1.犬にツナ缶(シーチキン)を与えてもいいのか
1-1.サバ缶を与えてもいいのか
3.ツナに含まれる栄養
3-1.タンパク質
3-2.ナイアシン
3-3.DHA・EPA
4.ツナ缶の犬への与え方
4-1.量
4-2.水煮やノンオイル、食塩オイル無添加がおすすめ
5.犬にツナを与える際に注意すること
5-1.塩分やオイルの過剰摂取
5-2.ツナマヨはNG
5-3.メチル水銀のリスク
5-4.マグロやカツオのアレルギー
【掲載:2022.09.25 更新:2023.09.20】
犬にツナ缶(シーチキン)を与えてもいいのか
はじめに押さえておきたい点は、犬にツナ缶を与えてもいいのかということですね。
結論から言えば、基本的には問題ありません。
詳しくは後述しますが、ツナ缶に使われているのは主にマグロ属の魚であり、これらの魚は犬が食べても問題のない食材です。
缶詰は非常に長く保存することができるので、災害などに備えて備蓄しておくのにも向いています。災害時には、どうしても人間の食べ物が優先され、ペットフードは手に入りにくくなりがちです。そのようなときに、人間も犬も食べられるツナ缶は重宝します。
ただし、ご存知のように、油分や塩分が多いため、そのまま与えることはできませんし、総合栄養食ではないので、主食とすることはできません。
与える際の注意点は後述しますので、参考にしてくださいね。
◆サバ缶を与えてもいいのか
魚の缶詰は全般に安価で、スーパーなどで手軽に購入することもでき、便利です。
魚の缶詰と言えば、サバ缶もよくスーパーなどの店頭に並んでいますが、犬に与えてもよいのでしょうか?
サバ缶は、少量であれば与えることは可能ですが、味噌煮込みなどの味付けをされているものが多いため、塩分に注意する必要があります。
ツナの原材料
「ツナ」(tuna)は、一般的に「マグロ」と訳されますが、正確にはスズキ目サバ科マグロ族(属)に分類される魚の総称です。学術的には、5属14~15種がツナに含まれ、カツオやサバもその中に入ります。
ツナ缶の原材料は、主にビンナガマグロやキハダマグロ、カツオです。近年、マグロの高騰を受け、特に海外で、ツナ缶の材料としてカツオの需要が高まっています。
ツナ缶は、これらの魚を水煮や油漬けにして、缶詰に加工したものです。
ちなみに「シーチキン」とは、はごろもフーズ株式会社の販売している缶詰の商品名であり、登録商標です。風味が鶏肉のささみに似ていることから、「海のチキン」という意味合いで名づけられたと言われています(諸説あります)。
ツナに含まれる栄養
ここでは、ツナに含まれる栄養について解説します。
※含まれる量は全て100g当たりの含有量です(出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂))
◆タンパク質
タンパク質は、複数のアミノ酸が結合してできた物質で、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルとともに、5大栄養素の一つとされます。
エネルギー源や、構造性タンパク質(細胞、筋肉など身体を構成する成分)、機能性タンパク質(血液や神経伝達物質などの生理機能を担う成分)となります。
キハダマグロで24.3g、ビンナガマグロで26.0gと、100g当たり25g程度のタンパク質が含まれます。ツナ缶に含まれるたんぱく質は、概ね20g弱です。
◆ナイアシン
ナイアシンは、ビタミンB群の1つで、全身の酵素を助ける役割をしています(補酵素)。
効果としては、皮膚や粘膜の炎症、神経症状を防ぐことなどが挙げられます。
ナイアシン当量は、キハダマグロで22.0mg、ビンナガマグロで26.0mgです。ツナ缶では、概ね10mg前後のナイアシンが含まれます。
◆DHA・EPA
DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)は、青魚に多く含まれる成分です。
どちらも不飽和脂肪酸の「n-3系脂肪酸」(オメガ3系脂肪酸)の一つで、人や犬の体内では作られにくく、「必須脂肪酸」と呼ばれます。
人間の健康成分として知られますが、犬にとっても非常に大切な栄養成分です。
EPAは、俗に言う「血液サラサラ成分」で、代表的な働きは「血栓」ができるのを抑制する作用です。血栓とは血の塊のことで、血液の流れによどみがあると心臓で作られやすくなります。血栓は、心臓や脳にある血管を詰まらせ、心筋梗塞、脳梗塞などの重大な病気を引き起こしかねません。
DHAは、一般に「記憶や学習に効果的」と言われる栄養成分です。認知機能の改善効果が認められていて、認知症予防の可能性もあるとされています。他にも、血中の中性脂肪やコレステロールの低下、アトピーやアレルギーへの効果も認められています。
また、DHA、EPAを含むn-3系脂肪酸は、目や神経組織の発達にもかかわるため、人間では乳幼児や、妊娠中または授乳中の女性にとって大切な栄養成分です。ワンちゃんの場合も、子犬や妊娠中・授乳中の母犬に積極的に摂らせたい成分と言えます。
ツナ缶では、使われている部位や、油漬けか水煮かで含まれる量が異なります。水煮や味付けのものの方が、DHAやEPAが多く含まれます。
ツナ缶の犬への与え方
◆量
