1.犬にしらすを与えても良い?
1-1.しらすに含まれる主な成分
1-2.期待できる効果
1-3.犬に与える時のデメリット
【掲載:2022.07.02 更新:2024.03.07】
犬にしらすを与えても良い?
結論から言うと、しらすは犬に与えても大丈夫な食材です。
しらすはイワシをはじめとする様々な魚の稚魚で、人にはもちろんこと、犬にとっても必要な栄養素がふんだんに含まれています。
新鮮なしらすなら生食も可能ですが、店頭で販売されているものの多くは塩水で煮沸した「釜揚げしらす」か、釜揚げしらすを天日で干した「ちりめんじゃこ」です。
人が食べるために加工された釜揚げしらすやちりめんじゃこには塩分が多く含まれているため、犬に与える際は塩抜きを忘れないようにしましょう。
◆しらすに含まれる主な成分
しらすは栄養豊富とお伝えしましたが、具体的にどのような栄養素を含んでいるのかご存知ですか?
人間用に加工された釜揚げしらすやちりめんじゃこはメーカーによって栄養価に差があるため、ここでは生しらすに含まれている代表的な成分をいくつかピックアップしてご紹介します。
ナトリウム・カリウム
しらすには、ミネラルを代表するナトリウムとカリウムが豊富に含まれています。
ナトリウムとカリウムはお互いにバランスを保ちながら、体内の水分バランスを維持したり、血液の浸透圧を調整したりする働きがあります。
さらに、ナトリウムとカリウムは体内の細胞を正常に保ったり、神経伝達をスムーズにしたりする健康効果も持っています。
カルシウム
しらす100gあたりには約190gのカルシウムが含まれていると言われており、これはコップ一杯分の牛乳に含まれるカルシウム量に匹敵します。
カルシウムは歯や骨を作るうえで必要不可欠な成分としてよく知られていますが、他にも神経や筋肉の活動をスムーズにする働きもあります。
リン
リンはこれまでご紹介した3つの栄養成分と同じくミネラルの一種です。
リンにはカルシウムと同様に骨や歯を丈夫に保つ効果や、神経や筋肉の動きをスムーズにする効果もあります。
適切な摂取量であればリンは健康にとても良い影響を与えますが、摂りすぎると体内でミネラル成分が固まってストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石といった病気を引き起こすリスクもあります。
愛犬がすでに尿石症などの持病を持っている場合には与えすぎに注意しましょう。
コレステロール
しらすにはコレステロールも含まれています。
コレステロールと聞くと、人間の生活習慣病の原因としてよく知られているため、犬に与えるべきではないと考える飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、摂り過ぎにさえ注意すれば、実はコレステロールには様々な健康効果が期待できるのです。
具体的には、ミネラルの吸収をサポートするビタミンDを作り出すといった働きがあります。
◆期待できる効果
犬にしらすを与えることで期待できる主な効果は以下の2つです。
◎カルシウム補給
日頃のごはんだけでは不足しがちなカルシウムの補給が挙げられます。
しらすは乾燥させた方がカルシウムの含有量が増えるため、効率を考えると犬にはちりめんじゃこを与えるのがおすすめです。
ただし、人間用のちりめんじゃこは犬にとって塩分過多の恐れがあるため、あらかじめ塩抜きしたうえで犬に与えましょう。
◎皮膚や毛の健康維持
しらすには先に述べた成分の他にもEPAやDHAといったオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。
このオメガ3脂肪酸は体内で生成できない栄養素で、不足すると皮膚や毛の健康維持に悪影響をもたらします。
しらすを食べさせることで、愛犬の皮膚や毛並みを綺麗に保つ効果が期待できます。
◆犬に与える時のデメリット
これまでしらすの素晴らしさをお伝えしてきましたが、果たしてデメリットはあるのでしょうか。
ここでは、犬にしらすを与えることで考えられる主なデメリットを3つご紹介します。
●塩分が多い
すでに繰り返し説明してきた通り、犬にしらすを与える際は塩分の摂り過ぎにならないように注意が必要です。
特に人が食べるために加工された釜揚げしらすは生のしらすを塩水で煮沸したもので、その調理過程からも分かるように生しらすよりも多くの塩分を含んでいます。
その釜揚げしらすを天日干しして作られるちりめんじゃこも、同様に塩分の多い食べ物です。
ちりめんじゃこや釜揚げしらすはフードのトッピングとして少量を与えるのであれば問題ありませんが、与えすぎると愛犬の体調をこわしてしまったり、病気の原因になってしまったりすることもあるので注意が必要です。
●尿路結石などの病気に注意
人間と同様に、犬も日頃から塩分を摂り過ぎていると、尿路結石を引き起こすリスクが高くなります。
