1.トコジラミはどんな生き物?
1-1.外見と大きさ
1-2.寄生する場所
1-3.繁殖能力
2.犬もトコジラミに刺される?
2-1.犬もトコジラミに刺される可能性はある
2-2.刺された時の症状
2-3.犬がトコジラミに刺されてしまったら
トコジラミはどんな生き物?
トコジラミはナンキンムシ(南京虫)とも呼ばれる虫で、学名はCimex lectulariusと言います。
シラミという名前がついていますが、髪の毛や衣服などに住み着いて吸血するアタマジラミ、コロモジラミとは異なる生き物で、カメムシ目(半翅目)トコジラミ科に分類されています。
ここには他にセミやカメムシやアメンボなどが含まれます。
基本的には熱帯地方に生息していたのですが、海外からの旅行客の荷物や輸入品から日本国内へも持ち込まれていて、日本でも流行が始まっています。
お隣の国、韓国でもトコジラミによる被害が問題となっています。
韓国語でトコジラミを意味する「ビンデ」と「パンデミック」を組み合わせた造語である「ビンデミック」という言葉までできるほど、不安を巻き起こしています。
さらに、実際にはトコジラミによる被害が確認されていないにも関わらず、生活の中でトコジラミに対する不安を感じる「トコジラミフォビア(トコジラミ恐怖症)」を訴える人もいます。
このように、トコジラミは近年、国内外で大きな問題となっている昆虫です。
◆外見と大きさ
トコジラミの色は茶褐色で、平べったい体つきをしています。
トコジラミの成虫の大きさは5~8mmですが、吸血によって扁平なお腹は膨らみます。
トコジラミは自身の体重の何倍もの血液を吸うので、吸血後は大きく長くなります。
前翅がありますが、退化しているため飛ぶことはできません。
卵は楕円形で、乳白色で、1.2mmほどの長さです。
卵から孵化したばかりの幼虫は、成虫を小さくしたような形をしています。
幼虫の色は淡黄色で、体長は1.3mmほどです。
トコジラミはゴキブリなどと同様に不完全変態を行う昆虫で、卵、幼虫、成虫と発育するため、蛹の時期はありません。
◆寄生する場所
トコジラミは元々、海外でよく問題になる生き物でした。
海外では、一流ホテルや高級ブランド品店などでの発生もあり、店舗が休業に追い込まれたり、数億円の訴訟にまで発展したりという問題が起こっています。
しかし、近年、国内でもトコジラミの寄生による被害が増えています。
トコジラミの多くは、海外からの旅行者の荷物に紛れて国内に持ち込まれているとされています。
ホテルなどを利用した際に、寄生が起こり、そのまま自宅へ持ち込んでしまうケースが多いようで、一般家庭にもトコジラミによる被害が広がっているとの情報があります。
新型コロナウイルス流行による影響も落ち着いてきて、海外からも旅行客が戻ってきている昨今、ホテルや衣料品店からも感染が心配されます。
◆繁殖能力
トコジラミの成虫の寿命は長く、温度にも影響されますが、20℃程度では9~18ヶ月生存することが知られています。
トコジラミの雌は一日あたり5~6個の卵をほぼ毎日産み続けるので、雌1匹の生涯の産卵数は500個ほどにもなります。
温度が15℃以下であれば、産卵や孵化までの日数が延び、孵化率も低下しますが、それでも増殖は可能です。
この強い繁殖能力のため、一度トコジラミによる被害が出るとなかなか収拾がつかず、長期的な問題となりやすいのです。
犬もトコジラミに刺される?
近年、トコジラミによる被害が国内で増加傾向にありますが、犬もトコジラミに刺されるのでしょうか?
