1.アメリカとつくアメリカ原産の犬種
1-1.アメリカン・コッカー・スパニエル
1-2.アメリカン・スタッフォードシャー・テリア
1-3.アメリカンピットブルテリア
1-4.アメリカンエスキモードッグ
1-5.アメリカン・フォックスハウンド
2.そのほかのアメリカ原産の犬種
2-1.オーストラリアン・シェパード
2-2.アラスカン・マラミュート
2-3.シベリアンハスキー
2-4.チェサピーク・ベイ・レトリーバー
2-5.ボストン・テリア
3.「アメリカ」と「犬」に纏わる話
3-1.世界で2番目に出来た愛犬家団体「AKC」
3-2.ペットの飼育率が高いアメリカ
アメリカとつくアメリカ原産の犬種
世界には非公認犬種を含めると700〜800の犬種がいるといわれています。
国際畜犬連盟(FCI)により公認されているのは355犬種で、そのうちアメリカ原産とされる犬は18種と言われています。
コロンブスが到達する以前のアメリカ大陸では、犬は唯一ともいえる家畜で、猟犬や番犬、そり引きなどに活用されていました。
そこに、イギリスからの移住者たちが犬を連れて入植したのです。
このため、アメリカ原産の犬には、アメリカ大陸に元からいた犬種と主にイギリスから持ち込まれた犬種を祖先とする犬が多いです。
また、アメリカ原産の犬種は、猟犬や牧羊犬をルーツとするものが多いため、中型~大型犬が多いです。
それではアメリカ原産の犬種にはどのような犬たちがいるのか、「アメリカ」がつく犬種とつかない犬種で5種ずつ紹介いたします。
◆アメリカンコッカースパニエル
ディズニー映画「わんわん物語」の主人公としても有名な犬種です。
19世紀にイギリスから初めてアメリカに渡った移住者が連れていたとされる、イングリッシュコッカースパニエルを元に作出されました。
元来は鳥猟犬で、「コッカー」(cocker)とは、この犬種がヤマシギ(cock)の猟に使われていたことに由来しています。
快活で陽気な性格で、やんちゃなところがあり、大きく黒い瞳は優しい表情をしています。触れたくなるような長い耳、絹のような厚く長い被毛から、現在はショードッグとして活躍することも少なくありません。
◆アメリカン・スタッフォードシャー・テリア
起源は、1800年代初期のテリアやブルドッグにまで遡り、作出にはスタッフォードシャー・ブル・テリアをはじめ、非常に多くの犬種が関わっています。
頭がよく、自信に満ちた優れた性質を持ち、勇敢さで有名です。しつけに対する反応がよく、社会化された個体は忠実で、信頼できる友となります。
動きは敏捷で、優美であり、軽快な足取りが生来持つ自信を表しています。知的な課題も運動も好み、トレーニングが入りやすいので、ショービジネスへの進出も多いです。
◆アメリカンピットブルテリア
筋肉質で、骨格のしっかりした中型犬です。
ブルドッグやスタッフォードシャー・ブル・テリアを基礎として、闘犬として作出されましたが、主に畜産農家で、勇敢で力持ちの使役犬として重宝されるようになります。
性格は明るく無邪気で、飼い主に対して愛情深く、服従心が非常に強い犬種であり、愛情を注ぎ、信頼関係をしっかりと築けば、よい家庭犬となります。
しかし、20世紀に入ると、闇で闘犬など犯罪行為を行う者たちが、気性の荒いアメリカンピットブルテリアを傍に置くようになり、凶悪なイメージが広まってしまいます。
犯罪を助長する危険性と人を殺傷することもできる能力があるため、現在ではヨーロッパの多くの国やアメリカの50以上の州で、所有・飼育が禁じられています。
◆アメリカンエスキモードッグ
別名を「アメリカン・スピッツ」といい、典型的なスピッツ系の犬種です。
第一次世界大戦中に起きたドイツへの反感の影響で、「アメリカンエスキモードッグ」と改名されました。
優れた外見と、活発さと賢明さを併せ持ち、知性と美が完全に調和しています。シャイでも攻撃的でもなく、常に注意深くて友好的ですが、知らない人に対しては若干、慎重です。
訓練性の高い犬種の中でも、賢く、子どもに友好的で、「サービス精神旺盛」という言葉そのものと言われています。
◆アメリカン・フォックスハウンド
被毛にはつやがあり、四肢が長く細身です。スピードと持久力があり、働くことが好きなハンターとして知られています。
温和で訴えかけるような表情を生み出す、大きくて優しい目をしています。
性質がよく、子どもや他の犬、猫ともうまくやっていけます。
運動量が多く、十分に運動をさせないと問題行動を起こすことがあります。大きな声で吠えるため、隣人への配慮が必要です。
そのほかのアメリカ原産の犬種
名前に「アメリカ」が入っていない犬種で、アメリカ原産の犬種を5種紹介します!