尿路結石の初期症状としては、残尿感からトイレの回数が増えることなどが挙げられます。
そのまま放置していると、体内にできた結石が尿道を塞いでしまい、おしっこが出なくなる、また最悪の場合は膀胱が破裂するなど命に関わる恐れもあります。
塩分のとりすぎは、尿路結石のほかにも甲状腺の機能低下など様々な症状を引き起こす可能性もあります。
●アレルギー症状の恐れ
犬によっては、しらすにアレルギー反応を示すこともあります。
アレルギー症状は、皮膚の一部が赤くなる、身体を痒がる、フケが出るといった軽度のものから、下痢や嘔吐など体力を削るような重度のものまで様々です。
愛犬がしらすアレルギーを持っているか確かめるために、初めは少量からしらすを与え、徐々に量を増やしながら食べた後の愛犬の様子を観察するようにしましょう。
しらすを食べてすぐに体調不良を起こした場合はしらすアレルギーの可能性があるので、動物病院に相談してより詳細なアレルギー検査を受けてみることをおすすめします。
しらすの与え方
繰り返しになりますが、しらすの与えすぎは塩分の摂り過ぎにつながるので注意が必要です。
ここでは、実際に犬にしらすを与える際に知っておきたいポイントを3つご紹介します。
◆生しらすもOK
何も加工していない生しらすは、犬に与えても問題ありません。良い食べ物といえます。
ただし、しらすは鮮度が落ちやすいため、生食できるくらい新鮮なしらすかどうかをきちんと確認する必要があります。
◆塩抜きをする
釜揚げしらすやちりめんじゃこなど加工されたしらすを犬に与えるときは、必ず事前に塩抜きをする必要があります。
塩抜きの手順はとても簡単で、沸騰したお湯をしらすにかけるだけで完了です。
もしも塩が抜けたか不安な場合は、お湯を沸かした鍋にしらすを数分間つけておけば確実に塩分を落とせますよ。
◆トッピングやおやつとして
犬にしらすを与える際はドッグフードのトッピングや、普段与えているおやつの代わりとして与えることをおすすめします。
繊細な犬の場合は初めて見るしらすを避けてドッグフードのみを食べることもあるでしょう。
しらすはあくまでも副食という位置付けなので、無理に食べさせる必要はありません。
根気強く、少量から食べさせてみてくださいね。
しらすを使ったレシピ
せっかく愛犬にしらすを与えるなら、美味しく食べて欲しいですよね。
ここではより具体的に、おすすめレシピ「しらすと明日菜の卵あえ」をご紹介します!
作り方はとても簡単で、以下の3ステップで完成します。
①明日葉は少量の水で茹でておき、しらすと卵と一緒にごま油で炒める。
②プライムライスはあらかじめ細かく砕き、お湯をかけてふやかしておく。
③器を用意し、②、①の順にのせる。
明日葉の茎や葉にはカルコンというミネラルが豊富に含まれており、セルライト解消に効果があります。
しらすの健康効果と合わせて、愛犬の健康維持におすすめのレシピです。
ちりめんじゃこやしらす干しは食べられる?
ちりめんじゃこやしらす干しは、少量であれば犬に与えても問題ありません。
しかし上述の通り、ちりめんじゃこやしらす干しなど人の味覚に合わせて加工されたしらすはその調理過程から多くの塩分を含んでおり、人と同じような量を犬に与えてしまうと塩分過多となってしまいます。
塩分のとりすぎは病気を引き起こしたり、最悪のケースでは命を落としたりする危険性もあります。
犬にしらすを与える時、量にはくれぐれも気を付けましょう。
犬にしらすを与える時の注意点
何度もお伝えしてきたように、犬にしらすを与える際にはなんといっても分量を守ることが非常に大切です。
しらすは犬にとっておやつ(副食)なので、その量は犬の1日の食事量の10%以下が目安となります。
釜揚げしらすは100gあたりおよそ90kcalといわれているので、愛犬の食事量と照らし合わせて1日に与える量を決めるようにしましょう。
参考までに、犬1頭あたりに推奨されている1日の摂取カロリーは、体重別に以下の通りです。
◎小型犬(6~10㎏):429~630kcal
◎中型犬(11~20㎏):677~1,059kcal
◎大型犬(21~40㎏):1,099~1,781kcal
愛犬の体重と1日あたりの摂取カロリーをあらかじめ確認しておき、適切な量のしらすを与えてくださいね。
まとめ
いかがでしたか。この記事では、「犬」と「しらす」についてご紹介しました。
しらすにはカルシウムやカリウムをはじめとした豊富なミネラルが含まれており、健康効果が高いです。
与える量や塩分量など犬に与える際に注意すべきポイントはいくつかあるものの、しらすは犬の副食として非常に優れた食材といえます。
この記事を参考にして、ぜひ愛犬にしらすを与えてみてはいかがでしょうか?
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