【獣医師執筆】寒さに負けないカラダづくり。冬の寒さと免疫力の関係性

2022.10.02

【獣医師執筆】寒さに負けないカラダづくり。冬の寒さと免疫力の関係性

犬・猫の病気や健康についてコジマの獣医師が教えてくれる「教えて獣医さん!」今回は冬になるとワンちゃん・ネコちゃんも体調を崩しやすい?どんなことに気をつけてあげたらいいの?そんな疑問に獣医さんがお答えする「冬の寒さと免疫力の関係性」についてです。寒さに負けないカラダづくりをはじめましょう!

【掲載:2022.10.1  更新:2022.10.1】

寒い時期は、免疫力の低下に注意!

寒くなる秋冬や季節の変わり目はワンちゃん・ネコちゃんも体調を崩しやすくなります。なぜ、体調を崩しやすくなるのか、その理由についてご説明します。
気温が下がると空気が乾燥します。空気が乾燥することで、鼻や喉の粘膜が持っているバリア機能が低下してしまいます。バリア機能とは、細菌やウイルスを体内に侵入させないようにする防衛機能です。この機能が低下することで、体内に細菌やウイルスなどの病原体が侵入しやすくなってしまいます。気温が下がることで免疫力も低下しやすくなります。つまり、病原体が体内に侵入しやすくなる上に、免疫力が低下して抵抗力が弱くなるため、病気にかかりやすくなってしまうのです。免疫力は、身体的要因や心理的要因によって活性化されたり弱まったりします。免疫力を正しく保つことで、ワンちゃん・ネコちゃんの健康維持へとつながります。

ウイルスによって引き起こされる症状

寒くなると空気が冷たくなり、喉などを刺激しやすくなります。また、ウイルスが活性化しやすいことから、犬や猫も風邪のような呼吸器の疾患も多くなります。咳をして鼻水が出ている状態は、ウイルス感染や鼻や喉、気管支の炎症が考えられます。咳がひどくなり、黄色の鼻水が増えることで鼻腔を塞いでしまい息苦しくなると、呼吸困難になることもあります。また、放置すると肺炎や気管支炎が悪化してしまうことも考えられます。
特に免疫力が弱い子犬・子猫やシニア期の子は注意が必要です。体力を消耗したり、食欲の低下などによりだんだんと衰弱してしまう可能性があります。
では、ワンちゃん・ネコちゃんの免疫力をアップするには、どのようなことに気をつければよいでしょうか?5つのポイントをご紹介していきます。

アセット 1

免疫力アップに大切な5つのポイント

◆食事

食事はカラダを作る重要な要素です。栄養バランスが崩れてしまうと、免疫力低下の原因になります。愛犬・愛猫の年齢によってカラダが必要とする栄養バランスやカロリーは異なります。必要な栄養素を過不足なく摂取できるよう、年齢や体質にあったフードを与えましょう。
おやつを与えすぎてフードの摂取量が減ると、カラダに必要な栄養素が不足する恐れがあります。また、おやつの食べ過ぎは肥満を招き、病気のリスクを高める可能性がありますので注意しましょう。

アセット 2

  

◆睡眠

犬や猫も睡眠不足になると自律神経のバランスが崩れ、食欲不振から免疫力低下の原因になります。理想の睡眠時間は1日平均12~15時間です。ワンちゃん・ネコちゃんは、レム睡眠という浅い眠りの時間が長いため、ちょっとした物音でも目を覚ましてしまいます。静かで適切な温度や湿度管理ができる場所に睡眠を取るためのケージやベッドを置いてあげるとよいでしょう。また、飼い主さんの生活習慣は愛犬・愛猫にも影響します。しっかりと睡眠時間が取れていないようなら見直してあげましょう。

アセット 4

◆運動

免疫力の維持には運動が欠かせません。適切な運動量をキープして、代謝機能を整えましょう。代謝が落ちると、血液循環が悪くなり、免疫力が下がります。運動不足を解消するには、時間よりも「質」を意識して散歩をしましょう。ワンちゃんの場合、散歩コースの中に坂道ダッシュや階段の昇り降りを入れるだけでも負荷が程よく上がり、筋力増加が期待できます。森林浴には緊張感をほぐし、リラックスさせることで免疫力を維持する効果があるといわれています。機会があれば森の中をお散歩するのもよいでしょう。ネコちゃんは、寒くなるとじっとしていることが多くなり運動量が減ります。積極的におうちの中でできる遊びに誘ってあげましょう。ねこじゃらし遊び、追いかけっこ、フードを色々な場所に隠した宝探しなどはいかがでしょうか。

アセット 5

◆ストレスケア

ストレスは免疫力に大きな影響を及ぼします。飼い主さんがワンちゃん・ネコちゃんの心に寄りそってあげることで免疫力のアップにつながります。そこでおすすめなのがワンちゃん・ネコちゃんの肉球マッサージです。毎日3分程スキンシップを兼ねた時間を作ってみてはいかがでしょうか。飼い主さんに触られてうれしくなるだけでなく、肉球のツボが刺激されることでリラックス効果も期待できます。
ワンちゃん・ネコちゃんが落ち着いて休める場所の確保もストレス軽減につながります。人の行き来が少なく快適に過ごせる部屋の隅などに専用のハウスを用意して、「安全地帯」を作ってあげましょう。

アセット 3
●イラストでわかりやすい!マッサージ解説
縁の下の力持ち!愛犬愛猫の肉球をいたわるマッサージ

愛犬・愛猫へのマッサージはリラックス効果だけでなく愛犬・愛猫のカラダの変化などにも気づいてあげることができます。「肉球をいたわる」をテーマにかまくらげんき動物病院監修のもとマッサージ方法をご紹介。

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◆環境

ウイルスや細菌は、閉めきった部屋に充満します。こまめに窓を開けて換気をしましょう。寒い季節は乾燥した冷たい空気に対して気管などが敏感になります。加湿器などを使い部屋の湿度を保つことも症状の改善に役立つのでおすすめです。

アセット 6

冬の寒さに負けないよう免疫力をアップして、ワンちゃん・ネコちゃんを病気から守り元気に過ごしましょう。

アセット 7


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コジマ動物病院 Dr.小椋

コジマ動物病院 Dr.小椋

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。 https://pets-kojima.com/hospital/


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