1.シベリアンハスキーの歴史
1-1.シベリアンハスキーの祖先は?
1-2.立派な功績をもつシベリアンハスキー
1-3.シベリアンハスキーの特徴
1-4.シベリアンハスキーの性格
1-5.シベリアンハスキーの毛色
2.シベリアンハスキーの寿命・病気
2-1.気を付けるべき病気
シベリアンハスキーの歴史
シベリアン・ハスキー(Siberian Hausky)はアメリカ原産の犬種です。ハスキーと聞くと犬ぞりをしている姿を連想する方が多いと思いますが、祖先はロシアのシベリア地方で、雪深い寒冷地での移動手段や荷物運びのために、ソリを引く犬として人間のために活躍していました。
ちなみに、遠吠えをする声がハスキーボイスだったという理由から、シベリアンハスキーと名付けられたそうですよ。
◆シベリアンハスキーの祖先は?
シベリアンハスキーの祖先犬はスピッツだと推定されています。スピッツ族に属する犬種で、エスキモー犬の一種なのです。容姿が酷似しながらも一回り以上大きなアラスカン・マラミュートや、サモエドと近親関係にありますが、犬種としての詳しい成立時期は不明だそうです。
近年のDNA分析を元にした研究では、外見の相似だけでなく、狼に近いことが分かっています。
歴史的にも非常に長い間シベリアンハスキーを飼育してきたのは、シベリア北東部に住むチュクチ族で、シベリアン・チュチースという名前でハスキー達は呼ばれていました。チュクチ族にとってハスキー犬は、猟犬であり、そり犬でもある、大切な財産だったのです。
極寒の限られた台地で長い期間に渡って繁殖される内に、一つの犬種として固定していったものと考えられています。寒さに強くて力持ち、人や他の犬との親和性が高いこと、などが重要な条件となって選択交配されてきたのでしょう。
◆立派な功績をもつシベリアンハスキー
1909年にアラスカで開催された犬ぞりレースに参加して好成績を収めたことをきっかけに、シベリアンハスキーは世界中から注目されることとなります。しかしそれ以上に、シベリアンハスキーは大きな功績を残すのです。
それは1925年、ジフテリアという病気がアラスカのノームの街で大流行した時です。
−50℃の猛吹雪のため飛行機での輸送が困難な事態が起こり、シベリアンハスキーの犬ぞりチームが、アラスカの都市アンカレッジからノームまでのおよそ1000km近い距離を、リレー方式で繋ぎ、血清と薬を届けたのです。
これがニュースとなり、シベリアンハスキー達は一気に知名度を上げることになります。その働きや性格の良さ、親しみやすさが評判となり、カナダやアメリカへ輸入されるようになったのです。
AKC(アメリカンケネルクラブ)に正式に犬種登録をされたのは1930年で、犬ぞりレースのスポーツドッグに限らず、ドッグショーへの出陳も行われるようになります。また、北極・南極探検の同伴や、第二次世界大戦ではアメリカ軍に帯同する探索犬・救助犬としても活躍します。
日本では1980年代に、「動物のお医者さん」という漫画がきっかけでハスキーブームが起こりました。流行犬種として飼育頭数が増加しましたが、運動量が非常に多く必要な点と、抜け毛が多いなどの理由から、残念なことに飼育放棄が相次ぐ状況となったのです。
この事態に胸を痛めた愛好家たちは、飼育方法について情報発信を行うようになり、ブームが下火となった現在では一定の人気に落ち着いたといえるでしょう。
◆シベリアンハスキーの特徴
精悍な顔立ちに、ピンと立った立ち耳やブラシ毛が特徴的なシベリアンハスキー。被毛は、非常に厚い下毛を持つダブルコートを持っています。大型犬といわれることが多いのですが、JKC(ジャパンケネルクラブ)では、中型の作業犬として分類されています。
極寒の地でソリを引ける犬種なので、骨格も筋肉もガッシリとし、皮下脂肪も貯えています。ただし、体重が増えすぎるのはNGです。均整の取れた体躯により、パワー・スピード・忍耐力を兼ね備えられています。
標準の体高はオスが53.5~60cm、メスが50.5~56cmとされています。体重はオスが20.5~28kg、メスが15.5~23kgです。女の子と比べると、やはり男の子の方が大きい場合が多いでしょう。
◆シベリアンハスキーの性格
