1.犬は椎茸を食べても大丈夫?
1-1.椎茸に含まれる主な成分
1-2.期待できる効果は?
1-3.犬に椎茸を与えるデメリット
1-4.アレルギー
【掲載:2021.11.17 更新:2022.11.21】
犬は椎茸を食べても大丈夫?
結論からいうと椎茸は犬が食べても問題のない食材です。ただし、与える場合には与えた方や量に注意を必要とします。これに関しては後述しますので、しっかりチェックしてみてください。
椎茸は、薬膳にて元気を補う食材の代表ともいわれているもので、栄養豊富な上にバラエティ豊かな調理方法のある優秀な野菜です。
低カロリーで高栄養価なきのこなので、人間同様、犬にとっても積極的に取り入れたい食べ物の一つといえるでしょう。
椎茸の魅力を探る入り口として、まずは主な栄養素・成分をチェックしていきましょう。
◆椎茸に含まれる主な成分
様々な栄養素を含む椎茸。中でも豊富に含まれる四つの成分を紹介していきます。
・ビタミンD(エルゴステール)
ビタミンDの元となる「エルゴステロール」が豊富に含まれている、椎茸はビタミンDが豊富な野菜だと一般的に言われています。
ビタミンDは、カルシウムの代謝に大きな役割を果たす栄養素であり、カルシウム・リンの吸収をサポートしてくれます。そうして体内のカルシウム濃度の調整に役立っているのです。
ちなみに、生と乾燥しいたけのビタミンD含有量には違いがあります。生しいたけには100gあたり0.4μg程のビタミンDが含まれますが、対して乾燥しいたけには12.7μgもが含まれているのです。これは、天日干しにすることでエルゴステロールがビタミンDへと変化するためだといわれています。
より豊富にビタミンDを摂取したい場合は、生しいたけを購入した際に1~2時間程、傘のヒダ部分を天日干しするのがおすすめです。
・エリタデニン
生理活性物質と呼ばれる成分であり、生命活動・生理機能の維持や調節に関わる化学物質であるエリタデニン。サイトカイン・インターフェロンなどと同じ成分です。
これはキノコ類の中でも、椎茸とマッシュルームにしか含まれない特有なものだそうですよ。
この椎茸特有成分のエリタデニンには、リン脂質・リノール酸の代謝に影響して、血中コレステロールを低下させる作用があることが確認されています。コレステロールの分解代謝・排出を促進し、肝臓で作られるコレステロールの量を正常にコントロールしてくれるので、血液をサラサラにして動脈硬化・高血圧予防に役立つ効能が期待できるのです。
・βグルカン
きのこ類に多く含まれているβグルカンは、食物繊維の仲間です。グルコースという小さな糖が連なった、多糖体の一つとなります。
免疫力を高める働きや、細菌・ウィルス排除、さらにはガン細胞を収縮させるといった働きを持っている栄養素がこのβグルカンなのです。
・食物繊維
椎茸に限らず、キノコ類には食物繊維が多く含まれています。
食物繊維には水溶性・不溶性の2種類あり、水溶性食物繊維は海藻類・野菜類に多く含まれて粘着性・吸着性をもち、不溶性食物繊維は保水性が高くザラザラした食感の食材に含まれているという特徴があります。
いずれの食物繊維にも発酵性が含まれているので、腸内環境を整える効果が期待できるのです。
とくに椎茸は不溶性食物繊維が豊富なため、満腹感を得ることができ、腸のぜん動運動を活発化してくれるので便秘対策にも力を発揮します。
さらに食物繊維の効果を期待するためには、水溶性食物繊維と一緒に与えるとよいでしょう。
◆期待できる効果は?
椎茸には前述した成分の他にも、ビタミン類・鉄分・カリウム・マグネシウム・葉酸・リン・ミネラルなど様々な栄養素が含まれています。
ちなみに原木栽培の生しいたけは、菌床栽培の生しいたけに比べて、カロリーが高く食物繊維がやや多く含まれているそうですよ。
愛犬に与えることで健康面においてたくさんのメリットを得られそうな食材の椎茸ですが、主に以下二つの効果を大きく期待できるでしょう。
●カルシウムの利用効率を高める!
ビタミンDはカルシウムの吸収をサポートして、歯・骨を丈夫に維持してくれる栄養素なのです。
前述したように天日干しすることでビタミンD含有量が増えるので、椎茸が余った場合はスライスして乾かした状態で保存すると良いでしょう。
●腸内環境を整える!