◆オーストラリアン・シェパード
「オーストラリアン」とついているため、オーストラリア原産と誤解されがちですが、アメリカ原産の犬種です。
引き締まった体躯のタフな牧羊犬として知られています。
ヨーロッパからオーストラリアを経て、カリフォルニアで確立された犬種です。ロデオに付き物であり、カウボーイの生活に密接に結びついていました。牧畜犬として選抜されてきたため、はつらつとした中型犬で、視覚が優れています。
鳥をはじめとして、犬や子供など、なんでも追う習性があるため、注意が必要です。
◆アラスカン・マラミュート
*画像:株式会社コジマ アニマル図鑑より引用
非常に強く、過酷な使役に耐えることができるスピッツタイプの犬種です。
アラスカ西部の海岸地方で暮らしていたマラミュート族が、そり引きや狩猟・漁業に使役していました。
北極圏のそり犬としては最古の犬種の1つで、愛情深く忠実で遊び好きです。背に負ったふさふさのしっぽと立ち耳、しっかりした骨格が、風貌を威厳のあるものにしています。
飼い主がリーダーとして尊敬されていなければ、上下関係が逆転しやすいです。
◆シベリアンハスキー
漫画「動物のお医者さん」に登場して、一世を風靡しました。
アラスカン・マラミュートとよく似ていますが、一回り小さい中型犬です。分厚い被毛を持つそり犬で、非常に持久力があります。
フレンドリーですが、好みが難しく、威厳があります。優美で中くらいの大きさの瞳は、アーモンド形で、色は茶色か青のどちらかです。時に、それぞれ色が異なる場合もあります。
群れで暮らしてきたため、家族との生活を好み、他の犬ともうまくつき合えます。
◆チェサピーク・ベイ・レトリーバー
*画像:株式会社コジマ アニマル図鑑より引用
鳥猟犬で、名前はワシントンD.C.の東にあるチェサピーク湾に由来します。
イギリス以外で作出された唯一のレトリーバーですが、由来は明らかではありません。言い伝えでは、ニューファンドランドから連れてきた犬と、地犬のハウンドの交雑で生まれたとされています。
犬種固定にあたっては、カーリーコーテッド・レトリーバーやフラットコーテッド・レトリーバーが使用され、1885年ごろ現在の体型となりました。
忠実で、性格は陽気で愛情深く、疲れを知らない、伝統的なレトリーバーとしての特徴を備えています。しつけも入りやすく、人に懐きやすいので、アメリカでは盲導犬としても活躍しています。
◆ボストンテリア
マサチューセッツ州ボストン原産の小型犬です。
アメリカでは11の州で「州犬」が制定されていますが、ボストンテリアはマサチューセッツ州の州犬にもなっています。
アメリカ原産の犬種としては3番目に古く、1870年代にブルドッグとブル・テリアから作出されました。当時は、約23kgもある大型犬でしたが、長い時間をかけて小型化され、1893年に第1号のボストンテリアがアメリカケネルクラブ(AKC)に登録されました。
3つの体重区分がある愛玩犬で、しっかりした体つきをしています。
特徴的なタキシードを着たような模様と、非の打ちどころのない物腰から「アメリカの紳士」という愛称があります。
「アメリカ」と「犬」に纏わる話
◆世界で2番目に出来た愛犬家団体「AKC」
AKC(American Kennel Club)とは、1884年にアメリカにて創立された世界で2番目のケネルクラブです。
アメリカンケネルクラブでは200の犬種を認めており、犬種の分類は7グループ制を採用しています。
- スポーティング・グループ
- ハウンド・グループ
- ワーキング・グループ
- テリア・グループ
- トイ・グループ
- ノン・スポーティング・グループ
- ハーディング・グループ