かっこいい印象を受けるハスキーですが、その見た目とは裏腹に陽気な性格をしており、人にも他の犬に対しても友好的でとてもフレンドリーです。歴史に培われた、社会性の強さを持っているのでしょう。
加えて、明るく前向きでめげない、責任感が強くて頑固、飼い主さんへは従順で忠実である、という個体も多いですよ。
用心深さはあるのですが攻撃性は低く、強そうなイメージに反して番犬には向かない性格をしています。
不器用な面を見せることもあるので、頭が悪いのでは?と誤解されてしまうこともありますが、決してそうではありません。本来、賢くて利口な犬種なので、飼い主さん次第で一緒に暮らしやすいワンちゃんに育ってくれるでしょう。
一方、いたずら好きでプライドが高い一面も持ち合わせているため、しつけに関しては苦労を感じる場合があるかもしれません。成犬となった時にきちんと言うことを聞いてもらうためには、子犬の頃から根気強くしつけや訓練を施しましょう。
◆シベリアンハスキーの毛色
シベリアンハスキーには、黒・黒青色・茶褐色・白など全ての色が毛色として認められています。一番イメージされやすいのは、ブラック&ホワイト(ホワイトベースにブラックからグレーの毛が全身に混ざっている)のカラーではないでしょうか。
腹部は白い個体が多いですが、頭部には様々な班がよく見られてバリエーション豊かなのもハスキーの魅力の一つです。模様によって見える感じも違いますので、子犬時代から成犬への見た目の変化が楽しみな犬種でもあります。
犬図鑑を開いたり、ネットで画像や動画を検索するなどして、さまざまな毛色を見てみてください。カラーの違いによっても受ける印象が違うので、眺めるだけでも楽しいと思います。
シベリアンハスキーの寿命・病気
犬の寿命は体の大きさによって変わるといわれており、小型犬に比べて大型犬の方が平均寿命は短くなります。これは、身体のサイズに関わらず心臓の大きさがほぼ同じなので、大型犬の方がかかる負担が大きいから、という理由のためです。
しかしシベリアンハスキーの寿命は、12~15年前後といわれているので、大型犬の中では長寿な方だといえるでしょう。
近年では様々なタイプのフードも販売されていますし、医療も進んでいるので、ペットの平均寿命も上昇の傾向にあります。
ただしやはり個体差はありますので、寿命はあくまでも目安と考えてくださいね。少しでも長く愛犬と一緒にいるためにも、飼育環境や運動量には気を配り、健康維持を心掛けましょう。
◆気を付けるべき病気
シベリアンハスキーは、命に関わる重篤な遺伝病については比較的少ない犬種だといわれています。
しかし、眼病が発生しやすいことで知られているため、若年性白内障、緑内障、ブドウ膜皮膚症候群、進行性網膜萎縮など、さまざまな目の病気には注意が必要でしょう。
また、皮膚疾患も多いのですが、これはホルモン分泌異常の他、高温多湿である日本の気候にハスキーがもつ被毛が合わないことも原因の一つとして考えられているそうです。
若齢の頃には股関節形成不全、高齢になると変形性脊椎症など、関節・骨格に疾患が現れることもあります。重症となると運動制限が必要になりますが、軽度の場合は運動で筋肉を十分につけること、肥満を予防することで重症化しにくくなるので覚えておきましょう。
本来は厳しい気候の中で重いソリ引きができる犬種です。健康維持のためにも、十分に運動することが重要となってきます。
シベリアンハスキーの値段
シベリアンハスキーの生体価格は、平均で約37万円前後といわれています。しかし最高価格は58万円以上、最低価格は15万円程と、個体によって差が大きいです。
他の犬種にもいえることですが、親犬や毛色などによって子犬の値段は左右されます。さらに近年ではコロナ禍の影響でペットブームが再来しており、2021年、2022年とどんどん生体価格が上がっている傾向にあります。事前にペットショップやブリーダーに連絡し、価格について問い合わせた方がよいでしょう。
シベリアンハスキーの飼い方
見た目や性格からも溢れる魅力をもつシベリアンハスキーですが、飼育方法については事前にしっかり確認しておく必要があります。
運動量やお手入れ、しつけの面から言うと、初心者におすすめできる犬種だとはいえないのです。
