【獣医師監修】犬の呼吸が早いのはどうして?考えられる病気や対処法を詳しく解説

2022.05.23

【獣医師監修】犬の呼吸が早いのはどうして?考えられる病気や対処法を詳しく解説

なんとなく愛犬の呼吸が早い気がする、と感じた経験はありませんか?呼吸数は犬の健康状態を知るための重要なバロメーターの一つであり、呼吸が早い場合は何かの病気のサインである可能性が考えられます。そこでこちらの記事では、犬の通常時の呼吸数や呼吸数の測定方法、呼吸が早い原因や対処方法などを詳しくご紹介します。

犬の通常時の呼吸

犬の呼吸

犬の正常な1分間の呼吸数は、小型犬で20~30回、大型犬で15回ほどです。

ただし、犬の呼吸が早いからといって、必ずしも不安に思う必要はありません。というのも、私たち人間も、暑い日や運動後に一時的に呼吸数が増えますよね。これは犬も同じで、暑い日や散歩後、興奮時などの行動が活発になったときには生理的な息切れが起こります。

そのため、愛犬の呼吸数を測る場合は、寝ているときやじっとしているときなどの安静時に行うようにしましょう。安静にしている状態で15秒間にお腹が何回膨らむかを数え、その数を4倍にしたものが1分間の呼吸数になります。

普段から愛犬の呼吸数を測っておけば、安静時の大体の呼吸数や呼吸状態を把握することができます。また、いざというときにも落ち着いて呼吸数を測ったり、呼吸状態が異常かどうかを判断したりすることができるので、日ごろから呼吸数を測る癖をつけておくことをおすすめします。


犬の呼吸が早い原因

そもそも、呼吸の主なはたらきは、酸素を取り入れて二酸化炭素を排出することです。そのため、なんらかの原因で多くの酸素が必要になると、脳にある呼吸中枢が刺激され、呼吸が促されます。

また、犬は全身に汗をかくことができないため、唾液の気化熱を利用して体温を下げます。そのため、なんらかの原因で体温が上昇してしまったときにも、呼吸が早くなります。

さらに、犬の呼吸数は自律神経によっても調節されています。自律神経は交感神経と副交感神経という2つの神経のことを指しているのですが、なんらかの原因で交感神経が優位に働くと呼吸数が増え、逆に副交感神経が優位に働くと呼吸数が少なくなります。

◆血液の異常

赤血球に含まれるヘモグロビンには、酸素を全身に運ぶ働きがあります。そのため、中毒や大量出血、ヘモグロビンを作るのに必要な鉄の不足などによって赤血球の数が少なくなってしまう(貧血)と、体に多くの酸素が必要となるので、呼吸数が早くなります。

◆誤飲をした

特に子犬で多くみられるのですが、犬用のおもちゃやボール、布類などを誤って口にして喉に詰まらせてしまうと、うまく呼吸をすることができなくなり、呼吸が早くなります。また、異物が完全に喉につまってしまうと、呼吸困難を起こしてしまうこともあります。

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犬はニオイをかぐと、それが食べ物ではない場合でもくわえる習性を持っているため、口にしたものを誤飲してしまう恐れがあります。また、犬が持つ習性を考えると誤飲が起こる可能性は高く、万一の場合は命の危険性もあるため、見過ごすわけにはいきません。 今回は、犬の誤飲が起こる原因や起こるタイミング、また、実際に犬が誤飲しやすいものにはどんなものがあるか、そして、誤飲を防ぐための効果的な方法を解説します。

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◆心臓疾患

心臓は全身に血液を送り出すポンプのような役割をしています。そのため、心臓病に罹患して血液がうまく循環しなくなってしまうと、体の中の酸素量が少なくなってしまい、多くの酸素をとりこもうとして呼吸数が早くなります。以下に犬の代表的な心臓病を3つご紹介します。

動脈管開存症

動脈管とは、肺から全身へ酸素がたくさん含まれている血液を送る「大動脈」と、全身から集められた酸素量が少ない血液を肺へ送る「肺動脈」を結ぶ血管です。動脈管は母犬のお腹の中にいるときには必要な血管なのですが、出生後に肺呼吸が始まると、自然と閉鎖します。動脈管開存症は、その名のとおり、本来閉じるべきはずの動脈管が開いたままになってしまい、全身に流れるはずの一部の血液が大動脈から肺動脈へと流れ、疲れやすかったり、重度の場合には咳や呼吸困難などの症状が出たりします。

