1.犬のしっぽの役割
1-1.犬の尻尾の構造
1-2.尻尾は三つの役割をもつ
2.犬のしっぽを触ると怒る理由
2-1.敏感な場所
2-2.ケガや病気がある
2-3.嫌な思い出がある
犬のしっぽの役割
犬のしっぽは感情を表現する部分として有名ですよね。
愛犬が喜んでいる時などに、根元からブンブンと尻尾を振る姿はよく見られるでしょう。ただ、尻尾を振るときの感情は、嬉しくて興奮している時に限らず、警戒や不安・緊張などからみられる場合もあります。
また、感情表現の他にも犬の尻尾には役割があるのです。
まずは犬の尻尾の構造を知り、そしてどんな役割を持っているのかをチェックしていきましょう。
◆犬の尻尾の構造
とてもしなやかに動く犬の尻尾は、尾椎(骨)・筋肉・神経から構造されています。このため、怪我や骨折をすることももちろんあるのです。
尾椎の数は6~23個と犬種によって差があり、小さな尾椎が重なることで、自由自在に尻尾を動かすことを可能としています。
神経も多く走っている部位であるため、実はとても敏感な場所で、触られるのを嫌がる子は多いでしょう。あなたの愛犬も、平気な顔をしていても実は嫌がっている可能性があるのです。
◆尻尾は三つの役割をもつ
犬の尻尾がもつ役割は、基本的に以下の三つとなります。
◎バランスを取る
犬は自分自身の尻尾をオールの様に使い、歩く・走る際にバランスを取っています。
尻尾を上手に利用することで、実は平衡感覚を保っているわけです。
◎感情表現
一番有名な尻尾の役割といえる感情表現ですが、尻尾の振り方によってその時の感情には違いがあります。
それぞれ解説していきますので、チェックしてみてください。
・尻尾が高い位置にある場合
高い位置に尻尾があり、更に毛が逆立っている時は、興奮状態にあるといえます。相手に対して自分の方が強いぞ、というアピールをしている可能性が高いでしょう。
・尻尾が水平になっている場合
色々な事柄、所などに興味を示している状態だといえます。
・尻尾が低い位置にある場合
不安を感じていたり、怖がっている時は尻尾が下がります。特に、足の間に尻尾を入れ込む行動は、大きな恐怖を感じている際に見られるでしょう。
・尻尾を大きく左右に振っている場合
大きく左右に尻尾が振られている時は、嬉しい感情を表している状態です。その振り幅が大きい程、嬉しい思いが大きいと考えられるでしょう。
しかし、同じように大きく左右に振っていても、毛が逆立っている、唸っているなどの様子が見られる場合は、相手を威嚇し攻撃的になっている状態であるため注意が必要です。
・尻尾を低い位置で小さく振っている場合
低い位置で小さく左右に尻尾を振っている時は、あなたに服従しています、というサインだといわれています。
◎保温する
犬の尻尾は、身体を保温する役割ももっています。人間も寒い時は体を丸めて寝ることがありますが、犬も一緒で、眠る時などに身体を丸めて冷やさないようにするのです。
さらに尻尾が長い犬種の場合には、尻尾の先や被毛で鼻先・顔を覆って、冷たい空気から保護している様子もみられるでしょう。
犬のしっぽを触ると怒る理由
しっぽを触られるのを嫌がったり、触られて怒り出すわんちゃんは数多くいます。触っている手を離してほしくて、噛んだり、唸る子も中にはいるでしょう。
犬の世話をした経験があったり、犬に対する知識を持っている方が、反応を見て怒っていることが理解できれば対処できますが、小さなお子さんや犬との関りを持ったことのない方が面白がって急に触ろうとした時には十分注意しなくてはいけません。
元々、予測不能な動きをする子どもを苦手と感じる個体も多いので、その上で急に尻尾を触られると、驚いて噛んでしまう危険性は十分あるのです。
小さなお子さんや愛犬が慣れていない人と遊ばせるときは、常に飼い主さんが近くで観察し、怪我や事故などを防止することが大切です。
まずはなぜ、しっぽを触られるのを嫌がるわんちゃんが多いのか、その理由をしっかり覚えておきましょう。
◆敏感な場所
犬が尻尾を触られるのを嫌がる主な理由は、そこが敏感な場所だからです。犬の体にはいくつかとても敏感な部位がありますが、その一つに尻尾もはいります。
ちなみに、その他の部位として足先・鼻先などが挙げられ、そこが急所の部分ともなるのですが、外敵から狙われた際に身体の末端がケガを負いやすく、すぐに気付けるためにこういった構造になっているのだそうですよ。
また尻尾には、先まで骨が通っていて、そのまま背骨までつながっています。尻尾が傷つくと体の中心部までその影響が及んでしまう可能性もあるのです。
このため、それを防ぐために感覚細胞が多く通っているといわれています。
◆ケガや病気がある
尻尾を触られて嫌がる理由には、ケガや病気が原因となっている可能性も考えられます。
見た目に違和感や変化がないか、愛犬の様子を確認してみてください。
パッと見ただけでは分からないケースも多いですが、尻尾周辺が違和感の原因となっている場合がありますので、気になる様子が見られる場合は一度動物病院で診察してもらうとよいでしょう。
尻尾の周りに違和感が現れる可能性のある病気の一例を紹介しておきますので、万が一に備えてチェックしてみてください。
◎消化器官の異常で起こる可能性のある病気