シベリアンハスキーを迎え入れたい!と考えている方は、まずどのようなお世話が必要なのか必ずチェックしてくださいね。
◆食事
寒い地域が故郷であるシベリアンハスキーは、体質的に脂肪を溜めやすい傾向にあります。
基本的には総合栄養食であるドッグフードを与えることで問題はありませんが、健康的でしっかりとした筋肉を維持させるためには、動物性原料の割合が全体の半分以上に使用されているフードを目安として選ぶとよいでしょう。
また、食事と活動量のバランスが崩れると肥満の原因となります。そのため、脂肪分の含有量が少ないものを与えるのがおすすめです。
給餌量についてはフードのパッケージ記載の適正量を参考にし、愛犬の様子をみながら最適な量を与えることを徹底してください。
◆散歩
シベリアンハスキーは非常に体力があり、沢山の運動量が必要な犬種です。少なくとも毎日1~2時間以上の散歩・運動を要します。運動不足によるストレスが溜まると、あり余る体力を家具・犬舎にぶつけたり、問題行動を起こす可能性があるのです。
また社会性が強いので、単独で留守番をさせるのには向いていません。長時間の留守番をさせると、ストレスの原因になるので注意が必要です。
◆しつけ
シベリアンハスキーは、しつけや訓練が入りにくい犬種だといわれています。
前向きでめげない性格をしているため、失敗に懲りることなく繰り返してしまうことがあるのです。ポジティブで明るい性格はハスキーの魅力でもあるので、飼い主さんの方が先にめげないように、根気強く向き合い続けることが大切だといえるでしょう。
特に若い年齢の時期は、かなりの体力と力があります。散歩や外出時の事故防止のためにも、犬がリードを引っ張らないように、散歩の仕方については徹底して訓練した方がよいでしょう。
◆お手入れ方法
前述したようにシベリアンハスキーの被毛は、極寒の気候に耐えられる密集した下毛が特徴的なダブルコートです。
換毛期には大量の毛が抜けるため、ブラッシングは欠かせないでしょう。少なくとも、週に2~3回以上行うようにしてください。抜け毛のお掃除については、覚悟して挑みましょう。
ただ清潔好きで体臭は少ないので、シャンプーは月2回程度、こまめなトリミングは不要な犬種でもあります。
シベリアンハスキーを飼う際の注意点
シベリアンハスキーは寒さに強くとも、暑さに対してはとても弱い犬種だといえます。特に高温多湿な気候を日本では、暑さ対策を徹底しなくてはいけません。
暑い季節には、愛犬が過ごす室内では必ずエアコンを使用し、温度・湿度の管理をしっかり行いましょう。散歩は早朝や日暮れなどの、涼しい時間に行うようにしてください。
この犬種には、お世話の大変さから飼育放棄を相次いでされてしまった過去があります。こんな残念な事態は二度と起きてはいけません。
運動量の多さ、しつけの難しさ、被毛の手入れなど、ハスキーを飼う上で必要となるお世話がどのようなものかをしっかり把握し、家族全体で話し合ってから、迎えられるかどうかを判断してください。
まとめ
小さめの狼のような風貌で、かっこいい印象をもつシベリアンハスキー。しかし実は、可愛らしい性格をもち、陽気でフレンドリーな犬種なのです。
豊富な被毛の大きな体に子供が抱きついたり、一緒に遊んでいる姿を想像するだけでも、笑顔になってしまいますね。
お世話は簡単ではなく初心者向けとはいえませんが、しっかりしつけを行うことで、何にも代えがたい最高のパートナーとなってくれるでしょう。
北海道では犬ぞりレースのイベントも開催されており、間近でソリを引くハスキー達を見ることができます。実際に犬ぞりを体験できる施設もありますので、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。人気のイベントでもありますので、ネット記事などを参考に、早めに問い合わせをしてみるのがおすすめです。
古くから人間のパートナーとして働いてきたシベリアンハスキーは、外見・内面のいずれからも魅力溢れる犬種です。飼育方法をしっかりと理解したうえで、家族に迎えるかどうか考えてみてくださいね。
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