1.チワワの抜け毛が多いって本当なの?
1-1.抜け毛はどのくらい多いの?
1-2.チワワの被毛は2種類ある
2.チワワの抜け毛はストレスや病気の可能性も
2-1.考えられる主な病気の一例
チワワの抜け毛が多いって本当なの?
飼育しやすい犬種としても知名度の高いチワワですが、実は抜け毛の多い犬種で被毛のケアが欠かせません。体のサイズは小さいですが、しっかりとお手入れをする必要があるのです。
◆抜け毛はどのくらい多いの?
チワワには被毛の長さに違いがある、ロングコートとスムースコートの2種類がいます。
ロングコートチワワとは、耳の下・胸元・お尻・尻尾など頭以外の全身や飾り毛に長い被毛を持つタイプで、スムースコートチワワは短くやや太めの硬い被毛をもっています。
短い被毛をもつスムースコートなら抜け毛が少ないのでは?と思われがちですが、実はどちらのタイプも抜け毛は大量なのです。
特に、季節の変わり目に訪れる換毛期という期間があり、その頃には一気に被毛が抜けて生え替わります。
春と秋の年2回がその季節に当たるため、この時期は特に抜け毛対策やこまめな手入れ、掃除などに力を入れなくてはいけません。
◆チワワの被毛は2種類ある
犬の被毛には、オーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)という2つの種類があります。
オーバーコートとは皮膚を保護する役割をもつフワフワの上毛で、アンダーコートは体温調節の役割をもつ皮膚に近い場所に密集して生える下毛です。
そして被毛の構造にも、以下の2つのタイプがあるのです。
●シングルコート
表皮が太くてしっかりした毛質のオーバーコートのみで覆われている、単層構造の被毛のこと。
紫外線・太陽熱・雨・衝撃などから皮膚を守る役割があり、一年を通して少しずつ毛が生え替わるため、抜け毛が少ないという特徴をもつ。
●ダブルコート
オーバーコートとアンダーコートで構成された二重構造の被毛のこと。
太くてしっかりしたオーバーコートの下に、短くて柔らかいアンダーコートが密集して生えており、防寒・保温・保湿・防水などの役割を果たしている。
寒冷地や四季のある地域で作出された犬達に多く、厳しい寒さに耐えられる豊かなアンダーコートをもっているのが特徴。
一年を通して抜け毛が多く、換毛期にはさらに大量の毛が抜け落ちる。
抜け毛の量には個体差がありますが、基本的にはシングルコートの犬種に比べて、ダブルコートの抜け毛が断然多いといえます。
チワワは、このダブルコートの被毛をもっている犬種なのです。そのため、チワワは抜け毛の多い犬種といえるわけですね。
チワワの抜け毛はストレスや病気の可能性も
紹介してきたように、換毛期には大量の抜け毛がみられるチワワですが、抜け毛の原因が病気などである場合も実際にあります。
様々な要因で起こり得ますが、抜け毛がみられる可能性のある病気をいくつか紹介していきましょう。
◆考えられる主な病気の一例
◎甲状腺機能低下症
喉の辺りにある甲状腺から分泌される、甲状腺ホルモンが少なくなることで発症する病気です。
左右対称の脱毛、尻尾の脱毛、太りやすくなる、体温が下がる、元気消失などの症状が、細胞の代謝活性が低下するために起こります。
予防方法がないので、定期的に健康診断を受けるなどして、早期発見を目指すことが重要でしょう。
◎副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
副腎皮質からホルモンが過剰に分泌されることで怒る病気で、多飲多尿、筋肉・皮膚が薄くなる、脱毛などの症状がみられるようになります。
愛犬にこれらの症状や疑われる様子がみられる場合は、獣医師に相談してみましょう。
◎パターン脱毛症
生後6ヶ月~9ヶ月齢時に起こりやすいもので、炎症・痒みなどはないのに徐々に被毛が薄くなっていくという特徴があります。
耳介の外側全体の脱毛と色素沈着だけが症状に現れる場合と、複数箇所(耳介・首の腹側面、胸からお腹にかけて、または内股)が脱毛するケースもあります。
命に関わる病気ではないのですが、心配な方は念のため動物病院を受診することをおすすめします。
◎感染性皮膚炎
寄生虫・真菌(カビ)・細菌によって起こる皮膚炎で、脱毛の他、赤み・痒みを伴う場合もあります。
症状がみられたら進行する前に、早めに治療するようにしましょう。
◎アレルギー
アレルギー症状で脱毛が起こる場合もあります。
環境アレルギーといって、ノミ・ダニ・花粉・食事などがきっかけで痒みが酷くなり、手足を噛んだり身体を搔いてしまうことが原因で脱毛を起こすのです。このため、口と後ろ足が届く部分の毛が抜けることが多いでしょう。
◎ストレス
犬はストレスを感じた時に、不快感を解消するため、痒くないのに耳の後ろなどを後ろ足で掻いてしまうことがあります。これが原因で、毛が抜けることがあるのです。
ただし、人間が発症する円形脱毛症のように円形に脱毛している場合は、ストレス性の脱毛である可能性があります。念のため、一度病院を受診してみましょう。
チワワの抜け毛対策
抜け毛の多いチワワには、しっかりと抜け毛対策を施す必要があります。お手入れ方法や対処法について徹底解説していきますので、参考にしてみてください。
◆シャンプー
定期的にシャンプーを行うことは、抜け毛対策として有効です。健康な子の場合、基本的に1ヶ月に1回もしくは2回程度を目安に行うようにしましょう。特に換毛期は、シャンプーを怠ると毛玉の原因になってしまう場合もありますので注意しましょう。