- 巨大食道症
- 急性胃炎
- 慢性胃炎
- 胃拡張と胃捻転
- 出血性胃腸炎
- 腸閉塞
- 胃潰瘍
…など
◎骨と関節の異常で起こる可能性のある病気
- 膝蓋骨脱臼
- 股異形成
- レッグパーセス病
…など
◆嫌な思い出がある
子犬の頃に嫌な経験をし、成長してもそのトラウマが残っていることがあります。これは人間でも起こりうることですよね。
尻尾を踏まれたり引っ張られて痛い思いをした、しつこく触られて嫌な思いをした、などの感情や記憶がトラウマとして残っている場合、このトラウマが原因で尻尾を触るのを極度に嫌がる子もいるのです。
犬のしっぽを触っても怒らない場合
前述したように、尻尾はとても敏感な部分であるため、触られると嫌がる子が多いです。
しかし愛犬から、「全く嫌がる様子が感じられない…」と思う飼い主さんもいるかもしれません。実際に我が家の愛犬達も、そこまで嫌がっていないように思えます。
この場合、特に嫌がっていない可能性も十分あるのですが、大好きな飼い主さんが触っているから、ただ我慢をしている、という場合も考えられるのです。
基本的に尻尾は、触られて嬉しい場所と感じる子の方が少ないため、日々の生活の中で頻繁に触ってしまうようであれば控えるようにしてください。
愛犬は尻尾を触られている間、ずっと健気に我慢しているのかもしれませんし、触る頻度が高すぎるとストレスを感じてしまうため注意が必要です。
犬が触れられるのが苦手な部位
大好きな飼い主さんが相手だとしても、犬にとって触られたくないと感じる場所は尻尾の他にもいくつかあります。
犬が触られるのを苦手だと感じることが多い部位をそれぞれ紹介していきましょう。
◆体の先端に位置する部分
体の先端部分となる場所は、多くの犬が「あまり触られたくない」と感じる場所の一つです。例えば、マズル(鼻先)・尻尾・耳の先などが代表的な部分として挙げられるでしょう。
こうした部位を触ると嫌そうな顔をしたり、逃げたりそっぽを向く個体は多いのではないでしょうか。中には、唸ったり威嚇するような態度を見せる子もいます。
中でも、特に犬にとってマズルは重要な場所であるため、触られるのを嫌がるワンちゃんは非常に多いです。
その反応を利用した、マズルコントロールというしつけ方法があったほどです。ちなみに現在では推奨されていないしつけ方なので、おすすめはしません。
◆頭の部分
触りがちな場所でもある頭ですが、意外とこの部分も触られるのを嫌がる子は多いです。
飼い主さんや信頼できる相手であれば黙って撫でさせることがほとんどですが、知らない人が突然触ろうとすると驚いたり逃げたりする場合があるでしょう。
犬にとって、頭を触られる状況自体が、あまり好ましいとはいえないのです。
人間は自分よりも大きな相手です。その大きな相手から頭の上に手を伸ばされるのですから、置き換えて想像してみると恐怖を感じることが分かりますよね。
犬も同じで、知らない人から頭に手を伸ばされることに大きな恐怖心を抱いてしまいます。
また、しゃがみこんで頭を撫でてくる人もいますが、この場合は顔を覗き込むような形になります。これは、敵意や警戒のボディランゲージとして捉えられてしまう可能性のある行動なのです。
こういった理由から、頭を触られることを苦手とする子が多いのだと考えられるわけですね。特に知らない人に対して警戒心を強く持つ傾向のあるワンちゃんはたくさんいるので、初めから頭を触る・触らせるのは避けた方がよいでしょう。
◆足の関節部分
犬の足関節は、非常に皮膚が薄い部分です。そのため、刺激を与えすぎることで皮膚が炎症を起こしたり、刺激が骨に当たることで痛いと感じてしまうことがあります。
こういった理由から、神経質になって、足の関節部分を触ろうとすると足を引いたり、触られるのを嫌がる素振りを見せる子がたくさんいるのです。
皮膚が薄い上に、足は体の先端部分にもあたりますので、触られるのが苦手なワンちゃんは一番多いかもしれません。
まとめ
犬の尻尾はとても敏感な部分です。そのため、触られても嬉しい気持ちになる子は少ない、ということをしっかり認識しておきましょう。
さらに尻尾の他にも、触られるのが苦手な部分は紹介してきた通りにいくつかあります。人間社会でも同様ですが、ペットに対しても嫌がることを続けるのはダメなことです。
とはいえ中には、お世話する上で触らなければいけない場面もあるでしょう。特に足先などは爪を切るなど、触れなければ困るケースも実際にありますよね。こういった部分については、子犬の頃から触られるのに慣れさせるなど、育て方の工夫も必要でしょう。
嫌だと感じることは極力避けてあげたいですが、健康的で安全な生活を送るためには上手にバランスをとることも大切だといえます。
犬の飼育方法についてはカテゴリ別に様々な記事で紹介されているので、そういった情報を集めて学んだり、プロに質問するのも良い方法です。
愛犬のためにより良い行動がとれるように努力していきましょう。
– おすすめ記事 –
・犬が甘えている時の仕草8選!甘える仕草に隠された心理とは |
・【獣医師監修】愛犬が自分の足を噛む!?その理由と対策について |
・犬がしゃべるように鳴く!愛犬の思いを知ろう! |
・犬の地震対策は?地震を怖がる子もいるの? |