1.ビーグルみたいな犬ってどんな犬?
2.バセット・ハウンド
2-1.バセット・ハウンドの歴史
2-2.バセット・ハウンドの特徴
3.アメリカン・フォックスハウンド
3-1.アメリカン・フォックスハウンドの歴史
3-2.アメリカン・フォックスハウンドの特徴
5.ツリーイングウォーカークーンハウンド
5-1.ツリーイングウォーカークーンハウンドの歴史
5-2.ツリーイングウォーカークーンハウンドの特徴
ビーグルみたいな犬ってどんな犬?
ビーグルは、獣猟犬特有の白地に黒色と茶色の斑が入る「ハウンドカラー」、そして白地に薄く明るい茶色の斑が入るレモン&ホワイトなどの「バイカラー」という毛色を持ちますが、
一般的に『ビーグル』というと、『茶色・白色・黒色の3種の被毛』『垂れ耳』といった特徴を想像する人が多いと思います。
このことから、多少耳の長さや体格などが本来のビーグルと異なったとしても、垂れ耳で茶・白・黒、3色の被毛を持つ犬となると『ビーグルみたいな犬』と認識されることが多いのです。
スヌーピーのモデルとなった犬種としても有名なビーグルですが、かつては嗅覚を頼りに獲物を追いつめていく猟犬として活躍していました。
ビーグルに見た目が似ている犬たちには、このような犬種が挙げられます。
- アメリカン・フォックスハウンド
- バセット・ハウンド
- ハリア
- ツリーイングウォーカークーンハウンド
このうち、ツリーイングウォーカークーンハンド以外は、ジャパンケンネルクラブで『嗅覚ハウンド』と呼ばれるグループに属しています。
地面に残った匂いを追う探索行動が大好きだったり、周囲によく響きわたる吠え声を披露しやすい傾向があります。
ビーグルみたいな犬たちも、同じ嗅覚ハウンドグループの仲間ということもあって、ハウンドカラーやバイカラーといった毛色が多く、その分でビーグルと見た目の区別がつきにくいと言われることもあるようです。
ちなみに、黒地に白色や黄褐色で構成されるブラック&タンなどが代表的な「トライカラー」と呼ばれる3色の毛色もありますが、ハウンドカラーはこのトライカラーの1種として数えられることもあります。
トライカラーの毛色を持つ犬は、バーニーズ・マウンテン・ドッグやラフ・コリー、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどが有名です。
これらの犬種の白・黒・茶の3色構成は、獣猟犬であるビーグルみたいな犬たちとはこれまでに与えられてきた役割や仕事、見た目などがまったく違うため、たとえ同じような色合いに見えたとしても、「ハウンドカラー」と呼ばれることはありません。
それではここからは、ビーグルみたいな犬と言われる見た目がそっくりな犬種4種を詳しくご紹介します。
バセット・ハウンド
◆バセット・ハウンドの歴史
バセット・ハウンドの先祖は、16世紀のフランスで赤鹿猟のために生み出された犬とされています。
森の茂みも自由自在に動き回れる犬になるようにと、「背丈が低い」「足が短い」という特徴を持つ犬同士を交配させて品種改良しており、「バセット(フランス語ではバセー)」の名前もその体型に由来する言葉です。
やがて、19世紀後半に、嗅覚がとても優れた大型犬のブラッド・ハウンドという犬の血統を入れたことで、現在のバセット・ハウンドの見た目と、先祖犬よりも一回り大きなサイズを獲得した犬になりました。
◆バセット・ハウンドの特徴
ビーグルみたいな犬と言われつつも、実はビーグルとはまったく異なるバセット・ハウンドの見た目の特徴としてあげられるのは、「胴長短足」「長い垂れ耳」「たるんだ皮膚」です。
特に、バセット・ハウンドの耳は伏せると地面につきそうなほど長く、口元や体の皮膚のたるみ具合とあわせて、これらはブラッド・ハウンドの特徴を受け継いだことによります。耳の蒸れやすさに対しては、耳掃除などのケアが必要になるでしょう。
また、体高が33~38cmでビーグルとさほど違いがないにも関わらず、平均体重はメスでも20kgを超え、ビーグルよりもさらに骨太でどっしりとした頑健な体つきをしています。そのため、ビーグルは小型犬に分類されますが、バセット・ハウンドは中型犬に分類される犬種です。
活発な性格のビーグルに比べて、バセット・ハウンドはビーグルみたいな犬たちの中でも、のんびり屋で穏やかな子が多い傾向にあります。マイペースで頑固な一面に手を焼くことが少なくありませんが、我慢強さや家族に対する愛情の豊かさも一級品の魅力的な犬です。
アメリカン・フォックスハウンド
◆アメリカン・フォックスハウンドの歴史
アメリカン・フォックスハウンドの元になったのは、イギリスで赤鹿猟に使われ、後にキツネ猟でも活躍できるようにとスピード力のある犬に改良されたイングリッシュ・フォックスハウンドに似た犬だと言われています。
17世紀半ばにアメリカに輸入されると、イングリッシュ・フォックスハウンドのほか、フランスやアイルランドなどのいくつかのハウンドタイプの犬種とも交配されたことで、ビーグルみたいな犬と呼ばれるほどに似た外見が確立されました。
基礎犬となったハウンド犬の中には、アメリカの初代大統領であったジョージ・ワシントンが輸入・所有していた犬も含まれており、アメリカン・フォックスハウンドの誕生に大きく関わったという話も有名です。
◆アメリカン・フォックスハウンドの特徴
アメリカン・フォックスハウンドは、バセット・ハウンドよりもビーグルみたいな犬と言いたくなる見た目をしていますが、大きな違いは体格です。体高はオスで56~63.5cm、メスで53~61cmと倍近くあり、体重も30kg前後になる大型犬です。
