1.犬にオートミールを与えても大丈夫!
2.犬にオートミールを与えるメリット
2-1.食物繊維で腸内環境を整える
2-2.鉄分で免疫力アップ
3.オートミールを犬に与える際の注意点
3-1.与えすぎは消化不良の原因に
3-2.肥満気味の犬には与えすぎない
3-3.心臓病・腎臓病・尿路結石の犬に注意
犬にオートミールを与えても大丈夫!
近年海外セレブやアスリートにも愛用され、日本でも人気急上昇中のオートミール。
食物繊維やビタミンが豊富。栄養価が高い事から、ダイエットや体質改善を目的に食べられています。
和風な味付けにも合うことから日本人にも人気です。
オートミールを食べている飼い主さんの中には、「愛犬にも食べさせてあげたい!」と思う人も多いのではないでしょうか。
さて、犬はオートミールを食べても大丈夫なのか?
答えは「Yes!です。
オートミールの栄養価の高さから、手作り食にオートミールを使用されている方もいれば、ドッグフードにオートミールを使用しているメーカーもあります。
しかし、人間と犬では消化吸収の仕方が違うので、与え方には注意が必要です。
よく勉強した上で愛犬に食べさせてあげると良いでしょう。
犬にオートミールを与えるメリット
まず、オートミールについて少しお話しましょう。
オートミールの原料はオーツ麦(または、エン麦)という穀類です。
このオーツ麦を加工して食べやすくしたものがオートミールです。
そのままでも食べられますが、食べにくいので水分を加えて柔らかくして食べるのが一般的です。
オーツ麦は米やパン、玄米のような主食となる炭水化物の食べ物の中でも、食物繊維や鉄、カルシウム、タンパク質、ビタミンなどの含有量が多いです。
また、他の主食となる食材と比べると糖質が低く、ダイエットに効果的です!
この様な特徴からオートミールは健康食品やダイエット食品として世界中で注目されているのですね。
では、犬にオートミールを与えるメリットについて詳しく見て行きましょう。
◆食物繊維で腸内環境を整える
食物繊維は腸内環境を整えてくれる事で有名ですね。
その仕組みについて説明します。
食物繊維は大腸内の腸内細菌によって、分解・発酵されると酸性物質が生成され、腸内が酸性になります。
腸内が酸性になる事で、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が優勢になり、悪玉菌の働きを抑えてくれます。そうする事で腸内フローラが整います。
また、食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類あります。
水溶性食物繊維は腸内の善玉菌の栄養となり、善玉菌を増やしてくれます。
また、糖質や脂質の吸収を抑えてくれるので、食後の血糖値の上昇や悪玉コレステロール値を抑える効果が期待できます。
不溶性食物繊維は便の量を増やし、大腸を刺激する事で腸の蠕動運動を刺激してお通じを良くします。
そして、ここからが重要です!食物繊維はバランスが大切!
水溶性食物繊維・不溶性食物繊維、双方の働きの違いから、どちらか一方だけ多くてもその働きを十分に発揮する事はできません。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の割合は2:1が理想的です。
食物繊維はバランスが大切!と言いましたが、実はオートミールは水溶性と不溶性の割合が2:1でバランスがよく、効果的に食物繊維を摂取できる優れものです。
◆鉄分で免疫力アップ
鉄分と聞くと貧血のイメージだと思います。
実はこの貧血が原因で体の免疫機能にも悪影響を及ぼしています。
鉄は赤血球のヘモグロビンを構成するとても重要なミネラルです。
赤血球中のヘモグロビンは酸素と結合して全身の細胞に酸素を運ぶ働きがあります。
従って、鉄が不足するとヘモグロビンが作れなくなり全身の細胞が貧血状態になってしまいます。
全身の細胞?…という事は、免疫細胞といわれる白血球達にも酸素が行きわたらないという事です。免疫細胞達が元気に働いてくれないと細菌やウイルスから体を守る事が出来ませんね。
成長期の子犬や妊娠中の犬、避妊していない犬、運動量の多い犬は特に鉄分の要求量が多くなります。見た目には元気そうでも、定期健診の血液検査で判明する事もあるので注意しましょう。
オートミールには植物性の鉄(非ヘム鉄)が多く含まれています。
植物性の鉄は吸収率が低いので、ビタミンCや動物性タンパク質と一緒に摂取すると吸収率がUPします。
オートミールにフルーツやササミなどのお肉を添えてあげると良いと言うことですね。美味しそうです!!
余談ですが、人間では鉄分不足が脳の発達に影響を及ぼすと言われ、特に子供では知能の発達、運動能力の低下が問題になっています。
脳の神経伝達物質を作る時に鉄が使われている事が要因です。
犬でも精神障害や発達障害をきたす可能性があり、やはり鉄は重要なミネラルですね。
オートミールを犬に与える際の注意点
犬にオートミールを与えるメリットは沢山ありました。
「よし、明日から愛犬にオートミールをあげよう!」と思いましたよね?
でも少し待って下さい…冒頭でもお話したように、犬と人間では消化吸収の方法が異なります。
果たして人間と同じようにオートミールを与えても大丈夫でしょうか?
