1.フィールドスパニエルの歴史
2.フィールドスパニエルの特徴・性格
2-1.身体的な特徴は?
2-2.どんな性格をしている?
フィールドスパニエルの歴史
イギリスを原産国とし、最も古いランド・スパニエル(陸鳥猟)種であり、スパニエルの典型ともいえるフィールド・スパニエル(Field Spaniel)。
一時は全ての狩猟スパニエルの一族がフィールドスパニエルと呼ばれており、当時から狩猟犬として作業をよくこなす犬種でした。
1892年以降は体重11kgを境に、大きいサイズがフィールドスパニエル、小さいサイズがスモール・フィールドという、二つの呼び方に分類されます。ちなみに後者は、コッカー・スパニエルの前身にあたるそうです。
サセックス・スパニエルの血統を繰り返し使用して改良することで、19世紀後半にはより長く丈の低い体型が登場し、ショー・リングでは一時期人気を博したそうです。
20世紀に入ると太り過ぎ・長すぎといった容姿から、猟犬として役立つとは到底思えない程に脚が短めとなっていました。
その後フィールドスパニエルは、1930年代と第二次世界大戦中で劇的に衰退してしまい、1960年を迎える頃には頭数が絶滅寸前にまで追いやられます。現在のフィールドスパニエルの全てが、たった4頭の直系子孫にあたるといわれるほどです。
しかし熱烈な支持者の努力によって、1995年の英国クラフト展では100頭の出陳を見るまでに復活を果たしました。
元々は忠実に働く狩猟・鳥猟犬として重宝されていたのにも関わらず、ドッグショーの影響で容姿が著しく変化したり、2度の世界大戦の影響で絶滅の危機にまで直面するなど、中々波乱万丈な歴史を持つフィールドスパニエル。
現在では姿が変わる前の特徴が再現され、頭数も着実に増えてきています。
フィールドスパニエルの特徴・性格
フィールドスパニエルは大型犬(犬図鑑や記事によっては中型犬として解説されている場合も有り)で、JLC(ジャパンケネルクラブ)では8G(7グループ以外の鳥猟犬)として分類されています。
◆身体的な特徴は?
オス・メス共に体高は約44~48cm、体重は16~23kg程です。
実猟タイプ・ショータイプで見た目が異なる特徴があり、実猟タイプは足が長め、ショータイプは足が短めとなっています。いずれのタイプであっても、気品のある均整の取れた容姿をしているといえるでしょう。
頭部は長めで口吻は鋭角的、眼の色はヘーゼルかブラウンです。
耳は垂れ耳で、光沢のあるシングルコートの被毛をもち、活動的で耐久力のある体躯構成をしています。
一見、イングリッシュ・コッカー・スパニエルや、アメリカン・コッカー・スパニエルと似たようにも見えますが、耳の位置は他のスパニエルと比べて低い位置に付いているようですよ。
◆どんな性格をしている?
性格は温和で愛情深く友好的であるため、他の動物や子どもと一緒に遊ぶことが大好きです。その反面、自立心が強くて頑固な一面もあるため、しつけには少々時間が掛かる場合もあるでしょう。従順な家庭犬を目指すためには、子犬の頃から根気強くしつけをしておくことが大切です。
また、狩猟犬の遺伝子からか動くことへの衝動や知性が感じられます。室内でも落ち着いて過ごすことはできますが、本来は活動的で走ることが大好きな種類の犬です。
十分な運動量が求められることを、しっかり理解しておきましょう。
フィールドスパニエルの寿命・病気
フィールドスパニエルの平均寿命は、12~13年程度といわれています。ただしもちろん個体差はあるので一概には言えません。あくまでも目安と考えてください。
特に気を付けるべき病気として挙げられるのは、遺伝性疾患である「股関節形成不全」と、垂れ耳の犬が掛かりやすい「外耳炎」です。また、様々な目の病気に悩まされる傾向にもあるようなので、日頃から愛犬の様子を観察し、何らかの異常がある場合は一度獣医師に相談してみましょう。
日常的に適切なケアを行うことが予防に繋がるケースもあります。スキンシップを図ると共に、毎日愛犬のボディチェックや体調管理を行ってくださいね。
フィールドスパニエルの毛色
フィールドスパニエルの毛色は、ブラック・レバー・ローンの3色を基本とし、これらの毛色にタンが入っている場合もあります。
シルクのような柔らかさで、わずかにウエーブしている被毛がとても魅力的です。胸元・お腹・耳・手足などには飾り毛も付いているので、気品も感じられますね。
被毛構造はシングルコートでややロングタイプですが、身体に沿って生えているため動きを邪魔することはないでしょう。
