードに引っかかったり、ぶつかったりして、扇風機を倒してしまうかもしれません。
倒れ方によっては、壊れて破片が出ることもあり、その破片を誤飲したり、破片でケガをしたりする危険性があります。小型犬であれば、下敷きになり思わぬ大ケガをするかもしれません。
犬のいる場所で使うときには、柱に固定するなど、倒れないような工夫をしておきましょう。
◆羽のない扇風機がおすすめ
好奇心の旺盛な子は、回る羽根に興味を持って触ろうとしてしまう恐れがあります。子犬の場合、ガードの網目に前足が入る可能性があるため、特に気をつけたいところです。
近年、多くなった羽のない扇風機であれば、回転する羽でケガをする危険性がないのでおすすめです。
また、触れることができないように、カバーをかけてもよいでしょう。
◆風を当てっぱなしにしない
風を当てっぱなしにすると、皮膚が乾燥してしまいます。皮膚が乾燥しすぎると、皮膚トラブルの原因になる場合があります。
また、鼻が乾いてしまうと嗅覚に影響するので、犬に直接風が当たらないようにした方がよいでしょう。
首振りで使用する、壁に向けて使うなどして、犬に風が当たりっぱなしにならないように気をつけてあげてください。
ケージに入れた状態で風を当てっぱなしにすると逃げ場が無くなるため、特に気をつけて距離を取るようにしましょう。
◆飼い主さんがいるときだけ使うとベター
扇風機を使用するときは、上記のようなリスクに対応するために、飼い主さんがいるときだけにするとベターです。
犬が扇風機に吠えてしまう場合
扇風機が好きであったり、全く気にしなかったりする子もいます。一方で、扇風機に吠えてしまう子も少なくありません。
まず、扇風機に吠える理由から見ていきましょう。
◆犬が扇風機に吠える理由
犬が吠える理由はいくつかありますが、扇風機に吠える場合は、恐怖を感じているからだと考えられます。
犬にとって扇風機は、初めは見慣れないものですし、小型犬にとっては自分より非常に大きな存在なので、恐怖を感じることも少なくないでしょう。さらに、羽が回る様子やモーターの音、首を振らせると、その動きも、怖がる要因となるでしょう。
◆吠える場合の対策
初めて使うときには、無理に近づかせようとはせず、扇風機を犬の居場所から遠い場所に置くようにするとよいでしょう。この時、扇風機が犬の視界に入るようにすることがポイントです。見えないところにあると、その存在に慣れることができないからです。
扇風機の存在に少しずつ慣れていくにつれ、恐怖も薄れ、吠えなくなっていくと思われます。
快適な夏の過ごし方
ここでは、クーラーや扇風機を利用する以外の暑さ対策をご紹介します。
◆お出かけは朝晩の涼しい時間帯に
日中は、気温が非常に高くなるだけではなく、アスファルトからの照り返しで、地面近くの温度は気温以上に高くなります。また、アスファルト自体が熱せられて、肉球をやけどする恐れもあります。
日中のお散歩は、犬のためにはNGと心得ましょう。朝晩の涼しい時間帯に行くとよいでしょう。手の甲でアスファルトに触れて、熱くないことも確かめてください。
◆夏用の洋服を活用
夏用の犬服は、クール素材でできていたり、水で濡らして気化熱で涼しさを感じられたりするものが販売されています。
お散歩や外遊びの際に、上手に取り入れてみましょう。
◆冷感グッズを活用
室内では、ケージの中やお気に入りの場所に、アルミや大理石のボードを置くのもおすすめです。
アルミは熱伝導率がよく、効率的に放熱することができます。
まとめ
犬は、人間と異なり、肉球にしか汗腺を持たないため、汗が蒸発するときの気化熱で体温を調節することはできません。したがって、扇風機だけでは、涼しさを感じることができないのです。
犬の暑さ対策には、エアコンを基本として、扇風機を併用することをおすすめします。冷えた空気と暖かい空気を循環させることで、冷房効率を上げることが可能です。
犬がケガをすることがないように、使用する場合には、コードにカバーをする、倒れないように工夫をする、羽のないものを使うなど、対策を講じておきましょう。
節電効果も見込めるので、扇風機を効果的に利用してみましょう。
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