答えは「No!です。
以下の点に注意して与えましょう。
◆与えすぎは消化不良の原因に
腸の長い草食動物は食物繊維の消化が得意で、腸の短い肉食動物は食物繊維の消化が苦手です。
犬は肉食よりの食生活を送ってきた動物なので、腸の長さは人間より短いです。
よって、食物繊維の取りすぎは下痢や便秘の原因になります。
また、人間の唾液中にはアミラーゼというデンプン(糖質)を分解する酵素がありますが、犬の唾液にはアミラーゼが含まれていません。(腸内では分泌されるので、糖質の消化吸収は可能。)
この様に犬はもともと穀類の消化があまり得意ではないので、多量に摂取すると消化不良を起こしてしまいます。
※給餌量の目安として
犬は『体重1㎏に対して10g程度』とされていますが、
人間では『1回30~40g/1日200g程度』と推奨されています。
例えば、10㎏の犬では1日100gの計算になり、2回の食事に分けると1回量が50g…少し多い気がしませんか?
犬に対するオートミールの詳しい文献などはありません。
初めはフードに少量のオートミールを混ぜる程度から始め、体調を見ながら増やしてあげる方が良いと思います。
『オートミール30g+水50mlで白米1膳分程度のボリュームになるそうです。』
水分を入れる事で嵩増しになり、満足感が得られダイエット効果UPですね!
◆肥満気味の犬には与えすぎない
「GI値」という言葉はご存じでしょうか?
GI値(グリセミック・インデックス)とは食後の血糖値の上昇を表す指数のことです。
簡単に言うと、GI値の高い食品を食べると血糖値が急上昇し、GI値の低い食品を食べると血糖値は緩やかに上昇します。
従って、高GI値食品を食べると、食後に血糖値が急上昇し、インスリンが多く分泌されてしまいます。
インスリンは血糖値を下げるだけでなく、脂肪を作り、体内に蓄える働きもあるので、肥満の原因になってしまいます。
米や小麦などの多くの穀類はこのGI値が高い食品です。
しかし、オートミールは穀類のなかでも低GI値食品として今注目されています!
注意しなければならない事があります!
『愛犬は肥満気味ではないですか?』
肥満の犬はもともと血糖値が高い傾向にあります。
低GI値食品といえども食べ過ぎは肥満をエスカレートさせ、糖尿病の原因に…。
給餌量はその子にあった量を与えましょう!
また、オートミールは高カロリーな食品なので、良かれと思って与え過ぎるとかえって肥満になることも!
『消化吸収率UP・ダイエット効果UP』の為にも水分と一緒に調理して与えると良いでしょう!
◆心臓病・腎臓病・尿路結石の犬に注意
オートミールは鉄・カルシウム・リン・亜鉛などのミネラルを多く含みます。
ミネラルは体を構成する重要な元素です。
たくさん摂取した方が良さそうに思えますが、過剰摂取は体に悪影響を及ぼしてしまいます。
健康なワンちゃんであれば気にするほどではありませんが、基礎疾患がある子には注意して与えましょう!
①心臓病
心臓病の子は高血圧を防ぐためナトリウムやリン、クロールなどの制限が必要です。
②腎臓病
腎臓病の子はリンやタンパク質などの制限が必要です。
③尿路結石
尿路結石で多いストルバイト結晶やシュウ酸カルシウム結晶ができやすい子はリン、マグネシウム、タンパク質などの制限が必要です。
このような基礎疾患を持つワンちゃんは以上のような食事に気を付けなければいけません。
オートミールに多く含まれるリンとカルシウムの含有量が以上のような基礎疾患を持つ子にとっては危険要素になる時もあるので、獣医さんに相談してから与えるようにしましょう!
オートミールを使ったワンちゃんのレシピ
消化不良の所でお話した通り犬は穀類の消化が苦手です!
なるべく調理してから与えるようにしましょう。
水分でふやかしたり、煮たりすることで消化吸収率がUPしますよ。
◆オートミール粥
オートミール粥は長時間ふやかし、さらに煮込むことでお腹に優しく作られています。
さらに、動物性たんぱく質やビタミンCを取り入れているので鉄の吸収率もUP!!
ただし、こちらのレシピは大型犬用の分量なので、給餌量の目安の所でお伝えした内容を参考にしながら、愛犬の体調に合わせて分量や材料を調節しましょう。
まとめ
オートミールは犬にも人間にも健康に良いスーパーフードでした。
近年犬の肥満率が上がる中、糖尿病になる犬も増えています。オートミールは低GI値食品で糖尿病予防に一役買ってくれるでしょう。
しかし、消化の仕方の違いから犬は穀類の消化が苦手で、食べ過ぎると消化不良を起こしてしまいます。
食べさせた後の様子をしっかりと観察し、愛犬に合った量を見つけてあげる事が大切です。
また、腎臓や心臓などに基礎疾患がある犬はリスクがある事をしっかりと理解し、獣医さんに相談してから与えるようにしましょう。
– おすすめ記事 –
・犬はカニカマを食べられる?気になるカニやちくわについても徹底解説 |
・犬に豆腐を与えたい!ポイントと与え方を解説 |
・犬はバナナを食べても大丈夫?注意点やメリット、バナナの与え方を知ろう! |
・犬に納豆をあげたい!メリットや与えるときのポイント、適量を紹介 |