1.犬のお腹がキュルキュル鳴っている原因
1-1.お腹が減っている
1-2.お腹にガスが溜まっている
1-3.ストレスを感じている
1-4.フードがあっていない
1-5.食べ物を消化している
1-6.誤飲をしてしまった
2.犬のお腹がキュルキュル鳴る病気
2-1.膵炎
2-2.寄生虫
2-3.腸閉塞
2-4.過敏性胃腸炎
2-5.胃捻転
4.犬のお腹がキュルキュル鳴るのを止める方法
4-1.ごはんの回数を変える
4-2.絶食させてみる
4-3.お腹のマッサージをする
犬のお腹がキュルキュル鳴っている原因
犬のお腹がキュルキュルと鳴るときは、いくつかの原因が考えられます。
ここでは、犬のお腹から音が鳴る理由として、病気を除いた代表的な原因を6つご紹介します。
◆お腹が減っている
私たち人間もお腹が減ると音が鳴るように、犬も空腹時に胃や腸が収縮運動を起こし、新たに食べ物を受け入れる準備をするときにキュルキュルと音が鳴ることがあります。
犬のお腹がキュルキュル鳴ったとき、最後にご飯を食べてから時間が空いている場合は空腹が原因となっている可能性が高いといえます。
空腹によって音が鳴るのは自然なことで、特に危険性はありません。
◆お腹にガスが溜まっている
ごはんを食べるときに空気を一緒に飲み込んでしまう、あるいは食べたごはんがお腹の中で発酵するなどの理由から胃や腸の中にガスがたまり、そのガスがお腹の中で音を立てることもあります。
とくに便秘のときは、体内に溜まった消化中の食べ物が異常発酵を起こしてガスが出て、結果としてお腹がキュルキュルと鳴ることが多くなるようです。
飼い主さんは犬がゲップやおならでガスを体外に出すことができるように楽な姿勢にしてあげる、もしくは背中をさすってあげるなどのサポートをしてあげましょう。
◆ストレスを感じている
犬のお腹から音がする原因には、ストレスによるものもあります。
緊張や不安が続くと自律神経が乱れて胃腸に負担がかかります。
その結果、胃腸のぜんどう運動が乱れてしまい、お腹からキュルキュルと音が鳴ることがあるのです。
「見慣れない場所や人に囲まれて緊張する」「散歩に連れて行ってもらえず、遊びの時間も少ない」などの状態は犬にとってストレスの要因となります。
飼い主さんは犬がストレス発散できるように、運動をさせたり好きなおやつを与えたりするなどのサポートはもちろん、そもそもストレスを抱えないように愛犬の生活を整えてあげることが大切です。
◆フードがあっていない
犬も個体によって体質が異なり、それぞれの体に合うドッグフードと合わないドッグフードがあります。
自分の胃や腸に合っていないフードを食べると、それを体内で消化するときに胃腸に負担がかかり、消化不良を起こします。
その結果、消化できなかった食べ物が体内で異常発酵してガスがでるため、お腹がキュルキュルと音を立てるのです。
「餌を変えてから愛犬のお腹が頻繁に鳴る」などの場合は、犬に与えているフードを見直してみてはいかがでしょうか。
◆食べ物を消化している
犬のお腹がキュルキュルなるのは、悪い理由からだけではありません。
一般的に、体内で食べ物を消化するとき、胃や腸は食べ物を先へと押し進めるために伸びたり縮んだりを繰り返します。
この胃腸の収縮はぜんどう運動とも呼ばれ、キュルキュルといった音をともないます。
とくに食後は胃腸の動きが活発なタイミングなので、飼っている犬がご飯を食べたあとでお腹を鳴らし始めたときは、食べ物を消化しているからと考えて良いでしょう。
これは自然な生理現象なので、とくに心配する必要はありません。
◆誤飲をしてしまった
最後に、犬が本来口にしてはいけないものをうっかり飲み込んでしまった場合も、お腹がキュルキュルと音を立てることがあります。
