【獣医師監修】チワワの舌が出ているのはなぜ?その原因や注意点は?

2023.05.20

【獣医師監修】チワワの舌が出ているのはなぜ?その原因や注意点は?

人気犬種として常に上位に位置するチワワ。愛らしい顔つきに小さなサイズ感で、国内では高い人気を誇っていますよね。このチワワ、舌がペロッと出ているイメージを持っている方も少なくないのではないでしょうか。チワワに限らず、舌が出ている状態の犬種・個体ももちろんいるのですが、これはチワワにもよくみられる現象です。その原因はなんなのか紹介していきますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。

チワワの舌がちょっと出ている理由

チワワの舌

チワワの舌が出ている状態を見ると、単に可愛らしいなと思う方も多いでしょう。
しかし、どうして舌を出しているのか、その理由がとても気になるところです。場合によっては病気などの可能性もあるので、どんな原因が理由としてあげられるのか、しっかり確認しておきましょう。

◆主な原因は、噛み合わせや骨格

チワワの舌が出る主な理由として、噛み合わせや骨格が原因であることが挙げられます。

上の前歯の裏に下の前歯が触れている状態のことを「鋏状咬合(はさみじょうこうごう)」といい、この噛み合わせが、チワワの歯並びとして正常なものとされているのですが、チワワには歯並びの悪い子が多いのです。歯並びが悪く、噛み合わせが合わないことから舌が出てしまう場合よくみられるのでしょう。

通常、生後4~7ヶ月頃に乳歯から永久歯への生え変わりが起こりますが、チワワの子犬は、その際に歯並びが悪くなってしまうようです。
さらに、チワワの舌が出る大きな原因としては、オーバーショットによるものが挙げられます。人間でいうと「出っ歯」の状態がこれに当たるのですが、オーバーショットの個体は子犬の頃から舌がよく出ていたり、永久歯への生え変わりのタイミングで舌が出るようになるケースが多いようです。

ちなみに、オーバーショットは遺伝することがあるので覚えておきましょう。ただし、両親がオーバーショットであっても100%遺伝するというわけでもありません。あくまでも可能性として、頭にいれておいてください。

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犬の垂れ舌症候群とは 

ワンちゃんが舌をしまい忘れているケースでは、垂れ舌症候群である可能性も考えられます。
その名の通り、舌をちょっと出す状態が続いたり、舌をしまい忘れている状態が続くことを指し、垂れ舌症候群の場合、愛犬は舌をしまうことができないのです。

原因としては、遺伝・老化・病気などが可能性として考えられるようです。
遺伝・老化で垂れ舌症候群になってしまうケースでは対処が難しいのですが、病気が原因であれば動物病院を受診してみるとよいでしょう。生まれつきではなく、突然愛犬が舌をしまい忘れるようになった場合は、一度先生に相談してみてください。


犬がリラックスをしていて舌を出す場合

犬の舌を出す行動は、リラックスしている状態でみられるケースもあります。
飼い主さんに構ってもらえて嬉しい、撫でられて気持ちがいい、などの感情から舌をちょっと出す子も多いそうです。

この時、舌先が少し口から見える程度であることがほとんどなので、この状態を目安とすると分かりやすいかもしれませんね。
ベロが少し見えているけど、嬉しそう・気持ちよさそうにしている様子が感じられるのであれば、それは愛犬がリラックスしている状態である可能性が高いといえるでしょう。

この場合は心配する必要はありませんので、思う存分、愛情を伝えて可愛がってあげてくださいね。
普段の愛犬の様子をよく観察しておき、このような様子を見せるかどうかチェックしてみてください。


犬の舌が出たままで注意するべきサイン

チワワの舌 width=

歯並びや骨格、リラックスしている状態など、紹介してきたような原因で舌が出る場合は多いのですが、犬の舌が出たままの状態で注意が必要なケースも実際にあります。
口内に何らかの問題が起きていたり、病気の症状が原因となっている場合もありますので、サインを見逃さないようにしっかりと知識を得ておきましょう。
 

◆口内の腫瘍によるも

生まれつき舌が出ているのではなく、成犬になってから舌を出すようになったという場合、口内に腫瘍などのできものができてしまい、舌が出るようになった可能性が考えられます。

舌にガンができる「舌癌」を発症している場合も、舌を出すようになる可能性があるので注意が必要です。
これまで舌を出す様子が見られなかった愛犬が、最近舌を出すようになった…というような違和感を飼い主さんが感じた場合は、早めに動物病院を受診して一度獣医師に相談することをおすすめします。

自分だけで判断せずに、必ずプロに診てもらった方が安心ですよね。診てもらった結果、問題なかったとしても不安が拭えるのでそれはそれでOKです。むしろ愛犬が病気である可能性を払拭できるので、良いことしかありませんよね。

