【獣医師執筆】寒い季節もケアを忘れずに!冬の水分補給について

2023.02.24

【獣医師執筆】寒い季節もケアを忘れずに!冬の水分補給について

犬・猫の病気や健康についてコジマの獣医師が教えてくれる「教えて獣医さん!」今回は、寒い季節も意識が重要!「水分補給」についてです。冬になると人同様、ワンちゃん・ネコちゃんも夏に比べて飲水量が減少します。その結果、引き起こされる脱水症状や病気についてご紹介します。

【掲載:2019.10.1  更新:2019.10.1】

冬こそ水分不足に注意が必要です

暑い時期は気温も高く体温も上がるので、ワンちゃん・ネコちゃんも自ら進んで水を飲みますが、体温の下がる寒い時期は、ワンちゃん・ネコちゃんの飲水量が減り体内の水分量が減ってしまうため、注意が必要です。人は喉が渇かなくても意識をして水分補給をしますが、ワンちゃん・ネコちゃんは喉が渇かなければ水分を摂ろうとしません。
また、室内の暖房の設定温度が高く、熱中症になってしまうケースもあります。特に気をつけてあげたいのが「こたつ」です。人の足元を暖めるのに最適な暖房家具ですが、ワンちゃん・ネコちゃんが頭からスッポリと入りそのまま眠ってしまった際に、気がついたら熱中症になり脱水症状まで起こしてしまうケースもあるので、注意が必要です。
寒いからと言って適切な水分補給が行われないと、食欲低下、運動量減少などの脱水症状を引き起こすため、冬でも水分の補給が必要です。

アセット 5

大切な水分は体内からどんどん失われていきます

水は、動物のカラダを構成する成分のおよそ60~70%を占める大事な成分であり、3つの大きな役割があります。

    ・栄養素を溶かして全身に運ぶ
    ・老廃物をカラダから排出する
    ・体温調節を行う

通常水分は、飲み水、食事中の水分、代謝水(体内で栄養素が代謝された結果生まれる水)によって補給されますが、ウンチ・オシッコの排泄や呼気による肺からの蒸散、唾液、発汗などによって失われていきます。そのため、常に水分補給をするよう心がける必要があります。
次に、水分を十分に摂らなかった場合に起こるワンちゃん・ネコちゃんの症状をご紹介します。

■ワンちゃんに起こる症状

脱水症状

脱水すると、元気消失、食欲不振、皮膚の弾力がなくなる、オシッコの色が濃くなる、歯茎が乾きネバネバするなどの症状が出ます。脱水症状が重症化してしまうと、震えや痙攣、血尿や血便などの症状が出て、最悪の場合、意識障害の症状も出てきてしまい死に至ることもあります。

アセット 4

膀胱炎・尿路結石

水分摂取量が少ないとオシッコの量が少なくなり、膀胱に溜めている時間が長くなります。これにより細菌が増殖する時間を与えていき、膀胱炎を引き起こします。
さらに細菌が増殖することでオシッコのphが高くなり結石ができやすくなります。
また、オシッコの中のマグネシウム、リン、カルシウムなどのミネラル成分が増え、結石ができやすくなることで、結石が詰まって血尿が出たり、排尿時に痛みを伴ったり、オシッコが出なくなり尿毒症になることもあります。

アセット 3

多臓器不全

血液の水分量が減ることで血液循環が悪くなり、色々な臓器の機能を低下させてしまいます。

■ネコちゃんに起こる症状

ネコちゃんはワンちゃんよりもあまり水を飲みません。これは、ネコちゃんの祖先が砂漠地帯で生活していたため、水が少なくても生きることができるように作られているカラダのしくみがあるからです。そのため、ワンちゃんと比較してネコちゃんがなりやすい症状として以下が挙げられます。

アセット 1

腎臓病

ネコちゃんの腎臓は水分を有効に使うために、オシッコを濃縮して排泄しています。これが水分の少ない地域でも生きることができた要因であり、この仕組みにより腎臓病になりやすいと言われています。そのため水分摂取量が通常より少なくなることで腎臓の負担が大きくなってしまうのです。

便秘

体内の水分が不足すると、腸の働きが悪くなり、ウンチの水分量が減ることでウンチが硬くなります。排泄しにくくなったウンチが溜まり便秘になると、溜まったウンチが腸内で水分を吸収してしまうことで、腸の働きがさらに悪くなる悪循環に陥ってしまいます。ネコちゃんは水分摂取量が少ないためワンちゃんよりも便秘になりやすいです。

アセット 2

水分をしっかり摂るメリット

水分を十分摂ることでカラダの新陳代謝を促し、内臓はもちろん皮膚の状態が改善されやすくなります。肝臓の解毒効果も高まり、体内から不要な老廃物が出やすくなります。また、皮膚の柔軟性も保たれ毛ヅヤもよくなります。
しかし、水分を摂りすぎることにも注意が必要です。大型犬や胸の深いワンちゃんは、一度に大量の水やごはんを飲んだり食べたりして運動すると、胃が捻転したり拡張したりする(胃捻転・拡張症候群)ことがあります。また、心臓が悪い子は悪化を助長してしまうことがあるため注意しましょう。

オシッコを見て愛犬・愛猫の健康管理

水を飲めばオシッコが排出されます。その際に出る尿の量と色に注意して見てみると、ワンちゃん・ネコちゃんの健康チェックにもなります。

アセット 6

正しくオシッコチェックするには

オシッコチェックの際におすすめなのが「白いシート」です。通常のシートに比べて、オシッコの状態や色がよくわかるため、体調の変化を早期発見することができます。大切なペットのため、毎日のオシッコチェックで健康管理を習慣づけましょう。

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コジマ動物病院 Dr.小椋

コジマ動物病院 Dr.小椋

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。 https://pets-kojima.com/hospital/

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