健康に良い成分を多く含むとはいえ、総合栄養食ではないので、あくまでトッピングなどとして用いるのがおすすめです。他のおやつなどと合わせて1日に必要なカロリー量の10%以内にとどめましょう。
人間用のものであれば、月に1度、1~3缶(愛犬の大きさによる)が理想です。
一度に食べさせられる量の目安(人間用)は、以下の通りです。
-
小型犬:15g
中型犬:30g
大型犬:50g
◆水煮やノンオイル、食塩オイル無添加がおすすめ
ツナ缶の種類には、主に「油漬け」「油入り水煮」「水煮」などがあります。
油漬けは、調味料の約半分以上が油です。
油入り水煮は、油は調味料の半分未満で、通常「減塩」と表記されています。最近は、「塩分無添加」の商品もあり、おすすめです。
水煮は、油を調味に使用しておらず、水や野菜スープだけで仕上げたものです。「ノンオイル」と表記されています。
愛犬に与える場合、水煮、ノンオイルと表記されたものや、食塩もオイルも添加されていないものがおすすめです。
ただし、水煮など野菜スープを用いているものは、原材料のチェックが欠かせません。野菜スープは、主にキャベツやニンジン、玉ねぎなどを煮だして使用しています。玉ねぎを使用していない水煮タイプであれば、大丈夫です。
犬にツナを与える際に注意すること
◆塩分やオイルの過剰摂取
人間用のものは、使われている塩分やオイルが多いです。したがって、そのまま与えてしまうと、カロリーや塩分の摂りすぎとなります。カロリーオーバーは肥満につながり、塩分過多は塩中毒の危険性があります。また、塩分の過剰摂取で「血漿(けっしょう)高カリウム濃度」が続くと、心疾患や心不全につながる恐れもあります。
人間用のものを与える際には、油を切って湯通ししましょう。茶こしなどにツナを入れて汁気を切り、熱湯をかけると、油も塩分も落とすことができます。ただし、完全に油を抜くことはできないので、カロリーが気になる愛犬に与える場合は少量にとどめましょう。
◆ツナマヨはNG
ツナの簡単な使い方と言えば、ツナをマヨネーズであえた「ツナマヨ」ですね。
しかし、ツナマヨをワンちゃんに与えるのはNGです。
マヨネーズの原材料は卵、酢、油で、加熱の過程はありません。生卵は、犬には与えない方がよい食材です。さらに、マヨネーズの成分の60~70%は油なので、非常に高カロリーになります。
◆メチル水銀のリスク
原材料であるマグロには、他の魚よりも多く水銀(メチル水銀)が含まれています。
メチル水銀は、人や犬の中枢神経に障害を与える可能性があるため、食べ過ぎは厳禁です。ワンちゃんは体が人より小さいので、特に気をつけてあげましょう。
◆マグロやカツオのアレルギー
どのような食べ物でも、アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)になる可能性があります。ツナ缶の主原料であるマグロやカツオも同様です。初めて与える際には、ひとつまみ程度にして、様子を見ましょう。
アレルギー症状としては、下記のようなものがあります。
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚の痒み
- 目の充血
- 体の震え
- 元気がない
また与える前に、
- 与えた日時
- 与えたもの(商品名も)
- 与えた量
の3つをメモしておくことをおすすめします。アレルギー症状が出た場合は、メモを持参して動物病院を受診しましょう。獣医師さんが診察する際の参考になります。
ツナを使った犬の手作りレシピ
最後に、ツナを使ったワンちゃんご飯の手作りレシピをご紹介します。
◆ツナかぼちゃまん
ツナとカボチャを使った肉まん(12個分)のレシピです。
【材料】
生地
・薄力粉 150g
・ベーキングパウダー 小さじ1.5
・牛乳 90g
・砂糖 大さじ1
・サラダ油 大さじ1
・塩 少々
具材
・冷凍かぼちゃ 200g
・ツナ缶(水煮) 60g
【作り方】
(1) ボウルに牛乳、砂糖、サラダ油、塩を入れてサッと混ぜ、薄力粉とベーキングパウダーを加えてよく混ぜる。
(2) (1)が一塊になったら、ラップをかけ、冷蔵庫で30分ほど寝かせる。
(3) カボチャを解凍して潰し、ツナ缶を加えてよく混ぜる。
(4) (3)を12等分して、手で丸く成型する。
(5) (2)の生地を12等分して、打ち粉をしながら麵棒で円形にのばす。
(6) (5)に(4)の具材を1つずつ入れて、シュウマイのように中身が見えるように包む。
(7) クッキングシートを敷いた蒸し器に(6)を乗せ、強火で12分、一気に蒸し上げる。
鶏肉とチーズの「鶏チーズまん」も一緒に作ると、2つの味を楽しめます。
まとめ
ツナ缶に使われているマグロやカツオは犬が食べても大丈夫な食材ですが、人間用のものは油分や塩分が多く使われているので、そのまま与えないようにしましょう。
トッピングや、誕生日やうちの子記念日などの特別なごはんに活用するのがおすすめです。
現在は、犬用のツナ缶も販売されているので、ワンちゃんには犬用のものを与えると、より安心です。
人と犬が同じものを食べることができるので、災害などに備えて備蓄品の一つとしても良いでしょう。
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