1.蚊取り線香は犬の近くで使ってもOK?
1-1.犬も蚊に刺されることがある
1-2.そもそも蚊取り線香って?
1-3.蚊取り線香は正しく使えば、基本的に問題はあまりない
2.蚊取り線香の使い方で注意したいポイント
2-1.1.密室や狭い部屋で使わない。適度な間隔で換気をしよう。
2-2.2.煙の吸い込みに注意する
2-3.3.犬が誤飲しないようにする
2-4.4.飼い主さんの目の届くときに使う
2-5.5.アレルギー症状が出たら使用をやめる
3.ペットに安心な「ペット用蚊取り線香」もある
3-1.犬用の蚊取り線香と一般的な蚊取り線香との違いは?
4.蚊取り線香以外の犬の虫除け対策グッズ
4-1.吊り下げ式や置き型の蚊よけネット
4-2.首輪につけるタイプ
4-3.虫除け芳香剤
4-4.虫除けスプレー
蚊取り線香は犬の近くで使ってもOK?
夏季になると、どうしても蚊が増えてきますよね。お家のなかに蚊が入らないように対策をしていても、扉や窓の開閉時に侵入してくることもあります。
蚊に刺されると、本当に痒いですよね。しかも、体の周りで「ブーン」と飛ぶ音を聞いているだけでも耳障りで、気分が落ちるものです。
そんなときに活躍するのが蚊取り線香ですが、犬がいても使えるのでしょうか。
◆犬も蚊に刺されることがある
犬も蚊に刺されることがあります。犬にとって“蚊”がよくないことは、多くの飼い主さんが毎年のように対策をしている「フィラリア予防」からもお分かりいただけるかと思います。
フィラリア症を発症している犬の血を吸った蚊はフィラリアの幼虫を保持し、そしてほかの犬の血を吸うときに幼虫が入り込むという経路でフィラリア症が感染していきます。
また、フィラリア症にかからずとも、犬が蚊に刺されれば「かゆい」「赤くなる」という症状を起こします。
犬は毛で覆われているため、特に刺されやすいのは皮膚が見えやすい箇所です。たとえば、「耳の入り口」「毛が薄いお腹」「目の周り」「脚の肉球」などが刺されやすいと言われています。
◆そもそも蚊取り線香って?
蚊取り線香とは「蚊を退治する」という目的のもとに生まれた、線香タイプの殺虫剤です。蚊にとって毒性となる成分を渦巻状の線香に含有し、火を使って煙を出すことで効果を発揮します。
そもそも蚊取り線香の歴史はかなり古く、戦前にまで遡ります。当時は、除虫菊に含まれた天然成分「ピレトリン」を練り込んで線香が作られていました。
しかし、その後、ピレトリンに似た化合物「ピレスロイド」をもとに、蚊取り線香が作られるようになってきました。ピレスロイドを含んだ殺虫剤は、虫を退治するほか、「虫を寄せ付けない」という忌避的な効果をも持ち合わせています。
◆蚊取り線香は正しく使えば、基本的に問題はあまりない
蚊を駆除する毒性が入っていると聞くと、飼い主さんは「愛犬に影響があったらどうしよう」と心配になりますよね。蚊取り線香に含まれた「ピレスロイド」は、“蚊”に対しての駆除効果を発揮する成分ですが、人間をはじめ、ペットなどの哺乳類は影響がないとされています。
蚊取り線香のメーカーにおいても、ペットがいても使用できる旨が記載されていることが多いです。哺乳類の体内にピレスロイドが入っても分解できるため、安全性が保たれていると言えるでしょう。
蚊取り線香の使い方で注意したいポイント
蚊だけに効果を発揮する毒性とは言っても、その成分自体を「直接吸い込む・大量に体に浴びる」などにより、アレルギー症状を起こすことがあります。
人間も動物も体質は人それぞれです。なかには、ちょっと吸い込んだだけで、体調が悪くなるケースもあるでしょう。
また、使い方次第では人体や動物への影響がないとされている蚊取り線香も、誤った使い方をすれば何らかの影響をもたらしてしまうのです。