食物繊維は腸内環境を整えてくれる大切な成分です。これが豊富なきのこ類を与えることで、愛犬のお通じを良くする効果が期待できます。
犬には人間ほどたくさんの食物繊維は不要ですが、やはり便秘がちのわんちゃんにはある程度の摂取が必要となるでしょう。椎茸は重要な食物繊維の摂取源となる食材なので、しっかり覚えておきしょう。
◆犬に椎茸を与えるデメリット
豊富な栄養素を含む椎茸ですが、与える量には注意が必要です。健康に良いからと適量を超えて与えすぎてしまってはいけません。椎茸に限ったことではないのですが、どんなものであれ過剰摂取は禁物というわけですね。
紹介してきたように椎茸には、食物繊維が豊富に含まれています。このため大量に摂取すると、消化不良を引き起こす可能性があり、下痢や嘔吐の原因となってしまうのです。
犬の食事には、炭水化物・タンパク質などのバランスがよいドッグフードをメインとして与えることが基本であり、手作りご飯を作る場合も栄養バランスを重視することが注意点の一つとなります。
椎茸を与える簡単な目安量としては、少量を主食にトッピングする程度だと覚えておきましょう。
もちろん、適量は愛犬の体質・体の大きさによって異なるので、飼い主さんがしっかり愛犬の様子をみながら調節してくださいね。
◆アレルギー
椎茸を含むキノコ類のほとんどは、犬にとって害のない食材だといえます。しかし人間同様、犬にも食べ物アレルギーが存在するので注意が必要です。
ちなみに椎茸は、人間でいうと稀に皮膚炎を起こす事実が報告されている食材でもあるのです。これをしいたけ皮膚炎と呼びますが、アレルギー症状の原因は明確化されていません。
どの食材においても犬にとってアレルゲン物質となる可能性があるので、初めて与える際は少量ずつ、様子をみながら与えるようにしましょう。
犬に椎茸を与える時の注意点
与えることで多くのメリットを感じられる椎茸ですが、前述したようなデメリットがあるのも事実です。しかし、与え方に注意したり工夫をすることで、安心して愛犬に与えることができるでしょう。
以下の注意点を守り、愛犬が楽しみになる食事時間を作ってあげてくださいね。
◎与えすぎに注意
与えすぎは消化系症状を引き起こす原因となります。様子をみながら少量を与えるよう徹底しましょう。
◎子犬・シニア犬には与えない
子犬や高齢犬など消化力・免疫力の低い犬に、無理に椎茸を与える必要はありません。どうしても食べさせたい場合は、ごく少量に留めておき、下痢などの症状が見られた場合は即中止してください。
◎調理方法に注意
椎茸は油をを吸収しやすい性質をもっています。油で炒める場合の油の量は、ごく僅かにしておきましょう。リスクを避けるためにも、トースターで空焼きする方法がおすすめです。
犬への椎茸の与え方
これまで紹介してきた通り、与え方に注意が必要な椎茸。
以下の要点をしっかり覚えておき、愛犬が安心安全に食べられるよう気を付けましょう。
◆加熱する
可能な限り、椎茸は加熱してから与えることがすすめられます。
キノコ類は加熱してから細かく刻んで、一度冷凍したものを解凍して与えることで、犬が消化しやすくなるのです。ひと手間とはなりますが、是非試してみてください。
ちなみに一度冷凍することで、椎茸の栄養価がさらに上がるようですよ。
◆小さく切る
椎茸は傘の部分に加えて、茎の部分を犬に与えても問題ありません。ただし細かく刻んで、消化しやすいように配慮しなくてはいけませんよ。
大きすぎると喉に詰まらせてしまう危険も起こり得るので、与える際は小さくカットすることを絶対に忘れないでください。
◆フードプロセッサー
細かくカットしても消化不良が疑われる場合は、フードプロセッサーを使うと良いでしょう。粉末状・ペースト状にすることで、噛まずに食べることができ消化にも良いので、食が細い子にはおすすめです。
生や干ししいたけを与えても良いの?
椎茸に限らず、えのきや舞茸、エリンギやしめじなどのキノコ類は、加熱して与えることがすすめられます。
特に生しいたけは食物繊維が豊富なため、消化不良の原因となるので注意しなくてはいけません。そして干し椎茸の場合は、必ず柔らかく戻してから与えることが必須です。
ちなみに乾燥しいたけ・干ししいたけの戻し汁には、栄養・旨味がたっぷり含まれています。戻し汁を利用して様々なレシピに活用したり、フードにトッピングすることもできます。夏場の水分補給として役立てる飼い主さんもいるようですよ。
人間用の食事準備で使った椎茸の出汁を取り分けて置き、愛犬用として使用するのもおすすめです。
スープとしてフードにトッピングする
椎茸には、焼く・蒸す・煮る・茹でるといった、様々な調理方法があります。前述したように乾燥しいたけなどの戻し汁には溶け出る栄養素もあるので、積極的に利用したいものです。
ここで最も簡単に椎茸の栄養素を摂取する方法が、出汁をスープとしてフードにトッピングする方法です。水分補給にもなりますし、椎茸の栄養を効率的に摂り込むことができます。
もちろん、他にも椎茸を使った犬用レシピはたくさんありますので、色々な手作りご飯にチャレンジしてみるのもよいでしょう。
椎茸に関するペット記事を検索してみると、目次にレシピが乗っていたり、品目に対して詳細な成分解説がされているページもあります。実際に愛犬に与えた方のコメントも役立つ情報となりますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
体調を崩した場合の対処方法は?
椎茸そのものは犬が食べてはいけない食材ではありません。基本的に中毒などの心配はないといえるでしょう。
しかし、愛犬の体質と相性が悪い場合や、与え方に問題があれば、何らかの健康被害を引き起こす可能性があります。アレルギー症状を発症する可能性もゼロではありませんので、与えた後の愛犬の様子をきちんと確認しておきましょう。
椎茸を食べさせた後に何らかの異変を感じた場合は、まず即座に与えるのを中止することが対処法として大切です。
そして、一度獣医師に相談してみてください。受診の際には、現れた症状と共に何をどれだけ食べたかをしっかり伝えてくださいね。
まとめ
魅力的な栄養素が満点の椎茸。体質改善や病気予防、健康維持のためにも、積極的に食べさせたい食材の一つです。
ただし、与え方や与える量に注意しなくては、せっかくのメリットがデメリットに変わってしまいます。
ごく少量を混ぜる、調理法に気を付ける、といった注意点を忘れずに、愛犬に美味しい時間をプレゼントしてくださいね。
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