シーズーとマルチーズは似てる?
シーズーとマルチーズは、どちらも小型犬で見た目が似ているように感じ、違いが分からないという人も多い2犬種です。
しかし、よく見てみると、顔や体格、毛色といった見た目の特徴から、そもそもの犬種の歴史まで、意外と多くの違いも見つかります。
それぞれの犬種を深掘りするとよくわかる2犬種の違いを比較し、見分けるポイントを探してみましょう!
シーズーについて
特徴 | 短頭種(鼻ぺちゃ犬)、菊の花のように見える被毛の生え方、がっしり体型 |
性格 | フレンドリー、マイペース、大らか、家族に対して愛情深い、頑固、独立心が強い |
毛色 | ホワイト・ブラック・ゴールド・ブラウン・シャンパンなどの単色、 白地に他の色の斑があるパーティカラー など |
体高 | 27cmまで |
◆特徴
シーズーは短頭種(鼻ぺちゃ犬)に分類される小型犬で、たっぷりの長い被毛が特徴です。
鼻の頭の辺りから浮き立つように生える毛流れが菊の花のようにも見えることから、キク科の花であるクリサンセマムから名前を取って、「クリサンセマム・ドッグ」と称されることもあります。
美麗な見た目ですが、意外にもがっちりとした四肢を持ち、抱き心地は抜群。穏やかな足取りでのんびり歩く姿に癒される犬種です。
◆性格
シーズーは、家族はもちろん、他の人や犬にもフレンドリーな性格です。いきなり興奮することも少なく、穏やかで落ち着きがある子が多いため、愛犬とのんびりとした時間を過ごしたいという家庭に向いています。
ただし、自分なりのペースや過ごし方を崩したくないというマイペースで保守的な一面もあり、常にべったりと甘えたいタイプの犬種とは言えません。その分、飼い主さん家族とほど良い距離感を保つのが上手です。
穏やかな顔つきですが、嫌なことは嫌だとしっかりと自己主張する傾向があることから、頑固な犬と言われることもあります。
マルチーズについて
特徴 | 超小型犬、純白でまっすぐな被毛、シングルコート、細身の体型 |
性格 | 遊び好き、活発、明るい、飼い主に対して甘えん坊、気が強く恐れ知らず、賢い |
毛色 | ピュアホワイト、淡いアイボリー |
体高 | オス:21cm~25cm、メス:20cm~23cm |
◆特徴
小さな体とつぶらな瞳が幼さを感じさせるマルチーズは、その愛くるしさから人に長く可愛がられてきた犬です。
マルチーズ最大の特徴は、なんと言ってもまっすぐに伸びるその白い被毛です。
日本ではお手入れのしやすさから短くカットし、まるでぬいぐるみのような可愛さで注目を浴びることが多いですが、ロングスタイルを維持しているマルチーズの美しさもまた言葉では言い尽くせません。その姿は時に「貴族」と称されることもあります。
◆性格
マルチーズは、遊び好きで明るい性格の犬種です。好奇心旺盛なため、おもちゃを使った遊びやお散歩での新たな発見を楽しんでくれます。
飼い主さんには甘えん坊で、常に一緒に遊んだり、くっついていたいという子も多いでしょう。
その一方で、見知らぬお客さんに対しては、自分の縄張りや家族との関係性を侵されたくないと吠えることもあるなど、誰にでも愛想が良い犬というわけではありません。
また、可愛らしい見た目に反して、自分より大きい相手であっても勇敢に立ち向かおうとする気の強さも持っています。
シーズーとマルチーズの違い
ここからは、シーズーとマルチーズの特徴をふまえて違いを探してみましょう。
見た目の比較はもちろん、これからどちらの犬種を迎え入れようか検討している方もぜひ参考にしてみてください。
◆原産国と歴史
シーズーとマルチーズの犬種の成り立ちや歴史はまったく異なります。
シーズーはチベットをルーツに持ち、中国の宮廷に渡ってからラサアプソとペキニーズという犬種が交わった結果、シーズーの原型となる犬種が誕生したと言われています。祖先にペキニーズの血が入っている分、シーズーはマルチーズに比べて鼻ぺちゃで、より丸みを帯びた顔をしています。
また、寒い地域出身の犬が祖先である影響から、被毛は下毛も密集して生えている二重構造(ダブルコート)です。中国清王朝時代には、高貴な人に温もりを分け与える役割もあったようで、この保温性の高い被毛が活躍していたのかもしれません。
一方のマルチーズは、地中海周辺の海上貿易が盛んだった頃に、船に乗せられていた伴侶犬がルーツとされています。シチリアやマルタ島、アドリア島などに持ち込まれたマルチーズは、やがて上流階級の貴婦人たちに「抱き犬」として可愛がられる犬となりました。
温暖な地域をルーツに持つマルチーズは、シーズーとは異なり、下毛がなく上毛のみの密度の低いシングルコートという被毛の構造です。そのため、抜け毛の少ない犬種として紹介されることも多いです。
◆体型
見た目の違いとして特に分かりやすいのは、シーズーは「がっしり体型」で、マルチーズは「華奢な体型」であることです。
触ってみるとよく分かりますが、シーズーは小型犬の中では骨格がしっかりしているので、体重も4.5~8kg程度になるのが一般的です。
マルチーズの骨格はというと、華奢で、成犬時の体重も3~4kg程度にしかならないため、「超小型犬」として分類されることもあります。
小さく軽い体だからこそ、マルチーズが貴婦人たちの抱き犬として人気となった背景もあるかもしれません。
◆性格
