1.犬にピーマンを与えても良いのか
1-1.生でも基本的には問題ない
1-2.パプリカは与えてもいいのか
1-3.適量
5.犬にピーマンを与える際の注意点
5-1.ヘタや種は必ず取り除く
5-2.アレルギー症状
5-3.人間用のピーマンの肉詰めはNG
5-4.食べやすい大きさに切る
5-5.持病や体調不良の子には与えないこと
犬にピーマンを与えても良いのか
犬にピーマンを与えても問題はありません。飼い主さんがピーマンを食べていたら、欲しがる愛犬もいるかも知れませんね。ピーマンは、犬に与えても大きな問題の起こりにくい野菜だと言えます。
ただし、与える量や与え方について、飼い主さんが気をつけるポイントがありますので、詳しく見ていきましょう。
◆生でも基本的には問題ない
ピーマンをそのまま生で犬に与えても、基本的には問題ありません。私たち人間も生で食べられるように、加熱していないピーマンを犬が食べてしまっても大丈夫です。
◆パプリカは与えてもいいのか
パプリカは見た目がピーマンと似ていますね。どちらもナス科のトウガラシ属であり、栽培品種として異なるという野菜です。栄養成分の種類も、数値の違いはありますが、ほぼ同じです。そのため、パプリカも犬に与えても問題はないと言えるでしょう。
◆適量
犬にピーマンを与えても問題ありませんが、適量を守りましょう。
犬にとってのピーマンの適量は、一日ぶんの食事量の10%以下を目安としてください。この10%以下とは、おやつ量の目安です。
犬の体重による与えてもよいピーマン(中型で1個約35gほど)の量
・超小型犬(体重1~4kg)輪切り1~2切れ
・小型犬(体重10kg以下)輪切り3~4切れ、半分
・中型犬(体重25kg以下)半分〜1個
・大型犬(体重25kg以上)1個〜1.5個
上記はおよその目安で、犬の体格や食べる量、運動量などの個体差によって、適量も変化します。
さらに、別のおやつを愛犬に与えている場合には、上記よりもっとピーマンの量を減らすべきということになります。専用のおいしいおやつを与えていれば、あえて与えなくても良いでしょう。
また、ピーマンを食べた犬が嘔吐や下痢をするなど、体調が悪くなるようなことがあればすぐ与えるのをやめ、獣医さんに診てもらいましょう。そのため、初めてピーマンを与える時には、犬の様子に変化がないかどうか、気をつけて観察しておく必要があります。
ピーマンに含まれる栄養素
ピーマンに含まれる主な栄養素は以下のとおりです。
・ビタミンC
・ビタミンB1・B2・B6
・βカロテン
・ビタミンE
・カリウム
・マグネシウム
ピーマンには、人間の体に良いとされる栄養素がたくさん含まれています。特にビタミンCが多く含まれていて、レモンの倍、さらにトマトの4〜5倍ほどもあるとされています。
ビタミンCには抗酸化作用と、活性酸素を抑える働きがあります。そしてコラーゲンの生成を促し、皮膚を健康に保つ働きをします。また、カルシウムの吸収と代謝、糖の代謝に関与しています。さらに、ストレスに抵抗する副腎皮質ホルモンの合成を促す働きもしてくれます。
実は、犬を含む多くの動物は、自分の体内でビタミンCを作ることができるので、食事で摂取する必要はあまりありません。ただし、犬も年を取ってくると、ビタミンCの生成が減ってくるので、おやつとして少量与える場合も考えられます。
ビタミンB群もピーマンには豊富に含まれています。ビタミンBの大きな働きはタンパク質や炭水化物、脂肪の代謝に補酵素として働いて、皮膚や目、口、肝臓等の健康維持に欠かせない栄養素です。
ビタミンBは肉類からでも摂取できるので、特にピーマンを食べさせる必要はなく、愛犬のフードとの兼ね合いも考えて、バランス良く与える必要があります。
βカロテンは、体内でビタミンAに変換される栄養素です。βカロテンは抗酸化作用があり、さらに免疫を強くするので抗がん作用も期待されます。また、ビタミンAは粘膜や皮膚の健康維持に役立つ栄養素です。
ビタミンEも抗酸化作用が強く、体内にある脂質の酸化を防いでくれます。また、細胞膜を健全に保つという働きもあり、動脈硬化や血栓の予防効果もあるので、若返りのビタミンとも呼ばれています。さらに、犬の皮膚疾患にはビタミンEが有用であると言われています。
カリウムは体に必須なミネラルの一つです。細胞の浸透圧を調整して、体内の余分なナトリウムの排出を促し、血圧を正常に保つ効果があるとされています。血管を正常に保ち、筋肉の収縮や神経刺激伝達を助ける機能があります。
マグネシウムは犬にとって、主要必須ミネラルと言われている大切な栄養素です。骨や歯を構成する成分であり、心臓や関節などを正常に機能させるのに大切な働きをする必須ミネラルです。さらに、ホルモンの分泌や神経伝達にも関わっています。
ただし、上記の栄養素は、市販のドッグフードにも含まれていて、あえて「ピーマンを犬に食べさせて栄養素を補う」必要はありません。
総合栄養食のドッグフードは、栄養素のバランスを考えて作られているものがほとんどなので、ピーマンはフードに少し追加するものとして考えると良いでしょう。
犬の口臭にピーマンが効果的?
