1.犬はそら豆を食べても問題ない!
2.そら豆の栄養素
2-1.体を形作るタンパク質
2-2.エネルギー源となる糖質
2-3.便通を良くする食物繊維
2-4.疲労回復や抗酸化作用があるビタミンB・C
2-5.体内のpHバランスを整えるカリウム
3.犬にそら豆を与える際に気をつけること
3-1.加熱をしてから与える
3-2.さやは与えないこと
3-3.味付けをしない
3-4.食べやすいサイズにする
3-5.腎臓病の子は注意が必要
犬はそら豆を食べても問題ない!
「そら豆」は、ふっくらとした弾力のある食感と、噛むと感じるほのかな甘みがおいしい、古い歴史を持つマメ科の農作物です。
基本的に、そら豆は犬が食べても問題なく、中毒症状を引き起こす食材とはされていません。きちんと調理してあげれば、犬も喜ぶ食べ物となるでしょう。
ただし、与える犬の体の状態や、誤った食べさせ方によっては、犬の体調不良を招くこともあるので注意が必要です。
犬に食べさせるそら豆は、さやの色が鮮やかな緑でハリがある新鮮なものを選び、あげ方や摂取量に気をつけながら、おいしく食べさせてあげてください。
そら豆の栄養素
そら豆には、タンパク質や炭水化物、ビタミンやミネラルといった栄養成分が多く含まれています。
犬に与えることで、どんな作用が期待できるのかをご紹介します。
◆体を形作るタンパク質
そら豆は、植物性のタンパク質が豊富な食材です。タンパク質は皮膚や被毛、筋肉を形作る時に必須の栄養素であり、体内では「アミノ酸」という小さな状態になるまで分解した上で活用されています。
犬は人間よりもタンパク質を多く必要とするため、手作りご飯を主食としているケースなどでは、貴重なタンパク源の1つとなるでしょう。
植物性のタンパク質でもきちんと調理すれば、動物性のタンパク質に負けず劣らず、犬の体内でしっかり消化・吸収できます。
また、特定の食材のタンパク質に体内の免疫システムが過剰に反応してしまうのが食物アレルギーですが、そら豆のタンパク質は、一般的に犬のアレルギー源としての報告が少ない食材です。
初めて食べる時には少量から与えて様子を見る必要はありますが、肉類などの動物性タンパク質に多くアレルギー症状を示す犬にとって、タンパク質の補給に役立てやすいでしょう。
◆エネルギー源となる糖質
そら豆に含まれる栄養成分の大部分を占めるのは、炭水化物です。
中でも糖質は、脳や筋肉を動かす主要なエネルギー源として使われ、その時に活用されなかったものも肝臓に貯蔵されます。
ただし、そら豆の食べすぎが続いて摂取する糖質の量が多くなると、犬の肥満の原因となる場合もあります。
おやつやトッピングとして与えるなら、1回量は1日に必要なエネルギー量の10%まで(少量)にしておき、たまにのご褒美に留めておきましょう。
◆便通を良くする食物繊維
そら豆には、糖質以外の炭水化物として、不溶性食物繊維も多く含まれています。
不溶性食物繊維は、腸の中で水分を吸って膨らみ、かさ増しされることで腸を刺激するため、ぜん動運動が活発になり、便通を改善する働きがあります。
また、便の硬さも維持してくれるので、軟便になりがちな犬にもおすすめです。
◆疲労回復や抗酸化作用があるビタミンB・C
そら豆に多く含まれているビタミンは水溶性のビタミン群で、「B1(チアミン)」「B2(リボフラビン)」「C(アスコルビン酸)」です。
ビタミンB1は、神経系の機能を正常に保つほか、糖質のエネルギー代謝に関わり、疲労回復効果のあるビタミンとして知られています。
また、ビタミンB2も、脂質をエネルギーに変換したり、皮膚や被毛の質を保つなど、体の健康を保つためには大事な働きを担う必須のビタミンです。
一方でビタミンCは、人間とは異なり、犬の体内で生成することができます。
しかし、その合成能力には限界があり、体の老化を抑える抗酸化成分や、コラーゲンの合成に必須の栄養素として働くことから、皮膚や関節、血管の健康維持のためにドッグフードなどにもよく添加されています。
◆体内のpHバランスを整えるカリウム
初夏の旬の時期に出回るそら豆は「未熟豆」と呼ばれ、特にカリウムというミネラルが豊富に含まれます。
カリウムは、同じミネラルの1種であるナトリウムとバランスを取りながら、体内の水分量を調整する働きがあるため、pHを適切な状態に維持したり、むくみの解消などに役立ちます。
犬にそら豆を与える際に気をつけること
そら豆は犬も食べられる食材ですが、与える時には注意点もあります。事前にしっかりと確認してから、愛犬においしく食べてもらいましょう。