日本でよく見る10グループの分類方法は、JKC(日本ケンネル・クラブ)がFCIに基づいて組まれた10グループです。以前は日本も7グループ制が主流でしたが、現在ではJKCがFCIに加盟していることから、FCIが採用している10グループ制を採用するようになりました。
アメリカのように、今現在もFCIに加盟していないイギリス、カナダ、オーストラリアなどの国では7グループの分類方法が主流なようです。
◆世界3大ドッグショーの1つ「ウエストミンスター・ケネル・クラブ・ドッグショー」
ドッグショーとは、純粋犬種に定められた理想像(スタンダード)にどれほど近いかを審査する品評会で、ウエストミンスター・ケネル・クラブ・ドッグショー(ウエストミンスター展)は、1877年からニューヨークで毎年開催されているドッグショーです。
世界初のドッグショーは、イギリスのニューキャッスルで1859年に開催された「スポーティング・ドッグショー」と言われています。
1891年に始まったイギリスの「クラフツ・ドッグショー」・1971年から始まったFCIの加盟国が開催する「ワールドドッグショー」とこの「ウエストミンスター・ケネル・クラブ・ドッグショー」が世界3大ドッグショーと言われています。
◆ペットの飼育率が高いアメリカ
アメリカペット製品協会(APPA;American Pet Products Association)の調査(2022)によると、アメリカでは、8690万世帯に相当する全体の66%の家庭で何らかのペットが飼われています。このうち、6510万世帯が犬を飼っていると推計されていて、これはアメリカの家庭の約49.5%が犬を飼っていることになります。
一方日本は、一般社団法人ペットフード協会の調査(令和4年)によると、約564万世帯で犬が飼育されており、これは総世帯数の約9.7%と推計されていますので、飼育率の高さが良くわかると思います。
また、そんな飼育率を持つアメリカには、日本にはない動物に関する法律がいくつかあります。
是非豆知識として、見てみて下さいね。
アメリカでは、総世帯数の約半分が犬と暮らしているという計算ですが、いったいどのような犬種が人気なのでしょうか。
日本では住宅事情もあり、小型犬が人気ですが、アメリカでは大型犬が人気です。
また、日本では愛犬を「我が子」と考える飼い主さんが多い傾向がありますが、アメリカでは犬は家族であると同時に、「バディ」(友達、相棒)であるという認識が強いです。
実際に、AKCが発表した2022年に人気のあったオス犬の名前の7位に、「Buddy」がランクインしています。
アメリカの人気犬種ランキングの中でも、特に人気が高いのが、ラブラドールレトリバーです。
なんとラブラドールレトリバーは、31年間、不動のNo.1でした。
ところが、2022年、ランキングに異変がありました。ラブラドールレトリバーは2位となり、フレンチブルドッグがトップに上り詰めたのです。
フレンチブルドッグは、2012年には14位で、10年間での伸び率は1,000%を超えています。
AKCの記事では、小型犬のフレンチブルドッグが、さまざまなライフスタイルに適していることが理由と考えられると分析しています。
これからのランキングがどうなるのか、楽しみですね。
まとめ
アメリカは有数のペット大国で、特に犬の飼育数が多いですが、アメリカ原産の犬種は多くありません。
アメリカ原産の犬種には、もともとアメリカ大陸にいた犬種と、主にイギリスから持ち込まれた犬種を祖先とする犬種があります。
中型~大型犬の多いアメリカ原産の犬は、日本では飼育頭数が多くない傾向があり、あまりなじみがありませんが、ボストンテリア、アメリカンコッカースパニエルなど人気の高い犬種もあります。
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