ピーマンに含まれる栄養成分の中に、クロロフィルがあります。これはいわゆる葉緑素の別名です。特に緑ピーマンに多く含まれていて、体には抗酸化作用が期待できる成分です。
クロロフィルは人間にとって消臭や抗菌効果があると言われていますが、犬の口臭にとって効果があるかどうかは、明らかになっていません。
人間の場合、クロロフィルが口の中で細菌の増殖を抑えてくれるので、口臭の予防になり、血液を循環することで体臭も抑えてくれる効果が期待できる、と言われています。そのため、人間用の口臭対策のガムや体臭が木になる人のサプリなどに使用されています。
そのため、犬にも消臭効果が「期待される」という表現で、おやつやサプリメント、歯磨きジェルなどに、クロロフィルが入っていることがあります。
このクロロフィルが多く含まれているからといって、ピーマンを食べることが犬の口臭予防になるかというと、そのような明らかな研究結果はまだありません。
犬に与えてもいい野菜
ピーマン以外に、犬に与えても良いとされる野菜には、以下のようなものがあります。
・にんじん βカロテンが豊富な野菜です。しかし繊維が多いので、細かく刻んで少量から与えてください。食べたことで便がゆるくなったり、固い人参がそのまま排出されたりした場合には、与えないようにしてください。
・キャベツ やわらかければ生のまま、固いものは加熱して少量だけ与えてください。与えすぎるとお腹にガスがたまったり、軟便になったりします。
・じゃがいも 皮を向いて芽を必ず取り除き、喉につまらないように小さく刻み、加熱して与えてください。
・ブロッコリー 加熱して、房の部分だけ与えるようにしてください。茎部分は繊維が多いので与えないほうが良いでしょう。
・白菜 細かく刻み、加熱をした状態で与えてください。
ただし、上記の野菜でも、犬によって好き嫌いの個体差がありますし、特定の野菜にアレルギーを持つ犬もいますので、むやみに与えることはおすすめできません。
目安の量は体重5kgの犬に対して5g程度なので、小型犬であればさらに少量だけにしてください。また、犬が喜んで食べるからといって、大量に与えることもおすすめできません。もちろん、野菜は犬の主食にはなりませんので、必ず総合栄養食を与えた上でのおやつ程度としてください。
野菜を食べた後に犬が吐いたり下痢をしたりするなど、体調の変化が見られた時には、与えるのをやめて獣医さんに診てもらってください。
犬にピーマンを与える際の注意点
犬にピーマンを与える時には、次の5点に特に気をつけましょう。
◆ヘタや種は必ず取り除く
ピーマンのヘタや種は固くて消化にも悪く、栄養価もほとんどなく、食べるのには適さないので、取り除いてください。
◆アレルギー症状
ピーマンを食べることで、犬がアレルギー症状を起こしたといった例は、獣医さんの体験談や意見でもあまりないようです。
しかし、ナスやトマトにアレルギー症状が出る犬もいるため、ピーマンでアレルギーは絶対起こらないとは言えません。ピーマンを食べた後、嘔吐や下痢、元気がないなど愛犬の体調に変化が現れた場合には、すぐに獣医さんに診てもらうようにしましょう。
そのため、初めてピーマンを与える時には少量にして、必ず飼い主さんが犬の様子を観察して見守る必要があります。
◆人間用のピーマンの肉詰めはNG
人間用に調理したものは、犬に与えないようにしましょう。人間の食事は塩分も多く、犬にとっては適さない食べ物がほとんどです。
例えばピーマンの肉詰めは、塩やソース、香辛料などの調味料やたまねぎなど、犬に与えてはいけないものも多く入っています。ピーマンの肉詰めに限らず、サラダでもドレッシングがかかっているなど、人間用の調理されたものは犬に良いことはありませんので、与えない方が良いでしょう。
◆食べやすい大きさに切る
ピーマンを丸のまま与えたりせず、犬が食べやすい大きさに小さめに刻んであげるようにしてください。ドッグフードと一緒に与える時にも、細かくしてドッグフードと混ざるようにすると食べやすいでしょう。
与える量も、おやつの量を越えることなく、少量だけにしましょう。与えすぎは消化不良を引き起こす可能性があるほか、犬の体調に良くない影響を与えるかも知れません。
◆持病や体調不良の子には与えないこと
持病があったり、体調を壊したりしている犬には、ピーマンを与えないようにしましょう。どのような影響があるかわかませんし、より体調を悪くする可能性もあります。犬が健康な頃にピーマンを食べていたとしても、体調不良の時には与えるのを控えましょう。
また、体の弱っている老犬や、まだ成長過程の子犬にも、どんな影響があるかわからないため、あえて与える必要はないでしょう。
まとめ
ピーマンは犬が食べてしまっても、基本的には大きな問題はない野菜です。
与える時には生でも加熱しても大丈夫ですが、ヘタや種を取り除き、細かく刻み食べやすいようにして、健康な成犬に与えるようにしましょう。
与える量は犬のおやつの量を超えず、少量にしてください。目安は犬の1日の食事量の10%以下です。
人間用に調理されたピーマンの肉詰めなどは、与えないようにしましょう。
基本的に、犬にピーマンをあえて与える必要はありません。必要な栄養素は、正しい総合栄養食を与えていれば摂取できます。
もしピーマンを犬が誤って食べてしまっても、緊急に命の危険はない可能性が高い野菜であること、もし与えるとしたら、少量をおやつとして与える程度であることを知っておくと安心できるでしょう。
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