先ほどご紹介したシーズーとマルチーズの性格傾向の通り、シーズーは「のんびり屋さん」、マルチーズは「活発な甘えん坊」といった違いがあります。
成長過程でのしつけ方や学習にもよりますが、見知らぬ人や犬とも比較的大らかに向き合えるシーズーと、時には分離不安になりやすいと言われるほど飼い主さんが大好きで最優先なマルチーズとでは、周囲や飼い主さんとの関わり方にも差を感じることが多いでしょう。
日頃の遊びやスキンシップへの要求度合いも、マルチーズの方が高い傾向にあります。
◆毛色のバリエーション
単色から2色以上の毛色まで、あらゆる毛色がスタンダードとされているのがシーズーです。日本ではゴールド&ホワイトや、ブラック&ホワイトといった2色の毛色が人気ですが、実は毛色のバリエーションはとても多いのです。
しかし、マルチーズの代名詞と言えば純白の毛です。犬種標準(スタンダード)では淡いアイボリー色なども毛色に含まれていますが、それでも白に近い毛色以外はマルチーズと認められていません。
屋外でシーズーかマルチーズか分からない犬に出会った時には、白1色で構成された被毛かどうかも見分けるポイントとなるでしょう。少なくとも2色以上の毛色であれば、シーズーの可能性が高いです。
◆しつけ方
シーズーとマルチーズでは、性格傾向の違いから、しつけに対する取り組み方も異なります。
保守的で頑固な一面もあるシーズーは、気分でない時に無理やりしつけの時間を持たせようとしても集中できません。ひとりでのんびりしたいと思っている時に、過剰に触れ合いを求められると怒ったり、散歩に行こうと連れ出してもピクリとも動こうとしないといった、自己主張の強さを見せることもあるでしょう。
飼い主となる人は、シーズーのそういったマイペースさを理解した上で、タイミングを見てしつけの時間を持つことが大切です。苦手なことにも対応できるよう少しずつ慣れさせる練習は必要ですが、「嫌なことを無理やりさせられた」という経験を積み重ねてしまうと、噛む犬になる可能性もあります。
マルチーズは、飼い主さんに甘えん坊な点が可愛い反面、飼い主さんから離れることに過剰な不安や恐怖を抱く犬になることが多いため、ひとりでお留守番をさせる練習は必須となるでしょう。
甘えん坊な分、飼い主さんから強く叱られると恐怖を感じ、余計に問題行動を見せる犬になる可能性もあるので、良い行動をとった時にたくさん褒めることを優先してあげてください。
また、見知らぬ人や犬、チャイムの音などにシャイな反応を示して、警戒からくる吠え癖を見せないように、幼い頃からいろいろな犬や人と出会う経験を積むこともおすすめです。
◆注意したい病気
シーズーは、真ん丸の大きな目が突出しているため、物にぶつかったり、散歩で草むらに分け入ったりするような日常のささいな出来事がきっかけで、目が傷ついてしまうことが多い犬種です。他にも、ドライアイやまつ毛の生え方が正常でないなど、目に関する病気や生まれつきの異常は起こりやすいでしょう。
また、皮脂の分泌が多い犬種のため、皮膚トラブルもよく見られます。特に夏はお手入れの頻度を上げて対策することが重要です。
そして、鼻ぺちゃ犬のシーズーならではですが、短頭種気道症候群と呼ばれる呼吸器系の異常が起きたり、熱中症にかかるリスクも高い傾向にあります。いびきや呼吸時のゼーゼー、ガーガーといった音が気になる時には、早めに受診することが必要です。
マルチーズは、華奢な体型ゆえの先天的な膝蓋骨脱臼や、骨折などの怪我が非常に多いです。
日頃から足に負担がかからないよう、マルチーズが暮らす生活環境は、滑りにくい床材にしたり、ジャンプして飛び下りるような家具は置かない工夫をしましょう。また、ピョンピョンと後ろ足だけで立たせる機会を減らすため、座らせてから甘えてもらうなど、接し方も意識するのがおすすめです。
そして、高齢のマルチーズでは僧帽弁閉鎖不全症という心臓病も多い傾向があるため、年齢を重ねた時の健康診断は、聴診の結果に合わせてレントゲンや超音波エコーなどの画像検査もしっかり組み合わせると良いでしょう。
シーズーとマルチーズのミックスもいる
見た目が似ていると言われるシーズーとマルチーズには、ミックス犬としての人気もあります。
2犬種が交配して生まれたミックス犬は、「マルシーズー」という通称で紹介されることがあり、どちらの要素が強く出るかは子犬によって様々です。
どちらかと言えば、顔や体型の雰囲気はシーズーに寄ることも多いとされていますが、犬種として確立されていないいわゆる雑種にあたるため、どんな見た目の子になるかは成長してみないと分かりません。
性格についてものんびり穏やかなシーズーの一面が出やすいか、マルチーズの遊び好きで甘えん坊な一面が出やすいかはそれぞれですが、いずれにしても可愛い愛犬として家族の輪の中心的存在となってくれるでしょう。
まとめ
シーズーとマルチーズの特徴や違いをご紹介しました。こうして比べてみると多くの違いが見つかり、似て非なる犬種と言えます。
どちらの犬種も昔から根強い人気を誇るのは、やはり見た目の愛らしさはもちろん、日本人の暮らしに合いやすい性格傾向や運動量など、飼いやすさも理由としてあげられるでしょう。
シーズーとマルチーズの異なる魅力を知り、ぜひ触れ合ってみてくださいね。
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