だからと言って、蚊が飛んでいる状態は犬にとってはよくないこと。蚊取り線香を上手に使って、蚊のいない環境で快適に暮らしたいですよね。
そこで、正しく使用できるように、いくつかの注意ポイントを見ていきましょう。
◆1.密室や狭い部屋で使わない。適度な間隔で換気をしよう。
密室や狭い部屋蚊取り線香を使うと、煙がすぐに充満します。
たちまち部屋中に行きわたるので、普通に呼吸するだけでも何だか息苦しさを感じるでしょう。
そればかりか、じわじわと目や鼻、喉へと刺激をもたらしてしまいます。空気の流れが滞らないように、ときどき換気をしながら風の流れを作って使いましょう。
◆2.煙の吸い込みに注意する
蚊取り線香の殺虫成分「ピレスロイド」は、基本的に人間や犬には害がありません。ただ、煙がダイレクトに鼻から入ると、いわゆる“むせる”という状態にもなります。
「広い部屋で使っている」「きちんと換気をしている」という場合でも、煙の吸い込みには注意しなければなりません。
たとえば、愛犬のケージの横に蚊取り線香を置けば、わんちゃんが煙を吸い込む確率が高くなりますよね。それに風下に犬がいれば、風の流れにより運ばれた煙が犬に漂ってくることもあるでしょう。特に、気管が弱く、呼吸器トラブルを起こしやすい鼻の短い犬(短頭種)は注意しなければなりません。
蚊取り線香を使用する際は置き場所にも気を付けましょう。
◆3.犬が誤飲しないようにする
犬が蚊取り線香を食べないように注意しましょう。人間は、“蚊取り線香”であるという認識ができますが、犬はそれが理解できません。性格によっては、好奇心から食べてしまう可能性も考えられます。
蚊取り線香はペットフードとは違う香りがするため、積極的に食べようとすることは少ないでしょう。
ただ、子犬の場合は興味本位で口にしようとすることもあれば、老犬なら認知症が理由で口にすることがあるかもしれません。
使用中や使用後はもちろん、保管中の蚊取り線香の取り扱いにも注意してくださいね。また、犬が蚊取り線香を誤って口にした場合は、「火傷をしていないか」をすぐに確認しましょう。
「吐く」「ぐったりする」などの中毒症状が起きていれば、早めに動物病院を受診しましょう。
◆4.飼い主さんの目の届くときに使う
蚊取り線香は、煙のなかに殺虫成分が入っているため、火を使います。ただ、火を使っていると言っても、ろうそくのように炎がメラメラと燃えているわけではない為、犬が恐れることもないかもしれません。
蚊取り線香は、「吊り下げる」「皿に入れる」など、使い方はさまざまです。ただ、容器に安定性がなければ、犬がうっかり倒す可能性も考えられます。
それが原因で火事が起きたり、熱い箇所を踏んで火傷をしたりなどもかわいそうですよね。
犬との暮らしで蚊取り線香を使うなら、「安全な容器で使う」「飼い主さん不在のときは使わない」「犬から離れた場所で使う」などを徹底したいものです。
◆5.アレルギー症状が出たら使用をやめる
蚊取り線香の成分により、アレルギー症状を起こす人や動物はいます。特に、短頭種の子や食べ物アレルギーのある子などは、呼吸器トラブルを起こしやすいため、十分に注意してあげましょう。
蚊取り線香を使ったときに限って、体に異変が起こっていれば、成分が体に合っていないかもしれません。
まずは、使用を中止して愛犬の様子をしっかりと経過観察してあげてくださいね。
ペットに安心な「ペット用蚊取り線香」もある
蚊取り線香は、製品そのものが犬に悪影響を及ぼすわけではなく、「誤った使い方」によって健康状態を害することがあるのです。ただ、たとえ正しく使ったとしても、「どうしても成分が気になる」「影響がないと分かっていても心配…」という飼い主さんもいるのではないでしょうか。
そこで注目したいのがペット用の蚊取り線香です。
◆犬用の蚊取り線香と一般的な蚊取り線香との違いは?
