1.犬にちょうだいを教える必要性
1-1.「ちょうだい」と「ちょうだいポーズ」
1-2.ちょうだいを教える必要性
2.犬にちょうだいを教える方法
2-1.ちょうだいの教え方①必要なもの
2-2.ちょうだいの教え方②実際の手順
2-3.ちょうだいの教え方③教える際のコツ
3.ちょうだいを教える際におすすめのおもちゃ
3-1.ロープ状のおもちゃがおすすめ
4.犬からおもちゃを取ろうとすると怒る場合
4-1.無理やりとるのはNG
4-2.コマンドを変えてみる
4-3.離すまで待つ
犬にちょうだいを教える必要性
◆「ちょうだい」と「ちょうだいポーズ」
「犬にちょうだいを教える」というと、後ろ足で立ち上がり、前足を揃えた「ちょうだいポーズ」を教えることだと思われるかもしれません。このポーズは、おねだりをしている感じが非常にかわいいものですが、「芸」(トリック)と呼ばれるものです。
一方、今回取り上げる「ちょうだい」は、犬がくわえているものを“自分から”離させるための「しつけ」です。「ちょうだい」以外にも、「オフ」「離して」「おしまい」「出せ」などのコマンドを使う飼い主さんもいます。
◆ちょうだいを教える必要性
では、ちょうだいを教える必要性とは、何でしょうか?
犬には、「占有性」の本能があると言われています。つまり、手に入れたものを自分のものにしておきたいという本能があるということです。
これは、犬の祖先である狼が、もともと群れで狩りをして食べ物を得ていたことに由来すると考えられます。犬の社会では、一旦口にしたものはその犬のものなのです。
また、犬は、興味を持ったものを口に入れて確かめる習性も持っています。このため、散歩中に拾い食いをしてしまう子も少なくなくありません。口に入れたものがタバコや犬が食べてはいけない食べ物であると、健康に害を及ぼし、命に関わる可能性があります。
もし、ちょうだいのコマンドを身につけていれば、このような時に口の中に入れたものを、犬自ら出させることができます。
また、ドッグランなどで他の犬のおもちゃを奪ってケンカになるリスクや、人の持ち物をかじったり洋服を引っ張ったりして、トラブルになってしまうことも回避できます。
これらのことから、愛犬を守るために、しっかりとちょうだいを教えておく必要があるのです。
犬にちょうだいを教える方法
ここでは、愛犬へのちょうだいの教え方について、順を追って解説していきます。
◆ちょうだいの教え方①必要なもの
ちょうだいを教えるときに、準備しておくものを挙げておきます。
・おもちゃ(ワンちゃんが好きな物)
・おやつやフード
ちょうだいの基本の教え方は、くわえているおもちゃを持ち、動かさずジッと待ち、離したら、またおもちゃで遊んであげます。離したらまた、遊べる事を教えます。
◆ちょうだいの教え方②実際の手順
① おもちゃで遊ぶ
まず、愛犬が興味を持つおもちゃで遊びます。与えるものは、ボールや、安全なものであれば愛犬が興味を示す他の物でも構いません。
飼い主さんがおもちゃの片側を持って、引っ張ったり振ったりして30秒ほど遊びましょう。
② おもちゃを離す練習してから、ちょうだいのコマンドをつける
引っ張りっこしているおもちゃを膝下あたりに持ち、動かさないよう持ちましょう。犬は動かなくなる物に興味が軽減し、くわえていた物を離します。くわえたおもちゃを離したら、すぐにおもちゃを動かし、また、引っ張りっこして遊びましょう。これを繰り返すと離すようになるため、ここでちょうだいとコマンドをつけてあげましょう。同時に離したおもちゃを動かし、おもちゃを咬ませる時は、咬んでとコマンドをつけましょう。
③ ①と②を繰り返す。
何度も繰り返すことで、犬に「おもちゃを離しても、また遊んでもらえる、取られる事はない」ことを教えます。
練習を終了する時は、おもちゃを取られたで終わってしまうと次に練習する時に、おもちゃを取る人だと思われ離すのが困難になるため、終了する時は、おやつとおもちゃを交換して終了しましょう。
何度も繰り返し、コマンドを身に着ける事でちょうだいを覚える事ができますので、練習しましょう。
◆ちょうだいの教え方③教える際のコツ
①コマンドは家族で統一しておく
コマンドは、「ちょうだい」のほかに、「離せ」「ドロップ」「オフ」などもあります。どのコマンドを使っても構いません。
ただし、家族全員が同じコマンドを使うように、あらかじめ話し合って一つに決めておきましょう。コマンドを出す人によって言葉が違うと、犬は混乱してしまいます。
②コマンドを出してからご褒美をあげる
どんなしつけの場合も同じですが、犬にご褒美(良いこと)をしてあげる前に、コマンドを出します。