僧帽弁閉鎖不全症

老犬に多く見られる心臓病で、心臓の左心房と左心室を区切る弁がうまく機能しなくなって血液が逆流してしまう病気です。原因の多くは加齢で、運動を嫌がる、咳が出るなどの症状がみられます。病気が進行すると肺に水が溜まる「肺水腫」を起こし、呼吸困難などの症状が引き起こされます。

フィラリア症

蚊を媒介して起こる感染症です。蚊が犬を刺すことによってフィラリア(犬糸状虫)という寄生虫の幼虫が犬の体内に入り込み、体内で成長します。成長したフィラリアは血管内に入り込み、心臓や肺動脈に寄生します。無症状であることもありますが、フィラリアの数が増えることで血管が傷ついたり血流が妨げられたりして、咳や呼吸困難などの症状がみられることもあります。

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犬のフィラリア症は、蚊が媒介するフィラリア(犬糸状虫)という寄生虫による疾患のことです。蚊がフィラリア感染した動物を吸血した際に取り込んでしまい、他の犬を吸血する際に身体に送り込むことでフィラリア症に感染します。フィラリア症に感染すると、咳が増える、元気消失、腹水、血管障害を起こすなどの症状がみられ、最悪の場合死に至ることもあります。 犬のフィラリア症の症状や原因、治療法、予防法について詳しくご紹介します。

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◆呼吸器の疾患

呼吸が早い場合、呼吸器の疾患を真っ先に疑う飼い主さんも少なくないのではないでしょうか。呼吸器は鼻腔、副鼻腔、喉頭、気管、気管支、肺を指します。呼吸器は名前のとおり呼吸をするための器官なので、そのどこかに異常があると、うまく空気を吸ったり息を吐いたりすることができなくなり、呼吸が早くなります。

以下に、犬の代表的な呼吸器の病気を3つご紹介します。

気管虚脱

空気の通り道である気管がつぶれて狭くなり、呼吸がしにくくなってしまう病気です。咳や「ガーガー」とガチョウが鳴くような呼吸音などがみられ、悪化すると呼吸困難を起こします。

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ガーガーと苦しそうな呼吸が特徴の「気管虚脱」とは、どのような病気なのでしょう。 原因は何なのか、どのような治療法があるのかなど、気になります。 また、治療を続ければ気管が元に戻るのかも知りたいですよね。 そこでこの記事では、犬の気管虚脱の原因や症状、治療法などを詳しくまとめました。

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ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)

子犬によくみられる感染症で、さまざまなウイルスや細菌が原因で起こります。乾いた咳が主な症状ですが、鼻水や食欲不振などの症状がみられることもあります。また、重度の場合は肺炎を起こすこともあります。

軟口蓋過長症

パグやフレンチ・ブルドッグなど、短頭種に分類される犬種に多くみられる病気です。主な症状は大きな「いびき音」ですが、激しい運動や興奮後などに急に呼吸困難を引き起こすことがあります。

◆熱中症

先ほどもご紹介したとおり、犬は人間のように全身に汗をかくことができないことから、体温調節があまりうまくありません。そのため、日本の夏のような高温多湿な環境下では熱中症にかかってしまうことがしばしばあります。

熱中症によって体温が上がると、犬の体はなんとか熱を外に逃がそうとします。そのため、口を開けて舌を出し、「ハアハア」と浅く早い呼吸(パンティング)をすることで唾液を蒸発させ、その気化熱で体温を下げます。夏場に呼吸が早い場合は、熱中症を疑ってみてください。

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犬は、一般的に、寒さに強く暑さに弱い動物です。犬は、人間と異なり、肉球以外に汗腺がありません。そのため、口を開けて「はあはあ」と呼吸をすることで、唾液を蒸発させて体温調節を行っています。もし、愛犬が通常以上に荒い呼吸をしていたら、熱中症のサインかもしれません。今回は、犬が暑い時に見せるサインや、犬のための暑さ対策をまとめました。愛犬を熱中症にさせないために、ぜひ参考にしてみてください。

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◆ストレス

犬は飼い主とのコミュニケーション不足や運動不足などに対してストレスを感じることが多いといわれています。人間と同じように、犬もストレスを感じると交感神経が優位に働くため、一時的に呼吸が早くなります。

