トイプードルの尻尾はなぜ切られているの?断尾の理由は?

2022.11.06

トイプードルの尻尾はなぜ切られているの?断尾の理由は?

人気犬種として常に上位にランクインしているトイプードル。可愛らしい見た目と飼育のしやすさから、沢山の愛犬家からの指示を得ています。そんなトイプードル、実はしっぽが切られている個体がほとんどなのを知っているでしょうか。今回はトイプードルのしっぽが切られる理由や、その方法について注目していきましょう。尻尾のカットデザインについても紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

トイプードルの尻尾が切られている理由

トイプードル
トイプードルの尻尾といえば、短くて丸みを帯びた形が連想されるでしょう。実際に日本でも、トイプードルの尻尾は短い状態で見掛けることがほとんどだと思います。ペットショップで販売されている個体も、一般的には既に尾が短くなっているケースが多いですよね。
しかし本来はもう少し長さがあり、生後すぐに短く切られてしまっているのです。
犬の尻尾を切断することを「断尾」といい、昔から様々な理由の元に行われてきました。ではなぜトイプードルの尻尾は断尾されているのか、その理由を解説していきましょう。

◆トイプードルの尻尾が切られている理由①歴史的な背景

断尾には古い歴史があり、イギリスをはじめとするヨーロッパの国々で行われていました。ヨーロッパでは狂犬病を予防するために、断尾が効果的だと考えられていたのです。また使役犬として活躍していた犬に対しては、瞬発力を高めるために断尾が効果的だとも信じられていたようです。
ヨーロッパが原産国であるトイプードルには、このような習慣、歴史的背景が適用されて、断尾が続けられてきたと考えられます。

◆トイプードルの尻尾が切られている理由②美容的観点

トイプードルに限らず各犬種には、それぞれスタンダード(犬種標準)と呼ばれる基準のスタイルがありますよね。長期に渡って断尾され続けてきたトイプードルは、短い尻尾の姿の方がスタンダードとなっています。このため現在のトイプードルも、その姿に近づけるために断尾されているのでしょう。
短くてかわいい尻尾の毛先を、さまざまなデザインにカットして楽しむことができる点、長さのある尻尾より断尾された状態の方が身体とのバランスが良いと評価される点など、美容目的からも断尾が続いていると考えられます。

◆トイプードルの尻尾が切られている理由③健康面

犬は古くから人間と一緒に狩りをしたり、牧羊犬として働いてきた優秀なパートナーです。断尾はそんな大切なパートナーを守るために、健康面からもメリットがあるとされ続けられてきたことでもあります。
トイプードルは鳥獣猟犬だったことから、深い茂みや薮の中を移動することが多く、棘や枝で体を傷付けてしまうことも多々ありました。怪我をした傷口から感染症にかかる可能性があり、そのリスクを下げるためにも、狩りに不要な尻尾を切断していたようです。
また牧羊犬として働く犬などは、身体の大きい家畜に尻尾を踏まれるのを防ぐために断尾していた、ともいわれています。
さらに尻尾は肛門に近く、不衛生になりやすい部分でもありますよね。怪我と同様に感染を予防する目的もあり、断尾が続けられていたのです。


犬の断尾について

様々な理由・目的のもと、昔から行われてきた犬の断尾。それでは、それはどのような方法で行われているのでしょうか。方法や断尾する時期、手術費用について解説していきましょう。併せて、トイプードル以外の断尾する犬種についても紹介します。

◆断尾の方法

トイプードルの断尾の方法は主に2種類あり、まず一つ目は外科的な方法です。
通常は麻酔を使わずにハサミやメスで切断して、1~2針の皮膚縫合が行われます。手術自体は数分程度で終わり、1週間から10日後に抜糸して完了です。
もう一つの方法は、尻尾をゴムバンドなどできつく縛って、尻尾の血流を遮断し壊死させる方法になります。壊死した部分は、数日後に自然に取れるそうです。

◆断尾する時期

断尾は大体、生後5~7日くらいに行われます。この時期に行われる理由としては、以下の二つが挙げられます。

  • 生まれたばかりの子犬は、血管が少なく出血量も少ない。
  • 生後間もない子犬の神経は未発達のため、痛みを感じない。

科学的根拠は薄いですがこのように考えられていため、生まれてすぐに断尾が行われていました。しかし2014年に、「生まれたばかりの動物が痛みを感じないというのは、よくある誤解の一つである」との研究結果が発表されています。この研究で、子犬も痛みを感じていると断言されているのです。
断尾は、愛犬が全く苦痛を感じないものではありません。断尾を予定している飼い主さんは、子犬の断尾にも痛みが伴うということを念頭に置いて行動してくださいね。