これも前述したぜんどう運動にともなう音で、誤飲してしまった異物を体外へ押し出そうとして胃腸が収縮を繰り返すときに音が鳴ります。
犬が落ち着きのない様子だったり、口から何かを吐き出しそうな仕草を繰り返したりしている場合は、誤飲の危険性があります。
誤飲は放置しておくと命に関わる危険もあるため、すぐに動物病院に連れて行くことをおすすめします。
犬のお腹がキュルキュル鳴る病気
犬は病気が原因でお腹から音が鳴ることもあります。
病気の場合は早期発見、早期治療が必要になるので、すぐに獣医師に相談する必要があります。
ここでは、犬のお腹がキュルキュルと鳴る病気の事例を5つご紹介しますので、愛犬に当てはまるところはないかぜひ確認してください。
◆膵炎
膵炎とは、文字通り膵(すい)臓が炎症を起こすことで、消化酵素が肝臓を溶かしてしまい最悪の場合死に至る危険な病気です。
膵炎を起こした犬は、お腹からキュルキュルといった音がなることがあります。
膵炎の初期症状としては、腹痛や嘔吐、食欲不振が挙げられます。
とくに、犬は腹痛を感じているとき、前足を伸ばしたまま頭を低くして腰を持ち上げるような姿勢をとります。
飼っている犬がこのポーズを取っている場合、膵炎などの理由で腹痛を起こしている可能性が高いので、必ず動物病院を受診しましょう。
◆寄生虫
犬のお腹からキュルキュルと音が鳴っている場合、体内に寄生虫が入り込んでいる可能性があります。
回虫や瓜実条虫などの虫が犬の体内に寄生すると、消化器官に住み着いて様々な感染症を引き起こし、その結果お腹が鳴ることがあるのです。
寄生虫による感染症の初期症状としては、食欲の低下、消化不良による下痢、腹部の異常な膨満、粘血便などが挙げられます。
愛犬にこのような症状が見られた場合は寄生虫のリスクがあるので、動物病院で詳しく検査を受ける必要があるでしょう。
◆腸閉塞
腸閉塞は、命を落とす可能性もある極めて危険な病気です。
これは、おもちゃなどの異物を誤飲したことなどが原因で胃が詰まり、食べ物の通り道が塞がれてしまう症状を指します。
腸閉塞の初期症状には、激しい腹痛、吐き気や嘔吐、食欲不信、消化不良による便秘や下痢などが挙げられ、胃が塞がってしまうことでキュルキュルと音が鳴ることがあります。
これらの初期症状が見られ、かつ犬が何かを誤飲した可能性がある場合、腸閉塞を起こしている可能性が非常に高いです。
腸閉塞は外科手術が必要な病気なので、少しでも心当たりがある場合はすぐに動物病院に連絡してください。
◆過敏性胃腸炎
人間と同じように、犬も胃腸炎を起こすことがあります。
犬の過敏性胃腸炎にはストレスをはじめとする様々な原因が考えられ、キュルキュルというお腹の音を伴います。
過敏性胃腸炎の症状としては、お腹の音の他にも下痢や便秘、軟便、腹痛などが挙げられます。
過敏性胃腸炎は明確な原因が分からないケースが多いため、獣医師に相談のうえ適切な対応を取る必要があります。
◆胃捻転
最後に、犬のお腹がキュルキュルとなる原因と考えられる病気に胃捻転があります。
胃捻転は、文字通り胃がねじれを起こす病気で、血液の流れが妨げられるためショック状態に陥り、命を落とす可能性もある危険なものです。
胃捻転が起きる主な理由としては、誤飲、過剰な量の食事や飲水、食後の過剰な運動などが挙げられます。初期症状としてはお腹の音以外にも、えずきや嘔吐、腹部膨満、虚脱などがあり、これらの症状が見られる場合はすぐに獣医師に相談しましょう。
犬に人間用の整腸剤を与えてもいいのか
犬のお腹からキュルキュルと音がして辛そうなとき、「人間用の整腸剤でも効果があるのではないか」と考える飼い主さんもいるかもしれません。