◆加熱をしてから与える
肉食寄りの雑食動物である犬にとって、硬いままの生のそら豆は消化しにくい食材です。そのまま与えると、犬の消化不良に伴う嘔吐や下痢を引き起こす可能性があります。
人間が生米を食べるのと一緒の状態になってしまうため、そら豆は必ず加熱し、糖質成分の大半を占めるデンプンの分子を壊して糊化する「アルファ化」を行い、消化・吸収を良くしましょう。
ゆで時間が長いと水溶性のビタミンであるB・C群が逃げやすいので、3分程度がおすすめです。栄養素を逃がしたくない時には、蒸すのも良いでしょう。また、柔らかい未熟豆はさやから取り出すと鮮度が落ちやすいため、調理直前に取り出してあげてください。
◆さやは与えないこと
硬く分厚いそら豆のさやは、犬の体内では消化できません。犬に食べさせるのは、実の部分だけにしておきましょう。
ただし、そら豆を包む薄皮の部分には、食物繊維やビタミンなどが多く含まれています。4~6月の旬の時期で最も早くに出回るそら豆であれば、薄皮が柔らかいことも多いので、皮ごと一緒に細かく刻んで与えると良いでしょう。
◆味付けをしない
そら豆は、人用の食品として煮豆や甘納豆などのほか、おつまみにぴったりな油で揚げた豆菓子、フライビーンズ(「いかり豆」などとも呼ばれる)などに使われることがあります。
人にとっては調味料が加わるとほど良い味つけでおいしい嗜好品ですが、こういったものは犬にとって塩分や糖分の量が過剰になりがちです。また、油で揚げているなら、脂質のとり過ぎによる下痢(大腸炎)や急性膵炎などを招くこともあります。
犬に与える場合は、味付けをしていないそら豆のみにしてあげましょう。下調理でも、人間用のそら豆を塩ゆですることがほとんどですが、犬用のそら豆は塩を入れずにゆでてあげましょう。
◆食べやすいサイズにする
そら豆を犬の食事やおやつ、トッピングとして食べさせる時は、細かく刻んで食べやすいサイズにしてからあげてください。
大きな1粒のままだと、たとえ加熱してあったとしても繊維質が豊富に含まれる分、犬には消化しづらいです。また、超小型犬や小さな子犬では、狭い腸内で大きなそら豆が詰まる消化管閉塞の危険があります。
犬は基本的に人のようによく噛んで食べる食性はないため、早食いする犬や、嚥下能力が落ちた老犬では、のどに詰まる可能性も捨てきれません。
そら豆を与える時には、犬がパクパクと急いで食べてしまっても問題ないように、食べやすく、体内で消化しやすい形状にしておいてあげましょう。
ちなみに、そら豆をつぶしてペースト状にし、少し水ととろみを足してスープにしたものを主食にかけてあげるようにして与えると、水分摂取量が増え、嚥下能力が落ちた老犬でも食べやすいのでおすすめです。
◆腎臓病の子は注意が必要
柔らかく未熟なそら豆には、タンパク質やミネラルが特に豊富です。
腎臓が悪い犬では、体内の水分調節機能や、尿と一緒に不要なミネラルや老廃物を適切に排出する機能が衰えていることから、病気の進行度に応じて、腎臓の機能低下をさらに招くリンや、老廃物の元となるタンパク質などの摂取制限が必要なケースがあります。
偶然1~2粒食べてしまった程度では問題にならない場合がほとんどですが、日頃から食べることを習慣化させたり、与えすぎることには注意が必要です。おやつとしてそら豆を犬に与えることで、症状の悪化を招くと元も子もありません。
腎臓病用の療法食を獣医師から処方され、愛犬が食べているのであれば、そちらを優先するようにしましょう。もしも病気を抱える犬にそら豆をおやつとして与えたい場合は、腎臓病に限らず、必ず事前にかかりつけの動物病院まで相談してください。
まとめ
そら豆は、犬食べても大丈夫な食材の1つです。しかし、与え方によっては犬の体調不良を招く可能性もあるので、調理方法や食べやすいサイズかどうかを確認するなど、しっかりと事前準備ができたものだけをあげましょう。
また、肥満体型の犬や、持病がある(あった)犬にとっては、そら豆が肥満の進行や健康状態の悪化を引き起こすリスクもあるので、獣医師と相談しながら与えるようにしてください。
ほくほくとしたそら豆の食感と甘みは、犬にとっては「ごちそう」となり、そのおいしさに食事への意欲も増して、楽しく食べられるはずです。犬の健康面への安全を第一にしながら、手作りご飯レシピの食材やおやつとして、そら豆をぜひおいしく活用してみてくださいね。
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