1.犬がセミを食べてしまった!平気なの?
1-1.犬にとって害はない
1-2.その他の虫は? 危険な虫に注意
2.犬がセミに興味を持つ理由
2-1.栄養を欲している
2-2.遊びの一環や運動不足の解消
3.犬にセミを持ってこさせないようにするには
3-1.拾い食いをさせない
3-2.散歩中は立ち止まったりしない
3-3.本能を満たす遊びや運動をする
3-4.飼い主は落ち着いて騒がない
4.犬が虫を食べてしまったときの対処法
4-1.無理に取り出すのはダメ
4-2.口の周りや口内に傷などがないか確認する
4-3.食べてはいけない虫の場合は迷わず動物病院へ
犬がセミを食べてしまった!平気なの?
犬がセミを食べても、健康上の問題が起こることはまれです。
◆犬にとって害はない
セミには危険な寄生虫や毒はないので、食べてしまっても体に害はありません。実際に中国や東南アジアではセミを食べる習慣があり、エビに似た味と食感で人気の食材だったりします(人が食べる場合は火を通します)。
犬が落ちているセミに興味を示し、口に入れた結果おいしかったと覚えてしまうと、その後は積極的に探して食べようとします。飼い主さんにとっては嫌な行動でしかないですが、犬にとってはごく自然な行為です。犬自身になにか問題があってこのような行動をするわけではないのです。
セミ自体には害はありませんが、長く地面に落ちていた死骸は腐敗していたり、汚れていたりして食べると犬がお腹を下すことがあります。そのためできるだけ地面に落ちているセミは食べさせないほうが良いでしょう。
◆その他の虫は? 危険な虫に注意
セミ以外にも夏場には虫が増えて、犬が追いかけて食べてしまうことがあります。多くの虫は問題有りませんが、中には食べると中毒や寄生虫に感染する恐れがある虫がいるので注意が必要です。犬が遊んだり食べたりしてはいけない虫には以下のものがあります。
ハチ
ハチ自体は食べても大丈夫ですので、死骸を口にしても大丈夫です。しかし、生きているハチを食べようとして顔や口の中を刺されてしまうと危険です。犬にもハチ毒によるアナフィラキシーショックがありますので、大量に刺されてしまうと命に関わります。
蛾(ガ)の幼虫
毛虫のなかでも蛾(ガ)の幼虫は毛の先に毒があって、食べると口の中や顔に炎症を起こします。一度刺さった毛は皮膚に残り、違和感や痛みでこすってしまった結果、炎症が悪化することも多いです。
カマキリ
カマキリの腹の中にはハリガネムシという寄生虫がいることが多く、食べることでまれに犬が感染してしまいます。犬がハリガネムシに寄生されても命を落とすことは有りませんが、健康に悪影響が出ます。
ムカデ
ムカデは口に毒をもっていて、噛まれると激痛が走ります。アレルギー症状が出る場合もありますので注意が必要です。死骸であっても頭部を食べると毒による症状が出るおそれがあるので注意します。
ゴキブリ
ゴキブリは下水や生ゴミなど不衛生な場所にいて病原菌を保有していることがあり、食べることで感染して食中毒などを引き起こします。また、殺虫剤が付着していることも多く、殺虫剤のついたゴキブリを食べると中毒症状で激しい嘔吐や下痢をしてしまいます。
カエル
虫ではありませんがカエルにも注意が必要です。「アマガエル」と「ヒキガエル」は皮膚に毒をもっています。他の種類のカエルなら大丈夫ですが、カエルの種類を見分けるのは困難なので「カエルはダメ」と覚えておいたほうがいいですね。
犬がセミに興味を持つ理由
犬はなぜセミに興味を持つのでしょうか。それは犬の本能が深く関係しています。犬はもともと昆虫や小動物を捕まえて食べていた歴史があり、その習性が今でも残っているからセミを捕まえて食べるのです。
現代の犬は十分な栄養価のある食事をしていますが、ドッグフードなどなかった時代には虫は貴重なタンパク源やミネラル源でした。現代ではドッグフードを食べているため栄養を補給する必要がないのですが、本能的に虫を捕らえて食べる行為をしてしまうのです。
虫に対する興味の強さは犬によって異なりますが、野生の本能が強い犬ほど虫に強い興味を示すようです。
他にも犬がセミを食べようとするのは次のような理由があります。
◆栄養を欲している
セミの栄養価は非常に高いです。抜け殻にもキトサンなどのミネラルが豊富で栄養価があります。普段の食事を見直してフードが体質にあっているか、食事量が足りているか、ミネラル不足になっていないかなど食事に問題がないか一度見直してみましょう。
◆遊びの一環や運動不足の解消
犬が死骸ではなく動いている死にかけのセミにだけ興味を示す場合は遊びの可能性が高いです。最初はおっかなびっくり触って遊んだりしていて、そのうちにパクッと食べてしまうパターンが多いです。