また、上流階級の人たちのスポーツ猟で活躍するようスピード力が重視されたため、ビーグルに比べると長い手足を持っています。
さらには、あらゆる毛色が許されている犬種のため、ハウンドカラーのビーグルみたいな犬がいる一方で、ビーグルでは許容されていない毛色や斑の入り方をしている見た目の個体もいるなど、バリエーションが豊かです。
パックと呼ばれる集団単位で獲物を追っていたのはビーグルと同じなので、他の犬や家族への協調性・社交性は十分あります。家族から任された仕事に対して熱心に取り組む従順さも抜群でしょう。
しかし、今も賢い猟犬として活躍を続けることがほとんどの状況判断に優れた犬のため、初心者がペットとしてしつけをし、飼育するには難易度が高い犬種です。
ハリア
◆ハリアの歴史
詳しい歴史はわかっていませんが、俊敏さが必要なウサギ猟で活躍させるためにイギリスで改良された犬種です。アメリカン・フォックスハウンドよりは小さいものの、ビーグルみたいな犬と称されるほど見た目が似ていることから、ハリアの起源となった犬もこれらの嗅覚ハウンドに近いと考えられています。
絶滅の危機に瀕したこともありますが、イングリッシュ・フォックスハウンドと交配され、ビーグルみたいな外見と能力を獲得し、ウサギ・キツネ猟で活躍できるようになったことが功を奏して、絶滅をまぬがれました。
繁殖の過程では、小型のグレイハウンド(ウィペット)などとも交配させた結果、誕生したという説もあります。
第二次世界大戦後の2度目の絶滅の危機も愛好家たちの保護と繁殖によって難を逃れ、原産国のイギリスではハリアとフォックスハウンドのみの単犬種団体があるほど根強い人気を誇ります。そのため、純粋犬種の登録や血統書発行団体として有名なイギリスのケネルクラブは、1986年に犬種標準書からハリアを外しました。
◆ハリアの特徴
体高は48~50cmほど、体重は20kg前後と、ビーグルとアメリカン・フォックスハウンドのちょうど中間のような体格です。アメリカン・フォックスハウンドよりもビーグルに体格が近い分、見た目が似ていると感じることが多いですが、すらりと長い手足はビーグルとは異なるポイントでしょう。
毛色は、白地をベースに黒からオレンジまでのいろいろな色味がある犬種で、最もよく見られるのは白・黒・茶色のハウンドカラーです。
温厚な性格で、子どもや他の犬とも仲良くできるほがらかさがある犬という点は、ビーグルみたいな犬と言えるでしょう。
一方で、ビーグルも小型犬の中ではタフな犬種ではありますが、しなやかな筋肉に覆われたハリアのたくましい体つきと体力はそれをはるかに超える猟犬らしさを備えています。キツネ猟では3時間を超えて追跡し続けたという記録を持つ犬種でもあるため、家庭犬にするなら毎日の運動がたっぷり必要です。
ツリーイングウォーカークーンハウンド
◆ツリーイングウォーカークーンハウンドの歴史
最後に紹介するビーグルみたいな犬は、日本ではあまり聞くことのないツリーイングウォーカークーンハウンドという犬種です。
アメリカで誕生したこの犬は、1742年に持ち込まれたイングリッシュ・フォックスハウンドが基礎となっています。
しかし、木の上に獲物を追い立てた後、飼い主が到着するまで粘り強く吠え続けて狩りを遂行するツリーイング猟には、従来のフォックスハウンドの気質では対応しきれませんでした。
そのため、訓練でツリーイング猟の素質が認められたハウンド犬と、テネシー州からやって来たツリーイング・ドッグを交配させて品種改良したと言われています。
アメリカでは主にアライグマ猟に使われ、現在でも猟犬として活躍しています。また、「The People’s Choice(国民の選択)」という別名がつけられるほど、人気犬種となりました。
◆ツリーイングウォーカークーンハウンドの特徴
ツリーイングウォーカークーンハウンドは、オスで体高55~68cm、メスで50~63cmほどある中型犬~大型犬に分類される犬です。ビーグルみたいな犬と言われることが多いものの、平均体重は22~31kgとやや幅はあるものの、サイズの違いは一目瞭然です。
人と接することが好きで、家族の中に子どもがいても上手に付き合える落ち着いた性格の犬種ですが、その歴史から狩猟本能が強く、小型の他の動物との同居は避けた方が良いとも言われています。
他のビーグルみたいな犬たちと同様、ツヤのある短毛のためお手入れはしやすいです。しかし、ツリーイング猟に適した犬として、長時間走ったり、吠え続けたりできるほどのエネルギーに満ちあふれているため、十分な運動量の確保は簡単ではないでしょう。
まとめ
ビーグルみたいな犬と言っても、歴史や特徴に違いがあることがわかります。一目見た時に似ていると感じても、それぞれの犬種ごとに魅力は違ってくるでしょう。
日本では一般的でなく、一緒に暮らそうと思うと入手難易度が高い犬種も多いですが、もしも気になる犬がいれば、ブリーダーの有無や保護犬の募集がないかチェックしてみてください。
好奇心旺盛で丈夫な体つき、友好的な性格の犬が多いですから、暮らし方次第で良いパートナーとなってくれるでしょう。
– おすすめ記事 –
・犬にレタスを与えてもいい?与え方や注意点を紹介 |
・アメリカ原産の犬は約20種類!アメリカ生まれの犬をご紹介! |
・クセになる!愛らしい「ブサカワ犬」5選をご紹介 |
・話題の「拒否柴」!柴犬が散歩拒否をする理由と対処法についてもご紹介 |