1.野良犬とはどんな犬?
1-1.野良犬の定義とは?
2.野良犬が減った理由
2-1.野良犬が減った理由①積極的な保護
2-2.野良犬が減った理由②室内飼い家庭の増加
2-3.野良犬が減った理由③野良犬の繁殖自体が減少
【掲載:2021.09.16 更新:2022.11.07】
野良犬とはどんな犬?
野良犬と聞くと漠然と、飼い犬ではない犬を想像する方も多いでしょう。しかしそこにはいくつかの定義があり、野良犬であるかそうでないかが判別されているのです。
◆野良犬の定義とは?
まず一つ目に、飼い犬登録がされていないことが挙げられます。これは飼い主がいないことを意味しています。そして二つ目に、ワクチン接種を行っていない犬が対象となるのです。現在、犬のワクチン接種は飼い主の責任であり義務ですよね。これを行っていない犬は、飼い主がいないことが多いので野良犬として見られてしまいます。
基本的に、この2点を満たしている犬が野良犬として認識されるのですが、一方では元々飼い犬だったのに、飼育放棄から野良犬になった個体が存在しているのも残念ながら事実です。
捨て犬や放し飼いされていた犬、迷子となってしまった犬が野生で暮らし始めることで、野良犬となってしまうケースが少なくありません。
人間が責任を放棄したことで、野良犬を生み出している現実があるのです。いつの時代になっても、犬を飼うという意味をしっかり認識していない残念な飼い主さんが存在しています。
子供が産まれて子育てで手一杯になった、子犬が可愛いから追加で飼ったが飼育できなくなった、病気になって面倒がみれなくなった、人気犬種だから飼ってみたが育てられない、など様々な理由から飼育放棄が選択されるケースがありますが、どのような理由であっても無責任に家族の一員を捨てることは犯罪です。
このようなことから野良犬を増やさないためにも、最後までその子の全ての時間を見届けること、飼い主としての責任をもってその子を不幸にしないことを、犬を飼う前に強く心に誓ってくださいね。
野良犬が減った理由
最近、野良犬をみかけないな、と感じている方も少なくないでしょう。完全に野良犬がいなくなったわけではありませんが、ひと昔前に比べると、野良犬の数は圧倒的に減少しています。
それではなぜ野良犬が減少に至ったのか、その理由をみていきましょう。
◆野良犬が減った理由①積極的な保護
大きな理由の一つとして、保健所による保護活動が挙げられます。ひと昔前までは野良犬の数に対して、保健所が野良犬を保護する件数が少なかったために、街中を野良犬が徘徊する状況を招いていました。
しかし近年では保健所が、飼い主のいない犬を積極的に保護して飼い主探しを行っているのです。これが、野良犬が一気に減少した理由の一つだと考えられます。新たに野良犬が産まれた場合にも、その都度しっかりと保健所が保護してくれるため、最近では野良犬を見掛けることも少なくなったのでしょう。
◆野良犬が減った理由②室内飼い家庭の増加
野良犬の中には、何らか事情によって飼い主が手放したことで、野良犬化してしまったケースもあると前述しました。これには、屋外で犬を飼う方法が一般的であった時代の背景も関係しています。
現代では、愛犬を室内飼いする家庭が多いですが、ひと昔前は屋外で飼っている家庭が圧倒的に多かったのです。このため、意図的に愛犬を手放したのではなく、自ら犬が逃げ出してしまい、そのまま野良犬となるケースが多々ありました。
室内飼いが一般的となったことで、家から逃げ出してしまう犬が減少したことも、野良犬が減った理由の一つというわけです。
◆野良犬が減った理由③野良犬の繁殖自体が減少
野良犬が減少することで、野良犬同士が交配して新たな命を生み出すこと自体が減っているのです。結果論ではありますが、これも野良犬の減少に大きな影響を与えています。この理由も一因となり、徐々に野良犬の数が減少していったのでしょう。
いつから野良犬が減ったのか
1980年代から2000年代にかけて、保健所で行われた犬の殺処分数が非常に多かったそうです。このほとんどが野良犬だったと考えられているため、殺処分によって野良犬の数が大きく減少したのでしょう。
しかし、現在の日本において殺処分される犬がいなくなったわけではありません。
2019年4月1日から2020年3月31日の対象期間においては、殺処分された犬が5,635頭いるのです。
ただ、この前年にあたる平成30年度では7,687頭、平成29年度では8,362頭と、年々殺処分される犬の頭数は減ってはきています。2021年にもこの数が更なる減少をみせることを願わずにはいられません。
野良犬の多い地域や国
国、地域によって野良犬の数には大きな差があります。国内で野良犬が多いといわれている地域と、世界的に多いとされている国がどこかをチェックしていきましょう。
◆野良犬の多い地域
国内で野良犬の多い地域は四国だといわれています。
厳密にいうと香川・愛媛・徳島の三県に多いようで、2019年度の全国で殺処分された犬5860頭の内、この3県だけで1861頭、約32%を占めているのです。