◆食感が気に入っている
セミをバリバリと噛み砕いて食べることは、犬の本能を満足させます。犬は硬いものをかじるのが好きなので、歯ごたえがいいおやつとして食感を楽しんでいる可能性があります。一度食べて気に入ってしまうとその後はずっと執着するようになるので、注意して食べさせないようにします。
犬にセミを持ってこさせないようにするには
犬がセミを食べるのをやめてほしい、持ってこないでほしいという飼い主さんも多いでしょう。そのためにはしつけを行うことと、散歩中はあちこち匂いをかぎながら歩くようなことをせず、スタスタ歩いて犬に拾い食いするスキを与えないことが一番です。
◆拾い食いをさせない
拾い食い防止のしつけでは2つの方法を行います。
1つ目が食べるのを静止する方法で、家で練習します。あえて床におやつを置いておき、犬がそれを食べようとしたら「ダメ・イケナイ」などの静止の合図をして飼い主に注目させます。注目できたら、すかさず褒めて別のおやつを直接手から食べさせます。
2つ目が食べ物は必ず合図をしてから食べさせて、勝手に食べないようにしつけをすることです。犬が物を食べるときには、必ず飼い主の合図を待つようになれば完璧です。
この2つのしつけをすることで拾い食いを防ぐことができます。セミだけでなくすべての拾い食いに対応できる方法ですので、教えておいて損はないです。完璧にできるようになるまでには時間がかかるので根気よく続けましょう。
◆散歩中は立ち止まったりしない
犬が落ちているセミに興味を示しても、無視して通り過ぎましょう。「どうしたの?」と立ち止まってしまう飼い主さんがいますが、拾い食いの絶好の機会を与えてしまっています。何事もなかったかのように自然に通り過ぎて行くことを繰り返せば、犬も自然と興味を失っていきます。
◆本能を満たす遊びや運動をする
セミをおもちゃにして遊んでしまう犬は遊びが足りていないこともあります。ほとんどの犬はただ散歩に行って歩くだけでは運動が足りていません。散歩のほかにもボール投げやロープを引っ張って遊ぶなどして本能を満足させてあげます。
◆飼い主は落ち着いて騒がない
犬がセミをくわえたときに大騒ぎすると、犬が「飼い主さん喜んでいる」と勘違いしてしまうことがあります。毎回つかまえたセミを飼い主さんに見せに来る場合は、犬が飼い主さんを喜ばせようとしている可能性があります。虫が苦手な方は思わず悲鳴を上げたくなると思いますが、騒がないようにしましょう。
犬が虫を食べてしまったときの対処法
犬が虫を食べてしまっても、虫の種類がわかっていて食べてはいけない虫でなければ、取り立ててなにかする必要はありません。口に入れた直後で取り出すことが可能なら「ダセ・チョウダイ・アウト」などの合図で虫を吐き出させます。その後は1~2日ほど体調が変化しないか様子を見ます。
寄生虫に関しては、月に一度の駆虫薬を飲ませているのであれば、それほど心配する必要はないようです。飲み込んでしまった虫の種類が分からず不安なら、症状が出ていなくても獣医師に相談しましょう。
◆無理に取り出すのはダメ
やってはいけないのは犬の口に手を入れて無理やり取り出そうとすることです。犬は取られたくないあまり急いで飲み込んでしまいます。また、なんとか取り出そうとして嫌がる犬の口に手を入れると本気で噛まれることがあるので危険です。安全のためにも絶対に無理に取り出そうとしないでくださいね。
◆口の周りや口内に傷などがないか確認する
虫には殻やトゲがあるので、念のために口の周りや口内が傷ついていないかチェックします。もし傷や炎症があったら動物病院を受診することをおすすめします。
◆食べてはいけない虫の場合は迷わず動物病院へ
はっきり毒虫だとわかっている場合はその旨を伝えて病院を受診します。絶対に自分で処置しようとせずに、必ず病院スタッフの指示に従ってください。
まとめ
犬がセミを食べてしまうとビックリするかもしれませんが大丈夫です。無理に取り出そうとはせず、1~2日様子を見て体調に変化がなければ問題ありません。月に一度の駆虫薬は必ず飲ませて寄生虫を予防します。
とはいえ愛犬が虫を食べるのは気持ちいいことではありません。虫に限らず拾い食いは危険ですので、しつけをして散歩中に犬がむやみに物を口に入れないようにないようにしましょう。
しつけをしても虫を食べたがる場合は、食事の量が足りているか、栄養バランスはいいか見直します。虫をおもちゃにしないように、普段からしっかり運動させて犬の本能を満たしておくことも大切です。
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