フィールドスパニエルの飼い方
フレンドリーで愛らしく、家庭犬としても魅力的なフィールドスパニエル。飼育方法ではどのような点に注意が必要なのでしょうか?要点を絞って紹介していきますので、是非参考にしてみてください。
◆食事
フィールドスパニエルに限ったことではありませんが、愛犬の主食には総合栄養食であるドッグフードを与えましょう。その他に特定の栄養素を補いたい場合は、時々手作り食の日を作ったり、サプリメントや食材でのトッピングなどを利用することをおすすめします。
犬はライフステージによって必要とされる栄養素や質・量に違いが出てきますので、年齢と目的にピッタリのフードを選択することが重要です。
子犬の頃から同じ内容の食事を与えるのではなく、パピー期、成犬期、シニア期といったように、ライフステージが変わるごとにフードを見直す必要があります。
ドッグフードを変更する場合は、突然全量変えることはNG行為にあたります。毎日少量ずつ変えていくのが基本ですよ。数日量を増やしながら様子をみて、問題なければ完全な切り替えを行いましょう。
◆散歩
フィールドスパニエルは活動的でスタミナのある犬種です。少なくとも
1日2回朝晩に1時間程度の散歩を行う必要があるでしょう。
加えて、週に数回はドッグランなどで思い切り走らせたり、フリー運動を取り入れてストレス発散させることが理想的です。
毎日の運動が欠かせない犬種であるため、散歩や運動の時間がとれない家庭には不向きな犬種といえます。
飼う前に、飼い主さん自身がしっかりと時間を取ることができるか判断してくださいね。
愛犬がストレスを抱えることとなれば、それは体調不良や問題行動の原因ともなります。犬を飼うということは、これまでの日常生活が変わってくるということをしっかり胸に刻み、両者にとって幸せで快適な生活が送れるかどうかをよく考えてから行動に移しましょう。
◆しつけ
非常に人間寄りの性格をしているともいわれているフィールドスパニエル。一貫して愛情を持って訓練することで、飼い主さんに忠誠を尽くす愛犬となってくれるでしょう。
ただし前述したように頑固な一面もあることから、個体によってはしつけに苦労する可能性も考えられます。
基本的には学習能力が高く好奇心旺盛ですので、根気強く覚えるまでしっかり何度も訓練してくださいね。
◆お手入れ方法
長めの細い被毛は絡まりやすいので、週に2~3回程のブラッシングやコーミングが必要となります。
足裏の被毛が伸びると怪我の原因ともなり得ますし、被毛は常に生え変わっているので、一カ月に1回程度トリミングに通うのがおすすめです。
また垂れ耳犬種であることから、定期的な耳のケアも忘れないようにしましょう。こまめに耳の中を確認し、入り口付近を簡単に拭きとるようにして清潔を保ってくださいね。あまりに強くこすったり、耳の奥まで拭こうとすると逆に傷つけてしまう可能性があるので注意しましょう。
フィールドスパニエルの値段
フィールドスパニエルは日本では非常に珍しい犬種の一つだといえます。ペットショップなどで見掛ける可能性は限りなく低いでしょう。
国内での入手が難しいため、輸入が主な入手方法だといえます。
このため、大まかな値段は紹介できませんが、個体価格に輸入手続き料などを併せて50万円程度はかかる可能性があるとだけお伝えしておきましょう。
また、フィールドスパニエルは猟犬であったことから、断尾の対象犬種として一覧に載っています。その点に関しても、事前に確認しておくとよいですね。
さらに前述したように、遺伝性疾患をもつ犬種でもあります。輸入という時点でハードルは上がりますが、購入先のブリーダーがしっかりとした信用できる相手であるかどうも、きちんと判断しなくてはいけないということを覚えておきましょう。
まとめ
優しい目からも伝わるような、温和で愛情深い性格のフィールドスパニエル。アクティブな家庭犬として、家族の最適なパートナーとなってくれることは間違いないでしょう。
絶滅の危機に瀕した過去をもち、未だに頭数も多いとはいえないとても貴重な犬種がこのフィールドスパニエルです。もちろん国内においては手に入りにくい品種ではあり、中々見掛ける機会に遭遇することもありませんが、魅力溢れる存在であることに違いはありません。
飼ってみたいという方は、しっかりと飼育方法を学び、ブリーダー情報や輸入方法の情報を集めてみてくださいね!
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