“犬用”や“動物用”と記載されている蚊取り線香は、いくつかのメーカーから発売されています。
一般的な蚊取り線香との違いは、製品によって異なります。
たとえば、一般的な蚊取り線香は化合物である「ピレスロイド」が含まれていますが、犬用の蚊取り線香のなかには天然成分「ピレトリン」から作られたものもあります。
また、燃焼時間にも違いがあるようです。犬用には「ロングタイプ」など、効果が長持ちすることが謳われたものもあります。これは、屋外で飼育されている犬へも使えるような配慮と言えますよね。さらに、メーカーによっては犬が誤って食べたときのために、防腐剤を含んでいないタイプもあるようです。
蚊取り線香以外の犬の虫除け対策グッズ
夏にかけては、蚊だけでなく、ダニやノミなどさまざまな虫が発生します。犬は基本的に洋服を来ていませんし、長い被毛に虫が付着しても分かりづらいですよね。
「血を吸う」「痒みを起こす」「寄生虫をもたらす」など、虫が愛犬にもたらすリスクは大きいと言えるでしょう。
散歩で外に行くわんちゃんのためには、室内外で行えるさまざまな虫除け対策を考えておくことが大事です。
◆吊り下げ式や置き型の蚊よけネット
薬剤の入ったネットをサークルや犬小屋に吊り下げる、ベッドまわりに置くなどで使える蚊よけネットがあります。火を使わないので安心して使えます。
◆首輪につけるタイプ
わんちゃんの首輪に装着できる虫除けアイテムもあります。有効期間が数ヶ月も持続するものが多く、草むらを歩く犬ならぜひ使ってみたいアイテムですね。
◆虫除け芳香剤
天然ハーブの力で虫を寄せ付けない芳香剤もあります。天然ハーブは、虫が嫌がる成分です。化合物ではないため、犬がいる環境でも安心して使えます。
また、有効期間は、100日程度のものもあれば、半年以上と長い期間効果のある商品もあります。
◆虫除けスプレー
ペットのベッドや身の回り用品に吹きかけるタイプの虫除けアイテムもあります。スプレーによって忌避できる対象の害虫が異なります。
ノミ・ダニ・蚊・チョウバエなど、さまざまな虫がいますから、購入前には「どんな虫を忌避できるか」を調べてから買うといいでしょう。
また、ペットの体に直接吹きかけられるものもあれば、「身体にはスプレーせず、衣類やペットのベッドなどに使う」という注意書きが記載されていることがあります。
犬用の虫除けアイテムを使うときは、注意書きを十分に読むこと
吊り下げや置き型、スプレー、首輪につけるものなど、さまざまな虫除けアイテムがあります。
ペットに向けて開発された製品ですが、成分や効果持続期間、使用上の注意などはそれぞれ異なります。
たとえば、蚊取り線香などは煙となって空間に広がるものです。しかし、スプレーは犬の周りに吹きかけるので舐めるリスクが出てくるでしょう。
「犬が舐める」ということを想定したペット向けの製品でも、大量に舐めると異常が表れることも考えられます。
また、製品によって「犬の体にスプレーしてもOK」「ベッドやブランケットにスプレーするもの」などが異なります。
使用上の注意をしっかりと読んでから使いましょう。
まとめ
一般的な蚊取り線香は、正しく使えば犬の体に悪影響を起こすことはありません。換気ができない状況で長時間過ごすと、アレルギー症状をもたらすことがあるため注意しましょう。
基本的には、正しく使えば蚊取り線香は犬の体に影響はありません。蚊をシャットアウトできれば、フィラリア症のリスクも減り、犬が痒みや皮膚の炎症で苦しむこともないでしょう。
正しく使って、犬が快適に暮らせる環境を作ってあげたいものですよね。どうしても「化合物が気になる」という飼い主さんもいるかと思います。
そんなときは、「天然成分」で作られた犬用の蚊取り線香を使ってみてはいかがでしょうか。
ただ、”ペット用“と謳われていても、人間用と変わらず、化合物から作られているものもあります。成分や使用上の注意点を調べてから使ってくださいね。誤飲や火事にも十分に気をつけましょう。
また、蚊取り線香以外にも虫除けアイテムがあります。散歩に出かけるとき、屋外で飼われているわんちゃんなど、さまざまなシーンで使い分けてくださいね。
– おすすめ記事 –
・犬のフィラリア予防薬の期間はいつなの?症状や予防薬も解説 |
・犬にも虫除けスプレーは必要!使うときの注意点とおすすめ商品 |
・【獣医師監修】愛犬が虫に刺された時の対応。人用の薬を塗ってもいい?虫除けのポイントは? |
・【獣医師監修】犬に被害を及ぼすダニやノミは主に3種類!予防時期や対策グッズ一覧 |