飼い主さんのコマンドに従えば、嬉しいことや楽しいことが起こるということを教えるためです。
③ちょうだいを何度も繰り返さない
愛犬がおもちゃをなかなか離さないと、飼い主さんとしては何度も「ちょうだい」と繰り返してしまいがちです。
しかし、何度もコマンドを繰り返すと、犬が、コマンドは無視していいものだと覚えてしまいます。つまり「どうせおやつは貰えるんだから、何回目かで聞けばいいや」と、間違った学習をしてしまう原因なのです。
したがって、1度コマンドを出したら、おもちゃに手をかけたまま愛犬が自ら離すのを待ってください。たとえ偶然でも、離したらすかさず褒めて、おやつをあげましょう。
④できなくても叱らない
どんなわんちゃんでも、人間の言葉の意味を理解することはできません。単語の音と経験を結び付けて覚えていくので、すぐにできなくて当たり前です。
叱ったり叩いたりすると、コマンドを嫌なこととして覚えてしまいますし、恐怖から攻撃的になったり怯えて近づかなくなったりと、いいことは何もありません。
楽しく遊びながら、根気よく教えてあげてくださいね。
ちょうだいを教える際におすすめのおもちゃ
基本的には愛犬のお気に入りのおもちゃを使っていいのですが、特に使いやすいおもちゃをご紹介しておきます。
◆ロープ状のおもちゃがおすすめ
おすすめは、引っ張りっこ用のロープ状のおもちゃです。片側が犬のくわえやすいボールやぬいぐるみになっていて、反対側にロープがついているものもいいですね。
犬からおもちゃを取ろうとすると怒る場合
ちょうだいを教えていて、おもちゃを取ろうとすると犬が怒ることもあります。その場合、どうすればいいかについてポイントをご紹介します。
◆無理やりとるのはNG
犬がおもちゃを離さないからと、無理やり引っ張ったり、口をこじ開けて取り上げようとしたりするのはNGです。
もし無理に取り上げると、犬は「力づくで奪われた」「横取りされた」と思ってしまうでしょう。次からは、取られまいとして、逃げて唸るようになっていきます。
わんちゃんに、「おもちゃを離せばいいことがある」「おもちゃは返してもらえる」ということを覚えさせてあげてくださいね。
◆コマンドを変えてみる
「ちょうだい」というコマンドに、嫌なイメージがついてしまっているのかもしれません。
上述したように、犬がくわえたものを離させるコマンドとしては、「ドロップ」「オフ」「離せ」「出せ」なども使えます。コマンドを変えて、初めからトレーニングをやり直しましょう。
新しいコマンドも、家族で統一して決めておいてくださいね。
◆離すまで待つ
わんちゃんが逃げたり唸ったりするのは、「取られる」と思っているからです。
また、唸らない子から無理に取り上げようとすると、その子にとっては引っ張りっこ遊びになってしまいます。遊びが楽しくて、離さないのかもしれません。
このような場合には、飼い主さんは一度おもちゃを掴んだら、犬が“自分から”離すまでじっと待ちましょう。
犬が取られまいとして全身の力で引っ張ってくると、飼い主さんの手が離れてしまう可能性もあります。初めのうちは、持ちやすいロープ状のおもちゃや、ロープが付いている引っ張りっこ遊び用のおもちゃがおすすめです。
うまくいかないときは
どうしてもしつけがうまくいかない場合には、ドッグトレーナーなどの専門家に相談してみましょう。
無理にしつけを続けると、愛犬と飼い主さんの関係が悪くなるかもしれません。
まとめ
ちょうだいのコマンドで犬が口にくわえたものを離すようにしつけておくことは、愛犬を守るために非常に大切なことです。
危険なものや噛まれたくないものをくわえてしまった時に、すぐに離させることができますし、ドッグランなどで他の犬のおもちゃを取って、ケンカに発展してしまうリスクも回避できます。人の服を引っ張ったり、持ち物を壊してしまったりしてトラブルになることもなくなるでしょう。
ちょうだいを覚えておけば、「もってこい」のコマンドと合わせて「もってこい遊び」をすることもできます。ボール好きの愛犬は、きっと大喜びで何度でもボールを取りに行っては、持って帰ってくることでしょう。ぜひ合わせて教えて、愛犬と楽しい時間を過ごしてください。
犬のしつけは、遊びを交えて楽しく行うのがおすすめです。犬は、経験と関連付けて物事を記憶していきます。できなくても叱ったり叩いたりせず、あくまで愛犬に楽しい記憶を残すようにトレーニングをしてあげてくださいね。
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