換毛期でなくともシャンプーで身体の汚れを除去することは大切ですので、愛犬の体調に問題がないようであれば、きれいで清潔な身体を保つよう配慮してくださいね。
ただし、バランスが大切です。汚れを放置しても皮膚病などの原因となりますし、必要異常の頻度でシャンプーをすると愛犬がストレスを感じたり、皮膚の状態悪化を招く恐れもあるのです。
普段から飼い主さんが愛犬の状態を理解しておき、様子を見ながら最適な頻度を模索しましょう。健康状態に問題がある場合は、獣医師にシャンプーの頻度について相談してみましょう。
◆ブラッシング
抜け毛対策で最も効果的だといえるのが、ブラッシングです。
毛期の時期は、最低でも2日に1回、可能であれば毎日のブラッシングを行うよう心掛けてください。
換毛期以外の期間でも、週に2~3回は最低でもブラッシングをするのがおすすめです。
ちなみに犬用の被毛ケアグッズには様々な商品があり、小型犬用・中型犬用・大型犬用など大きさによってサイズにも違いがあります。種類も用途や使用する部位によって多々あるので、初めの内は選び方に迷ってしまうかもしれません。まずは持ちやすさと愛犬のサイズを考えて選ぶことを、ポイントとして覚えておきましょう。
チワワでいうと、長毛種であるロングコートの場合はスリッカーブラシ、スムースコートの場合はラバーブラシを使うのが上手にブラッシングをするコツの一つです。
コームブラシは、顔周り・お尻周辺などの細かい場所を溶かす時や、毛玉の有無を確認するのに適していますが、ロング、スムース共に全身の抜け毛を除去する際には適していないといえるでしょう。
それでは、ブラッシングの際の注意点について紹介していきますので、しっかりチェックしていきましょう。
★ブラッシング時の注意点
◎顔周りにスリッカーブラシを使用するのは危険!コームに持ち替えて、目に入らないよう注意する。
◎スリッカーブラシは、力を入れると皮膚を傷付けてしまう恐れがある。優しくゆっくり使うことを徹底する。
◎お腹や足先、手足の付け根などのデリケートな部分には注意が必要。部位によってブラシの種類を使い分けるようにする。
◎耳・脇・お尻周りの被毛は毛玉になりやすいため、しっかりと梳いてあげる。
◎大きな毛玉が既にできてしまっている場合は、無理に取ろうとしない。
ちなみに、自宅でのシャンプーが大変、中々上手にできないという場合は、トリミングサロンを利用してプロのトリマーさんにお任せするのもおすすめです。飼い主さんの負担が軽減できますし、定期的なカットや爪切りなども一緒にお願いできますよ。
◆ファーミネーター
ファーミネーターとは、通常のスリッカーブラシなどで取り除ききれない被毛を取り除くことができるブラシで、抜け毛の多い子にはとても便利なアイテムです。
犬用・猫用、更に小型犬用・中型犬用・大型犬用・長毛種用・短毛種用とバリエーションが豊富なので、愛犬にピッタリのタイプを選ぶことができるでしょう。
ちなみにファーミネーターには、取り除かなくてよい毛まで取り除いてしまう傾向があるので、使用しすぎるとパサパサの被毛だけが残ってしまう場合があります。
1週間に1回(3~5分)程度を目安として使用しくださいね。ただし抜け毛の量には個体差もありますので、抜け毛の量が減ってきた、と感じる頃が辞め時だと考えておくと良いかもしれません。
◆洋服を着る
洋服を着せることで、抜け毛が床に落ちることを防ぐこともできます。換毛期は、お部屋の掃除も格段に大変になりますし、カーペット・フローリングなどの床材によっても掃除機をかける回数は増えていくでしょう。
それを軽減できるメリットが、洋服を着せることにはあります。
ただし、常に洋服を着せていると皮膚が蒸れてしまい、皮膚炎の原因となる場合があるため、服を着せない時間を作ることも重要です。
特に犬は基本的に自分で服を脱ぐことができないので、体温調節に支障をきたす場合もあります。室内環境や場所によっては脱水症状になる可能性もありますので、着せる服の素材にも注意しましょう。
2023年時点でも犬用の服は数えきれない程販売されており、メッシュ・タオル地・ナイロン・毛糸など、様々なタイプの洋服があります。デザインを重視したい方も多いと思いますが、まずは用途や季節に合わせた素材選び、そしてサイズの合った洋服を選ぶことを心掛けてくださいね。
まとめ
チワワの抜け毛が多い理由は、ダブルコートをもつ犬種であるからです。その特徴をしっかりと理解した上で、お迎えすることを決めてくださいね。
チワワに限らず犬のお世話は簡単ではありません。適量のドッグフードを与えること、適切な運動をさせること、しっかりと愛情をそそぐことなど、丁寧な被毛のケア以外にもやることはたくさんあるのです。成犬になるにつれて、もちろん身体のサイズや力の強さも変わっていきます。特性・性格によってしつけが難しかったりと、問題にぶつかることもあるでしょう。
初めて犬を飼う方は、飼育経験のある方のお話を聞いたり、ペット関連記事などで知識を集めることから始めましょう。ピンポイントで欲しい情報があるときは、目次などを確認するのがおすすめです。
チワワは人気犬種だから大丈夫、きっと飼いやすいだろう!などといった安易な考えで飼い始めることは絶対にしないでください。
立派な愛犬家となるために、愛犬が安心・信頼できる飼い主さんを目指して尽力していきましょう。
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