◆痛み

外傷や椎間板ヘルニア、下痢による腹痛、腫瘍などが原因で体のどこかに痛みが生じると、呼吸が早くなったり痛みから震えたりすることがあります。


犬の呼吸が早いときの対処法

犬の呼吸が早い対処法

犬の呼吸が早いときというのは、犬にとって苦しい状態でもあります。そのため、早めの対処が改善のカギとなることがあります。以下に少しでも呼吸が楽になるような対処法を4つご紹介します。どれも難しいものではないので、いざというときのために覚えておきましょう。

◆室温を一定に保つ

犬が快適に過ごすことができる温度は21~25℃、湿度は50~60%くらいだといわれています。エアコンや除湿器などを利用して室温や湿度を一定に保つようにすると、呼吸がしやすくなりますよ。

◆楽な姿勢にさせる

犬は呼吸が苦しくなると、犬座姿勢(おすわりをして首を伸ばした状態)をとります。苦しそうにしているので横になって休ませてあげたい気持ちもありますが、横向きに寝かせてしまうと肺が圧迫され、より苦しくなってしまいます。犬は楽な姿勢を自らとるため、倒れないように体の横やあごの下にクッションやタオルを丸めたものを置いて支えてあげると良いでしょう。

◆水分を与える

熱中症によるパンティングがみられる場合は、とにかく一刻も早く体温を下げることが大切です。体温を下げるためには、涼しい場所に移動し、保冷剤を首や脇の下、後ろ足の付け根の部分に保冷剤を当てたり、体に常温の水をかけて冷風を当てたりしながら、可能であれば水を飲ませてみましょう。ただし、ぐったりしているなどして水分を摂れない状態であれば、無理に与えることはしないでくださいね。

また、犬はほとんど汗をかかないことから、人間のようにミネラル分が失われることはなく、人間用のスポーツドリンクを与える必要はありません。人間用のスポーツドリンクには糖分や塩分なども多く含まれているため、できれば愛犬に与えない方がよいでしょう。

ただし、水は飲まない場合であっても、甘さのあるスポーツドリンクなら口にしてくれることもあります。そのような場合は、人間用の粉末タイプのスポーツドリンクを従来の3倍ほど薄くしたものを与えるか、犬用のスポーツドリンクを与えるようにしましょう。

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こちらはヨーグルト風味のペット用スポーツドリンクです。お皿などに入れても飲まない場合は、少し鼻先に付けてあげると飲んでくれることもあります。
特に夏場は、いざというときのために1本常備しておくと安心かもしれませんね。ただし、日常的に与えるのはやめましょう。

◆口の中や舌の色を確認する

体の中の酸素量が極端に少なくなってしまうと、チアノーゼを起こし、正常時はピンク色である歯茎や舌などが青紫色に変わります。チアノーゼは命に関わる状態である可能性が高いため、早急に治療を開始する必要があります。愛犬の呼吸が早いと感じたら、まずは口の中の粘膜や舌の色を確認しましょう。


すぐに病院に行った方が良い症状

運動後や興奮したときなどに呼吸が早い場合は、犬が少し落ち着けば呼吸数ももとに戻るので、そのまま様子をみていただいても問題ありません。

ただし、呼吸が早く、さらに以下のような症状がみられる場合は、要注意です。すぐに適切な処置を受けなければ命に関わる可能性が高いため、様子を見ずにすぐに動物病院に相談し、獣医師の診断を受けるようにしてください。

    ・ぐったりしている
    ・意識がない
    ・チアノーゼを起こしている
    ・痙攣している
    ・咳が止まらない
    ・激しく嘔吐している
    ・異物誤飲や熱中症が疑われる

また、呼吸が早い状態が続いている場合も、何らかの病気に罹患している可能性が考えられるため、なるべく早く動物病院を受診するようにしてください。

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まとめ

こちらの記事では、犬の呼吸が早い場合に考えられる原因や対処法などをご紹介しました。

運動後や興奮したときなどに呼吸が早い場合は、犬が落ち着けば自然に呼吸も落ち着いてきます。ただし、何もしていないのに呼吸が早い場合や時間が経っても呼吸が落ち着かない場合は、なんらかの病気のサインである可能性が考えられます。そのままにしてしまうと呼吸困難を起こしたりして命に関わるケースもあるため、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に16医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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