◆老化による筋肉の衰え

意外と盲点になっていることですが、舌は筋肉です。
人間同様、犬も老化によって体の機能や筋肉に衰えが見られるようになりますよね。舌も筋肉であるため、年齢を重ねると共に衰えていくのです。

舌の筋肉が衰えてしまうと、舌の筋肉が弛緩することで舌が伸びてしまいます。このため、舌が口からはみ出して舌が出てしまう状態に陥るというわけですね。
愛犬がシニア期を迎えて、はみ出る舌の長さが伸びてきたな…と感じる場合は老化が原因かもしれません。

さらに、疲れている時に口に力が入らなくなって、普段は出していない舌が出るようになる場合もあります。
常に舌を出ている状態が続くようになったら、乾燥していないか、食事や水分はきちんととれているかなど、日常生活に支障をきたしていないかじっくり観察してあげてください。
老犬となるとそれまで問題なく送れていた生活を送ることが難しくなってきます。おやつやドッグフードなども年齢に合わせて見直す必要があるのです。シニア向けのドッグフードなど、商品も豊富にあるので最適なものに変更していきましょう。

衰えるのは舌だけではありませんので、きちんと愛犬のケアができるように健康状態や筋肉の状態をチェックする習慣をつけていくことが大切ですよ。
また、舌を出すようになるとヨダレも垂れやすくなります。口周りが汚れやすくなってしまうので、こまめに拭くなどして衛生面にも気を付けてあげましょう。
ヨダレの放置は雑菌繁殖の原因ともなります。皮膚疾患などを併発する可能性も十分に考えられるので、成犬時よりもこまめなケアが必要となってきます。

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◆熱中症の心配

犬は人間の様に汗を出すことができないため、身体に熱がこもりやすい動物です。汗による体温調節の代わりに、口から水分を飛ばすことで体温を下げるのです。犬が舌を出してハァハァと息をする行動をパンティングと呼びますが、この時の犬は暑いと感じて体温を調節している状態なのです。ただし、他の心理状態によってもみられる場合のある行動なので、正しい見極めをする必要はありますよ。
暑い時などにこの様子が見られるのは、犬の性質として普通のことなので大丈夫なのですが、夏の暑い時期には熱中症の危険性が伴います。
犬は地面との距離が人間よりも近いために、地面からの照り返しが厳しい状態におかれているのです。
5月~10月の間は特に、熱中症によるリスクが高まりますので、常に注意が必要です。
以下の様子が見られた場合、熱中症の可能性が考えられるので覚えておきましょう。

  • 呼吸が荒い、心拍数が普段より多い
  • 舌や口内の色が赤い
  • 落ち着きがない
  • ヨダレが多い
  • 自分で水を飲みにいかない、食欲がない
  • ボーっとし、フラフラしている
  • 横になったまま起き上がろうとしない
  • ぐったりしていて元気がない
  • さらに重症化すると以下の症状がみられます。

  • 嘔吐や下痢
  • 嘔吐物や排泄物に血が混じる(吐血・血尿・血便)
  • 筋肉の痙攣や震え(発作・脱水)
  • 歯茎が白くなったり、舌や粘膜が青紫になる(チアノーゼ)
  • 意識が無くなったり、名前を呼んでも反応しない(失神・昏睡)

熱中症は命の危険に陥る恐ろしい症状です。特に高温多湿となる夏の時期には、特に愛犬の健康管理に注意しなくてはいけません。室温や散歩の時間などに配慮して、愛犬を熱中長から守りましょう。
舌を出す=熱中症というわけでは決してありませんが、併せて上記に紹介した様子や症状がみられる場合は、早めに病院を受診することをおすすめします。

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まとめ

チワワが舌を出している主な原因は、歯並びや骨格による場合が多いです。ただし、病気などの可能性もあるということを覚えておきましょう。
突然、大好きなおもちゃを咥えて遊ばなくなったり、食事がしにくそうな状態がみられるようになった場合は、口内になんらかの問題が起きているのかもしれません。気になる様子が見られた場合は、一度獣医師に相談してみてください。
チワワに限らず他の犬種にも、舌を出す様子はみられます。紹介してきたように、その理由は様々です。リラックスしている状態であったり、体温調節をしている状態であったりと、色々なシーンでみられることがあるでしょう。
ストレスを感じて鼻を舐めて自分を落ち着かせるという、カーミングシグナルであるケースもあるので、日常的に愛犬の様子を観察して理解しておくことも重要ですよ。
突然舌を出すようになった、長い時間出すようになったという場合は、愛犬の状態に注視して異常がないか見極めるようにしてください。
病院にいく時は、愛犬が舌を出しているタイミングで動画や写真を撮っておくと、獣医師の診断の助けになる場合もありますので撮影しておくようにしましょう。
愛犬と一緒に健やかな毎日を送れるように、適切な健康管理とケア、愛情を注いで日々を過ごすことに尽力してくださいね。



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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!


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