◆犬もトコジラミに刺される可能性はある
実はトコジラミは人以外にも犬や猫、ねずみ、鳥などからも吸血します。
ホテルや衣料品店などは犬に関係がなさそうですが、ホテルや衣料品店から一般のお客さんに寄生して、自宅に持ち込まれ、犬にも問題がでます。国内での発生が増えている以上、犬も被害に遭う可能性はあります。
家族がトコジラミの被害にあった場合は、愛犬にも同様の症状がないか注意してみてあげてください。
◆刺された時の症状
犬がトコジラミに刺された時の症状は人間が刺された場合と同様で、激しいかゆみや皮膚の発赤などの症状が現れます。
トコジラミは動物からの吸血により栄養を得て生存しています。吸血の際に血が固まってしまうと吸血が行えなくなるため、血液が固まることを防ぐために抗凝固作用のある唾液を動物側に注入します。
このトコジラミから注入される唾液に対して、動物側の身体がアレルギー反応を起こし、激しいかゆみや皮膚の発赤などを引き起こします。
刺された身体が、トコジラミの唾液に感作されていなければ、かゆみや発赤などの皮膚の症状が見られない場合もあります。
現時点では、幸いにもトコジラミが他の感染症を媒介するという報告はなく、トコジラミの吸血によって他の伝染病に感染してしまうリスクはほとんどありません。
しかし、大量の血液を吸血しているために、トコジラミを潰した際などに、その血液を介してエイズや肝炎などを感染させるのではないか、とも言われています。
ただし、こちらに関しては、現時点では特に問題となっているという報告はなく、多くの場合、強いかゆみと皮膚炎が主な問題と言えます。
◆犬がトコジラミに刺されてしまったら
それでは実際に犬がトコジラミに刺されてしまったらどう対処すればよいのでしょう?
犬がトコジラミに刺されてしまった場合、一番問題となるのは皮膚のかゆみです。
かゆみがストレスになったり、掻くことでさらに皮膚炎が悪化したり、たかがかゆみとは言え、やっかいになるケースは多いです。
ストレス自体が問題となり、いつまでも皮膚を舐めたり噛んだりし続ける場合も多いです。
強いかゆみが続くと辛い点は人も犬も同じですので、犬がかゆがっている場合は早めに動物病院で相談しましょう。
診察の結果、かゆみや炎症を抑える塗り薬や飲み薬などを処方してもらうことができます。
また、犬は強いストレスで体調を崩すことがあります。皮膚のかゆみに加えて、いつもと違う様子が見られたら、その点も動物病院で相談すると良いでしょう。
その他、トコジラミが家で見つかった場合においては、速やかに家の清掃を行い繁殖を抑えることが大切です。
トコジラミは夜行性の昆虫で、日中は狭くて暗いところに潜み、日が沈んでくるとはい出てきて吸血行動をします。
その為家の中においても暗くて狭いすき間に潜んでいることが多く、畳のすき間や裏側、ベッドマットの下やマットレスの間、家具の内部や床とのすき間などに隠れていることが多いです。
そのほかにも、ソファーのすき間やカーテンの折り返し部分など、とにかく狭いところに隠れます。
犬がトコジラミに刺されてしまった場合は、トコジラミがいそうなところを徹底的に清掃し、トコジラミの繁殖を抑えるよう努めましょう。
一般の家庭では、トコジラミが発生した際に、効果的な手段で駆虫することは困難なことが多いので、早めに専門業者に相談することもおすすめです。
犬が刺されてしまった場合は、サークルなどを利用して、犬が危険な場所に行かないようにすることも考えましょう。
犬のトコジラミ対策
上記でご紹介したように、トコジラミは掃除で手が出しにくい、狭くて暗い場所を好みます。
さらに、繁殖能力も強く、次々と卵を産んで数を増やしてしまうので、一度家に入ってしまうと、なかなかすべてのトコジラミを駆除することができません。
そのため、トコジラミへの一番の対策はとにかく持ち込まないことです。
旅行でホテルなどに宿泊した後など、特に注意が必要です。
また、通信販売で購入した荷物などから持ち込まれることもありますので気をつけましょう。
その他の対策として、虫よけ剤の中には犬用のものありますので、使用を検討しましょう。
トコジラミは、ダニやシラミではないので、ダニとりシートやダニよけスプレーでは防げないので、ここは注意が必要です。
トコジラミは「ディート」という成分を嫌う習性がありますので、それらの成分を含んだ犬用の虫よけスプレーは効果が期待できます。
まとめ
今回の記事では「犬がトコジラミに刺されてしまったらどうなるのか」ということを解説しました。
トコジラミは近年国内でも発生が問題視されていて、刺されると強いかゆみが生じ、人も犬もストレスとなります。
トコジラミは狭く、暗いところに潜み、繁殖能力が高いため、家で行える対策をして駆除が難しいようであれば早めに専門業者に連絡しましょう。
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