◆手術費用

断尾の手術費用は、方法や費用設定に違いがあるため動物病院によって様々です。8,000円程度で済んだという所もあれば、2~3万円かかったという情報もあるようなので、事前に獣医師に相談して確認しておくことをおすすめします。
また、獣医師の判断で断尾を行わないケースもありますので、希望する場合は先に問い合わせをしておきましょう。

◆トイプードル以外で断尾する犬種

トイプードルの他にも、尾を切る「断尾」や耳を切る「断耳」を行う犬種がいます。参考までに紹介していきましょう。

ミニチュアシュナウザー

口元のヒゲが特徴的なミニチュアシュナウザーは、トイプードル同様、ヨーロッパで作出された犬種です。このため、ヨーロッパの断尾の歴をついでいるのです。
牧場や馬舎の番犬などの役割をして活躍していたため、牛や馬を誘導する際に尻尾を踏まれて転び、ケガをしないようにと断尾されていたそうです。

ヨークシャテリア(ヨーキー)

ヨークシャテリアもトイプードルと一緒で、本来は長い尻尾をも小型犬の犬種です。
19世紀に炭坑や織物工場などで、ネズミなどの害獣を追い払う役割をもっていました。尻尾をネズミに噛み付かれて怪我をするリスクが高まる、という考えから断尾が行われて現在に至ります。

アメリカンコッカー・スパニエル

鳥猟犬として活躍してきたアメリカンコッカー・スパニエルも、トイプードル同様に断尾されています。
狩りの際に身をひそめながら鳥に近づく必要がありますが、尻尾が木や薮草に触れると音を立ててしまいます。獲物に気付かれないよう確実に猟が出来るようにするため、長い尾を断尾したそうです。

ウェルシュ・コーギー

短い足に長い胴体、ピンと立った耳が特徴的で愛らしいウェルシュ・コーギー。尻尾が無い、またはとても短い、という印象が強い犬種かもしれませんね。しかしこのコーギーも、トイプードルと同様の理由で断尾されており、本来は長い尻尾をもっているのです。

ドーベルマン

警察犬としても有名で、外部の敵などから場所・物を守る役目を担ってきたドーベルマン。本来は長い尻尾と垂れ耳を持っている犬種です。
主人を守るために戦うことが多かったドーベルマンは、できる限り弱点を失くす必要があるという考え方から、断尾・断耳をされてきたそうです。長い尾や耳は、相手から狙われやすく噛み付かれやすい急所となります。噛み付かれた痛みが原因で戦いに負けることが無いように、という目的のもと行われたといわれています。

マルプー

最近では人気犬種の一種ともいえるマルプー。トイプードルとマルチーズのミックス犬です。
親の両犬種は元々長い尻尾をもつ犬種ではありますが、親犬が断尾していることの影響を受けて、マルプーも断尾されるケースが多いようです。
しかしマルプーの場合、断尾されている個体もいれば、長い尻尾のままの個体もおり、そこはブリーダーの判断によって分かれています。


断尾しているトイプードルの見分け方

トイプードルの尻尾
現在ペットショップで販売されているトイプードルは、ほとんどが断尾されている状態だといってもよいでしょう。
断尾されているかどうかの見分け方は実は簡単で、断尾されていないトイプードルの尻尾は明らかに長いのです。個体によっては、背中側に向かってクルンと尾先が向いているのでチェックしてみてください。
判断が難しいと感じる方は、販売業者・ショップ店員に説明を求めてみるとよいでしょう。


トイプードルのしっぽのカットデザイン

トリミングで自在なカットデザインが楽しめるのも、トイプードルの魅力の一つですよね。尻尾に関しても、それは一緒です。
尻尾にも様々なカットデザインがあるので、それぞれ紹介していきましょう。

まん丸カット

尾の根元からまん丸の尻尾が生えている様に見えるスタイルです。尻尾が短い子ほど、小さく丸い尾が作れるそうです。

ポンポンカット

尾の根元を少し残して尻尾の先をポンポンのようにするデザイン。尾が長めでも小さめのポンポンができます。

ライオンカット

こちらも尾の根元を残すスタイルで、ライオンの尻尾の様に尾先の毛を残して、毛先を揃えてカットします。

ナチュラルスタイル

形を作るより自然に伸ばして整えていきボリュームを出します。被毛の巻きが少ない子に似合うデザインです。

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まとめ

犬の断尾は、歴史的背景が色濃く残ったものです。動物愛護の観点から、様々な意見が飛び交っている問題でもあります。
犬の尻尾はその動きで、喜びなどの感情表現をするのに必要不可欠なものであることに間違いはありません。しかし、断尾することに意味が全くないわけではないのです。
愛犬との幸せな毎日を送るためにも、飼い主さんそれぞれが断尾について理解し、愛犬にとって何が正解かを考えていきましょう。



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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!

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