人間用の整腸剤には犬に与えても問題ないものもありますが、オリゴ糖をはじめとする糖質が含まれている整腸剤を与えてしまうと小腸内細菌異常増殖症などの症状を引き起こすおそれがあります。
そのため、愛犬の体調不良に備えておきたいのであれば、犬用の整腸剤を用意しておくことをおすすめします。
犬用整腸剤は腸内の善玉菌を増やし、消化不良などの症状軽減に効果が期待できます。
市販の犬用整腸剤を使用する場合は、決められた用法用量を守り、1~2日様子を見ましょう。
犬用整腸剤を与えても食欲不信や消化不良などの症状が治らない場合は、整腸剤に頼りすぎずに動物病院に相談するようにしてください。
なお、明らかに犬の体調が良くない場合は、はじめから動物病院に連れて行きましょう。
腸閉塞や胃捻転など生死に関わる病気の場合、治療は一刻を争います。
市販の犬用整腸剤は万能薬ではないので、緊急性の高い症状が見られる場合はすぐに獣医師に診てもらう方が良いです。
犬のお腹がキュルキュル鳴るのを止める方法
犬のお腹がキュルキュルと音を立てているとき、その原因が病気でなければ、飼い主さんの工夫次第で音が鳴るのを止めることも可能です。
ここでは犬のお腹の音を止める方法として、代表的なものを3つご紹介します。
◆ごはんの回数を変える
犬に与えるご飯の回数を変えると、お腹の音が止むことがあります。
とくに空腹が原因でお腹が鳴っている場合は、1日に与える食事の回数を増やしてみるとよいでしょう。
「一度に与える食事の量」を増やすと、食べ物が体内でうまく消化されずに異常発酵し、ガスを発してお腹の音がかえってひどくなってしまう可能性があります。
そのため「1日あたりの食事回数」を増やすことで犬の空腹を満たしてあげるようにしましょう。
一方、消化不良によってお腹がキュルキュル鳴っている場合は、与える食事の量や回数を少し減らして様子を見ましょう。
ドッグフードは水でふやかしてから食べさせてあげると、体内で消化しやすくなります。
ドッグフードが犬の体質にあっていないようであれば、フードを変えてみるのもいいかもしれません。
◆絶食させてみる
犬のお腹がキュルキュル鳴っていて、軽度の下痢や嘔吐の症状も見られる場合は、1日中ごはんを与えずに様子を見るのもおすすめです。
胃腸に何かしらの不調が生じているときに無理やりごはんを与えると、胃腸は活動せざるを得なくなり体調が悪化するおそれがあります。
24時間程度であれば絶食しても栄養不足の心配はなく、体内の不要物を排出することで体調改善が期待できます。
なお、絶食中であっても水分補給は体内をデトックスするうえで必要不可欠です。
◆お腹のマッサージをする
最後に、お腹をマッサージしてあげるのも有効です。
犬の下腹部をひらがなの「の」の字に優しく撫でてあげることで、腸の働きが活発になり消化が促進されます。また、信頼する飼い主さんにお腹を触られることは犬のリラックスにも効果があります。
まとめ
いかがでしたか。この記事では、犬のお腹からキュルキュルと音が出るときの主な原因や、音が出るときの対処法についてご紹介しました。
犬のお腹の音は、食べ物の消化など生理現象によるものから、腸閉塞などの病気によるものまで様々な原因が考えられます。
腸閉塞や胃捻転などの病気が原因でお腹から音が鳴っている場合は、放置しておくと命を落とす危険性もあります。
犬の様子を見ながら、下痢や嘔吐など明らかな体調不良が見られる場合はすぐに動物病院に連れて行きましょう。
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