香川県では920頭ワースト1位、愛媛では516匹でワースト2位、徳島が425頭でワースト4位と、いずれも犬の殺処分数のワースト上位にランクインしているのです。ちなみに高知県では殺処分数は12頭でした。
保険所などで収容されている犬の大半が野犬であり、攻撃性や健康上の問題から一般人への譲渡が困難であること、野犬の住処となる雑木林・河川敷が多く比較的温暖な気候であることが要因として挙げられています。また、餌のみつかりやすい住宅街と野犬の住処が近いことで、飼い犬の遺棄や無責任に餌を与える人が絶えないことも理由の一つだと考えられます。
◆野良犬の多い国
タイ
野良犬が100万匹もいるといわれているタイ。街中で野良犬が見掛けられる状態で、バンコク市内のコンビニ等にも犬が入ってくるそうです。また、寺院などにも犬が住み着いているケースも多いようで、亡くなった犬は人間同様、火葬されてお坊さんがお経を唱えてくれるそうですよ。
ベトナム
ベトナムも、野良犬をよく見かける地域として挙げられる国の一つです。野良犬に限らず飼い犬も多く、一戸建ての家で犬を飼っている家庭が多いとのこと。世界遺産の都市フエでは、特に野良犬が多いといわれています。王宮やレストランなどでも犬がいない状態の方が珍しいようです。ちなみに犬とは反対に野良猫は、あまり見かけられないようです。
キューバ
キューバは犬を見掛けない通りが無いといわれるほど、街を歩けば視界に犬が入るレベルだそうです。飼い犬なのか野良犬なのか見分けがつかないため、全てが野良犬とは言い切れません。町外れに犬の死体が放置されていることも多いようで、大きな精神的ダメージを受ける愛犬家さんもいるでしょう。
もしも野良犬を見つけたら
野良犬を見つけた場合、まずは保健所などへの連絡を第一に行いましょう。自力での保護には、危険が伴う可能性があるのです。
伴う危険とは?
人間に慣れていない野良犬が相手の場合、攻撃性が強く狂暴である可能性が十分にあります。犬の扱いに慣れている方で優しく言葉かけをしたとしても、安易に接近しすぎると警戒心や恐怖心から噛まれてしまうこともあるでしょう。一般的な中型犬程度の大きさであっても、人間よりもはるかに強い存在であると認識しておくべきです。下手に手を出して攻撃されてしまうと、大怪我を負う可能性があります。野良犬の中には、狂犬病予防接種を受けていない個体ももちろんいますし、病気を持っている子も少なくありません。噛まれることで感染症を患う確率もゼロではないのです。
これらの危険を回避するためにも、まずは保健所や警察、地域の動物保護団体への連絡を優先することがすすめられます。特に保健所職員であれば、こういった犬を捕獲するプロでもありますし、野良犬か迷子犬かの照会もしてくれるでしょう。
野良犬のためにもまずは保護してもらおう!
野良犬が迷子犬の場合もあるので、まずはやはり保健所や警察などに連絡して保護してもらうことが大切です。大抵、飼い主の照会が成されるからです。
首輪やマイクロチップなどに記載された情報を元に、所在がすぐ判明するケースもあるでしょう。飼い主が分かれば、あとは保護した団体に安心して任せることができます。
しかし、野良犬か迷子犬かが判然としない場合、そこで野良犬を見つけた方にもできることが出てくるでしょう。
飼い主さんや里親探しに協力する方法があります。
SNSを利用して、保護された犬の画像・保護当時の状況などを拡散してもらうことが、大きな手助けとなるのです。現代ではSNSの力が、立派な飼い主・里親探しにとって大きな力となるケースが増えています。
もしも見つけた野良犬を助けたいと強く思うのであれば、自分にできることで協力してあげることをおすすめします。もちろん、見つけた方自身が引き取ることが可能であれば、新たな家族として名乗りをあげるのも素敵な選択となるでしょう。人生を共に出来る確信がもてたら、保健所に電話などで問い合わせてみてください。
まとめ
野良犬は格段に減ってきています。しかし、日本国内でもその数はゼロではなく、殺処分に至る頭数も同じようにゼロではないのです。動物の殺処分は犬に限らず、本当に胸が痛むことです。本来あってはならないことだと、私自身は感じています。
野良犬と呼ばれる存在が、人間の無責任によって新たに増加しないように、飼い主としてできることをしっかりまっとうしていきましょう。保護活動などへの参加も、とても素晴らしいことです。様々な活動団体も沢山ありますので、興味のある方はチェックしてみてください。
ちなみに野良犬についてネット検索すると、野良犬という映画もヒットします。これは巨匠・黒澤明監督が1949年に製作した犯罪サスペンス系刑事映画で、野良犬に関する内容ではありませんので、事前に予告編やあらすじなどが書かれた記事を確認してみてください。
野良犬の背景・実情を知るためにも、一人一人がまずは興味をもつことが大切です。メディアやネット上の記事、保健所が発信する情報などを是非一度目にしてみてください。そして、改めて犬の飼い方や飼い主としての責任を再認識しましょう。
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